補助金申請に必要なGビズIDとは?取得方法と使い方を解説
補助金や社会保険等の行政サービスの手続きはWEB上で行うことが主流になってきました。 便利な反面、手続きごとに違うIDやパスワードを管理する必要があるので少々手間がかかります。 そんなID管理の煩雑さから解放してくれるのが、法人・個人事業主向け共通認証システムであるGビズIDです。 GビズIDを取得すれば従来よりもスムーズに電子申請ができます。 本コラムでは、GビズID取得のやり方や特長について解説します!

この記事を監修した専門家

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
補助金申請に必要なGビズIDって?
GビズID(正式名称:gBizID)とは、経済産業省が提供する法人・個人事業主向けの認証システムです。1つのID・パスワードを取得することで、複数の行政サービスに共通でログインできるのが特徴です。かつては補助金や申請ごとに別のIDや手続きが必要でしたが、GビズIDの導入により、申請者は一度のID登録でさまざまな行政手続を簡単に行えるようになりました。
なぜGビズIDが補助金申請に必要なのか?
補助金の申請は現在、電子申請システム「jGrants(ジェイグランツ)」を通じて行うのが基本となっています。このjGrantsへのログイン時に必要なのが「GビズID」です。
jGrantsとは?
- 法人番号やGビズIDと連携して申請者を認証
- 経産省が整備した補助金申請のための電子申請ポータルサイト
- 審査状況や交付決定後の手続きもすべてオンライン上で確認可能
そのため、GビズIDを取得していないと、補助金申請の入口にすら立てないケースが増えています。
GビズIDが不要なケースはある?
一部の補助金や自治体独自の制度では、紙での申請や独自の電子申請システムを採用している場合もあります。
たとえば、
- 地方自治体が独自に実施する補助金
- 東京都や大阪府などが独自に運営する電子申請サービス
ただし、国の補助金制度(特に経産省所管)は原則としてGビズIDが必須です。補助金に応募する前に、公募要領で「申請方法」と「GビズIDの必要有無」を必ず確認することが大切です。
GビズIDが必要となる補助金申請の例
以下のような経済産業省系の補助金制度では、GビズID(主に「GビズIDプライム」)の取得が原則必須となっています。
補助金制度名 | GビズIDの必要性 | 備考 |
小規模事業者持続化補助金 | 必須 | 電子申請システム「jGrants」での提出が原則 |
IT導入補助金 | 必須 | すべての申請でGビズIDプライムの取得が必要 |
ものづくり補助金 | 必須 | GビズIDがないと申請画面にアクセスできない |
新事業進出支援補助金(経産省) | 必須 | 事業再構築補助金の後継制度。申請はjGrants経由 |
雇用関係助成金(厚生労働省) | 一部対応 | 電子申請の一部でGビズIDに対応している |
補助金申請で使うGビズIDの種類と違い
GビズIDには、「プライム」「メンバー」「エントリー」という3つの種類があり、それぞれ使える範囲や取得方法、権限のレベルが異なります。補助金の申請には、本人確認を済ませた「プライムID」が必須となる一方で、他のIDは利用できません。それぞれの特徴と違いを正しく理解して、自分の立場や目的に合ったIDを選びましょう。
IDの種類 | 特徴 | 取得方法 | 主な利用用途 |
プライム | 本人確認済。すべてのサービスを利用可能 | 書類申請+郵送 | 補助金申請(jGrants等)、認証責任者 |
メンバー | プライムの招待で作成。一部機能制限あり | オンラインのみ | 事業所内の担当者がサポート利用等 |
エントリー | 登録のみ。本人確認なし。利用範囲が限定的 | オンラインのみ | 簡易な行政サービス(※補助金不可) |
GビズIDプライム|補助金申請に必須!
GビズIDプライムは、補助金の申請手続きを実際に行う人(代表者や事業主本人)が必ず取得すべきIDです。申請の最終提出や署名にあたる操作は、プライムIDを持つ本人でなければ行えないため、会社や事業の責任者が取得する必要があります。
- 本人確認(印鑑証明書や法人情報)を経て発行される正式なID
- プライムID取得者が、他のユーザーに「メンバーID」を発行・管理できる
- 補助金申請や電子入札、法人設立ワンストップサービスなどほぼすべてのオンライン行政手続きに対応
GビズIDメンバー|社内の担当者用に
申請書類の入力や申請内容の確認を、担当者に任せたい場合に活用できます。プライムIDを持つ代表者が申請の最終提出を行い、メンバーIDを使うスタッフは下書き作成や申請進捗の確認などを担当する形で業務を分担できます。
- プライムIDを持つ人からの招待により作成されるID
- 企業や団体内の複数人で業務を分担する場合に便利
- メンバーID単体では補助金申請などの手続きはできない
GビズIDエントリー|一部サービスのみ利用可能
エントリーIDでは補助金の申請に必要な本人確認が行われないため、jGrantsを含む補助金申請には一切使えません。補助金の申請を目的とする場合は、必ず「GビズIDプライム」を取得するよう注意が必要です。
- 補助金申請やjGrantsは非対応
- インターネット上で誰でも取得可能な簡易版ID
- 登録のみで利用できるが、本人確認がないため利用できるサービスが限定的
補助金申請に必要なGビズIDプライムの取得方法
補助金の電子申請を行うには、GビズIDプライムの取得が必須です。ここでは、申請の流れや必要書類、注意点についてわかりやすく解説します。
GビズIDプライムの申請に必要なもの
申請者が法人か個人事業主かによって、必要書類が異なります。
区分 | 必要書類・情報 | 補足説明 |
法人(株式会社、合同会社など) | ・法人名義の印鑑証明書(発行から3か月以内)・法人番号・代表者の氏名、連絡先(電話番号・メールアドレス) | 印鑑証明書は原本が必要。登録印での押印必須。 |
個人事業主 | ・本人の印鑑証明書(発行から3か月以内)・氏名、住所などの本人確認情報・電話番号・メールアドレス | 自身の印鑑証明書の原本を同封して郵送。 |
いずれの場合も、オンラインでの申請後に、申請書を印刷・押印し、郵送で提出する必要があります。電子印鑑やシャチハタは不可です。必ず印鑑登録されている印章を使用してください。GビズIDプライムの申請の流れ(法人・個人共通)以下のステップで申請を行います。
- 公式サイトで申請フォームに必要情報を入力
- 申請書(PDF)をダウンロードし、印刷・押印
- 印鑑証明書と一緒に郵送で提出
- 事務局による審査・本人確認
- 問題がなければメールでID発行通知が届く
発行までにかかる日数は?
