省力化補助金の申請要件は?
省力化補助金(正式名称:中小企業省力化投資補助金)を申請するためには、次の3つの要件を満たす必要があります。
- 基本目標
- 事業内容に関する要件
- 事業者としての要件
本コラムでは、省力化補助金の申請を検討している事業者の皆様に向けて、以下のポイントを詳しく解説します。
- 補助金の目的
- 具体的な申請要件
- 申請時の注意点
- 申請前に押さえておくべきポイント
本コラムでは省力化補助金の申請要件をプロがわかりやすく解説します。申請要件の他にも、補助対象となる経費や2025年度の省力化補助金の変更点なども紹介します。2025年度、省力化補助金の活用を検討されている方はぜひお役立てください。
カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
省力化補助金(正式名称:中小企業省力化投資補助金)を申請するためには、次の3つの要件を満たす必要があります。
本コラムでは、省力化補助金の申請を検討している事業者の皆様に向けて、以下のポイントを詳しく解説します。
省力化補助金は、中小企業の生産性向上を支援し、日本の製造業の競争力を高めるために設けられた制度です。
これは、人手不足に悩む中小企業が、生産効率を上げるための設備投資を行う際に、その費用の一部(補助率1/2)を国が補助する仕組みです。
この補助金を運営するのは、中小企業基盤整備機構という経済産業省の所管機関です。同機構は、中小企業や小規模事業者への融資や助言を行い、中小企業の活性化を目的として活動しています。
省力化補助金の概要はこちら!
省力化補助金の大きな特徴は、補助対象となる製品があらかじめカタログで明示されている点です。
このカタログには、たとえば以下のような設備が掲載されています。
これらは、人手不足を補いながら業務効率を向上させるための機器として位置づけられています。
また、多くの補助金では「何が補助対象になるのか」について悩むケースが多いですが、省力化補助金の場合、対象経費が明確に定められているため、申請者にとって分かりやすい仕組みとなっています。
省力化補助金を活用したいと考えたら、まず公式ホームページを訪問し、補助対象製品のカタログを確認してみてください。必要な製品を見つけるところから、申請への第一歩が始まります。
力化補助金の対象経費は、以下の通りです。
ただし、補助対象となる経費をきちんと確認しておかないと、「予想よりも補助金額が少なかった」といった事態になりかねません。事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
以下の経費は補助対象外となるため注意が必要です。
設備導入に関連する経費の一部も対象外になる場合があります。具体的には以下のような費用が補助対象外です。
対象経費は「製品を導入するのに直接的に必要な費用」に限られる点を押さえておきましょう。
省力化補助金の申請要件は、大きく以下の3つに分けられます:
補助金の基本目標とは、この補助金を通じて達成すべき具体的な数値目標を指します。具体的には以下の2つが挙げられます。
労働生産性とは、「従業員1人あたりがどれだけの価値を生み出したか」を測る指標です。
公式ホームページでは具体的な計算方法が明示されていますが、重要なのは以下の点です。
労働生産性が向上した場合、その成果は従業員にも還元されなければなりません。
補助事業終了時に以下の要件を満たすと、補助上限額が1.5倍に引き上げられます。
このような従業員への還元(富の再分配)は、他の補助金制度でも重視されているポイントです。補助金申請自体の必須要件ではありませんが、賃上げ計画を含めることで、申請がより有利になる可能性があります。
事業計画やその後実際に行われた事業内容が当該補助金の目的に沿った適正なものである必要があります。
事業内容の要件として以下の6つがあります。
補助金の対象製品には、対象業種が指定されています。
事業者の事業内容がこの業種に合致している必要があります(例:飲食店なら飲食サービス業)。
新規事業は対象外のため、現在行っている事業が該当するか確認しましょう。出典:省力化補助金
カタログに記載された製品価格や導入経費を基に、補助対象経費を作成します。目安から大幅に外れる経費は補助金の対象外となります。 出典:省力化補助金
カタログに記載された業種や業務プロセス以外で製品を使用することは認められません。
たとえば、清掃ロボットを物の運搬に使うといった用途は補助金の趣旨に反します。
補助金を受ける場合、事業効果報告までの間に事業者都合で従業員を解雇してはいけません。
省力化で余った人手は、生産性向上に役立つ業務へ回し、事業の発展に活用しましょう。
製品価格および導入経費が500万円以上の場合、保険や共済への加入が必要です。
加入証明書を実績報告時に提出する必要があり、保険料は補助対象外です。500万円未満の場合でも、加入が推奨されています。
以下のような事業は補助対象外です。
補助金は事業の成長や雇用環境の改善を目的としており、単なる設備の更新ではなく、発展性のある目的が必要です。申請前に、自身の事業が条件を満たしているか確認しましょう。
省力化補助金に申請する事業者としての要件は以下5つです。
この補助金(中小企業省力化投資補助金)は、中小企業基本法に基づく中小企業が対象です。
