ものづくり補助金は上限4,000万円で2025年度も実施!20回公募のスケジュールは?
2025年度のものづくり補助金は上限4,000万円、収益納付なしで実施されます。本コラムでは2025年度のものづくり補助金の概要と前年度との変更点、さらには19次公募の採択率を予想しました!2025年度、ものづくり補助金の活用を検討中の方はぜひご覧ください!

この記事を監修した専門家

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
ものづくり補助金2025年度の主要な変更点
2025年度のものづくり補助金では、以下の3つの主要な変更点が発表されました。
- 補助率の引き上げ
- 補助上限額の見直し
- 収益納付の廃止
それぞれの変更点について詳しく解説します。
ものづくり補助金の概要はこちら!
1. 補助率の引き上げ
2025年版では、賃上げに取り組む事業者を対象に、補助率が従来の「1/2」から「2/3」に引き上げられました。
対象となる条件:地域別最低賃金より+50円以上の賃金で雇用している従業員が、全体の30%以上
この条件を満たすことで、同じ経費でも受け取れる補助金額が大幅にアップします。
2. 補助上限額の見直し
従業員の人数に応じて、補助金の上限額が変更されました。
さらに、上記の賃上げ要件を満たす場合には「賃上げ特例」としてさらに高い上限額が適用されます。
従業員数 | 通常上限額 | 賃上げ特例適用時 |
5人以下 | 750万円 | 850万円 |
6~20人 | 1,000万円 | 1,250万円 |
21~50人 | 1,500万円 | 2,500万円 |
51人以上 | 2,500万円 | 3,500万円 |
特に中堅規模の企業にとって、大きな後押しとなる改定です。
3. 収益納付の廃止
2025年の公募要領では、補助金活用後に収益が発生しても、国への返還義務(収益納付)がないことが明確に示されました。
収益納付とは?
これまで、補助金を活用して事業化し、収益が生じた場合、補助金交付額を上限にその収益の一部または全部を国庫に返納する義務がありました。
この仕組みは、補助金が適切に活用されることを目的として設けられていましたが、事業者の負担が大きいという声も多くありました。今回の変更により、補助金の使い勝手が向上し、より自由な事業展開が可能になります。
2025年度版「事業再構築補助金」の収益納付とは?
方針転換の背景
中小企業庁は、こうしたルールの見直しについて以下のように説明しています:
「中小企業の成長を加速させる観点から、財務当局と調整し、収益納付を求めないこととしました」
この変更により、補助金で得た収益をそのまま事業拡大に再投資できる環境が整いました。
まとめ:2025年は「攻めの補助金活用」がしやすくなる!
- 賃上げに取り組む企業は補助率がアップ
- 従業員数による補助上限額の拡大
- 収益納付の廃止で、利益を事業に還元しやすく
これらの変更は、「申請してもリスクがあるかも」とためらっていた企業にとっても大きな追い風です。
2025年は“制度を正しく理解して、最大限活用する”ことが、成長のカギとなるでしょう。
19回・20回公募ものづくり補助金のスケジュール
回 | 公募開始日 | 申請開始日 | 申請締切日 | 採択日 |
19回 | 2025年2月14日(金) | 2025年4月11日(金) | 2025年4月25日(金) | 2025年7月下旬 |
20回 | 2025年4月25日(金) | 2025年7月1日(火) | 2025年7月25日(金) | 2025年10月下旬 |
2025年度ものづくり補助金の公募スケジュール
過去の公募スケジュールから、2024年度最後の公募となる可能性がある19次公募と2025年度の公募スケジュールを予想しました。
年度 | 公募回 | 公募締切日 | 採択発表日 |
2024年度 | 19回 | 2025年4月25日 | 2025年7月下旬 |
2025年度 | 20回 | 2025年7月25日 | 2025年10月下旬 |
21回 | 2025年9月頃 | 2025年11月頃 |
22回 | 2025年12月頃 | 2026年2月頃 |
23回 | 2026年3月頃 | 2026年5月頃 |
2025年度のものづくり補助金の概要
ものづくり補助金は、「革新的なアイデア」や「効率化」を実現する設備やシステムへの投資をサポートする制度です。
基本要件
次の要件すべてを満たす「3~5年の事業計画書」を作成し、実行する必要があります。
- 付加価値額の成長
- 給与の成長
- 最低賃金の水準
- 従業員21人以上の事業者向け要件
1.付加価値額の成長
年間の付加価値額が平均で3%以上増加すること
「付加価値額」とは、簡単に言うと、会社が生み出した「新しい価値」のことです。
具体的には、売上から外部に支払った費用(材料費や外注費など)を引いたものを指します。
会社が生み出した「新しい価値」には、次のようなものが含まれます。
- 利益(会社が稼いだお金)
- 従業員の給料
- 会社が払う税金
つまり、付加価値額が大きいほど、会社は「利益を出し」、従業員に「たくさんの給料を払える」ということになります。
ものづくり補助金の個人事業主の採択事例や活用方法は?
