省力化補助金の申請要件を分かりやすく解説!
省力化補助金の申請要件を分かりやすく解説します。省力化補助金では、カタログ注文型と一般型で申請要件が異なります。その違いや補助率、労働生産性・賃上げ目標もわかりやすく紹介します。

この記事を監修した専門家

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
省力化補助金とは?
「省力化補助金(正式名称:中小企業省力化投資補助事業)」は、人手不足に悩む中小企業・小規模事業者の業務効率化を支援するための補助金制度です。
この制度を利用することで、ロボットや自動化機器などの省力化製品を導入する際の費用の一部が補助されます。
省力化補助金の概要はこちら!
制度の目的と背景
省力化補助金は、「深刻な人手不足の解消」と「中小企業の生産性向上」を目的とした支援制度です。
人手に頼っていた作業を、ロボットやシステムで自動化することで、事業の持続性と成長力を高める狙いがあります。
2024年度に新設された比較的新しい補助金で、国(経済産業省)が主導し、中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営を行っています。
補助対象者の条件(法人・個人事業主もOK)
補助の対象となるのは、中小企業・小規模事業者です。
法人だけでなく、個人事業主も対象になります。
業種や従業員数により中小企業の定義が異なるため、詳細は中小企業基本法の基準に従いますが、おおむね以下のような事業者が対象となります。
対象例
- 個人事業主(要件を満たせば、従業員ゼロでも申請可能)
- 製造業・建設業など:資本金3億円以下、または常時使用する従業員300人以下
- 小売業・飲食業など:資本金5,000万円以下、または常時使用する従業員50人以下
省力化補助金は個人事業主も使える!申請条件は?
補助率・補助上限額の目安
省力化補助金には、「カタログ注文型」と「一般型」の2つの申請タイプがあり、補助率や補助上限額に違いがあります。
カタログ注文型の補助上限額・補助率
補助対象 | 補助上限額 | 補助率 |
補助対象として カタログに登録された 製品等 | 従業員数5名以下 | 200万円(300万円) | 1/2 |
従業員数6〜20名 | 500万円(750万円) |
従業員数21名以上 | 1,000万円(1,500万円) |
※賃上げ要件を満たすことで補助上限額が最大2倍に引き上げられます。
一般型の補助上限額・補助率
補助対象 | 補助上限額 | 補助率 |
個別現場の設備や 事業内容に合わせた 設備導入・ システム構築 | 従業員数5人以下 | 750万円(1,000万円) | 最大2/3 ※条件によって変動 |
従業員数6〜20人 | 1,500万円(2,000万円) |
従業員数21~50人 | 3,000万円(4,000万円) |
従業員数51~100人 | 5,000万円(6,500万円) |
従業員数101人以上 | 8,000万円(1億円) |
※一般型は、従業員数に関係なく一律で上限額1,000万円となります。
※カタログに掲載されていない設備でも申請可能で、自由度が高い分、要件や審査基準はやや厳格です。
このように、補助上限額は従業員規模や賃上げの取り組みによって変動します。
省力化補助金の補助率について詳しくチェックする!
省力化補助金の補助上限額を解説!
省力化補助金の申請要件(カタログ注文型)
省力化補助金(カタログ注文型)を申請するには、次の2つの目標を含んだ事業計画を立てる必要があります。
- 従業員の賃金を一定以上引き上げる計画を立てること(賃上げ目標)
- 業務効率を上げて、生産性を年平均3.0%以上アップさせること(労働生産性の向上)
この2つは補助金をもらうための必須条件です。れぞれの内容と注意点を、わかりやすく解説します。
申請要件1:賃上げ目標
1つ目の要件は「賃金アップに取り組むこと」です。
これは、補助金を活用して会社の生産性を上げたぶん、従業員にもちゃんと還元しましょうという考えに基づいています。
次の2つを両方とも達成する事業計画を提出し、かつ申請時に従業員にきちんと伝えていると、補助金の上限額が引き上げられる特典があります。
- 事業場内の最低賃金を45円以上アップ:たとえば、今が時給950円なら、995円以上に
- 給与総額を6%以上アップ:会社全体で支払っている給与の合計額を6%以上増やす
この目標は提出するだけで終わりではありません。補助事業が終わった後に、計画どおり達成できているかどうかを確認されます。
達成できなかった場合、補助金の一部を返還しなければならないこともあります。
申請要件2:労働生産性の向上
もうひとつの申請要件は、「仕事の効率を上げて、売上や利益を増やすこと」です。
補助金をもらって設備を導入する以上、それによって実際にどれだけ成果が出るかが重視されます。
事例:
- 現在の状況:3人のスタッフが手作業で在庫管理をしていて、時間がかかっている
- 導入する機器:AIによる在庫管理システム(カタログ掲載製品)