GビズIDの公式によると、申請書類の到着から発行までに通常7営業日程度(1~2週間)かかります。ただし、次のようなケースではさらに時間を要することがあります。補助金申請にGビズIDを使う場合は、必ず日にちに余裕を持って申請しましょう。
- 法人番号や申請内容に齟齬がある場合
- 申請が集中する時期(補助金の公募直後など)
- 書類に不備がある場合(印鑑のずれ、必要項目の記入漏れなど)
郵送する書類もある!
GビズIDプライムの取得は、オンラインだけでは完結しません。申請情報の入力後、書類を印刷し、必ず原本を郵送する必要があります。以下、郵送時に特に気を付けたい点です。
- 印鑑証明書はコピー不可。原本が必要
- 郵送先住所を間違えない(申請書に記載あり)
- 電子印鑑やスタンプ印は不可。登録印で押印すること
GビズIDプライムの申請時に提出する申請書類の送付先(郵送先住所)は、申請者ごとに生成されるPDF申請書に記載されています。そのため、公式サイト上に一律の送付先住所は公開されていません。
GビズIDに関するよくある質問
Q1. GビズIDの取得に費用はかかりますか?
いいえ、GビズIDの取得は無料です。GビズIDプライムを含むすべてのIDの発行において、申請料や発行手数料などの費用は一切かかりません。ただし、印鑑証明書の発行手数料や郵送代は自己負担となります。
Q2. GビズIDとGビズIDプライムの違いは何ですか?
GビズIDには複数の種類がありますが、補助金申請で必要なのは「GビズIDプライム」です。
IDの種類 | 本人確認 | 主な用途 |
プライム | 必要 | 補助金申請・行政手続き全般 |
メンバー | 不要(招待制) | サポート業務や確認用 |
エントリー | 不要 | 一部の簡易サービスのみ(補助金不可) |
Q3. 補助金の申請中にGビズIDを変更できますか?
基本的には変更できません。補助金申請に使用したGビズIDと事業者情報は紐付けされるため、申請途中で別のIDに変更することは原則できません。やむを得ず変更が必要な場合は、申請先の補助金事務局に個別に相談してください。
Q4. 個人事業主でもGビズIDは取得できますか?
はい、個人事業主でも取得可能です。GビズIDプライムを申請することで、法人と同様に補助金申請が可能です。個人の場合は、本人の印鑑証明書と本人確認情報を基に申請します。
Q5. GビズIDで雇用関係助成金は申請できますか?
一部の電子申請で利用可能です。厚生労働省の助成金の中には、電子申請システム「雇用関係助成金受付システム」においてGビズIDでログイン・申請できる制度があります。ただし、すべての助成金に対応しているわけではないため、対象制度ごとに公式サイトで確認が必要です。
まとめ
補助金申請をオンラインで行う場合は、「GビズIDプライム」の取得がほぼ必須です。GビズIDは、行政手続を一元化するための「共通認証」として経済産業省が導入した仕組みで、jGrantsなど多くの申請システムで使用されています。
GビズIDプライムの取得には、印鑑証明書の準備や郵送手続きが必要なうえ、発行までに1~2週間かかるのが一般的です。補助金の申請期限が迫ってからでは間に合わないこともあるため、補助金に興味がある方は、できるだけ早めに取得手続きを進めておくことをおすすめします。今後も多くの補助金・助成金制度でGビズIDの活用が求められるため、しっかりと仕組みを理解し、スムーズな申請に備えておきましょう。
行政サービスの一覧
参考:GビズIDの公式サイト
監修者からのワンポイントアドバイス
GビズIDは聞き慣れない方もいらっしゃるかと思いますが、補助金申請はGビズIDを用いて電子申請する際に必要なものとなっています。個人事業主で取得していても法人成りした際には再度取得する必要がありますので注意しましょう。