IT導入補助金は個人事業主やフリーランスも活用できる?
飲食店や小売店を営む個人事業主がIT導入補助金2025を活用すれば、ITツール導入時に国から経済的支援を受けられます。ただし、申請条件や種類、必要書類について疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、個人事業主が利用できるIT導入補助金2025の種類、申請方法、必要書類を解説します。補助額や補助率を把握し、ITツール導入の資金計画を早めに立てましょう。申請方法に迷う方はぜひ参考にしてください。

この記事を監修した専門家

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
IT導入補助金とは?個人事業主も活用できる?
IT導入補助金は、個人事業主やフリーランスの方でも申請可能です。
補助対象となる個人事業主の要件
IT導入補助金は、一定の条件を満たせば個人事業主でも申請可能です。以下2点の要件を満たしていれば、補助対象となる可能性があります。
業種と従業員数の要件
以下のいずれかの業種と従業員数の条件を満たせば、IT導入補助金の対象になります。
業種分類 | 対象となる個人事業主の条件 |
小売業 | 常時使用する従業員が5人以下 |
サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 常時使用する従業員が5人以下 |
製造業・建設業・宿泊業・娯楽業など | 常時使用する従業員が20人以下 |
※「常時使用する従業員」とは、正社員など解雇の予告が必要な雇用者を指します(アルバイト・役員は含まれません)
対象となるための主な要件
・開業届を提出している(=正式な個人事業主である)
・確定申告(青色・白色いずれも可)を行っている
・事業活動による継続的な収益がある(売上がゼロではない)
・導入するITツールが販路開拓や業務改善に寄与するもの
副業でも開業届を出し、確定申告をしていれば対象となるケースが多いため、「自分も該当するかも」と感じたら確認してみましょう。
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IT導入補助金2025の申請のコツを分かりやすく解説します!
個人事業主がIT導入補助金で提出する書類
以下は、申請に必要な基本的な書類です。提出書類に不備があると審査対象外になる可能性もあるため、事前の準備が非常に重要です。
個人事業主が提出すべき書類一覧
書類名 | 内容 | 備考 |
開業届控え | 事業を開始した証明 | 税務署に提出済みであること |
確定申告書B | 所得の証明 | 青色・白色どちらでも可 |
青色申告決算書または収支内訳書 | 収支内訳の証明 | 直近1年分を提出 |
本人確認書類 | 運転免許証など | 氏名・住所が一致すること |
納税証明書(その1またはその2) | 所得税の納税状況の証明 | 発行から3ヵ月以内が目安 |
※申請にはGビズIDプライムアカウントの取得も必須です。取得には数日かかるため、早めの申請をおすすめします。
IT導入補助金2025の必要書類を確認する
IT導入補助金の概要と目的
IT導入補助金は、国が中小企業や個人事業主の業務効率化や売上アップを目的として、ITツールの導入を支援する制度です。会計ソフトや顧客管理ツール、ECサイト構築などのIT導入にかかる費用の一部が補助されるため、デジタル化を始めたい小規模事業者にとって心強い制度です。
補助の概要(2025年時点)
項目 | 内容 |
補助対象 | 中小企業、小規模事業者、個人事業主など |
対象経費 | ソフトウェア費、クラウド利用料、導入関連費、PC・タブレット等(一部条件付き) |
補助額 | 最大450万円(枠による) |
補助率 | 最大3/4~4/5(デジタル化基盤導入枠など) |
※導入費用の全額ではなく、「一部を国が補助」する形です。
IT導入補助金で補助対象になるITツールは?パソコンやiPadも対象?
