補助金申請に必要なGビズIDの 取得方法を分かりやすく解説!

補助金や社会保険等の行政サービスの手続きはWEB上で行うことが主流になってきました。 便利な反面、手続きごとに違うIDやパスワードを管理する必要があるので少々手間がかかります。 そんなID管理の煩雑さから解放してくれるのが、法人・個人事業主向け共通認証システムであるGビズIDです。 GビズIDを取得すれば従来よりもスムーズに電子申請ができます。 本コラムでは、GビズID取得のやり方や特長について解説します!
梅沢 博香

更新日:

補助金申請に必要なGビズIDの 取得方法を分かりやすく解説!.

GビズIDとは?

GビズIDとは、法人・個人事業主向け共通認証システムです。
GビズIDを取得すると、一つのID・パスワードで、さまざまな行政サービスにログインできます。
たとえば、事業再構築補助金やIT導入補助金でGビズIDが導入されています。
GビズIDには、プライム、メンバー、エントリーという3種類のアカウントがあります。

利用者書類審査使用可能な行政サービス
gBizIDプライム会社代表者または個人事業主多数あり
gBizIDメンバーGビズIDプライム取得組織の従業員不要制限あり
gBizIDエントリー事業をしている方なら誰でも可能不要制限あり

行政手続により必要なアカウントの種類が異なるので、あらかじめ申請したい手続のサイト等で必要な種類を確認して取得します。
詳しくは、GビズID取得で利用できる行政サービスの一覧をご覧ください。
たとえば、「jGrants」というサービスで使えるGビズIDアカウントは、gBizIDプライムとgBizIDメンバーなので、どちらかのアカウントを取得します。
行政サービスの一覧

gBizIDを取得するときに知っておきたい基本情報

1. gBizID取得にかかる料金

現在、gBizIDの取得には費用はかかりません。

2. 利用環境

インターネット接続環境があれば、パソコンやスマートフォンから利用可能です。

3.アカウントの有効期間

現在のところ、gBizIDには有効期限や年度更新は不要です。

4.複数のアカウント取得について

通常、1つの利用者に対して1つのアカウント種別の取得があれば十分です。
ただし、組織や業務の状況により、同一法人や個人が複数のアカウント種別を利用するケースもあります(例:法人代表としてプライム、従業員がメンバーを保有など)。

5.gBizIDプライムの取得にかかる時間

申請書類がgBizID運用センターに到着し、不備がなければ、通常は2週間前後でアカウントが作成されます。
ただし、申請が集中している時期は3~4週間以上かかる場合もあるため、余裕をもって申請することをおすすめします。

gBizIDプライムのアカウント取得に必要なもの

gBizIDプライムを取得するためには、以下の書類や環境を準備する必要があります。申請はWebで行い、印刷した申請書類を郵送する流れとなります。

1. メールアドレス

アカウントの登録時に使用します。
このメールアドレスはログイン時にも必要になるため、継続的に受信確認できるアドレスを使用してください。

2. パソコンおよびインターネット接続環境

申請手続はgBizIDの公式サイトで行います。
スマートフォンでも閲覧は可能ですが、登録申請書の作成や出力はパソコンを使用するのが一般的です。

3. 印刷環境(プリンターなど)

申請書を印刷して郵送する必要があるため、プリンターまたは印刷環境が必要です。
自宅にプリンターがない場合は、コンビニなどの印刷サービスを利用することもできます。

4. 登録申請書

Web上で必要情報を入力すると、自動でPDFの申請書が作成されます。
印刷後、署名・押印を行い、必要書類とともに郵送します。
申請書の記載内容と印鑑証明書の内容が一致している必要があるため、入力ミスに注意してください。

5. 印鑑証明書(発行から3か月以内)

