【個人事業主必見!】ものづくり補助金の採択事例や条件を解説!

ものづくり補助金の対象には個人事業主も含まれます。 その条件や実際の採択事例、必要書類など、くわしく解説しています!
中本 明日香

公開日:

更新日:

ものづくり補助金 個人事業主の活用方法

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

個人事業主もものづくり補助金を活用できます

ものづくり補助金は、個人事業主でも活用できる補助金です。
この補助金は、事業の効率化や新製品開発を目指して設備導入や技術投資を行う際に活用できる制度です。

この補助金を活用することで、業務の自動化や生産性向上を実現し、事業課題を解決した多くの成功事例があります。

たとえば、個人事業主がものづくり補助金を活用して以下のような成果を得ることが期待できます。

  • 業務の自動化により、作業効率を飛躍的に向上
  • 製造工程の改善による品質向上や納期短縮
  • 受注拡大につながる生産能力の強化
  • 新たな収益源となる商品の開発や市場開拓

本コラムでは、ものづくり補助金を個人事業主が活用する場合の条件や実際の採択事例、必要書類など気になることを徹底解説します!

このコラムでわかること
ものづくり補助金の…
・基本的な概要
・個人事業主の条件
・個人事業主の採択事例と製菓
・個人事業主の必要書類

個人事業主が使える補助金を知りたい!という方は以下のコラムもあわせてご覧ください!

【2024年補助金】個人事業主が知っておくべき補助金まとめ

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金は、正式には“ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金”と呼ばれる補助金です。

事業者が新しい商品やサービス、生産方式などの開発をするためには、新しい機器や設備を導入する必要となってきますが、当然高額な費用が必要となります。
そこで事業者が行う取り組みに対しての経費を最大1億円まで補助してもらえます。

もちろん、個人事業主も対象となります。

これによって新しい機器や設備を導入したり、技術の向上に役立てることで、製造工程の改善による受注拡大や新たな収益源を生み出すなどの成果が期待できます。
これからの事業をもっと発展させたい!と思っている事業主に、おすすめの補助金です!

こんな個人事業主におすすめ!
  • 新しい製品やサービスの開発、生産プロセスの改善を目指している方
  • 製造業やものづくりに関わる方
  • 生産性の向上や競争力強化に繋げたい方

業種別の活用例

  • 製造業: 新製品の開発、生産設備の導入、品質管理システムの構築
  • 工芸品制作: 新素材の導入、デザインの改良、販売チャネルの多様化
  • ソフトウェア開発: 新規ソフトウェアの開発、既存ソフトウェアの機能拡張

補助額・補助率(令和6年度公募)

補助額補助率
省力化枠750万円~8,000万円(1,000万円~1億円)中小:1/2、小規模・再生:2/3
※1500万円までは1/2、1,500万円を超える場合は1/3
部品・サービス高付加価値化枠■通常類型
750万円~1,250万円(850万円~2,250万円)
中小:1/2、小規模・再生:2/3
※新型コロナ回復加速化特例2/3
■成長分野進出類型
1,000万円~2,500万円(1,100万円~3,500万円)
2/3
グローバル枠3,000万円(4,000万円)中小1/2、小規模2/3


補助対象経費 

カテゴリー具体例説明
設備投資機械装置・システム構築費新しい機械やソフトウェアを導入する費用
運搬費機械や資材を運ぶ費用
技術導入技術導入費新しい技術を導入するための費用(専門家のアドバイス費用など)
知的財産権等関連経費特許取得費用など
外注外注費外部の業者に仕事を依頼する費用
人材専門家経費専門家へのコンサルティング費用など
その他クラウドサービス利用費クラウドサービスを利用するための費用
原材料費製品を作るための材料費



ものづくり補助金2024について詳細は以下のコラムをご覧ください。変更点や補助額などもくわしく解説しています!

👉ものづくり補助金2024とは?専門家が解説してみた!


ものづくり補助金の対象者は?

ものづくり補助金は、個人事業主も対象です

対象者は、中小企業者(組合関連以外)、中小企業者(組合関連)、小規模企業者、小規模事業者、特定事業者の一部、社会福祉法人などですが、「中小企業者」や「小規模企業者・小規模事業者」の定義に個人事業主も含まれており、以下のように公募要領にも明記されています。

公募要領出典:「ものづくり補助金 18次公募要領
公募要領②出典:「ものづくり補助金 18次公募要領

ものづくり補助金「個人事業主の条件」

個人事業主がものづくり補助金の対象となるためには、まずは以下の要件を満たす必要があります。

この要件は、簡単に言うと、給与支給総額の増加、最低賃金を引き上げ、付加価値を高めるための計画を策定することです。

①給与支給総額の増加
・全従業員と役員に支払った給与総額の増加を目指す。
・通常の中小企業は年平均成長率1.5%以上を目指し、被用者保険の適用拡大を考慮する場合は1%以上を目指す。
・年平均成長率(CAGR)で算出。
②最低賃金の引き上げ
・事業場内最低賃金を、毎年地域別最低賃金+30円以上に引き上げる。
③付加価値額の増加
・営業利益、人件費、減価償却費を合算した付加価値額の増加を目指す。
・事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上を目指す。
④申請時点での賃金引上げ計画の策定
・申請時に要件を満たす賃金引上げ計画を策定していることが必要。
・補助金交付後に計画を策定していない場合は返還を求められる。
⑤返還の上限と再生事業者への特免
・返還額の合計は補助金交付額を上限とする。
・再生事業者である場合、目標未達でも返還は免除される。

この要件を満たす3~5年の事業計画を策定することが求められます。

一人社長や従業員がいない場合「給与支給総額」の増加はどうする?

