【2024年版】農業で活用できる補助金一覧!就農から設備導入まで徹底解説

2024年に農業者が利用できるおすすめの補助金を徹底解説! 農業を始めたい方から生産性向上や販路拡大を目指す方まで、幅広いニーズに応じた補助金情報を紹介します。
中本 明日香

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農業で使える補助金

2024年に農業におすすめの補助金は?

農業の効率化や新たなビジネス展開を支援するために、さまざまな補助金が用意されています。

このコラムでは、特に農業者におすすめの以下の補助金について、その内容や活用方法をわかりやすく解説します。

  1. これから農業を始めたい人が使える補助金
  2. 農業機械や設備の導入ができる補助金
  3. 農産物の生産技術・生産性向上ができる補助金
  4. 農産物の販路拡大ができる補助金

1.これから農業を始めたい人が使える補助金

農業を新たに始めたい方に最適な補助金です。
農業に必要な研修費用や、経営開始後の生活費を支援します。
特に、若手農業者や新規参入者をサポートし、農業経営のスタートをスムーズに進めることができます。

農業を始めたいけれども、資金や経営の不安がある方におすすめです。

(1)就農準備資金(準備型)

これから農業を始めたい人に向けた補助金制度です。この制度は、農業を始めるための研修費用や、農業開始後の生活費を支援します。

対象者の条件

  • 就農予定時の年齢が、原則49歳以下
  • 独立・自営就農、雇用就農または親元での就農を目指すこと
  • 都道府県等が認めた研修機関や先進農家で、概ね1年以上の研修を行うこと
  • 常勤の雇用契約を締結していないこと
  • 申請時の前年の世帯所得が原則600万円以下

支給内容

研修中に月12.5万円(年間150万円限度、最長2年間)

(2)経営開始資金(経営開始型)

農業を開始してから経営が安定するまでの期間を支援する補助金制度です。

対象者の条件

  • 就農時の年齢が原則49歳以下で、認定新規就農者であること
  • 独立・自営就農であること
  • 市町村の「目標地図」や「人・農地プラン」に位置付けられていること
  • 世帯全体の所得が原則600万円以下

支給内容

月12.5万円(年間150万円限度、最大3年間)
夫婦共に就農する場合や法人を新設する場合の特例あり
農林水産省:就農準備資金・経営開始資金

2.農業機械や設備の導入ができる補助金

農業機械や設備の導入を検討している農業者におすすめの補助金です。

地域農業の発展や担い手の育成を支援し、最新技術や機械の導入をサポートします。
特に、経営規模の拡大や効率化を目指す農業者にとって、設備投資を行う絶好の機会です。

強い農業・担い手づくり総合支援交付金

地域農業の発展や担い手の育成を支援する補助金制度です。
支援内容が異なる以下2つのタイプを選択します。

先進的農業経営確立支援タイプ

先進的農業経営確立支援タイプでは、より高い目標を持ち、農業経営者が主体的に取り組む活動や、地域と一緒に発展を目指す取り組み、さらには事業の拡大を図ろうとする農業経営者を支援します。
融資主体型補助事業
実質化された人・農地プランに位置付けられた中心経営体、農地中間管理機構から賃借権の設定等を受けた者等が融資を受け、農業用機械・施設を導入する際の融資残について支援します。
補助率
事業費の10分の3以内、補助上限額:個人1,000万円、法人1,500万円
併せて、融資の円滑化等を図るため、農業信用基金協会への補助金の積増しによる金融機関への債務保証を支援します(補助率:定額)。

地域担い手育成支援タイプ

地域の農業を担い、経営の発展に取り組む農業経営者に対して支援を行います。
融資主体型補助事業
地域農業の中心的な経営者や、土地を借りて農業を行う人が、農業用機械や施設を購入する際に必要な融資の一部を支援します。
補助率
費用の30%以内、上限額:300万円
また、ロボット技術やICT機械の導入、中山間地域での集約型農業経営を行う人たちの経営発展も支援します。
さらに、金融機関からの融資を受けやすくするため、農業信用基金協会への補助金を増やし、金融機関に対する債務保証も支援します(補助率:定額)。
条件不利地域型補助事業
規模が小さく経営が難しい地域で、意欲的に経営に取り組む農業者が共同で使用する機械や施設の導入を支援します。
補助率
費用の50%以内

