2024年最新!新規事業立ち上げに利用できる補助金・助成金は?

新規事業の立ち上げには多くの資金が必要ですが、補助金・助成金を有効に活用すればコストを抑えることができます。 本コラムでは新規事業に使える国の補助金・助成金を4つ紹介します。それぞれの制度の概要や注意点、具体的な活用事例を解説します。
梅沢 博香

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2024年最新!新規事業立ち上げに利用できる補助金・助成金は?

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

新規事業立ち上げに利用できる補助金・助成金は?

新規事業立ち上げに活用できる主な国の補助金・助成金は以下4つです。

  • ものづくり補助金
  • 事業再構築補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

2024年に注目すべき新規事業立ち上げに使える補助金3選

新規事業立ち上げに使える国の補助金は以下3つです。

  1. ものづくり補助金
  2. 事業再構築補助金
  3. 小規模事業者持続化補助金

それぞれの補助金の概要と注意点、活用事例を紹介します。

1.ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業や個人事業主が新しい製品・サービスの開発や生産プロセスの効率化、生産性向上を支援するための補助金です。
たとえば、新しい機械を導入して作業を自動化する、生産性を上げるためのシステムを導入する等の際にその費用の一部が補助されます。

ものづくり補助金の概要の詳細はこちら!

ものづくり補助金にはいくつかの枠がありますが、新規事業の内容によって申請枠(または型)が異なります。
たとえば、新規事業の立ち上げに以下の枠に申請できる可能性があります。

  • 製品・サービス高付加価値化枠 通常類型
  • 製品・サービス高付加価値化枠 成長分野進出類型(DX・GX)
  • 省力化(オーダーメイド)枠

製品・サービス高付加価値化枠 通常類型

革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を支援します。

業員数補助額
5人以下100万円~750万円
6~20人100万円~1,000万円
21人以上100万円~1,250万円


企業規模補助率
中小企業1/2
小規模企業者・小規模事業者 再生事業者2/3
新型コロナ回復加速化特例


製品・サービス高付加価値化枠 成長分野進出類型(DX・GX)

今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する革新的な製品・サービス開発※の取組みに必要な設備・システム投資等を支援します。

業員数補助額
5人以下100万円~1,000万円
6~20人100万円~1,500万円
21人以上100万円~2,500万円  


企業規模補助率
中小企業2/3
小規模企業者・小規模事業者 再生事業者


省力化(オーダーメイド)枠

人手不足を解決するため、デジタル技術を使った専用設備(オーダーメイド設備)を導入し、生産やサービスの効率を高める取り組みを支援します。

業員数補助額
5人以下100万円~750万円
6~20人100万円~1,500万円
21~50人100万円~3,000万円
51~99人100万円~5,000万円
100人以上100万円~8,000万円


企業規模補助金額が1,500万円まで1,500万円を超える部分
中小企業1/21/3
小規模企業者・小規模事業者 再生事業者2/31/3

参考:18次締切ものづくり補助金公募要領

ものづくり補助金を活用する際の注意点

ものづくり補助金を活用する際の主な注意点は以下2つです。

  1. 基本要件を満たす
  2. 事前にGビズIDプライムアカウントを取得する

1.基本要件を満たす

申請には以下3つの基本要件をすべて満たす3~5年の事業計画の策定が求められます。

  1. 給与支給総額を年平均成長率(CAGR)1.5%以上増加
  2. 事業者全体の付加価値額を年平均成長率(CAGR)3%以上増加
  3. 事業場内で最も低い賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準に引上げ

なお、これらの共通申請要件に加え各枠固有の要件もあるためご注意ください。

2.事前にGビズIDプライムアカウントを取得する

申請は電子申請システムでのみ受け付けられており、申請するにはGビズIDプライムアカウントが必要です。
取得には時間がかかるため、早めに手続きを行っておきましょう。

なお、後述する事業再構築補助金と小規模事業者持続化補助金に申請する場合にもGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
GビズIDプライムアカウントの公式サイト