2.給与の成長
1人あたりの給与の年平均成長率が次のどちらかを満たすこと
- 事業を行う都道府県の最低賃金の直近5年間の年平均成長率と同等以上
- または、給与支給総額が年平均で2%以上増加すること
3.最低賃金の水準
事業を行う都道府県の最低賃金より30円以上高い賃金を支払うこと。
4.従業員21人以上の事業者向け要件
次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を公表すること。
「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」とは、企業が従業員の子育てをサポートするための具体的な計画のことです。例えば、「男性従業員の育児休業取得率を30%以上にする」などの目標があります。
「最低賃金引上げ特例」の適用を受ける事業者は、1、2、4の要件のみで構いません。
参考:令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要
申請枠
ものづくり補助金の申請枠は、以下2枠です。
| 製品・サービス高付加価値化枠 | グローバル枠 |
要件 | 革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化 | 海外事業の実施による国内の生産性向上 |
活用事例 | 最新複合加工機を導入し、これまではできなかった精密加工が可能になり、より付加価値の高い新製品を開発 | 海外市場獲得のため、新たな製造機械を導入し新 製品の開発を行うとともに、海外展示会に出展 |
補助上限 | 750万円~2,500万円 | 3,000万円 |
補助率 | 中小企業1/2 小規模・再生2/3 | 中小企業1/2 小規模2/3 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、 クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 <グローバル枠のみ>海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費 |
その他 | 収益納付は求めません。 |
※大幅な賃上げに取り組む事業者には、補助上限額を100~1,000万円上乗せします。
また、最低賃金の引き上げに取り組む事業者には、補助率を2/3に引き上げます。
申請手続の流れ
1.補助金の対象になるか確認
まずは、「公募要領」というガイドを読んで、自分が対象かどうか、申請に必要な条件、使える経費、そして申請のスケジュールをチェックしましょう。
2.GビズIDを取得して申請を準備
補助金の申請には、「GビズID」というアカウントが必要です。これを使って電子申請を行います。
※GビズIDの取得には時間がかかることがあるので、早めの手続きをおすすめします!
3.補助金の交付が決定したら事業をスタート
交付候補者に選ばれた後、正式な交付申請と決定を経て、事業を開始します。
4.決められた期間内に事業を進め、報告書を提出
補助事業の期間内に設備投資などを完了し、「実績報告書」を提出します。
5.事業計画に基づいて進行し、定期的に状況を報告
3~5年の事業計画をもとに事業を進め、毎年「事業化状況報告」を提出します。
※事業の成果が計画に達しない場合、補助金を返還する必要があることもありますので注意しましょう。
対象経費
全枠・類型共通 | グローバル枠のみ |
機械装置・システム構築費(必須)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用料、原材料費 | 海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費も利用可能 |
採択率
ものづくり補助金の採択率は枠によって異なります。
18次までの全体の平均採択率は約50%です。
以下、採択率の推移になります。

19次公募ものづくり補助金の採択率を予想してみた!
第19次公募の採択率は30%台前半から40%台前半になると予想されます。
その理由は、以下3点から説明できます。
1.過去の採択率から見る傾向
過去の「ものづくり補助金」の採択率は次第に低下傾向にあります。特に直近3回の結果を見ると、
公募回 | 採択率 |
第16次 | 約49% |
第17次 | 約29%(事業再構築型のみ) |
第18次 | 約36% |
第18次では応募件数が大幅に増加したにもかかわらず、採択件数は限定的だったため、全体の採択率は大きく下がりました。
この流れを踏まえると、第19次でも同様の傾向が続くと見られます。
2.採択基準の厳格化と制度の複雑化
第19次からは、「付加価値額」や「給与支給総額」などの数値目標を事業者自身が設定し、それに対する達成可能性も審査対象となります。
これにより、以下のような影響が想定されます。
- 曖昧な事業計画では通りにくくなる
- 計画数値に根拠がないと減点される
- 審査の実質的ハードルが上がる
制度の複雑化により、しっかり準備していない事業者の脱落が増えると考えられます。
3.予算上の制約と申請数の増加予測
ものづくり補助金は令和5年度補正予算を活用して実施されますが、
- 補助金単価は高額(最大で2,000万円)
- 補助上限引き上げや支援対象の拡大
といった影響で、1件あたりの補助金額が増える=採択件数が抑えられる可能性があります。
また、制度変更による「駆け込み申請」も増えると予測されるため、申請者数に対して予算が追いつかず、採択率が低下する懸念があります。
2025年度、今後のものづくり補助金の採択率はどうなる?
