「長期優良住宅」とは?
「長期優良住宅」とは、数世代にわたって良好な環境を維持し、暮らすことのできる住宅のことを言います。
一戸建てと共同住宅のどちらも基準を満たせば「長期優良住宅」と認定されます。
「長期優良住宅」の基準(戸建て住宅の場合)は、以下の8つです。
これらすべてを満たす必要があります。
共同住宅の場合はこれらの基準に加えて可変性とバリアフリー性が必要になります。
- 耐震性
- 居住環境
- 災害配慮
- 住戸面積
- 劣化対策
- 維持保全計画
- 省エネルギー性
- 維持管理・更新の容易性
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「長期優良住宅」適用のお得な制度5つ!
「長期優良住宅」適用のお得な制度を5つ紹介します。
これから建てる予定の方、自宅を長期優良仕様にリフォームする予定の方、必見です!
■「長期優良住宅」適用の制度
- 減税
- 補助金
- 贈与税の非課税
- 地震保険料の割引き
- 住宅ローンの金利引き下げ
(1)減税
「長期優良住宅」に適用される減税制度以下5つです。
- 所得税の投資型減税
- 登録免許税の引き下げ
- 所得税の住宅ローン減税
- 不動産取得税の控除額の増額
- 固定資産税の減額期間の延長
(1)所得税の投資型減税
投資型減税とは、住宅ローンを利用せず、自己資金のみで一定のレベル以上の認定長期優良住宅等の省エネ住宅を購入する人が使える制度です。
控除額は標準的な性能強化費用相当額の10%(上限65万円)です。
一方、住宅ローンを利用する人は「住宅ローン減税」という制度を利用して減税できます。
投資型減税はローンを利用せずに自己資金のみで住宅を購入・建築する場合に利用する制度のため、住宅ローン減税との併用はできません。
また、新築の他リフォーム費用に対しても適用となる場合もあります。
■投資型減税と住宅ローン減税の違い
ローンの有無 | 住宅ローン減税 | 投資型減税 | |
通常の住宅 | あり | 〇 | 〇※ |
なし | × | 〇 | |
長期優良住宅 | あり | 〇 | × |
なし | × | × |
※投資型減税と住宅ローン減税を同時に受けることはできません。
入居した翌年3月15日までに確定申告を行う時(入居した年の翌年)に、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に必要書類を提出する必要があります。
■適用を受けるための主な要件
- 床面積が50㎡以上あること
- 合計所得金額が3,000万円以下であること
- その者が所有しかつ主として居住の用に供する家屋であること
- 店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
- 住宅の引渡しまたは工事完了から6ヶ月以内に居住の用に供すること
■適用を受けるために必要なもの
確定申告の際、以下の書類を税務署に提出してください。
- 計算明細書
- 登記事項証明書
- 認定長期優良住宅建築証明書
- 長期優良住宅認定通知書の写し
- 請負契約書又は売買契約書の写し
■ポイント
- 住宅ローン減税との併用は不可
- 自分で確定申告する必要がある
- 性能強化にかかった費用(最大650万円)の10%を所得税から控除
(2)登録免許税の引き下げ
登録免許税とは、法務局に土地や建物の所有権を登録する時にかかる税金のことです。
登録免許税は、土地を相続したときや売買によって建物の所有者が変わった時等にも発生します。
新築購入の場合は保存登記、中古住宅購入の場合は移転登記です。
長期優良住宅の場合、保存登記と移転登記それぞれの税率が引き下げられます。
■税率
通常の住宅 | 長期優良住宅 | |
新築(保存登記) | 0.15% | 0.1% |
中古(移転登記) | 0.3% | 0.2% |
■適用を受けるための主な要件
- 床面積が50㎡以上あること
- その者が主として居住の用に供する家屋であること
- 住宅の新築又は取得から1年以内に登記をすること
■適用を受けるために必要なもの
- 登記を行う際に市区町村が発行する住宅用家屋証明書
■ポイント
- 新築購入と中古購入の場合では登録免除税の登記の種類が違う
- 長期優良住宅の場合は、新築・中古どちらでも税率引き下げられる
- 登録免許税の支払いは最初に最寄りの税務署で納付書を作成してもらい、銀行や管轄区域の税務署、郵便局で登録免許税を納付する
(3)所得税の住宅ローン減税
住宅ローン控除とは、住宅の購入やリフォームのために住宅ローンを利用した人の税金が安くなる制度です。
長期優良住宅の場合、最長13年間所得税や住民税が減税されます。
また、借入限度額も通常の住宅よりも1,000万円以上上がります。
出典:認定長期優良住宅に対する税の特例
■適用を受けるための主な要件
- 床面積が50㎡以上あること ※
- 借入金の償還期間が10年以上あること
- 合計所得金額が2,000万円以下であること
- その者が所有しかつ主として居住の用に供する家屋であること
- 店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
- 住宅の引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に居住の用に供すること
※ 2023年までに建築確認を受けて住宅を新築又は2023年までに建築確認を受けた未入居の住宅を取得し、合計所得金額が1,000万円以下の場合、40㎡以上50㎡未満でも対象
■適用を受けるために必要なもの
確定申告の際、以下の書類を税務署に提出してください。
- 計算明細書
- 年末残高証明書
- 登記事項証明書
- 請負契約書または売買契約書の写し
■ポイント
- 控除を受ける最初の年分は自分で確定申告する必要がある ※
- 長期優良住宅の住宅ローンは、通常住宅のより借入限度額や控除期間が優遇される
※申告に必要な書類や手続きは国税庁HPから確認できます。
4万円定額減税、住宅ローン控除への影響は?
