事業承継・M&A補助金とは?
事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金)とは、中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、事業承継に際しての設備投資や、M&AやPMIの専門家活用費用等を支援する補助金です。
以下4つの申請枠で実施されます。
- 事業承継促進枠
- 専門家活用枠
- PMI推進枠
- 廃業・再チャレンジ枠
本補助金は、2024年度は1月、3月、7月の3回の公募がありました。
2025年度も同様のペースであれば、2~4回の公募が予想されます。
事業承継引継ぎ補助金は2025年、事業承継・M&A補助金に名称を変更しても引き続き実施されます! 本コラムでは事業承継・M&A補助金の概要や、申請フロー、初回公募にスムーズに申請するための準備や申請フローなども分かりやすく解説します!
カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金)とは、中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、事業承継に際しての設備投資や、M&AやPMIの専門家活用費用等を支援する補助金です。
以下4つの申請枠で実施されます。
本補助金は、2024年度は1月、3月、7月の3回の公募がありました。
2025年度も同様のペースであれば、2~4回の公募が予想されます。
2024年度の要件を参考にして、2025年度の対象者の要件を解説します。
本補助金の対象者は、以下の①~⑩の要件と「経営資源引継ぎの要件」を満たし、最終契約書の契約当事者となる中小企業者等です。
ただし、売り手支援型(Ⅱ型)の株式譲渡については、
も対象となります。
支配株主とは、1者で対象会社の議決権の過半数を有する者のことを指し、株主代表とは、対象会社の議決権の過半数を有する株主の代表者(1者)のことを指します。
対象となるには、以下の10の要件を満たす必要があります。
補助対象となる中小企業者等は、中小企業基本法第2条に基づき、以下の基準を満たす必要があります。
業種分類 | 資本金の額 / 出資の総額 | 常勤従業員数 |
製造業・その他(※1) | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業(※2) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
(※1)ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金3億円以下または従業員900人以下
(※2)ソフトウェア業・情報処理サービス業は、資本金3億円以下または従業員300人以下/旅館業は、資本金5,000万円以下または従業員200人以下
申請対象外の法人形態
以下の法人形態は対象外です。
事業承継・M&A補助金は個人事業主も活用できる!
法人形態が対象であっても、その他の要件を満たさない場合は申請できません。詳しくは公募要領を確認してください。
事業承継・M&A補助金は、中小企業・小規模事業者等が事業承継やM&Aを行う際に必要となる各種費用を支援する制度です。具体的には、以下の4つの支援枠が設けられています。
対象: 5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している事業者。
補助内容: 事業承継に伴う設備投資等の費用を支援。
補助上限額: 800万円(一定の賃上げを実施する場合は1,000万円に引き上げ)。
補助率: 中小企業は1/2、小規模事業者は2/3。
対象経費: 設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費など。
対象: 補助事業期間中に経営資源を譲り渡す、または譲り受ける事業者。
補助内容: M&A実施時の専門家活用に係る費用(フィナンシャル・アドバイザー(FA)や仲介業者の費用、デューデリジェンス費用、表明保証保険料など)を支援。
補助上限額:
買い手支援類型: 600~800万円(DD費用を申請する場合は800万円)、100億円企業要件を満たす場合は2,000万円。
売り手支援類型: 600~800万円(DD費用を申請する場合は800万円)。
補助率:
買い手支援類型: 1/3~2/3(100億円企業要件を満たす場合、1,000万円以下の部分は1/2、1,000万円超の部分は1/3)。
売り手支援類型: 1/2(赤字、もしくは営業利益率が一定程度低下している場合は2/3)。
対象経費: 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料など。
対象: M&A後の経営統合(PMI)を進める事業者。
補助内容: PMIに係る専門家費用や設備投資などを支援。
補助上限額:
PMI専門家活用類型: 150万円。
