2025年度最新、省力化補助金の補助上限額を解説!
省力化補助金は、企業の生産性向上や人手不足を支援するための補助金です。2025年度からは、従来のカタログ注文型に加え、新たに一般型が新設されます。本コラムでは、それぞれの型の補助上限額や特徴をわかりやすく解説します。一般型では、条件に応じて補助率や補助上限額が変動する仕組みです。補助率が変動する条件や補助上限額についても詳しく解説します。
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この記事を監修した専門家
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
省力化補助金とは?
省力化補助金は、人手不足を解消するために、ロボットやIoTなどの省力化製品を導入する際の経費を国が支援する制度です。
簡単かつ効果的な省力化投資を促進し、企業の売上拡大や生産性向上、さらに賃上げにつなげることを目的としています。
補助率は1/2で、補助上限額は従業員数によって異なります。
導入時には、販売事業者がサポートします!申請や手続きも任せられるので安心です。
登録された省力化製品リスト(カタログ)から、自社の課題に合った製品を選ぶことができます。
2025年最新!省力化補助金の概要はこちら!
対象事業者となる条件
以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 人材不足であること:客観的な指標(例:残業時間)を用いて、現在の人材不足を証明する必要があります。
- 事業計画での付加価値向上:補助事業終了後1~3年以内に、従業員1人あたりの「付加価値額」を年率平均3%以上増加させる見込みの事業計画を策定し、効果報告を行うこと。
要するに、「現状で人手不足に直面しているものの、省力化によって生産性を向上させ、従業員の負担軽減や利益還元が期待できる事業者」が対象となります。
実際、厚生労働省データからも、人手不足が深刻化していることが分かります。その中で示された充足率(新規求人に対する就職の割合)は右肩下がりであり、「求人をしても人材が見つからない」という現状を表しています。こうした背景から、省力化補助金の対象事業者となるには、申請する事業者が人手不足であることを証明する必要があります。
出典:厚生労働省
省力化補助金の特徴
カタログから導入製品を選ぶ
省力化補助金のカタログ注文型では、カタログから製品を選択する形式を採用しています。
省力化補助金の公式ホームページでは、事前に公表されたカタログが公開されており、現在申請可能な製品を一覧で確認できます。ロボットやIoT機器など、効率化に役立つ製品が並んでおり、これらを導入することで人手による作業を自動化することが可能です。
2025年から「一般型」が新設され、カタログに掲載されていない設備も導入可能になりました。これにより、以下の2つの方法での申請が可能となっています。
- カタログ掲載の製品を選ぶ方法(カタログ注文型)
- カタログ外の製品を選ぶ方法(一般型・新設)
補助金は後払い、かつ全額交付ではない
補助金は後払い制であるため、事業を実施して実際にかかった経費を申告し、その後に交付されます。
また、事業経費全額が補助されるわけではなく、補助率に基づいて交付額が決定します。
この補助率は補助金を選ぶ際の重要な判断材料となるため、事前に十分確認することが必要です。
省力化補助金の補助上限額と補助率【カタログ注文型】
補助金を申請する際、多くの方が気になるのは「具体的にいくらもらえるのか」という点ではないでしょうか。
その金額を決定する重要な要素が 補助率です。
交付される補助金の金額は、以下の計算式で決まります。
補助対象となる費用 × 補助率
※ただし、上記で計算された金額が補助上限額を超える場合、補助金は上限額までとなります。
つまり、補助対象となる経費が多く、補助率が高いほど、実際に交付される補助金の額も大きくなる仕組みです。
省力化補助金カタログ注文型の補助率は1/2以下
省力化補助金カタログ注文型の補助率は、原則として該当する経費の1/2以下となっています。
補助上限額については、従業員数に応じて以下のように定められています。
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
5名以下 | 200万円(300万円) | 1/2 |
6~20名 | 500万円(750万円) | 1/2 |
21名以上 | 1,000万円(1,500万円) | 1/2 |
※()内の金額は、賃上げ要件を達成した場合に引き上げられる補助上限額です。
他の補助金との補助率比較
