【2025年版】空き家の解体に使える補助金は?
空き家を解体せずに放置していると、税金面でも負担がかかる場合があります。とはいえ、費用を考えるとどうしても解体に踏み切れない方も多いでしょう。実は自治体によっては、空き家の解体に個人が使える補助金があります。本コラムでは空き家の解体に使える補助金の概要や申請の流れ、おすすめの土地活用方法について分かりやすく解説します!

この記事を監修した専門家

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
なぜ今、空き家を解体したい人が増えてるの?
近年、全国で空き家の数が増加し、社会問題となっています。総務省の調査によれば、全国の空き家は約849万戸にも上り、過去最多を記録しました。特に築年数の古い物件では、老朽化が進み、倒壊の危険性や周辺住民への悪影響が懸念されるケースも少なくありません。
「もう使う予定がない」「相続したが管理できない」といった理由で放置される空き家が多い一方で、解体費用が高額(100万円〜300万円)になることから、手が出せない人も多いのが現状です。
そこで今、注目を集めているのが、各自治体が提供する「空き家解体の補助金制度」です。適切な手続きを踏めば、費用の一部を公的に支援してもらえる可能性があり、「どうせなら補助金を使って賢く解体したい」という声が高まっています。
空き家解体には補助金が使える!
空き家の解体には、各自治体が実施する補助金制度を活用することが可能です。
これは、増え続ける空き家問題への対策として、地方自治体が独自に設けている制度で、老朽化した住宅や倒壊の恐れがある建物の撤去費用を一部負担してもらえるのが特徴です。補助金の上限額は地域によって異なりますが、30万円〜100万円程度の支援を受けられる自治体が多く、場合によっては解体費用の半額近くをカバーできることもあります。
補助対象となるのは「一定期間使われていない住宅」や「危険と判断された老朽家屋」などに限られるため、申請条件を事前にしっかり確認しましょう。また、補助金は原則として“事前申請が必要”です。解体後に申請しても対象外となるケースがあるため、まずは自治体の空き家対策窓口や公式ホームページで制度の内容を確認しましょう。
【補助金の種類】国・自治体の補助金の違いと特徴
空き家の解体に使える補助金には、大きく分けて「自治体独自の補助金」と「国の制度を活用した補助金」の2種類があります。どちらも申請先は自治体ですが、制度の成り立ちや支給額、条件に違いがあります。
種類 | 概要 | 支給額の目安 | 対象条件 |
自治体独自の補助金 | 地域ごとの空き家対策事業として実施される | 30万〜100万円程度 | 所有者・相続人・利用予定者など |
国の制度支援(交付金) | 地方創生・移住促進目的で交付金を市町村へ交付 | 市町村の判断で設定 | 直接の申請窓口は各自治体 |
多くの場合、実際に住民が申請・利用するのは「自治体独自の補助金制度」です。これには、地域の空き家を減らすことや、土地の有効活用を促す目的があり、特に老朽化が進んだ住宅や、近隣への影響が懸念される物件が対象となりやすい傾向にあります。
一方で、制度の財源には、国が地方自治体に交付している「地方創生推進交付金」や「空き家対策関連交付金」などが使われており、国も裏側から制度を支えている形です。
つまり、補助金は“国が支援し、自治体が運用している”と考えるとよいでしょう。なお、補助金の金額や申請条件、対象となる建物の基準は自治体によって異なるため、必ず各自治体の公式情報を確認してから手続きを進めることが大切です。
【条件】補助金を受けるための主な条件とは?
空き家の解体に補助金を利用するには、いくつかの共通した条件を満たす必要があります。自治体ごとに細かな違いはありますが、以下のようなポイントがよく見られる条件です。
- 解体後の活用計画があること
- 老朽化や危険性が確認されていること
- 相続登記や名義変更が完了していること
- 地元業者を利用することが条件のケースも
- 一定期間使用されていない「空き家」であること
1.解体後の活用計画があること
ただ取り壊すだけでなく、更地として売却・駐車場にする・建て替えるなど、今後の利活用が予定されていることが求められることがあります。地域活性化の観点から、将来的な用途が重視されます。
2.老朽化や危険性が確認されていること
建物の構造に問題があり、倒壊や落下物の危険があると判断される「危険空き家」や「特定空き家」は優先的に補助対象となります。現地調査や図面、築年数の確認が必要になる場合があります。
3.相続登記や名義変更が完了していること
補助金の申請には、その建物や土地の正式な所有者であることを証明する必要があります。相続した場合は、登記手続きを完了してからでないと申請できないケースが大半です。
4.地元業者を利用することが条件のケースも
地域経済への波及効果を意識し、自治体が指定する業者、または地元に本社を置く業者に限って補助対象とする制度もあります。業者選定前に、対象かどうかを必ず確認しましょう。
5.一定期間使用されていない「空き家」であること
原則として、住宅として1年以上使用されていない建物が対象になります。自治体によっては、空き家であることを示す写真や電気・水道の使用状況の提出を求められることもあります。
【金額】空き家解体にかかる費用と補助金でどこまでまかなえる?
空き家を解体するには、建物の構造や広さに応じて数十万円〜数百万円の費用が発生します。一般的な費用相場は以下の通りです。
建物の種類 | 解体費用の目安 |
木造住宅(約30坪) | 約100万円〜150万円程度 |
鉄骨造・RC造 | 約150万円〜300万円程度 |
木造住宅であっても、立地(重機が入れない・狭小地など)や付帯工事の有無(土間撤去、残置物処分など)によって費用が大きく変動する場合があります。これに対し、補助金でカバーできる金額は上限30〜100万円程度が一般的です(自治体によって異なります)。
つまり、全額が補助されるわけではなく、自己負担が必要になることを前提に計画を立てることが重要です。また、多くの補助制度では「事前申請・事前審査」が必須となっており、解体工事の契約や着工後では補助対象外となることがあるため注意が必要です。
空き家解体補助金の注意点!