事業統合投資類型: 最大1,000万円(一部条件で増額)。
補助率: 中小企業は1/2、小規模事業者は2/3。
対象経費: 設備費、外注費、委託費など。
対象: 事業承継やM&Aを検討する中で廃業を行う事業者。
補助内容: 廃業に伴うコストを支援。他の支援枠と併用可能。
補助上限額: 150万円(他枠併用時は加算)。
補助率: 1/2または2/3(併用時は他枠に準拠)。
対象経費: 廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リース解約費、移転費用(併用時のみ)。
5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している事業者を対象としています。
対象となる事業者は、事業承継を円滑に進めるための設備投資や関連費用について補助を受けられます。
要件 | 補助上限 | 補助率 | 対象経費 |
5年以内に親族内承継または従業員承継を予定 している者 | 800~1,000万円 | 1/2・2/3 | 設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、 外注費、委託費など |
M&A後の経営統合(PMI)を進めるための費用を補助する支援枠です。
※FA・仲介費用については、「M&A支援機関登録制度」に登録されたFA・仲介業者による支援に係る費用のみ補助対象です。
要件 | 補助上限 | 補助率 | 対象経費 | |
買い手支援類型 | 補助事業期間に経営資 源を譲り渡す、または譲り 受ける者 | 600~800万円、2,000万円 | 1/3・1/2、2/3 | 謝金、旅費、外注費、委 託費、システム利用料、 保険料など |
売り手支援類型 | 600~800万円 | 1/2・2/3 |
M&A後の経営統合(PMI)に係る費用(専門家費用、設備投資等)を補助します。
以下2つの類型があります。
要件 | 補助上限 | 補助率 | 対象経費 | |
PMI専門家活用類 | M&Aに伴い経営資源を譲り受ける予定の中小企業等に係るPMIの取り組みを行う者 | 150万円 | 1/2 | 設備費、外注費、委託費など |
事業統合投資類型 | 800~1,000万円 | 1/2・2/3 |
事業承継やM&Aを検討する中で廃業を行う事業者を対象とした支援枠です。
他の支援枠と併用可能で、廃業に伴うコストを補助します。
要件 | 補助上限 | 補助率 | 対象経費 |
事業承継やM&Aの検 討・実施等に伴って廃 業等を行う者 | 150万円 | 1/2・2/3 | 廃業支援費、在庫廃 棄費、解体費、原状回 復費、リースの解約費、 移転・移設費用(併用 申請の場合のみ) |
2025年度の「事業承継・M&A補助金」は、前年(2024年度)と比較していくつかの変更点があります。特に注目すべき点は以下の通りです。
2025年度では、事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠・廃業・再チャレンジ枠といった支援枠の内容が再編成されました。特に、M&A後の経営統合(PMI)支援が強化され、対象経費が拡充されています。
2024年度と比べて、特定の支援枠における補助上限額や補助率が見直されています。特に、100億円企業要件を満たすケースや賃上げを行う場合の上限額が引き上げられています。
申請の手続き方法や必要書類が簡略化されている部分があります。特に、オンライン申請の普及や審査基準の見直しが行われています。
これまで対象外とされていた一部の事業者も、条件次第では対象となるように改訂されています。特に、中小企業の経営資源を譲り受ける際の条件が柔軟化されました。
事業承継・M&A補助金は2025年に実施予定ですが、2025年2月28日現在、公募開始時期は正式に発表されていません。
2025年2月10日に公表された「事業承継・M&A事業」の事務局公募要領によると、2025年3月3日を締切として、令和6年度補正予算に基づく事務局の公募が行われています。
事務局選定後、中小機構と協議を進め、公募要領が公表される予定です。
以下2つの理由から、2025年の第1回の公募開始は、2025年3月中旬から4月上旬となる可能性が高いです。
事業承継引継ぎ補助金の申請フローは以下の通りです。
ご自身に該当する事業が専門家活用枠に該当するかを確認します
事業承継引継ぎ補助金は、以下4つの申請枠に分かれています。
申請者は自社がどの枠に該当するかを確認し、公募要領やパンフレットなどを参照して制度を理解します。
交付申請に向けて、以下の4つの準備をします。
上記5点に加えて補助制度は複雑な上、多くの申請書類が必要となるため、専門家の支援を仰ぎながら、各種準備を進めるとスムーズです。
事業承継・引継ぎ補助金の交付申請は、国が運営するオンラインの補助金申請システムjGrants(ジェイグランツ)から行います。
jGrantsを利用するためには、「gBizIDプライム」というIDが必要になります。