今後の「ものづくり補助金」の採択率は、30%前後で推移しつつ、回によっては20%台に突入する可能性もあると予想されます。
今後の採択率が低下傾向になると考えられる理由は以下の通りです。
1.予算の制約と採択件数の抑制
令和5年度補正予算をもとに実施されている「ものづくり補助金」ですが、近年の補助額は
- 通常枠で最大1,250万円
- グリーン・グローバル枠などで最大2,000万円以上
と高額化が進んでいます。そのため、限られた予算内での採択件数は絞られる傾向にあり、結果として採択率は低くなりがちです。
2.申請件数の増加と“見直し申請”の増加
近年、以下のような影響で申請者が増加傾向にあります。
- コロナ特需が落ち着き、次の成長戦略を模索する中小企業が増えている
- 事業再構築補助金からの切り替え組が申請している
- 補助金支援業者の増加により、「とりあえず申請」も増えている
こうした背景により、競争倍率は今後も高止まりする可能性が高いです。
3.採択基準の厳格化と可視化
第19次公募からは、
- 付加価値額・給与総額の目標数値の設定
- 数値目標に対する達成可能性も審査対象
という新しい審査基準が加わりました。
今後も事業の実現性・数値根拠の妥当性が強く求められる方向に進むと見られ、しっかりとした計画がない事業者は通過しにくくなるでしょう。
結論として、採択率は30%前後で推移しつつ、今後は20%台に突入する可能性があります。
直近 | 今後 |
第18次:35.8% | 30%前後 ➤ 厳格化により20%台に落ち込む回もある可能性 |
採択されるには、「加点項目の確保」「明確な数値目標」「根拠ある収支計画」が不可欠です。
2025年、ものづくり補助金の採択に向けたポイント
ものづくり補助金は、毎回多くの応募がある人気の補助制度です。採択されるには、制度の目的に合致した戦略的な事業計画の作成が欠かせません。
ここでは、採択されやすい計画の特徴と、逆に不採択になりがちな理由を解説します。
採択されやすい事業計画とは?
採択されやすい事業計画書には、以下4つのポイントが含まれています。
- 今の課題と、それをどう解決するかがはっきりしている
- 無理のない計画で、ちゃんと実現できそうに見える
- 補助金を使うことで、どんな成果が出そうかが見える
- 社会にとって、どんな意味がある取り組みかも伝える
1. 今の課題と、それをどう解決するかがはっきりしている
まず大切なのは、「どんな悩みがあって、その解決のために何をしたいのか」が明確に書かれていることです。
- 例:「人手不足で生産が追いつかない」「手作業が多くミスが頻発している」など、今困っていることを具体的に書きましょう。
- その上で、「新しい機械を導入することで、作業時間を短縮できる」といった、導入する設備や仕組みがどう役立つのかをしっかり説明します。
読み手が「なるほど、それなら効果がありそうだ」と納得できるストーリーになっているかがカギです。
2. 無理のない計画で、ちゃんと実現できそうに見える
どんなに良いアイデアでも、「本当に実現できるのか?」と思われたら採択は難しくなります。
- たとえば「いつまでに何をするか」といったスケジュールが具体的かどうか。
- 事業を進めるための体制(人員・役割分担)は整っているか。
- 導入したあとも、きちんと使いこなして効果を出せる仕組みになっているか。
こうした「実現までの道筋」がしっかり描かれていると、信頼感が高まります。
3. 補助金を使うことで、どんな成果が出そうかが見える