個人事業主も申請できますが、現在は従業員がいない事業者は申請できません。ただし、将来的に申請可能になる予定です。
中小企業・小規模事業者の定義はこちら
当補助金の申請条件として、会社や事業所が人手不足であることが求められます。以下の基準のいずれかに該当する必要があります。
※4を選ぶ場合、追加の説明や手続きが必要になる可能性があります。
補助金申請を行う事業者は、補助金で定められた遵守事項に同意する必要があります。これには以下が含まれます。
これらの同意は、どの補助金にも共通する要件です。特に重要なのは「事業者が主体的に補助金申請を行う」こと。専門家のサポートを受けるのは有益ですが、最終的な責任は事業者にあります。補助事業計画の作成には自ら関わり、内容を十分理解しておくことが大切です。専門家はあくまで相談役であり、申請のすべてを丸投げすることはできません。
補助金申請はほとんどがオンライン化されています。そのためには「GビズIDプライム」のアカウントが必要です。代表者のマイナンバーがあれば即時作成が可能ですが、郵送の場合は時間がかかることも。補助金を検討し始めたら、早めのアカウント作成をおすすめします。
省力化補助金は、他の補助金や制度との重複がある場合、交付対象外となります。以下のケースが該当します。
これ以外にも、細かな重複禁止規定があります。要件に不安がある場合は、専門家に相談して確認を受けるのが確実です。また、補助金の要件は細かく変更されることがあるため、申請時に最新情報を確認することが重要です。出典:省力化補助金
こちらが申請の流れになりますが、「GビズIDでログイン後応募・交付申請を開始」と書かれています。
ログインをするためには、あらかじめアカウントがなければなりません。
GビズIDプライムアカウントを持っている事業者である、ということも必要な条件となります。
もちろん、今持っていない方はこれから作成すれば問題ありません。
GビズIDの公式サイトはこちら!
中小企業省力化投資補助金は、人手不足が深刻化する中で中小企業の成長を支援する重要なツールです。
しかし、補助金申請は販売事業者との共同申請であっても、準備には多くの労力が必要です。ここでは、要件判断を進める際に役立つ2つのポイントを解説します。
申請をスムーズに進めるために、専門家に相談するのが最も確実な方法です。
専門家の助言には費用がかかる場合がありますが、それは得られる補助金の額と比較すれば小さな負担といえます。
専門家の意見を聞くことのメリットは次の2つです。
メリット1:リスクを最小限に抑えられる
補助金は後払い方式のため、最初に自己資金や融資で設備を導入する必要があります。そのため、計画に見落としがあったり、補助事業期限に間に合わなかったりすると、補助金を受け取れず自己資金負担だけが残るリスクがあります。特に省力化補助金は、高額なロボットや産業用機械が対象になることが多いため、こうしたリスクは無視できません。
メリット2:実績報告の不備を回避できる
補助金交付を受けるためには、事業終了後に「計画通り実施した」ことを補助金事務局に報告する必要があります。報告内容に不備があると採択が取り消される可能性もあるため、専門家のサポートは重要です。
リスクを抑えつつ補助金を最大限に活用するために、専門家への相談を検討してみてください。
補助金は行政による投資であり、それぞれに明確な目的があります。省力化補助金の場合、その目的は以下のように定義されています。
補助金の趣旨に沿った申請内容でなければ、不採択や補助対象外と判断される可能性があります。たとえば、省力化補助金の公募要領では、補助対象外経費の項目に次のような記述があります。
本事業の目的・趣旨から適切でないと中小企業庁及び中小機構並びに事務局が判断するもの
引用:省力化補助金公募要領
目的を理解し、それに基づいて逆算的に計画を立てることは、どの補助金でも重要な考え方です。特に省力化補助金では、人手不足解消や生産性向上に直結する計画を明確に示すことが採択のカギとなります。
従来、省力化補助金はカタログ注文型のみの提供でしたが、2025年度からは新たに一般型が追加されます。
この変更により、より多様なニーズに対応できる補助金となります。
カタログ注文型
従来の方式で、カタログから製品を選び申請する形式です。
申請内容が明確で簡単という利点がありますが、選べる製品が限られているため、「必要な製品がカタログにない」という問題がありました。
一般型
新たに導入される形式で、カタログ以外から現場に必要な設備を自由に選び導入できるようになります。
この柔軟性により、多様な事業者が利用しやすくなります。
これにより、省力化補助金はより幅広い事業者が活用できる補助金へと進化します。
一般型では申請者が検討すべき事項が増えるため、専門家のサポートを受けながら計画的に進めることをおすすめします。出典:中小企業庁
省力化補助金はこれまで、カタログから製品を選び、販売事業者と共に申請する仕組みで、比較的申請しやすい補助金でした。
しかし、「欲しい製品がカタログにない」という理由で利用を断念するケースも少なくありませんでした。
来年度からは、利用できる範囲が広がり、より柔軟に活用できる補助金へと変わります。
ただし、その分申請者が考慮すべき事項も増えるため、専門家のサポートを受けて挑戦することをおすすめします。
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