個人事業主で一人社長や、従業員がいない場合、役員報酬を増加させることで、この要件を満たすことができます。

給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与および役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)をいいます。
参考:ものづくり補助金18次公募要領の基本要件に記載


ものづくり補助金の「個人事業主の採択事例」

ものづくり補助金の公式サイトで公開されている事例の中から、「個人事業主」の事例をピックアップしました。
実際以下のような事業計画で個人事業主の方が採択され、事業課題の解決、事業計画の成果を出されています。

業種:繊維工業(個人事業主)
裁断 イラスト繊維工業の個人事業主が、ものづくり補助金を活用し、裁断作業の自動化と生産プロセスの効率化を図りました。
作業での裁断による負担や作業時間の増加が課題でしたが、補助金を使ってCAD/CAMシステムを導入し、作業効率が大幅に向上しています。
■申請前の課題
業での裁断による負担や作業時間の増加が課題でした。また、多品種・小ロットの受注に対する作業効率の低下や納期の遅延、受注キャパシティーの制約も問題とされていました。
■導入したもの
・CAD/CAMシステムの導入
・自動裁断機の導入
■成果
裁断作業の自動化が実現し、作業効率が大幅に向上。その結果、製品の品質が向上し、納期も短縮されました。
取引先からの信頼も高まり、縫製の生産能力も向上し、これらの効果は地域経済への貢献と地域の活性化にもつながっています。


業種:製菓業(個人事業主)
果実酒製菓業の個人事業主がものづくり補助金を活用し、リキュールの量産体制を整え、収益拡大と拡販を目指しました。新しい装置の導入により、製造工程の効率化や品質向上が実現し、生産能力が飛躍的に向上しました。
■申請前の課題
製菓業としての長い歴史や多様な製品ラインにもかかわらず、リキュールの生産体制においていくつかの課題が存在していました。具体的には、果実を原料にしたオリジナルリキュールの製造において、製造工程の手間や効率性に関する課題がありました。また、製造過程での残留物の処理や再利用の方法に関する課題もありました。
■導入したもの
・洗浄ゴミ取り機一式
・プレハブ冷凍庫一式
・減圧(常圧兼用)蒸留装置一式
■成果
導入された設備の効果により、リキュールの生産体制に大きな変化がありました。
生産効率と品質が向上し、リキュールの生産量が大幅に増加。さらに、製造工程の自動化と改善により、作業時間が短縮され、効率が向上しています。
安全性も高まり、品質の一貫性が確保され、果実の活用により、アロマオイルの商品化が可能となり、新たな収益源の創出が期待されます。

参考:ものづくり補助金公式サイト「成果事例のご紹介」より

ものづくり補助金の個人事業主の必要書類

ものづくり補助金の申請時に、事業計画書の他多くの書類の提出が求められます。
以下は、個人事業主の場合の必要書類です。オレンジ部分が法人の場合とは異なる個人事業主の提出書類です。

申請時に必要な添付書類
(1)事業計画書
(2)補助経費に関する誓約書
(3)賃金引上げ計画の誓約書
(4)決算書等
個人事業主の場合: 確定申告書等
設立後間もないこと等により決算書等の提出ができない事業者の場合:設立事業計画書等
(5)従業員数の確認資料
個人事業主の場合:所得税青色申告決算書または所得税白色申告収支内訳書の写し)
(6)労働者名簿
(7)応募申請時において再生事業者であることを証明する書類
※再生事業者のみ
(8)大幅な賃上げ計画書
(9)金融機関による確認書
※金融機関より資金調達を行う事業者のみ
(10)海外事業の準備状況を示す書類
※海外事業を行う場合のみ
① 海外への直接投資に関する事業 海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料
② 海外市場開拓(輸出)に関する事業 事前のマーケティング調査に基づく、想定顧客が具体的に分かる海外 市場調査報告書(製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客である ことが分かる資料)
③ インバウンド対応に関する事業 想定顧客が具体的に分かるインバウンド市場調査報告書(製品・サー ビス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人であることが分かる資料)
④ 海外企業と共同で行う事業 共同研究契約書または業務提携契約書(検討中の案を含む)
※ 提出資料は日本語で作成されたもの、もしくは日本語訳を必ずつける。


任意の書類
(11)審査における加点を希望する場合に必要な追加書類
・成長性加点:経営革新計画承認書 (当該計画の写しを含む)
・政策加点 :個人事業主の場合、開業届
・サイバーセキュリティお助け隊の契約書・利用申込書の写し等の写し
・災害等加点:(連携)事業継続力強化計画認定書(当該計画の写しを含む)
・賃上げ加点: 特定適用事業所該当通知書(被用者保険の適用拡大の場合)

ものづくり補助金の最新スケジュール

ものづくり補助金について、現在の補正予算を基にした公募は18次公募で終了しています。

2024年11月22日に次の補正予算案が閣議決定され内閣府の資料が公開されています。

その資料の中に、閣議決定:「事業者それぞれの業務に応じたオーダーメイド型の省力化投資を支援する。」との記述があり、ものづくり補助金は令和7年度も継続されるのではないかと予想ができます。
具体的な予想やその他の補助金については以下のコラムをご覧ください!

2025年度の補助金・助成金はこうなる!補助金専門サイトが閣議決定から予想してみた!


今後の次回以降の公募については公式の発表をお待ちください。

まとめ

ものづくり補助金は、個人事業主にとっても貴重な資金調達の手段です。

補助金を活用し、製造プロセスの改善や新たな商品開発に取り組むことで、事業の成長と地域経済の活性化に貢献することが期待されます。
是非、この機会に補助金の活用を検討してみてください。

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