(4)不動産取得税の控除額の増額
不動産取得税とは、土地や建物等の不動産を取得したときに課される税金です。
土地や建物の購入や贈与、建築等をしたときにかかります。
新築住宅に係る不動産取得税について、課税標準からの控除額が一般住宅特例より増額されます。
通常の住宅 | 長期優良住宅 |
1,200万円 | 1,300万円 |
■適用を受けるための主な要件
- 床面積が50㎡以上240㎡以下であること
- 都道府県の条例で定めるところにより申告をすること
■適用を受けるために必要なもの
- 申告書 ※
- 長期優良住宅の認定通知書
※申請先はお住まいの地域によって異なります。お住まいの地域の県税事務所や都税事務所でご確認ください。
■ポイント
- 長期優良住宅であれば不動産取得税の控除額が増額される
- 不動産所得税はお住まいの都道府県の条例に従い、その都道府県の税事務所に収める
(5)固定資産税の減額期間の延長
固定資産税は、固定資産とされる土地・家屋等に対して課せられる税金で地方税のひとつです。
長期優良住宅の場合、新築住宅に係る固定資産税の減額措置の適用期間が一般住宅より延長されます。
通常の住宅 | 長期優良住宅 | |
戸建て | 3年間 1/2 | 5年間 1/2 |
マンション | 5年間 1/2 | 7年間 1/2 |
■適用を受けるための主な要件
- 床面積が50㎡以上280㎡以下であること
■適用を受けるために必要なもの
- 申告書
- 長期優良住宅の認定通知書(またはその写し)
■ポイント
- 長期優良住宅であれば固定資産税の減額期間が延長される
- 長期優良住宅でも戸建またはマンションで適用期間が違う
- 固定資産税の申請先は地域によって違うためお住まいの地域の県税事務所や都税事務所で確認する
(3)補助金
長期優良住宅に使える補助金は以下2つです。
・地域型住宅グリーン化事業
・長期優良住宅化リフォーム事業
地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業は、省エネルギーや耐久性・耐震性に優れた木造住宅の拡大や、地域の木造住宅市場の振興による地域経済の活性化を目的とした補助金です。
長期優良住宅の建築や整備に本事業が使えます。
本補助金は、地域の木造住宅市場の振興による地域経済の活性化を目的としているため、国から認定された地域の中小工務店に建築を依頼する場合のみ補助が受けられます。
そのため、全国規模の大手ハウスメーカーに建築を依頼する場合は、地域型住宅グリーン事業は適用されません。
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補助額 | 補助率 | 補助対象経費 |
140万円/戸 | 補助対象経費の1割以内 | 建築費や電気・ガス・給排水設備の工事費 |
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※令和6年度のサイトは現段階で未公開(2024年4月4日現在)
■ポイント
- 長期優良住宅の認定申請と補助金申請は建築会社に依頼できる
- 地域型住宅グリーン化事業の補助金を受けるには、国から認定された地域の中小工務店に建築を依頼する必要がある
長期優良住宅化リフォーム事業
長期優良住宅化リフォーム事業は、既存の住宅を長期優良の仕様にリフォームする際に補助金が出る制度です。
本事業には評価基準型と認定長期優良型という2種類があります。
後者の方が認定基準が高いため、補助額も高くなります。
補助額 | 補助率 | 補助対象経費 | |
評価基準型 | 最大100万円 | 1/3 | 省エネ性能等を有する住宅(省エネ基準相当)への改修工事費用 |
認定長期優良型 | 最大200万円 |
以下の要件を満たす場合は、上記の金額に+50万円補助金が加算されます。
- 子育て世代の場合
- 若者世代の場合(40歳未満)
- 三世代同居対応のための工事を行う場合
- 既存住宅を購入した場合(自ら居住する既存住宅を購入し、売買契約後1年以内に工事を実施する場合)
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※令和6年度のサイトは現段階で未公開(2024年4月4日現在)
■適用を受けるための主な要件
- リフォーム
- インスペクション(建物状況調査)※1
- 維持保全計画 ※2 およびリフォーム履歴を作成すること
※1インスペクションとは、リフォームを行う前に必要な建物状況調査のこと
※1長期にわたって住宅の優良な状態を維持し続けるための計画のこと
■適用を受けるまでの流れ
