103万円の壁引き上げはいつから?メリット・デメリットや影響をわかりやすく解説

政府が進める103万円の壁引き上げの詳細を解説。働き方や家庭への影響、メリット・デメリットをわかりやすくまとめました。学生や家庭の税負担軽減を目指す改正内容をチェック!
中本 明日香

公開日:

更新日:

103万円の壁 引き上げ

政府103万円の壁引き上げへ調整

現在103万円の壁の引き上げについての取り決めが具体的に進められており、注目されています。
この変更は、働き方や家庭の経済状況にどのような影響を与えるのでしょうか?

この記事では、引き上げが行われた場合の具体的な影響やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

103万円の壁とは?

まず年収の壁「103万円の壁」についてわかりやすく解説します!

103万円の壁の意味

年収が一定額を超えると手取りが減る場合がある、そうした境目を「年収の壁」と呼びます。代表的なものとして以下が挙げられます:

  • 103万円の壁
  • 106万円の壁
  • 130万円の壁

その中で、103万円の壁は年収が103万円を超えると所得税がかかり始める、という税金上のボーダーラインを指します。

なぜ103万円なのか?

103万円という数字は以下の控除額の合計から算出されています。

  • 基礎控除:48万円(全員が適用)
  • 給与所得控除:55万円(給与所得者に適用)

これにより、103万円までは所得税が課されない仕組みになっています。

103万円を超えるとどうなる?

年収が103万円を超えると、その超過部分に対して所得税がかかります。
その結果、手取りが減る可能性があります。

103万円の壁の仕組み

103万円の壁が引き起こす影響

  • 個人への影響
  • 所得税の負担が増え、手取りが減少。生活費への圧迫につながる可能性があります。
  • 家族への影響
  • 扶養に入っている場合、扶養から外れる可能性があり、扶養者の税負担が増加することもあります。

103万円の壁引き上げとは?いつから?

2024年11月、政府・与党は、大学生を扶養している親の税負担を軽減するための「特定扶養控除」の条件を見直す方針を固めました。
主な内容は以下の通りです。

  • 学生の年収要件(現在103万円以下)を引き上げる
  • 「年収103万円の壁」を引き上げる議論と並行して検討

特定扶養控除とは?

  • 対象者:19~22歳の学生を扶養している親
  • 控除内容
    • 所得税:63万円
    • 住民税:45万円
  • 条件:学生の年収が103万円以下

学生の年収が103万円を超えると扶養対象外となり、親の税負担が増加。結果として、世帯全体の収入が減るケースもあります。
一方で、学生自身は「勤労学生控除」(27万円)が適用されるため、年収130万円までは所得税が課されません。
ただし、親の税負担を考慮し、働き方を制限する学生も多い状況が問題視されています。

今回の方針では、年収要件の具体的な引き上げ幅や、それに伴う税収減少の財源確保などの課題について、今後さらに検討が進められる予定です。

この見直しは、2025年度税制改正の議論の中で進められる見込みで、控除額の拡大や課税対象の基準引き上げも含まれています。

今後の見直しと課題

政府は以下の点について議論を進めています。

  • 年収要件の引き上げ幅:どこまで引き上げるかは未定。
  • 財源確保:税収減をどのように補うかが焦点。
  • 特定扶養控除の見直し:親の負担軽減を目指した制度設計が検討されています。

国民民主党の提案と影響試算

2024年11月28日、国民民主党は基礎控除を103万円から178万円に引き上げる提案を行いました。
内閣府の試算による影響:

  • 名目GDP:0.22%(約1.3兆円)増加
  • 財政赤字:名目GDP比で0.96%悪化


引き上げが行われる時期については現段階で(2024年11月29日現在)未発表です。
国民民主党は12月中旬に、国民民主との協議内容を反映させた2025年度与党税制改正大綱をまとめる予定です。
発表され次第本コラムでも取り上げていきます。
参考:毎日新聞
参考:讀賣新聞オンライン

引き上げによるメリットとデメリット

103万円の壁引き上げによるメリットとデメリット

103万円の壁が引き上げられることで、働く人、特に学生やパート・アルバイトで働く人にとって、生活や働き方が大きく変わる可能性があります。

メリット

1. 学生の働きやすさが向上
  • アルバイトなどで自由に働ける時間や収入が増加。
  • 扶養控除の条件を気にせず、キャリアや経験を積むための活動がしやすくなる。
2. 親の負担軽減
  • 扶養控除の範囲が広がることで、学生がアルバイト収入を増やしても親の税負担が抑えられる。
3. 世帯全体の収入増加
  • 学生が年収の制約を意識せずに働けるため、家計全体の収入が増える可能性が高い。
4. 労働力不足の緩和
  • アルバイトやパートとして働く学生が増加し、サービス業や飲食業などの人手不足解消につながる。

デメリット

1. 財源確保の課題
  • 控除対象の拡大により、国や自治体の税収が減少する可能性がある。
  • 減収分をどのように補うかが課題となる。
2. 親への控除の恩恵が相対的に薄れる
  • 扶養控除の条件が広がることで、一定以上の年収を得る家庭と控除額の恩恵のバランスが崩れる可能性がある。
3. 高収入学生の税負担
  • 勤労学生控除(27万円)を超えた場合、学生自身に所得税が課されるため、税制の恩恵を受けられない層が生まれる可能性がある。
4. 「次の壁」の出現
  • 103万円の壁が引き上げられても、次の「130万円の壁」や「150万円の壁」など、新たな調整のポイントが発生する可能性があり、根本的な解決にはならない。

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