- 想定される効果:在庫チェックにかかる時間が半分に → 別の業務に時間を割ける → 売上増
こうした「人手不足を補いながら、効率よく稼げるようにする計画」を立てる必要があります。
【労働生産性とは?】
ややこしく聞こえますが、シンプルに言えば「1人あたりがどれだけ稼いでいるか」のことです。
労働生産性 =(営業利益 + 人件費 + 減価償却費)÷ 従業員数
この数字を、3年かけて年平均3.0%以上アップさせるようにしてください、というのがこの要件です。
「労働生産性の向上」と「賃上げの目標」は、カタログ型の省力化補助金を受けるために欠かせない2本柱です。
初めて補助金を活用する方にとってはややハードルが高く感じるかもしれませんが、業務の効率化+従業員への還元をセットで支援する制度だと捉えると理解しやすくなります。
省力化補助金カタログ型の活用ガイド
省力化補助金の申請要件(一般型)
省力化補助金の一般型では、カタログ型よりも柔軟に申請できますが、そのぶん求められる条件がやや厳しくなります。
申請にあたっては、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 基本要件:生産性・賃上げに関する数値目標など
- その他要件:省力化の効果や投資計画などの内容面の審査ポイント
ここでは、はじめて補助金を申請する方でも分かるように、それぞれの内容を詳しく解説します。
基本要件について
一般型では、以下の4つの数値目標を満たすことが求められます。
これは、「補助金で事業を伸ばし、そこで得た成果を従業員にもきちんと還元している企業を支援したい」という国の方針に基づいています。
- 給与支給総額の増加
- 労働生産性を毎年4.0%以上アップさせる
- 最低賃金を地域の最低賃金+30円以上にする
- 般事業主行動計画の策定(従業員が21名以上の場合)
申請要件1:給与支給総額の増加(次のどちらかを満たす)
パターンA:都道府県の最低賃金の平均伸び率以上の給与アップ
パターンB:年平均+2.0%以上の給与総額アップ
例:昨年の全社員の給与総額が1,000万円 → 3年間で約6.1%以上の増加(=30万円以上)を目指す計画が必要。
※この②が未達の場合、補助金の一部返還が必要になることがあります。
申請要件2:労働生産性を毎年4.0%以上アップさせる
補助事業を通じて、1人あたりの稼ぎを毎年平均4%ずつ増やす計画が必要です。
例:手作業で検品していた作業を自動化することで、同じ人数で処理できる注文数が増え、売上も増加。こうした「人手不足解消と売上増加の両立」を目指します。
申請要件3:最低賃金を地域の最低賃金+30円以上にする
例:地域の最低賃金が950円なら、980円以上の社内最低賃金に設定する必要があります。
これができなかった場合も、補助金の返還対象になることがあります。
申請要件4:一般事業主行動計画の策定(従業員が21名以上の場合)
これは、次世代育成(育休・子育て支援など)を含む「働きやすい職場づくり」の計画を公表するというものです。
※21名未満の場合は不要です。
その他要件
基本要件に加えて、以下4点の要件があります。ここでは、「内容の妥当性・実現可能性」も評価されます。
- 投資回収の見込みを立てる
- 人手不足の解消につながること
- 設備導入によって付加価値が増加すること
- 業務量がどれだけ削減できるかを明確にする
申請要件1:投資回収の見込みを立てる
補助金を使って購入する設備が、何年で元が取れるか(回収年数)を示す必要があります。
例:600万円のロボットを導入し、毎年200万円の人件費削減が見込まれる → 投資回収年数は約3年。
申請要件2:人手不足の解消につながること
オーダーメイド機器の導入などにより、求人が難しい作業を自動化・効率化する取り組みであることが評価されます。
本来は一般型ではカタログに載っていない設備を自由に選べますが、カタログ掲載製品でも、一般型として申請することが可能です。その場合は、審査の際に評価されることもあります。
申請要件3:設備導入によって付加価値が増加すること
設備投資によって、利益や人件費などを含めた「会社の価値」全体が増える見込みであることが必要です。
申請要件4:業務量がどれだけ削減できるかを明確にする
機械導入によってどの作業をどれだけ短縮できるかを、数値で示すことが求められます。
例:これまで月40時間かかっていた手作業が、ロボット導入で20時間に半減する予定 など。
一般型は、カタログ注文型と比べて申請の自由度が高く、自社に最適な設備を導入できるメリットがあります。ただしその分、数値目標や計画の信頼性が厳しく審査されるため、しっかりと準備して申請することが大切です。
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監修者からのワンポイントアドバイス
省力化補助金は一般型が今年より開始され、申請者の自由度が高くなりました。その一方で賃金引上げが求められ、未達の場合には補助金の一部を返還しないといけなくなっています。しっかりと賃上げ計画を立てて魅力度の高い本補助金の活用を検討すると良いでしょう。