新事業進出補助金の申請の流れを7ステップで解説
新事業進出補助金の申請の流れを7ステップで解説します。申請準備から補助金受取までの流れや必要書類、注意点まで網羅。新事業進出補助金の活用を検討中の方はぜひご活用ください。


補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
新事業進出補助金とは?
「新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進補助金)」は、2025年(令和7年度)に創設された新しい補助制度です。
中小企業等が既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出に挑戦する際、その初期投資(機械設備・建物費など)を支援することを目的としています。
この補助金は、単なる改良や拡大ではなく「これまで行ってこなかった事業領域への挑戦」を前提とした制度であり、企業の成長・付加価値向上・賃上げにつながる取り組みが評価されます。
対象となる事業例(事業のイメージ)
金属加工会社が、半導体製造装置部品の製造へ新規参入
医療機器メーカーが、新たに蒸留所を建設してウイスキー製造を開始
印刷業者が、自社のデザイン力を活かしてアパレルブランドを立ち上げ
上記のような業種転換・新製品開発・新市場開拓が対象となり、既存顧客層とは異なる市場をターゲットにした事業である必要があります。
補助対象者
以下のいずれかに該当し、日本国内に本社と事業実施場所がある中小企業等が対象です。
中小企業基本法に定められた中小企業者(資本金・従業員数が一定以下)
個人事業主
NPO法人、社団法人、財団法人など一部の非営利法人(条件あり)
組合、特定事業者、対象リース会社 など
※従業員ゼロや創業1年未満の事業者は対象外です。
補助上限額・補助率
従業員数 | 通常の補助上限額 | 賃上げ特例時の補助上限額 | 補助率 |
20人以下 | 2,500万円 | 3,000万円 | 1/2 |
21~50人 | 4,000万円 | 5,000万円 | |
51~100人 | 5,500万円 | 7,000万円 | |
101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
※補助対象経費が750万円以上であることが条件です。
補助対象経費
補助金の対象となるのは、新事業に必要な初期投資。具体的には以下の費用が該当します:
機械装置・システム構築費
建物費、構築物費
技術導入費、専門家経費
運搬費
クラウドサービス利用費
外注費
広告宣伝・販売促進費
知的財産権等関連経費
収益納付は不要
従来の補助金では、補助で取得した設備により得た利益に対して「収益納付(収益の一部返還)」が必要な場合もありましたが、本補助金では収益納付は不要とされています。
これにより、申請ハードルが下がり、収益性の高い事業でも利用しやすくなっています。
申請の基本要件(事業計画に盛り込むべき内容)
補助金の申請にあたっては、以下5つの要件をすべて満たす3~5年の事業計画が必要です。
新事業進出要件:製品・市場に新規性があり、売上または付加価値の10〜15%を占める見込み
付加価値額要件:年平均成長率4.0%以上
賃上げ要件:給与支給総額の年平均2.5%以上、または都道府県最低賃金成長率以上
事業所内最低賃金要件:地域の最低賃金+30円以上
ワークライフバランス要件:「一般事業主行動計画」の策定と公表(すべての事業者)
新事業進出補助金のスケジュール感
新事業進出補助金は、申請から補助金の受け取りまで少なくとも1年以上かかる制度です。
スケジュール全体を把握し、各フェーズに合わせて逆算して準備を進めましょう。
新事業進出補助金の注意点
採択後のトラブルを避けるために、以下4つの注意点をおさえましょう。
「採択=補助金がすぐもらえる」ではない
実績報告を提出しなければ補助金は支払われない
補助金受領後も「5年間の事業化状況報告」が義務
申請準備には最低でも10日〜2週間かかることを想定すべき
1. 「採択=補助金がすぐもらえる」ではない
補助金は「後払い(精算払い方式)」です。採択された直後に補助金が振り込まれることはなく、以下のステップを経る必要があります。
採択後、交付申請書と必要書類を提出
中小機構による審査を経て「交付決定通知」を受領
交付決定日以降に契約・発注・支出を実施(これ以前の支出は補助対象外)
補助事業完了後、実績報告書・証憑書類を提出
確定検査後、精算額が認定されて初めて補助金が支払われます
※交付決定前に契約や発注を行った経費は、補助対象外となります。
2. 実績報告を提出しなければ補助金は支払われない