IT導入補助金では、「業務効率化」や「販路開拓」に資するITツールが補助対象となります。ただし、すべてのツールが対象になるわけではなく、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 目的に合致した業務改善のための導入であること
- IT導入支援事業者が事前に登録したITツールであること
補助対象となる代表的なツールには、以下のようなものがあります。
- パソコン・タブレット(iPadなど)
- クラウド会計ソフト・顧客管理ツール
- POSレジ・決済・予約管理・メール配信ツール
パソコン・タブレット(iPadなど)
インボイス対応類型(デジタル化基盤導入類型)**では、補助対象のITソフトウェアとセットで導入し、業務効率化に資することが認められた場合に限り、ハードウェアも補助対象になります。
【補助対象となる条件】
- 新品であること(中古不可)
- 業務効率化に資することが明確であること
- 登録されたITソフトウェアとセットで導入されること
- 1台あたりの上限は税抜10万円まで、最大2台まで
たとえば、「クラウド会計ソフト+パソコン」や「オンライン決済ツール+iPad」のようなセット導入で、明確な業務改善効果が見込まれる場合は、補助対象とされます。補助率は1/2、1台あたりの補助上限は税抜10万円まで、最大2台(合計20万円)まで補助されます。対象は新品に限られ、単体購入や中古品は補助対象外です。
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クラウド会計ソフト・顧客管理ツール
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフト、在庫・受発注管理システム、CRMツールが該当します。インボイス対応類型(デジタル化基盤導入類型)では、これらのソフトウェアに対して最大補助率4/5、小規模事業者なら最大350万円までの補助が受けられます(通常は3/4)。業務の効率化・自動化に直結するため、特に採択実績の多い分野です。
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POSレジ・決済・予約管理・メール配信ツール
POSレジアプリ、キャッシュレス決済システム、オンライン予約受付ツール、メールマーケティング配信システムなどが対象です。インボイス対応類型での申請が多く、補助率は最大4/5、小規模事業者で350万円まで補助されるケースもあります。業務負荷の軽減や顧客対応の効率化を目的とした導入が評価されやすい分野です。
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ここに注意!
IT導入補助金は後払い(精算払い)方式で支給されるため、必ず交付決定を受けた後に契約・支払い・納品・導入の手続きを行う必要があります。もし、交付決定前に導入を開始してしまった場合、その経費は補助対象外となってしまうため、注意が必要です。
このように、IT導入補助金を活用するうえでは、「導入の目的」や「使用するITツールが登録されているかどうか」、そして「申請から導入までの正しい手順を踏むこと」が重要なポイントになります。制度の詳細や最新のルールについては、必ず公式の公募要領やIT導入補助金ポータルサイトを確認しましょう。
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IT導入補助金で受給できる額
IT導入補助金では、導入するITツールの種類や導入目的によって補助額・補助率が異なります。特に個人事業主にとって活用しやすいのは、「デジタル化基盤導入枠」と「通常枠」です。以下に、主要な補助枠の概要をまとめます。
補助類型 | 補助対象経費 | 補助率 | 補助上限額 | 特徴・対象例 |
インボイス対応類型(デジタル化基盤導入類型・ソフトウェア) | 会計・受発注・決済・EC関連のソフト | 最大3/4~4/5 | 最大350万円 | 小規模事業者は補助率が高く、初心者にも使いやすい枠 |
インボイス対応類型(デジタル化基盤導入類型・ハードウェア) | パソコン・タブレット・POSレジ等 | 1/2 | 最大10万円/台(2台まで) | ソフトと一緒に導入すれば補助対象に |
通常類型 | 汎用的な業務ソフト・HP制作・CRM等 | 最大1/2 | 最大450万円 | 幅広い業務改善ツールが対象、やや申請難度は高め |
補助金の実際の支給額は、「導入費用 × 補助率」で算出されますが、補助上限額を超える分は支給されません。たとえば、導入費用が100万円で補助率が3/4の場合、本来の補助額は75万円ですが、補助上限額が50万円であれば、支給されるのは50万円までとなります。