強い農業・担い手づくり総合支援交付金

3.農産物の生産技術・生産性向上ができる補助金

生産技術の向上や生産性を高めたい農業者に最適な補助金です。
農地の整備や耕作条件の改善を通じて、持続可能な農業経営を支援します。
さらに、高収益作物への転換やスマート農業技術の導入もサポート。農業の競争力を強化したい方におすすめです。

(1)農地耕作条件改善事業

農地耕作条件改善事業は、農地の効率的な利用と持続可能な農業経営を支援するために設けられた事業です。この事業は、地域の農業生産性を向上させるために、農地の整備や条件改善を行うことを目的としています。
具体的には、以下の取り組みが支援されます。

地域内農地集積型

農地の区画拡大や暗渠排水などを通じて、農地の利用効率を高め、地域内での農地集積を促進する型です。この型では、農地の整備や耕作条件の改善が重点的に行われます。
主な支援内容
区画拡大、暗渠排水、農作業道の整備など。
補助額・補助率
区画拡大(定額助成単価:25万円/10a)
暗渠排水(定額助成単価:19万円/10a)
農作業道の整備など

高収益作物転換型

収益性の高い作物への転換を促進するための支援型です。農業者が高収益作物への転換を図る際に必要な計画策定や高付加価値農業施設の設置を支援します。
主な支援内容
高収益作物転換プランの作成、技術指導、農業機械のリースなど。
補助率
平地:定率助成50%
中山間地域:定率助成55%

スマート農業導入推進型

スマート農業技術の導入を支援する型です。GNSS基地局の設置や自動操舵システムの導入など、先進的な省力化技術を農業に取り入れ、生産性と効率を向上させます。
労働力の不足に対応し、農業の効率化を推進します。
主な支援内容
GNSS基地局の設置、自動操舵システムの導入など。
補助率
平地:定率助成50%
中山間地域:定率助成55%

病害虫対策型

病害虫の発生予防とまん延防止を目的とした支援型です。土層改良や排水対策を通じて、地域農業に対する病害虫の影響を最小限に抑えることを目指します。
主な支援内容
土層改良、排水施設の整備、客土・反転耕など。
補助額・補助率
定額助成(単価例:反転耕 35万円/10a、明渠排水 1.5万円/100m)

水田貯留機能向上型

水田の雨水貯留機能を向上させるための支援型です。これにより、田んぼダムの実施に必要な基盤整備が支援され、水資源の管理と有効活用を促進します。
主な支援内容
田んぼダムの実施に向けた畦畔の更新や排水桝の設置など。
補助額・補助率
田んぼダムの整備費用(単年度あたり300万円まで)定額助成

土地利用調整型

多様で持続可能な農地利用を実現するための支援型です。農地のゾーニングや交換分合、基盤整備を通じて、計画的な土地利用を推進します。
主な支援内容
土層改良、明渠排水、農作業道の整備など。これらは、定率助成および定額助成が提供されます。
補助額・補助率
田んぼダムの整備費用(単年度あたり300万円まで)定額助成


これらの補助金・支援内容は、農地耕作条件改善事業の一環として提供されており、それぞれが異なる側面から農業の効率化や生産性の向上を支援しています。
詳細は、以下の資料をご覧ください!
農地耕作条件改善事業 資料

(2)ものづくり補助金

ものづくり補助金は、農業者が直面するさまざまな制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など)に対応し、今後の農業経営を強化するための支援策です。

この補助金は、農業も採択事例が多く、たとえば革新的な農業技術の開発、新たな農産物や加工品の試作、そして生産プロセスの改善を行うための設備投資をサポートします。
具体的には、効率的な農業機械の導入や生産ラインの改善、新技術の導入による生産性向上を目指す際に、その費用の一部を支援します。
農業の現場でも、この補助金を活用して生産性を高め、新たな収益源を開拓することが可能です。

補助額・補助率

最大1億円 補助率1/2
※現在令和5年度補正予算分の公募は終了しています。
今後、あたらしい公募の情報が公開されましたら追記します。

ものづくり補助金のくわしい内容は、以下のコラムでご紹介しています!