補助事業が完了したら、30日以内または完了期限日のいずれか早い日までに実績報告書の提出が義務付けられています。
提出がない場合、交付決定が取り消され、補助金を受け取れなくなります。
報告に必要な主な書類:
請求書、納品書、支払証明(銀行振込明細など)
完成写真(設備導入等がある場合)
契約書・見積書等
3. 補助金受領後も「5年間の事業化状況報告」が義務
補助金を受け取ったあとは、補助事業完了年度の終了後を初回として5年間、年1回の「事業化状況報告」が義務づけられています。
報告内容には、付加価値・賃金・売上などの達成状況が含まれます
未達成が確認された場合は、交付額を上限に一部返還が命じられる場合があります。
【補助金返還の主な条件】
給与支給総額や一人あたり賃金の目標値を未達成
地域最低賃金+30円の水準を維持できていない
計画期間中の過半数年度が営業赤字かつ付加価値も増加していない
4. 申請準備には最低でも10日〜2週間かかることを想定すべき
新事業進出補助金の申請には、事前に整えておくべき必須要件が複数あります。
特に以下の2つは、準備から登録完了までに最短でも10日〜2週間程度かかる
項目 | 所要期間の目安 | 補足 |
|---|---|---|
GビズIDプライムの取得 | 約7~10日 | 書類不備や申請混雑時は、さらに時間がかかる場合あり |
一般事業主行動計画の策定・公表(「両立支援のひろば」登録) | 約10日~14日 | 内容確認や公開手続きのため、審査・反映まで時間を要する |
どちらも公募要領上、申請時点での取得・公表が必須条件とされており、「間に合わないから後出し」という対応は認められていません。
余裕を持って準備を始めないと、申請資格そのものを失う可能性があるため、スケジュールには注意が必要です。
新事業進出補助金の申請に必要な書類
新事業進出補助金の申請はJグランツ(電子申請システム)を通じて完全オンラインで行われます。
必要書類の準備や事前登録ができていないと、期限内であっても申請そのものが完了できないため、早めに準備を整えることが重要です。
以下は、令和7年度第1回公募において求められる主な提出書類です。
必須書類一覧(Jグランツでの申請時にアップロード)
書類名 | 内容/目的 |
|---|---|
事業計画書(指定様式) | 補助事業の内容・新規性・付加価値・賃上げ・KPI等を記載(3〜5年の中期計画) |
直近2期分の決算書 | 貸借対照表・損益計算書・販売管理費明細・法人事業概況説明書など(個人事業主は収支内訳書等) |
見積書・カタログ等 | 補助対象経費の金額妥当性を証明するために必要(2社以上からの取得が望ましい) |
賃金台帳または労働条件通知書 | 最低賃金+30円の達成状況を証明 |
「両立支援のひろば」に登録済の行動計画(URLまたは画面キャプチャ) | ワークライフバランス推進要件として全事業者に必須 |
SECURITY ACTION(一つ星または二つ星)の宣言ID | セキュリティ対策実施企業であることを証明(IPAサイトで無料取得可) |
GビズIDプライムアカウント情報 | Jグランツへのログインに必須。取得まで約1週間かかる |
履歴事項全部証明書(法人)/開業届(個人) | 申請者の実在証明、代表者の確認等に使用 |
状況に応じて必要な追加書類
賃上げ特例の適用を希望する場合:給与支給総額の引上げ計画書・根拠資料
グループ申請の場合:代表事業者と構成員の関係を証明する書類
既存設備との関連がある場合:既設設備の内容説明・写真・稼働実績など
提出形式と注意点
提出はすべてPDF形式でJグランツにアップロード
ファイル名・形式に指定があるため、事務局マニュアルを必ず確認
1つでも書類が欠けると申請エラーや不備通知の対象になるため注意
新事業進出補助金は、申請段階での書類の網羅性・正確性が重要な審査要素となります。
とくに以下の書類は取得・作成に時間がかかるため、申請を検討した時点で準備を始めておくのが望ましいです。
GビズIDプライム(取得:約1週間)
SECURITY ACTION宣言(即日〜数日)
行動計画の策定・公表(約10日〜2週間)
これらを踏まえて、余裕を持ったスケジュールと、正確な書類準備を心がけましょう。
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監修者からのワンポイントアドバイス
新事業進出補助金の申請要件としてワークライフバランス推進要件があります。全事業者が必須の要件ですが、申請して受理されるのに時間がかかります。そのため本補助金の申請を検討されている方は早めに準備する必要があります。