「1/2」という補助率は少なく感じるかもしれませんが、多くの補助金がこの水準で設定されています。以下は代表的な補助金の補助率と特徴をまとめた比較表です。
補助金の名前 | 補助率 | 補足 |
省力化補助金 | 1/2 | 賃上げ要件達成で補助上限額が引き上げられる |
IT導入補助金 | 1/2 | インボイス導入で最大4/5に引き上げ可能 |
ものづくり補助金 | 1/2 | 小規模・再生事業者は2/3に増加 |
持続化補助金(通常枠) | 2/3 | 赤字事業者で賃金引上げ達成時は最大3/4 |
持続化補助金は補助率が高い一方で、補助上限額が低めであるため、大きな金額を得られるわけではありません。
一方、省力化補助金は補助率は一律1/2ですが、 賃上げ要件を満たすことで補助上限額が増加 するのが特徴です。
省力化補助金の補助上限額と補助率【一般型】
カタログ注文型と一般型では運用が若干異なります。
一般型では、 カタログ以外の製品 を補助対象経費とすることが可能です。簡単に言えば、 より自由度の高い省力化補助金 といえます。
一般型の補助率は原則として 1/2以下 ですが、小規模・再生事業者に該当する場合は 2/3 に引き上げられます。以下に補助上限額をまとめました。
従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
5名以下 | 750万円(1,000万円) | 1/2 小規模再生2/3 |
6~20名 | 1,500万円(2,000万円) |
21~50人 | 3,000万円(4,000万円) |
51~100人 | 5,000万円(6,500万円) |
101人以上 | 8,000万円(1億円) |
小規模・再生事業者とは?
補助率が2/3に引き上げられる小規模・再生事業者について、簡単に解説します。
【小規模事業者】
従業員数が少ない事業者を指します。家族経営などが典型的な例です。具体的な定義は以下の通りです。
業種 | 従業員数 |
製造業その他 | 20人以下 |
サービス業(宿泊業・娯楽業) | 20人以下 |
商業・サービス業(上記以外) | 5人以下 |
【再生事業者】
経営の再生計画を策定中または策定済みの事業者 を指します。具体的には以下の条件を満たす必要があります。
- 再生計画を策定中の事業者
- 再生計画を策定済みで、応募締切日から遡って3年以内に再生計画が成立した事業者
※再生計画は、定められた機関の支援を受けて策定する必要があります。
なぜ小規模・再生事業者の支援割合が高いのか?
小規模事業者や再生事業者は、経営基盤が強固ではない場合が多いため、より手厚い支援が行われています。
こうした事業者が安定した経営基盤を築けるよう、補助率を引き上げる仕組みが設けられていると考えられます。
1,500万円を超過したら補助率は1/3になる
一般型では、カタログ型と比べて補助上限額が大幅に引き上げられています。
最大上限額は 1億円 に達し、大規模な設備投資が可能になりました。以下にカタログ型と一般型の補助上限額を比較してみましょう。
従業員数 | 一般型(上限額) | カタログ型(上限額) |
~5人 | 750万円(1,000万円) | 200万円(300万円) |
6~20人 | 1,500万円(2,000万円) | 500万円(750万円) |
21~50人 | 3,000万円(4,000万円) | 1,000万円(1,500万円) |
51~100人 | 5,000万円(6,500万円) | - |
101人以上 | 8,000万円(1億円) | - |
※()内の金額は、賃上げ要件を達成した場合に引き上げられる上限額です。
1,500万円超過分の計算例
ただし、1,500万円を超えた部分については、補助率が 1/3 に下がるため注意が必要です。以下に具体例を挙げて計算を示します。
ケース:従業員30人の会社が、対象経費2,100万円の設備投資をする場合
- 1,500万円まで:補助率1/2(場合によっては2/3)
1,500万円 × 1/2 = 750万円(2/3の場合は1,000万円)
- 超過分600万円:補助率1/3
600万円 × 1/3 = 200万円
合計補助金:750万円 + 200万円 = 950万円(または1,200万円)
※この計算は簡略化していますので、詳細は公式資料をご確認ください。
カタログ型との比較
カタログ型の補助上限額が最大1,500万円であるのに対し、一般型では上限が大幅に引き上げられていることがわかります。
その分、1,500万円を超える部分には補助率1/3が適用されるため、計算が必要になりますが、大規模な投資を検討する事業者には非常に魅力的な制度です。
参考:中小企業庁
省力化補助金の補助上限額を引き上げるには?