「その投資で、どれくらい儲かるのか?」も大事なポイントです。
- 売上がどのくらい増えるのか、利益率がどう改善されるのか、数値を使って説明できると説得力が増します。
- そのうえで、「市場のニーズと合っている」「ライバルにはない強みがある」といった点も書けると、評価が上がりやすくなります。
4. 社会にとって、どんな意味がある取り組みかも伝える
最近では、単に儲かるだけでなく「社会にとって意義のある取り組みか?」という視点も重視されています。
- たとえば、「地域の雇用を守る」「CO₂排出を減らす」「デジタル化で働き方を改善する」といった国の政策とリンクするテーマは、加点対象になることも。
- 「誰の役に立つのか?」「社会にどう貢献できるのか?」を一言でもいいので添えておくと、審査員の印象に残りやすくなります。
ものづくり補助金の不採択理由と対策
ものづくり補助金は、事業成長の大きな後押しとなる制度ですが、申請内容によっては不採択となるケースも少なくありません。
不採択の多くは、制度への理解不足や基本的な確認漏れが原因です。
以下、よくある理由です。
- 補助対象外の経費を含めている
- 要件を満たしていない(形式面の不備)
- 事業内容の独自性が伝わっていない
- 数値根拠の不足により、説得力が乏しい
1. 補助対象外の経費を含めている
補助金の対象となる経費には明確なルールがあります。
たとえば、既に発注・購入済みの設備費や、汎用性の高い業務用PCなどは、補助対象外とされています。
申請時点では購入予定であっても、契約や納品のタイミングによって対象外とみなされるケースもあります。
【対策】
申請前に公募要領や経費区分のガイドラインをよく確認し、補助対象に該当するかを慎重に判断しましょう。
判断が難しい場合は、事務局や専門家への相談が有効です。
2. 要件を満たしていない(形式面の不備)
gBizIDプライムの取得漏れや、添付書類の不備、電子申請上の操作ミスなど、形式的な要件の未達成により、不採択や審査対象外となるケースがあります。
【対策】
申請マニュアルを一通り読み込み、必要な準備項目(gBizIDの取得、添付資料、電子申請システムの確認等)を早めに着手・完了しておくことが重要です。特に初めて申請する場合は、余裕を持ったスケジュール設計が求められます。
3. 事業内容の独自性が伝わっていない
「生産性向上」や「業務効率化」といった目的だけでは、他社との違いや自社ならではの価値が伝わらず、審査上不利になります。
審査員にとっては、「なぜこの事業者に補助すべきか」が明確に伝わる計画であるかどうかが評価の分かれ目となります。
【対策】
自社の技術力、地域性、業界内でのポジションなど、他社にはない独自の強みや背景を計画書内で具体的に記載しましょう。
4. 数値根拠の不足により、説得力が乏しい
売上や利益の見込みに対して、客観的な根拠が示されていない場合は、信頼性に欠ける計画として評価が下がる傾向にあります。
【対策】
自社の過去実績、市場動向、業界平均などをもとに、定量的な裏付けを示した予測を行いましょう。
簡単な収支計画でも、数字の出所を明記するだけで説得力が高まります。
ものづくり補助金の採択を目指すには、「なぜこの事業が必要か」「どう実現し、どのような成果を見込むか」を明確かつ具体的に伝えることが不可欠です。
不明点は放置せず、事前の情報収集や専門家との連携を通じて、制度に適合した計画書を作成することで、採択の可能性を大きく高めることができます。
ものづくり補助金には採択を左右する「加点・減点項目」がある!