ものづくり補助金2024を専門家が徹底解説してみた

ものづくり補助金公式サイト

(3)IT導入補助金

IT導入補助金は、事業者の効率化や生産性向上を支援するために、ITツールの導入を促進するための補助金です。
農業者が抱えるさまざまな経営課題を解決するために、IT技術の導入をサポートします。

特に2024年度では、インボイス制度に対応するためのITツール導入への支援が強化されています。

対象となるITツール

対象となるITツールは、業務効率化、生産性向上、セキュリティ対策などに役立つソフトウェアやサービスです。
具体的には、会計ソフト、顧客管理システム、在庫管理システム、ECサイト構築ツールなどが含まれます。
また、ソフトウェアとあわせて導入することで、パソコンやタブレットなどのハードウェアも補助の対象になります。

補助額・補助率

補助上限額は最大450万円で、導入するソフトの1/2~4/5補助してもらえます。

IT導入補助金の概要は、以下のコラムでわかりやすく解説しています!

IT導入補助金2024を専門家が徹底解説してみた

IT導入補助金2024公式サイト

4.農産物の販路拡大ができる補助金

新たな販路開拓や農産物の改良を目指す農業者に適した補助金です。
経営計画に基づき、販売戦略の策定や商品の改良・開発を支援します。

特に、初めて補助金を利用する農業者や、小規模な農家にとって、販路拡大のチャンスをつかむための有力な手段となります。

小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者持続化補助金」とは、持続的な農業経営を実現するために、政府や地方自治体が実施している支援策です。

この補助金制度は、農業者が自ら作成した経営計画に基づき、新たな販路の開拓や農産物の商品改良・開発に取り組む際に、その費用の一部を支援します。
※ただし、系統出荷のみの農業者は対象外です。(系統出荷とは、JAなどにのみ野菜や果物を納めている農業者のこと)

『販路開拓のための』という要件がありますが、個人経営の農家や小規模農業者にとっても比較的利用しやすく、初めて補助金を利用する方にもおすすめの制度です。

具体的には、新たな市場への参入を目指して販売戦略を立てたり、消費者ニーズに応じて農産物や加工品の改良・開発を行ったりする場合に支援を受けることができます。
補助金は、こうした取り組みに必要な経費の一部を補助する形で支給されます。

補助額

最大250万円
小規模事業者持続化補助金の公式サイト

補助金を活用する際の注意点

補助金を活用する際には、注意点があります。
特に申請書の記載内容には注意が必要です。不備があると申請が通らないだけでなく、誤った情報を記載すると、後にトラブルが発生する可能性があります。

事前に必要な情報を正確に収集し、申請書に正確に反映させることが求められます。

補助金を上手に活用するためには

補助金を効果的に活用するためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
まず、事前に十分な準備を行うことです。
補助金の申請には詳細な計画書や見積もりが必要ですので、事前にしっかりとした事業計画を立てておくことが成功のカギとなります。

また、その補助金の過去の採択事例を参考にすることも有効です。

同じ補助金を活用した他の農業者の成功事例を調べ、それらのノウハウを活かすことで、効果的な事業展開が可能になります。
たとえば、どのような設備投資が効果的だったのか、どのようなITツールが実際に導入されているのかなど、具体的な事例から学ぶことが多いでしょう。

ものづくり補助金の採択事例を読んでみる!
事業再構築補助金の採択事例を読んでみる!
小規模事業者持続化補助金の採択事例を読んでみる!

さらに、自治体や専門機関への相談も重要です。補助金の申請は複雑な場合が多く、専門的な知識が必要です。自治体や補助金に詳しい専門機関に相談することで、適切なアドバイスを受けることができます。また、これらの機関は、申請書のチェックやアドバイスを行ってくれる場合も多いので、積極的に利用するとよいでしょう。

弊社は、補助金のサポート実績が2,000件以上ある経済産業省の認定支援機関です。
農業の事業者様からの補助金相談を承っています!質問・疑問などお気軽にお問い合わせください!

補助金のご相談はこちら!

まとめ

2024年には、農業者が利用できる多くの補助金があり、それぞれのニーズに応じた支援が提供されています。
これらの補助金を上手に活用することで、新たな技術や設備を導入し、生産性の向上や販路拡大を実現することが可能です。

補助金の申請には注意が必要ですが、適切な計画と準備を行うことで、農業経営の強化に大きく貢献します。

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