補助金額の決定において、補助率は非常に重要な要素ですが、補助上限額も事業規模に応じて大切な判断材料となります。
省力化補助金では、大幅な賃上げを行うことで補助上限額を引き上げることが可能です。以下にその具体的な条件を説明します。
大幅な賃上げの条件
上限額を引き上げる条件である「大幅な賃上げ」とは、以下の基準を満たす必要があります。
- 最低賃金の引き上げ:申請時点と比較して、事業所内の最低賃金を45円以上上昇させること。
- 給与支給総額の増加:申請時点と比較して、給与支給総額を年率平均6%以上増加させること。
これらの条件を満たすことが確認されれば、補助上限額を引き上げることができます。
以下の点にご注意ください。
- 賃上げが適切に実施されたことを証明するために、賃金台帳の提出 が必要です。
- 賃金の計算には、所定内給与のみ が含まれます。賞与や一時金は対象外となるため注意してください。
補助金を最大限に活用するためには、事業計画とともに賃金改善の取り組みを進めることが重要です
交付される補助金を把握するためには?
補助金申請を検討する多くの事業者にとって、最も気になるのは「いくらもらえるのか」という点ではないでしょうか。
申請前に、以下のポイントを確認し、交付される補助金額を把握しておきましょう。
- 業種や従業員数:事業規模に応じて補助上限額が変わります。公式ホームページなどで公開されている最新情報を確認してください。
- 補助率と補助上限額:補助率や上限額は補助金の種類や条件によって異なります。自社がどの条件に該当するのかをチェックしましょう。
- 導入予定の設備にかかる費用
① 設備本体の価格
② 導入費用(設置や工事費など)
これらを見積もることで、おおよその補助金額を算出できます。
補助金の申請準備を進める際、事前にこれらを確認しておくことで、計画がよりスムーズに進むでしょう。
省力化補助金の申請時に注意したいポイント
補助金は国や自治体の支援を活用して、事業を拡大する絶好のチャンスです。
しかし、その申請には細かな確認作業が必要であり、時間と労力を要することがあります。
例:
「補助金申請の代行料金は補助対象経費になる?」
答え:公募要領で「補助対象外の経費」に該当すると明記されており、補助金の対象にはなりません(2025年1月時点、公募要領P8参照)。
このように、補助金申請には細かいルールや条件が多数あり、慎重な確認が求められます。
また、このコラムでは書ききれないほど、検討すべき事項が他にも多く存在します。
補助金活用をスムーズに進めるために
補助金を最大限活用するためには、事前準備と情報収集が欠かせません。
特に公募要領を熟読し、自社が対象条件に適合しているかを確認することが重要です。
必要に応じて、補助金申請の経験が豊富な 専門家のサポート を検討することで、申請プロセスを効率化し、採択率を高めることができます。
省力化補助金の申請要件をプロがわかりやすく解説
参考:省力化補助金公募要領
申請後のことも考慮が必要
補助金申請で忘れてはならないのが、 申請後の対応 についても考慮する必要がある点です。
交付決定がされたら終わりではなく、その後も事業の運営や効果に関する報告を行う義務があります。
具体的には以下の点に注意が必要です:
- 効果報告
- 省力化補助金では、3年間 にわたり事業計画に基づく運営状況やその成果を報告する必要があります。申請時に提出した事業計画に沿っているかがチェックされます。
- 財産の処分制限
- 補助金を活用して取得した財産には、処分制限が課されることがあります。これは、補助事業の目的に反する使用や譲渡を防ぐための措置です。
補助金を申請する際は、これらの義務も考慮したうえで計画を立てることが重要です。事業の進行中や終了後の対応まで視野に入れることで、補助金を有効かつ円滑に活用することができます。
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