ものづくり補助金では、事業計画の内容そのものだけでなく、「加点・減点項目」と呼ばれる評価基準も審査に大きく影響します。
はじめて申請する方にとっては聞き慣れない言葉かもしれませんが、これを知っているかどうかで、採択の可能性が大きく変わることもあるのです。
加点:申請者が国の重点政策や条件に合致している場合、「この事業者は優先的に支援したい」と評価され、審査でプラス評価(加点)が与えられます。
減点:反対に、制度上のルールに違反していたり、不適切な申請があった場合、審査でマイナス評価(減点)となり、場合によっては不採択になることもあります。
この加点・減点項目は、申請書の中でのアピールや注意点として非常に重要です。
とくに補助金申請が初めての方は、「内容が良ければ通る」と思いがちですが、こうした評価要素の存在を知らずに不利な状況に陥ってしまうケースも少なくありません。
加点対象となる項目
審査時に「加点」として評価される要素が複数設定されています。下記に該当する場合は、事業計画書に必ず明記し、必要な証明書類の添付も忘れずに行いましょう。
加点項目 | 内容 |
経営革新計画の承認 | 「経営革新等支援機関」による承認を受けた事業計画であること。都道府県による認定書の写しが必要です。 |
地域未来牽引企業 | 経済産業省が選定した「地域未来牽引企業」に該当する企業は加点対象となります。 |
再生事業者 | 再生支援協議会の支援を受けている、または一定の要件を満たす「再生計画」実行中の事業者は加点されます。 |
賃上げ目標の上乗せ | 通常の賃上げ要件よりもさらに高い成長率を設定することで、補助上限額の特例加算だけでなく加点評価にもつながります。 |
※加点を狙う場合、要件を満たすだけでなく、証拠書類の提出と計画書内での明記が必須です。
減点・不採択の可能性があるケース
一方で、制度のルールに反した申請や重複申請は、減点あるいは審査対象外(=不採択)となることがあります。特に以下のケースは注意が必要です。
減点・不採択の原因 | 内容 |
同一・類似内容で他の補助金と重複して申請 | IT導入補助金や省力化補助金など、中小企業庁所管の他制度と同一の経費を含む申請は不可。 (例:同一の機械導入を複数制度で補助申請) |
類似事業の再申請(流用) | 他社・他者の申請書の一部を流用したと疑われる場合、最大4回の申請不可ペナルティが科されることも。 |
同一法人で複数申請 | 親子会社・グループ会社を含め1法人につき1件まで。みなし同一法人にも注意が必要です。 |
虚偽記載・不誠実な申請 | 内容に不正がある、意図的に事実を隠した等の申請は、次回以降の申請が禁止される可能性があります。 |
採択を狙うなら
採択を目指すうえでは、加点項目の活用と同じくらい、「減点されない」ことも重要です。
特に他の補助金を同時に検討している場合は、経費内容の整理と申請戦略の立案が必須となります。
加点・減点の要素は見落としがちな落とし穴でもあります。
必要に応じて専門家の確認を受けながら、計画的な準備を進めましょう。
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ものづくり補助金は他の補助金と併用できる?
「他の補助金と同じ設備や費用で申請できるのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。
この記事では、ものづくり補助金と他の補助金との併用可否や注意点を、制度のルールに沿って解説します。
原則:補助対象経費の重複は不可
公募要領では、以下のように明確に記されています。
「中小企業庁が所管する他の補助金(IT導入補助金、事業再構築補助金、省力化補助金など)と同一の補助対象経費を含む事業は不可」
つまり、同じ内容・同じ経費で複数の補助金を申請することは認められていません。
申請内容が「類似している」「テーマが似ている」だけでも審査上マイナス評価や不採択となる可能性があります。
重複申請が認定された場合
- 審査中であっても不採択となる
- 採択後に発覚した場合は、交付決定の取消しや返還指示
- 悪質な場合は次回以降の公募申請が一定期間禁止される(最大4回分の申請不可)
※公募要領には、「同一・類似内容の事業を故意または重過失により提出した場合、次回以降の申請が制限される」と明記されています。
併用が可能なケース(重複がない場合)
「併用が完全に禁止されている」わけではなく、内容や経費が明確に分かれていれば、複数の補助金を利用することは可能です。
併用可能な事例:
ものづくり補助金で機械導入、IT導入補助金でクラウドツール導入(経費が明確に区分されている)
ものづくり補助金で工場設備更新、中小企業新事業進出促進事業で新規事業用の建屋改修(事業目的が異なる)
ただし、審査時に「内容が重複している」と判断されれば、不採択の可能性があるため要注意です。申請書上でも、経費の区分や目的の違いを明確に記述しましょう。
併用を検討する際のポイント
経費と目的の明確な切り分け:各補助金に対象となる設備・支出を整理しましょう。
スケジュール調整:申請〜交付までの時期が重なる場合は、実施期間にも注意が必要です。
申請書での説明:他補助金の活用状況や申請履歴は、正確に記載することが求められます。
制度をまたいだ補助金活用は、申請戦略によって大きな差が出る領域です。
誤って重複申請となるリスクを避けるためにも、事前に認定支援機関や補助金事務局に相談するのがおすすめです。
