「第3号被保険者」の廃止はいつから? 専業主婦の選択肢とは
「第3号被保険者」の廃止が近い?いつから?専業主婦の方必見!社会保険の加入や年金受給はどうなるのか、最新情報と制度の見直しについて解説。女性の経済的自立や年金制度の将来にも深く関わる問題です。
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この記事を監修した専門家
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
第3号被保険者の廃止はいつから?
第3号被保険者制度の廃止については、具体的な時期は決まっていませんが、制度の見直しは進んでいます。
ただし厚生労働省は2025年の、来年の通常国会に提出を目指す年金制度改革の法案に、第3号被保険者制度の廃止を盛り込まない方針です。
この制度は、会社員らに扶養される配偶者が年金保険料を納めなくても基礎年金を受け取れる仕組みで、「年収の壁」を助長し働き控えを招くとして批判されてきました。
しかし、制度を直ちに廃止すると不利益を被る人が多いため、本格的な議論は5年後の次回以降に持ち越される見通しです。
- 社会保険の適用拡大: 2024年10月から、社会保険の加入要件が拡大され、第3号被保険者の数が減少する見込みです。
- 廃止に向けた動き: 厚生労働省は、第3号被保険者制度の廃止を検討する方向性を示しており、制度の見直しに向けた動きが加速しています。
- 段階的な廃止の可能性: 制度がいきなり廃止されるのではなく、段階的に変わっていく可能性も考えられます。
第3号被保険者の廃止とは?専業主婦等が対象
主な論点
第3号被保険者の段階的廃止の主な論点は以下の2つ。
なぜ廃止を求められるのか?
1つ目の理由として、第3号被保険者の制度があることで女性の働き方を制限し、男性の収入に依存する状況を助長していることが問題視されています。
さらに、女性が働きに出ようとしても、年収が130万円を超えると扶養から外れてしまい、国民年金の保険料を負担しなければならなりません。
そのため、働き始めることを躊躇する人が多いことも課題とされており、
「年収の壁の撤廃」も同時に検討されています。
廃止した場合の課題
第3号被保険者が廃止された場合の課題として以下のようなことが挙げられています。
- 制度の移行: 制度が廃止されると、これまで「第3号被保険者」とされていた方は、国民年金に加入するか、もしくは厚生年金に加入するために働き始める必要があります。
- 女性の経済的自立: 女性の経済的自立を促進する一方で、家事や育児、介護などで働けない人への支援策も必要になります。
「第3号被保険者」とは?
「第3号被保険者」とは、国民年金の被保険者のひとつで、主に専業主婦などが該当します。
会社員などの配偶者に扶養されており、年収が130万円未満の場合、保険料を納めることなく国民年金を受け取ることができます。
第3号被保険者制度の背景と現状
公的年金制度の加入者には以下の3つの区分があります。
- 第1号被保険者
- 自営業者やフリーランスなどで、国民年金の保険料を自ら納める。
- 第2号被保険者
- 会社員や公務員などで、労使折半で厚生年金保険料を支払う。
- 第3号被保険者
- 専業主婦や一部のパート労働者が主な加入者で、年金保険料を納めず基礎年金を受け取れる。
1985年に専業主婦の年金権を確保するために創設された第3号被保険者制度は、当初約1093万人が加入していましたが、共働き世帯の増加により、2023年5月時点で約676万人に減少しました。特に20代女性の3号加入率は1割未満ですが、35歳以上では約3割を占めています。
なぜ「第3号被保険者」制度が議論されているのか?
社会構造の変化
従来は、夫が働き、妻が家事や育児を行うという家庭が多かったですが、近年は共働き世帯が増えています。
女性の社会進出が進んでおり、社会構造が大きく変化しています。
男女間の不公平感
女性が働きたくても、年収が130万円を超えると国民年金の保険料を負担しなければならないため、働き始めることを躊躇する人がいるなど、男女間で不公平感があるという指摘があります。
年金制度の持続可能性
少子高齢化が進み、年金受給者数が増加する一方で、働く世代が減少しているため、年金制度の持続可能性が危ぶまれています。
議論のポイント
- 女性の経済的自立: 女性が経済的に自立するためには、働きやすい環境を整えることが重要です。
- 年金制度の公平性: すべての国民が公平に年金を受け取れるように、制度設計を見直す必要があります。
- 世代間の公平性: 若い世代の負担が増えないように、制度設計を行う必要があります。
まとめ
「第3号被保険者」制度の存続を巡る議論は、日本の社会構造の変化を背景に、年金制度のあり方を根本から問い直す契機となっています。
今後、この議論がどのように展開していくのか、注目が集まります。
参考:日本経済新聞
参考:日本経済新聞