また、個人事業主は「インボイス対応類型(デジタル化基盤導入類型)」の対象となる場合があり、補助率が最大4/5まで引き上げられるなどの優遇措置が設けられています。この類型では、クラウド会計ソフトやオンライン決済システムなどが補助対象に含まれており、小規模事業者でも活用しやすい内容となっています。
なお、補助金は交付決定後に導入・支払い・導入完了を経て精算される「後払い方式」です。交付決定前に契約・購入してしまうと補助対象外になるため、導入タイミングには十分な注意が必要です。
IT導入補助金の申請する流れ
IT導入補助金は、比較的申請方法がシンプルな補助金の一つです。個人事業主であっても、公式サイトにある手引きを参考にすれば、自身で申請することが可能です。
ここでは、申請からITツールの導入、補助金の受給までの流れを詳しく解説します。
申請の主な流れは以下のとおりです。
- 導入希望のITツールを検索
- IT導入補助金の公募要領を確認
- 事前準備を行う(3つの登録・対応
- 必要書類の準備
- 交付申請
- 審査および決定通知
- ITツールの導入および事業の実施
- 補助額の決定と入金
1.導入希望のITツールを検索
まずは、IT導入補助金の対象となるITツールを検索します。
補助金の対象となるITツールは、IT導入支援事業者として登録されている企業が提供するものに限られます。
希望するITツールが補助対象となるかどうかを確認し、導入を検討しましょう。
2.IT導入補助金の公募要領を確認
補助金申請の条件や要件を満たしているか、最新の公募要領を確認します。
補助対象者の条件、補助率、対象となる経費、申請期限などをしっかり把握したうえで、申請の準備を進めましょう。
3.事前準備を行う(3つの登録・対応)
申請には、以下の3つの事前登録・手続きが必要です。
- 「gBizIDプライム」の取得
- 「SECURITY ACTION」宣言
- 「みらデジ経営チェック」の実施
1.「gBizIDプライム」の取得
IT導入補助金の申請には、「gBizIDプライム」アカウントが必要です。取得には申請から2週間程度かかるため、早めに手続きを進めましょう。
補助金申請に必要なGビズIDの 取得方法を分かりやすく解説!
gBizIDプライムはこちら!
2.「SECURITY ACTION」宣言
IT導入補助金の申請には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「一つ星」または「二つ星」の宣言が必要です。宣言完了後に発行されるIDを、補助金申請時に入力します。
「SECURITY ACTION」宣言はこちら!
3.「みらデジ経営チェック」の実施
経営課題やIT化の進捗度を確認するために、「みらデジ経営チェック」を行います。このチェックを完了しないと、申請ができません。
「みらデジ経営チェック」はこちら!
4.必要書類の準備
補助金の申請には、個人事業主としての身分証明書や納税証明書、確定申告書Bなどの書類が必要です。
書類の不備があると申請が通らないため、事前に要件を確認し、しっかりと準備を整えましょう。
IT導入補助金2025の必要書類を確認する
5.交付申請
準備が整ったら、IT導入補助金の公式サイトから交付申請を行います。
この際、IT導入支援事業者と連携しながら申請を進める必要があるため、事前に事業者と相談しておくとスムーズです。
6.審査および決定通知
交付申請が完了すると、補助金の審査が行われます。
審査に通過した場合、補助金の「交付決定通知」が届きます。
7.ITツールの導入および事業の実施
交付決定の通知を受けた後、実際にITツールの導入を進めます。
この際、事業の実施報告や経費の証明書類の提出が求められるため、導入の記録をしっかりと残しておきましょう。
8.補助額の決定と入金
ITツールの導入完了後、必要な報告を行うと、最終的な補助額が決定し、補助金が指定の口座に入金されます。
スムーズな申請のために
IT導入補助金は、個人事業主でも比較的申請しやすい補助金ですが、事前準備や申請の流れを理解しておくことが重要です。
申請手続きをスムーズに進めるため、事前に要件を確認し、必要書類をしっかりと揃えておきましょう。
IT導入補助金2025の入金はいつ?スムーズに受け取るためのポイント
補助金と確定申告・会計処理の注意点
IT導入補助金を受け取った場合、確定申告時の処理や会計上の取り扱いに注意が必要です。間違った処理をすると、税務署から修正指導を受けたり、後で多額の税金を納めたりすることになります。
以下の3点が、特に注意すべきポイントです。