「解体したいけど、お金がない。補助金で全額まかなえないの?」という声は多く聞かれますが、“お金がない”という理由だけでは、補助金の対象にはならないのが現実です。実際には、多くの自治体で補助金は“支援の一部”という位置づけとなっており、あくまで所有者が主体的に解体費用を負担することが前提です。
つまり、「お金がない=全額補助される」というのは誤解です。また、所得制限を設けている自治体もありますが、それは「高所得者には出ない」ケースであって、「低所得なら全額出る」という意味ではありません。補助額の上限は決まっており、自己負担が必要なことがほとんどです。
ただし、自治体によっては、生活保護受給者や災害で被害を受けた建物の所有者に対して、別枠の支援制度を設けていることもあります。こうした制度の対象となる場合は、別途相談が可能です。補助金はあくまでも“自助を促すための公的サポート”であることを理解したうえで、申請条件や金額、自己負担の範囲を確認しておくことが大切です。
空き家解体に使える補助金情報の調べ方
空き家解体補助金は、国の制度ではなく各市区町村が独自に実施しているため、地域によって内容が大きく異なります。
そのため、「自分の自治体には補助金制度があるのか」「申請条件は何か」を必ず自分で調べる必要があります。
ここでは、補助金情報を確実に見つけるための基本的な調べ方をご紹介します。
- 自治体名+「空き家 解体 補助金」で検索する
- 自治体の空き家対策ページを探す
- 制度の名称にバリエーションがあることに注意する
- 自治体窓口に直接問い合わせる
- 補助金ポータルサイトを活用する
1. 自治体名+「空き家 解体 補助金」で検索する
まずは、Googleなどの検索エンジンで「◯◯市 空き家 解体 補助金」などのキーワードで調べましょう。
多くの自治体は公式ホームページ上に補助金制度のページを設けており、「募集要項」「申請書類」「相談窓口」などがまとめられています。
2. 自治体の空き家対策ページを探す
自治体ホームページ内で、「空き家対策課」や「住宅政策課」といった所管部署のページを直接確認するのも有効です。
特に都市部では、「特定空家等対策」「老朽空き家解体支援」など、複数の補助制度が設けられていることがあります。
3. 制度の名称にバリエーションがあることに注意する
「空き家解体補助金」という名称はあくまで通称で、実際は以下のような名前で掲載されていることがあります。
- 「老朽危険空き家除却補助金」
- 「特定空家等除却促進事業」
- 「空き家活用促進事業補助金」
そのため、「空き家」「除却」「老朽」など複数のキーワードでも検索するのがコツです。
4. 自治体窓口に直接問い合わせる
公式サイトに情報が掲載されていない場合でも、電話やメールで窓口に直接確認することが可能です。
「補助制度がないと思っていたら、実は年度途中で新設されたばかりだった」というケースもあるため、一度は問い合わせてみることをおすすめします。
5. 補助金サイトなどを活用する
最近では、空き家対策や補助金に特化した政府のサイトや民間のポータルサイトも増えています。
このようなサイトを活用すると、都道府県・市区町村ごとの制度概要が一覧で確認できる場合があります。
ただし、情報の更新頻度や正確性にはばらつきがあるため、最終的には自治体の公式情報で確認するのが安心です。
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空き家解体補助金のよくある質問
Q1. 空き家の解体に国は補助金を出しているのですか?
A. 国が直接お金を出す制度はありませんが、市区町村が国の交付金を活用して補助金制度を設けているケースが多いです。
つまり、実際に補助金を申請するのは、お住まいの市区町村の窓口(例:空き家対策室や都市整備課)です。必ず自治体の公式サイトや窓口で制度の有無を確認しましょう。
Q2. 空き家を取り壊すとき、補助金はいくらもらえますか?
A. 自治体によって金額は異なりますが、一般的には30万〜100万円程度が上限です。
補助率(解体費用のうち何%が対象か)や上限額は自治体ごとに設定されているため、見積もりを取る前に条件を確認することが大切です。
Q3. 解体したいけど、お金がなくて困っています。どうしたらいいですか?
A. 補助金の活用に加えて、分割払いやローンに対応した解体業者もあります。
また、相続放棄・空き家バンクへの登録・土地ごとの売却など、費用負担を軽くする方法も検討しましょう。
生活保護や災害による損壊があった場合は、別の支援制度が使えることもあります。
Q4. 空き家を解体すると固定資産税が上がると聞いたのですが?
A. はい。住宅がなくなると「住宅用地の特例」がなくなり、固定資産税が最大で6倍程度に上がることがあります。そのため、解体後は更地としての活用方法(駐車場、アパート建設、売却など)もあわせて考えることが大切です。
まとめ
空き家を放置すると、倒壊や近隣トラブル、税金の負担増といったリスクが高まります。とはいえ、解体には高額な費用がかかるため、簡単に決断できないのが現実です。
そこで活用したいのが、自治体の「空き家解体補助金」制度です。補助金を使えば、費用の一部を軽減でき、さらに地域の防災・美観にも貢献できます。
ただし、補助金には「事前申請が必要」「条件を満たす必要がある」などの注意点もあるため、まずはお住まいの自治体に相談することから始めましょう。
空き家を資産として活かすためにも、補助制度を上手に使って、計画的な解体と活用を検討してみてください。