法人の場合は、法人の印鑑証明書が必要です。
個人事業主の場合は、代表者本人の印鑑証明書を用意します。
市区町村窓口やオンライン請求で取得可能ですが、発行日から3か月以内のものに限られるため、申請時期には注意しましょう。

gBizIDプライムのアカウント取得方法

gBizIDプライムの取得は、オンライン申請+郵送の流れで行います。以下のステップで進めましょう。

  1. 登録申請書の作成と印刷
  2. 押印・書類の準備
  3. 書類の送付
  4. 法人番号の確認
  5. 審査後、パスワードを設定して完了

ステップ1.登録申請書の作成と印刷

まず、gBizID公式サイトの「gBizIDプライム申請書作成」にアクセスし、申請書を作成します。

  • 代表者氏名、法人番号、住所などを入力
  • 作成されたPDF形式の申請書をダウンロード
  • プリンターなどで印刷

※ 作成日欄は手書きで記入し、修正液や消し込みは使わないよう注意しましょう。

ステップ2.押印・書類の準備

印刷した申請書に、下記の印鑑を押印します。

区分押印すべき印鑑必要な証明書
法人法人代表者の実印法務局が発行した印鑑証明書(3ヶ月以内)
個人事業主個人の実印市区町村が発行した印鑑登録証明書(3ヶ月以内)

ステップ3.書類の送付

押印した登録申請書と印鑑証明書を以下の住所へ郵送します。
コピーする編集する
〒530-8532
GビズID運用センター 宛
※郵便番号(個別番号)と宛名だけで届きます
原本を提出する必要があるため、コピーを手元に保管しておきましょう。

ステップ4.法人番号の確認

申請時に入力する法人番号は、国税庁法人番号公表サイトで確認するのが確実です。
gBizIDで使用するのは13桁の法人番号です。
※登記簿謄本に記載の「会社法人等番号(12桁)」とは異なります。
国税庁法人番号公表サイトはこちら!

ステップ5.審査後、パスワードを設定して完了

申請に不備がなければ、原則として2週間前後で審査が完了し、登録したメールアドレス宛に「アカウント作成完了通知」が届きます。
メールに記載されたURLからログイン用のパスワードを設定すれば、gBizIDプライムアカウントの取得が完了します。
※申請が混み合っている場合は、3〜4週間以上かかることもあります。早めの申請をおすすめします。

行政サービスがより便利で安全に!GビズID取得のメリット

GビズIDを取得することで、行政手続きがよりスムーズに、安全に、効率的に行えるようになります。
以下3つは主なメリットです。

  1. 高いセキュリティ性(二要素認証)
  2. 行政手続きの効率化とID管理の簡素化
  3. 行政サービスの拡大と「デジタルファースト」対応

メリット1.高いセキュリティ性(二要素認証)

GビズIDでは、ログイン時にIDとパスワードに加えて、SMSによるワンタイムパスワード(OTP)を用いた二要素認証が導入されています。
これにより、たとえパスワードが漏えいしても、なりすましによる不正ログインを防ぐことができます。
従来の「IDとパスワードだけ」の認証方式は、不正アクセスのリスクが高まりやすいとされていますが、GビズIDでは追加認証(SMSコード)によるセキュリティ強化が図られています。
※ 現在のところ、指紋や顔認証などの生体認証には対応していません。

メリット2.行政手続きの効率化とID管理の簡素化

GビズIDを使えば、複数の行政手続きに1つのIDとパスワードでログインできます。これにより、ID管理にかかる時間や労力、ミスのリスクを大幅に削減できます。
また、GビズIDを導入することで、行政側も認証システムの開発や運用を共通化でき、重複開発の回避やシステム運用コストの削減が見込まれます。
これは結果的に、利用者にとっても手続きの簡素化や利便性向上という形で還元されます。

メリット3.行政サービスの拡大と「デジタルファースト」対応

GビズIDは、政府が進める「デジタルファースト」政策の一環として活用が進んでおり、利用できる行政サービスの範囲は年々拡大しています。
「デジタルファースト」とは、行政手続きを極力紙からデジタルへ移行し、オンラインで完結させることを目指す方針です。
これは、2019年に成立した「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(通称:デジタル手続法)」によって制度化され、次の3つの原則が掲げられています:

  • デジタルファースト:行政手続はデジタルで完結
  • ワンスオンリー:一度提出した情報は何度も求めない
  • コネクテッド・ワンストップ:省庁間で連携して手続きを一元化