ここでは適切な交付申請フォームを選んで申請することが重要です。 誤ったフォームで申請すると、不備とみなされ補助金を受け取れません。
事業承継・引継ぎ補助金(令和5年度補正予算)の採択率は以下の通りです。
事業区分 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
経営革新事業 | 313件 | 190件 | 60.7% |
専門家活用事業 | 498件 | 299件 | 60.0% |
廃業・再チャレンジ事業 | 28件(単独2件、併用26件) | 10件 | 35.7% |
※「経営革新事業」については、採択者一覧が公開されています。
採択率は事業区分ごとに異なり、経営革新事業・専門家活用事業は60%前後と比較的高い水準ですが、廃業・再チャレンジ事業は35.7%とやや低めです。
令和7年度の事業承継・引継ぎ補助金は、「事業承継促進枠」「専門家活用枠」「PMI推進枠」「廃業・再チャレンジ枠」に分かれると予想されます。それぞれの採択率について、過去の実績を踏まえた予測を行います。
昨年度の経営革新事業に相当する枠と考えられます。令和5年度の採択率は60.7%だったことから、令和7年度も55%〜65%の範囲に収まる可能性が高いでしょう。
特に、事業承継支援が強化される場合は、採択率がやや上昇する可能性もあります。
昨年度の専門家活用事業の採択率が60.0%だったため、同程度の水準となることが予測されます。
55%〜65%の範囲で推移すると考えられ、事業者のニーズに応じて若干の変動があるかもしれません。
M&Aの後継支援を目的とした枠として新設されると予想されます。
過去に類似の枠がないため正確な比較はできませんが、経営革新事業の採択率を参考にすると、50%〜60%の範囲になる可能性が高いでしょう。
PMIはM&Aの成功を左右する重要なプロセスであり、支援の必要性も高いため、比較的高めの採択率が期待できます。
令和5年度の廃業・再チャレンジ事業の採択率が35.7%だったため、30%〜40%の範囲に収まると考えられます。
この枠は事業承継促進よりも優先順位が低くなりやすいため、他の枠と比べて採択率が低めに設定される傾向が続くと考えられます。
これらの予測を踏まえると、令和7年度の補助金申請に向けて、採択率が高い枠を選ぶ戦略も重要になってくるでしょう。正式な公募情報が発表され次第、最新の採択率を確認することをおすすめします。
事業承継・M&A補助金に採択されるためには、ただ申請するだけでは不十分です。競争率の高い補助金であるため、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
採択されるためには、補助金の活用目的や具体的な事業計画を明確に示す必要があります。特に「事業承継後の成長戦略」や「M&A後の経営統合計画(PMI)」を具体的に記載しましょう。
審査では、補助金の目的に合致しているかが重視されます。特に「地域経済への貢献」や「賃上げを含めた成長戦略」など、公式に示されている採択基準を意識した申請書作成が重要です。
M&Aや事業承継に精通した専門家のアドバイスを受けることで、申請書の精度を高めることができます。また、専門家活用枠を利用することで、申請費用を補助してもらうことも可能です。
2025年度の変更点を把握し、それに対応した申請書を作成することが重要です。特に補助金額や補助率、対象経費の変更点を確認し、それに合わせた計画を立てましょう。
申請書類の不備や記載漏れは致命的です。提出前に再確認し、提出期限を守ることも大切です。
これらのコツを押さえて申請を行うことで、事業承継・M&A補助金に採択される可能性を高めることができます。
現時点では、2025年の公募の詳細な情報はまだ発表されていませんが、、2025年の第1回の公募開始は、2025年3月中旬から4月上旬になる可能性が高いです。
2025年の初回公募への申請を検討している方は、今から準備を始めてスムーズな申請を目指しましょう!
事業承継引継ぎ補助金は2025年、事業承継・M&A補助金に名称を変更しても引き続き実施されます。
過去の情報をもとに予想すると、全ての枠の初回公募は2025年3月~2025年4月になる可能性があります。
事業承継・M&A補助の申請を検討している方は、必要書類をそろえたり、専門家を探したりするなどの早めの準備が必要です。
事業承継・M&A補助金の公式サイトはこちら!
2025年度の補助金・助成金はこうなる!
2025年度のものづくり補助金
2025年度の事業再構築補助金
2025年度の小規模事業者持続化補助金
2025年度のIT導入補助金
事業承継・M&A補助金(旧:事業承継引継ぎ補助金)の全枠の平均採択率は約57%です(9次公募まで採択率)。
採択率は申請する枠によって異なりますが、過去には枠によっては40%を切る公募回もありました。
専門的なサポートを受けることが採択への近道です!
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