- 記帳・仕訳は明細を残して正確に行う
- 補助金は「雑収入」として課税対象になる
- 補助対象の支出は「全額経費」にせず、補助金相当額を差し引く
記帳・仕訳は明細を残して正確に行う
仕訳の一例(会計ソフト入力時の参考):
借方 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
備品費 | 現金 | 50万円 | ソフト導入費用支払時 |
普通預金 | 雑収入 | 30万円 | 補助金の入金時 |
また、補助金申請時の書類(交付決定通知・実績報告書・領収書・請求書など)は5〜7年間の保存義務があります。税務調査や補助金の事後検査に備えて、原本や電子ファイルをしっかり保管しておきましょう。
補助金は「雑収入」として課税対象になる
IT導入補助金は、原則として課税対象の収入になります。受け取った補助金は「雑収入」として、確定申告書に記載する必要があります。
例:補助金30万円を受け取った場合
「雑収入」欄に30万円を記入(所得に含める)
これにより、所得税・住民税の計算にも影響が出ます。補助金を受けた年度は納税額が増える可能性があることを念頭に置きましょう。
補助対象の支出は「全額経費」にせず、補助金相当額を差し引く
補助対象となったITツールの購入費用を経費として申告する場合は、全額ではなく、補助金を差し引いた額を経費として処理します。
例:クラウドソフト導入費50万円、補助金30万円の場合
費目 | 金額 |
経費計上額 | 20万円(=実質自己負担分) |
雑収入計上額 | 30万円(=補助金額) |
このように、実際に自分で負担した金額だけが経費となることに注意が必要です。
補助金でもらった分については税金がかからないように調整する処理である「圧縮記帳」については以下のコラムをご覧ください。
補助金を受けたらどうする?圧縮記帳で税金を減らす方法を分かりやすく解説!
よくある質問
Q1. パソコンやiPadは補助対象になりますか?
A. 単体では対象外ですが、業務ソフトとセットで導入する場合は補助対象になることがあります。
たとえば「クラウド会計ソフト+パソコン」など、業務改善のための一体的な導入であることが必要です。補助率は1/2、上限は10万円/台(2台まで)です。
Q2. 副業でも申請できますか?
A. 開業届を提出していれば、副業でも申請可能です。
本業が別にあっても、副業としての事業活動が継続的で、確定申告を行っていることが重要です。ただし、事業性が乏しいと判断されると採択されにくくなる場合があります。
Q3. 赤字でも補助金はもらえますか?
A. 赤字でも申請・受給は可能です。ただし、事業の継続性や将来性が審査対象になるため、事業計画書の説得力が重要になります。また、補助金は後払いなので、一時的に自己資金が必要です。
Q4. 補助金は課税対象ですか?
A. はい、雑収入として課税対象になります。
確定申告時に「雑収入」として記載する必要があり、その分所得税や住民税が増える可能性があります。補助金額と経費処理を正確に対応させることが重要です。
Q5. GビズIDって何ですか?どこで取得できますか?
A. GビズIDは、IT導入補助金などの各種電子申請に必要な政府共通アカウントです。
申請には「GビズIDプライム」が必要で、申請書と本人確認書類の郵送が必要です。取得には1週間~10日ほどかかるため、補助金申請前に早めの取得が必須です。
公式サイト:GビズID公式サイト
まとめ
IT導入補助金は、個人事業主にとっても非常に有効な支援制度です。特に、業務効率化や販路拡大を目指すタイミングでITツールを導入する際、費用の大部分を補助してもらえるのは大きなチャンスと言えるでしょう。
本記事でご紹介したように、
- 条件次第ではパソコンやiPadの導入も支援される
- 会計ソフトや予約管理ツール、ホームページ制作費も補助対象
- 開業届と確定申告をしていれば、副業やフリーランスでも申請可能
- ただし補助金は後払いかつ課税対象なので、会計処理や資金繰りにも注意が必要
など、制度のポイントを正しく理解し、事前に準備することが成功の鍵です。なお、申請の際はGビズIDの取得や支援事業者との連携が必要です。「使えるかも」と思った方は、できるだけ早く動き出すことをおすすめします。
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監修者からのワンポイントアドバイス
IT導入補助金は個人事業主も申請可能であり、様々な業種の方が申請できるため大変人気のある補助金となっています。本補助金は事務局に掲載されているITツールの中から選択して申請するタイプの補助金で公募頻度も多いため申請しやすくなっています。