GビズIDはこれらの理念の実現に欠かせない共通認証インフラとして、今後さらに利用範囲が広がることが期待されています。

GビズIDを取得することで、

  • 行政手続きが効率化される
  • 高いセキュリティで安全に利用できる
  • デジタル社会に対応した最新の行政サービスをスムーズに利用できる

といった多くのメリットがあります。
企業経営者・個人事業主はもちろん、将来的に行政手続を行う予定がある方も、早めに取得しておくと安心です。

GビズID取得で利用できる補助金などのサービスは?

gBizIDプライムを取得すると、さまざまな行政サービス・補助金申請がオンラインで利用できるようになります。以下は代表的な補助金・サービスの一覧です。

利用可能な主な補助金・行政サービス一覧

サービス名概要利用可能なID種別
jGrants(補助金申請システム)国の補助金の申請・交付手続きをオンラインで完結できるシステムプライム/メンバー
中小企業新事業進出支援補助金新規事業への業態転換等を支援する大型補助金プライム
IT導入補助金ソフトウェアやITツールの導入を支援プライム
ものづくり補助金中小企業の製品開発・設備投資を支援プライム
小規模事業者持続化補助金小規模事業者の販路開拓や業務効率化を支援プライム
e-Gov電子申請雇用保険や労働関連の手続を電子化プライム
Gビズフォーム電子契約・申請フォーム作成が可能プライム
経済産業省の各種申請システム電気通信、特許、経済産業分野の届け出などプライム

jGrants(補助金申請システム)

jGrantsは、国や地方自治体が提供する補助金をインターネット上で申請できるシステムです。
gBizIDプライムまたはメンバーアカウントでのログインが可能ですが、申請の最終確定は原則としてプライムアカウント(=代表者)によって行う必要があります。

中小企業新事業進出支援補助金

2024年度補正予算で創設された、事業再構築補助金の後継的制度です。
中小企業が新たな市場や分野への進出を行う際の設備投資や開発費などを支援します。
申請はjGrantsを通じた電子申請のみで、gBizIDプライムの取得が必須です。今後の主力補助金の一つと位置づけられています。
中小企業新事業進出支援補助金の概要をチェックする!

IT導入補助金

業務効率化やDX推進のためのITツール導入を支援する補助金です。
導入事業者の登録から交付申請、実績報告まですべてオンラインで行えるため、gBizIDプライムの取得は必須です。
IT導入補助金の概要をチェックする!

ものづくり補助金

中小企業の生産性向上を支援する設備投資補助金です。
こちらもjGrantsを通じた電子申請が基本で、gBizIDプライムの登録が求められます。
ものづくり補助金をチェックする!

小規模事業者持続化補助金

商工会・商工会議所のサポートを受けながら販路開拓に取り組む事業者向けの補助金です。
一部の申請が郵送から電子申請に切り替わっており、gBizIDの活用が進んでいます。
小規模事業者持続化補助金をチェックする!

e-Gov電子申請

労働保険の手続きや社会保険関係の届け出をオンラインで行える総合サイトです。
一部機能でgBizIDプライムによる認証が必要です。

Gビズフォーム

法人や個人事業主がWeb上で行政提出用のフォームを作成・電子署名できるサービスです。
gBizIDプライムを通じて本人確認が行われます。

経済産業省の各種電子申請システム

一部の届け出や許認可申請も、gBizIDプライムでの認証を前提として提供されています。
例:電気通信事業の届出、特許庁への申請など。

今後も利用範囲は拡大予定!

gBizIDは、「1つのIDでさまざまな行政サービスへログインできる」仕組みとして、政府のデジタルファースト政策の中核的インフラと位置づけられています。
今後も、国・自治体の補助金や許認可の申請、さらには民間との連携分野にまで広がる可能性があるため、早めの取得がおすすめです。

人物

監修者からのワンポイントアドバイス

GビズIDは聞き慣れない方もいらっしゃるかと思いますが、補助金申請はGビズIDを用いて電子申請する際に必要なものとなっています。個人事業主で取得していても法人成りした際には再度取得する必要がありますので注意しましょう。