- インスペクションを行う
- 建物がどれくらい傷ついていて修繕が必要なのかを確認
- リフォームを行う
■補助が出るリフォームの内容
- インスペクションで指摘を受けたところの工事
- 三世代同居対応のための工事(キッチンや玄関の増設)
- 長期優良住宅の認定項目を満たすための住宅の性能向上工事
- 子育て世代向け改修工事(キッズスペースの設置、防犯カメラの設置、対面キッチンへの変更等)
- 防災性・レジリエンス性の向上改修工事(止水ばんの設置、瓦の交換等)
■補助金の還元方法
補助金の還元方法は2種類あります。
どのように還元されるかは、リフォームを依頼する建築会社にご確認ください。
- 工事代金から補助金部を差し引く方法
- 補助金受領後に、事業者が発注者に全額支払う方法
■ポイント
- 既存の住宅を長期優良の仕様にリフォームする際に使える
- 子育て世代の場合等、一定の基準を満たすと+50万円補助金が加算される
- 評価基準型と認定長期優良型の2種類があり、後者の方が基準が高く補助額も高い
(3)贈与税の非課税
長期優良住宅が優遇される制度として、贈与税の非課税枠の増加があります。
家を建てる際に、親等から贈与を受ける場合贈与税という税金がかかります。
贈与税には「この金額までなら、いくら贈与を受けても税金は課されない」というルールがあります。
通常の住宅の非課税枠 | 長期優良住宅の場合は非課税枠 |
500万円まで | 1,000万円まで |
■ポイント
- 長期優良住宅の場合、贈与税の非課税額が倍になる
- 家を建てる際に贈与を受ける予定がある場合、贈与額が500万円を超えそうであれば長期優良住宅の認定を受けるとお得
(4)地震保険料の割引き
長期優良住宅の場合地震保険料が割引になります。
「地震大国」と言われる日本では住宅の地震対策も必須です。
地震保険は、政府と民間の保険会社が共同で行っている保険です。
地震保険料は耐震性が高い建物ほど割引の割合が高くなります。
長期優良住宅は、長い期間優良な状態を保つためにも耐震性が高い構造であることが必須になっているため、建築の際に申請を出すことで地震保険料を安く抑えられます。
耐震等級により割引率が変わります。
■割引率
耐震等級 | 割引率 |
耐震等級2 | 30%割引 |
耐震等級3 | 50%割引 |
免震建築物 | 50%割引 |
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■ポイント
- 長期優良住宅を建てる際に申請をすれば地震保険料が安くなる
住宅の耐震補強の補助金は?大地震への備えが必要な理由
個人の防災グッズ購入に補助金が出る!
「長期優良住宅」以外の家の補助制度
長期優良住宅以外の家を建てるときに使える制度をご紹介します。
エコ住宅の補助金
長期優良住宅は、高断熱・高気密な造りで冷房や暖房などのエネルギー消費を減らせることからエコ住宅の一つです。
このエコ住宅は長期優良住宅の他にも種類があり、それぞれに活用できる補助金があります。
エコ住宅の種類 | 活用できる補助金 | 補助金の内容 |
認定低炭素住宅 | 地域型住宅グリーン化事業 | 基準を越える省エネルギー性能を持ち、CO2の排出を抑える対策がとられた住宅 |
ZEH住宅 | 地域型住宅グリーン化事業 ZEH支援事業 | 太陽光パネルを使ってエネルギーを生み出すことで、消費エネルギーがゼロになる住宅 |
LCCM住宅 | LCCM住宅整備推進事業 | 住宅の建築〜解体まででCO2の排出をマイナスにする住宅 |
➤2024年版!ZEH住宅で使える補助金は?
子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業は、子育て世帯や若者夫婦の省エネ住宅の取得を目的としています。
補助額は住宅の性能によって異なっています。
■対象となる住宅の条件
- 発注者または購入者が自ら居住する
- 対象世帯が新たに発注(工事請負契約)する
- 住戸の延べ面積が50㎡以上240㎡以下である
- 基礎工事より後の工程の工事への着手が令和5年11月2日以降である
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に基づく、土砂災害特別警戒区域または災害危険区域に立地しない
■ポイント
- 子育てエコホーム支援事業と補助対象が重複する長期優良住宅の補助金は併用できない
- 子育て世帯や若者夫婦の省エネ住宅購入・リフォームに子育てエコホーム支援事業が使える
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