ものづくり補助金の活用事例
「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の具体的な活用事例を紹介します。
「製品・サービス高付加価値化枠」の活用事例
ある金属加工業の事例では、最新の複合加工機を導入することで、これまで対応できなかった微細かつ高精度な加工が可能となりました。
これにより、以下のような成果を実現しています。
活用前の課題
- 既存の加工機では対応できる精度に限界があり、一部の高精度部品は外注に依存していた。
- 外注コストが増加し、納期も長期化することで受注機会の損失が発生していた。
- 海外市場向けの製品は国際基準の精度を満たす必要があり、新規市場開拓の障壁となっていた。
活用後の変化
- より高精度な部品の内製化が可能となり、外注コストの削減と納期短縮を実現。
- 新規事業として高付加価値製品の開発に着手し、医療機器や精密機械部品など付加価値の高い市場へ参入。
- 国際基準に準拠した製品の開発が可能となり、海外展示会への出展を経て海外企業との取引拡大に成功。
このように、「製品・サービス高付加価値化枠」を活用することで、技術力の向上だけでなく、コスト削減、新市場開拓、企業競争力の向上といった多面的な効果が期待できます。特に高精度製品の開発を目指す企業にとって、大きなチャンスとなる制度です。
「グローバル枠」の活用事例
ある精密機械メーカーでは、海外市場の需要拡大を見据え、新たな製造機械を導入し、海外向けの新製品開発に取り組みました。
活用前の課題
- 海外市場向けの製品開発に対応できる設備が不足していた。
- 現地企業との競争力を強化するためのブランディングや販促活動の資金が不足していた。
- 海外展示会への出展経験が少なく、新規顧客開拓の機会が限られていた。
活用後の変化
- 最新の製造機械を導入し、海外規格に対応した高品質な新製品の開発が可能に。
- 海外市場向けのブランド戦略を強化し、現地企業との競争力を向上。
- 海外展示会に出展し、新規顧客獲得や販路拡大に成功。
このように、「グローバル枠」を活用することで、海外市場への展開を加速させるだけでなく、企業の競争力強化やブランド価値向上にも寄与します。特に海外進出を目指す中小企業にとって、大きなビジネスチャンスとなる制度です。
ものづくり補助金のよくある質問
Q. 同じ年度内に2回申請することはできますか?
同一年度内に複数回の申請はできません。
たとえば、2025年度の「第17次締切」と「第18次締切」の両方に申請することは認められていません。
仮に17次に申請した後、18次にも申請した場合、申請が無効になる、または採択や交付決定が取り消される可能性がありますのでご注意ください。
Q. ものづくり補助金の採択率はどのくらいですか?
採択率はおおよそ30〜40%、倍率で言えば2〜3倍程度です。
例えば、過去の実績では「第16次締切」の採択率が48.8%と、比較的高めでした。
2025年度も同程度の水準が予想されますが、応募数や予算状況によって変動する可能性があります。
なお、不採択になった場合でも、次回の締切(次ラウンド)に再チャレンジすることは可能です。
Q. 2025年は「第19次公募」のみで終わりですか?
2025年2月時点では、「第19次公募」のみが予定されています。
ただし、今後の予算や運営状況によっては、20次以降の募集が追加される可能性もあります。
もし19次の申請が間に合わない、または不採択になった場合は、20次以降の公募情報を随時チェックしましょう。
Q. 20次ものづくり補助金のスケジュール予想は?
2025年4月25日現在、20次公募の詳細なスケジュールは未発表です。
しかし、従来のスケジュールより以下のように予想ができます。
公募開始:2025年6月頃
申請締切:2025年8月頃
採択結果発表:2025年9月頃
Q2. 個人事業主もものづくり補助金を活用できますか?
はい、個人事業主も「ものづくり補助金」の対象となります。
ただし、以下の条件を満たす必要があります。
小規模事業者の定義:
- 製造業・その他業種・宿泊業・娯楽業:常勤従業員数20人以下
- 卸売業・小売業・サービス業:常勤従業員数5人以下
これらの条件を満たす個人事業主は、小規模事業者として補助金の対象となります。
参考:ものづくり補助金公式サイトのスケジュール
ものづくり補助金の公式サイト
2025年度、補助金・助成金を活用したい方はこちら!
「うちの会社でも使えるかな?」
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などあなたの補助金に関するお悩みやお困りごと、ぜひ私たちに詳しくお聞かせください!
もちろん、具体的な活用方法が決まっていない方も大歓迎です。
実は、「補助金は申請すれば受給できる」わけではありません。
厳しい審査をクリアする必要があります。
ものづくり補助金は申請者の半分が不採択という難関補助金です。
審査通過率を飛躍的に上げるには、申請サポート会社の力を借りるのが鉄則!
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監修者からのワンポイントアドバイス
ものづくり補助金の公募のスケジュールが公表されました。申請開始から締め切りまで2週間ほどしかありませんので申請をご希望される方は入念に準備を行って申請するようにしましょう。収益納付を求められなくなりましたので申請もしやすくなっています。