新規事業立ち上げの活用事例

新規事業立ち上げにものづくり補助金を活用する場合、以下のような事例が考えられます。

国際基準に準拠した部品の開発【製品・サービス高付加価値化枠 通常類型】

最新複合加工機を導入し、精密加工が可能となり国際基準に準拠した部品を開発。

補助対象となる経費
最新複合加工機の購入費用、専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェアやシステムの構築費用   など

高精度なロボットの試作機の開発【製品・サービス高付加価値化枠 成長分野進出類型(DX・GX)】

AIやセンサー等を活用した高精度な自律走行搬送ロボットの試作機を開発。

補助対象となる経費
試作機の設計や開発、検査の一部を外部に委託する際の費用、試作機の開発に必要な知的財産権や技術の導入にかかる費用 など

AIや画像判別技術を用いた自動組立ロボットの開発【省力化(オーダーメイド)枠 】

人手不足解消のため、AIや画像判別技術を用いた自動組立ロボットを開発・導入し、部品組立工程を完全自動化。

補助対象となる経費
自動組立ロボットの購入費用、開発に必要な費用、専用ソフトウェアや情報システムの購入費用 など

今後の公募の予定

ものづくり補助金は18次締切で募集は終了しており、次回締切については未発表です。
19次締切があるとすれば新しい補正予算をもとにした公募になります。(2024年9月12日現在)
ものづくり補助金の公式サイト

2.事業再構築補助金

事業再構築補助金は、中小企業や個人事業主が新しい事業分野に進出する際に支援する補助金です。
コロナ禍で影響を受けた企業が事業転換や新規事業の立ち上げに必要な設備投資の費用を一部補助します。
条件に応じて補助額は異なり、最大で1億円以上の支援が受けられます。これにより、新しい市場への挑戦が可能です。

事業再構築補助金の概要の詳細はこちら!


以下、成長分野進出枠(通常類型)の補助率と補助額です。

企業規模補助率
中小企業者等1/2
中堅企業等1/3

※大規模賃上げを行わない通常枠の場合

企業規模補助率
20人以下100万円~1,500万円
21~50人100万円~3,000万円
51~100人100万円~4,000万円
101人以上100万円~6,000万円

※大規模賃上げを行わない通常枠の場合

事業再構築補助金を活用する際の注意点

事業再構築補助金を活用する際の主な注意点は以下3つのです。

  1. 付加価値額の増加を達成する
  2. 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
  3. 事業計画は金融機関等または認定経営革新等支援機関の確認を受ける

1.付加価値額の増加を達成する

補助金を受けた事業が終わった後、3〜5年以内に、以下2点の条件を満たす必要があります。

  1. 企業全体の付加価値額(売上から経費を引いた利益のようなもの)が、毎年平均して3〜5%以上成長すること
  2. 従業員一人当たりの付加価値額が、毎年平均して3〜5%以上成長すること

どちらの成長率も、事業の種類によって異なるため、具体的な目標は事業内容に合わせて確認してください。

2.事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること

補助対象事業は、決められた「事業再構築」の定義に該当している必要があります。
新規事業の立ち上げの場合、以下4つ類型のいずれかに該当しているかを確認しましょう。

事業再構築の類型内容
新市場進出 (新分野展開、 業態転換)主な業種や事業を変更することなく、既存の製品ラインナップに新たな製品やサービスを加える
事業転換主な「事業」を転換し、新たな製品・商品・サービスを提供し、新たな市場に進出する
業種転換主な「業種」を転換し、新たな製品・商品・サービスを提供し、新たな市場に進出する
事業再編事業再編を通じて新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業転換、または業種転換のいずれかを行う

3.事業計画は金融機関等または認定経営革新等支援機関の確認を受ける

提出する事業計画は、金融機関等または認定経営革新等支援機関の確認を受ける必要があります。
補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けます。

認定経営革新等支援機関とは、中小企業や小規模事業者が経営改善や新事業への挑戦などを行う際に、専門的なアドバイスや支援を行う機関のことです。
参考:中小企業庁
お近くの認定経営革新等支援機関を探す!

新規事業立ち上げの活用事例

新規事業立ち上げに事業再構築補助金を活用する場合、以下のような事例が考えられます。

新商品開発による新市場進出【新市場進出 (新分野展開、 業態転換)】

既存の製造業者が、新技術を活用した新しい製品を開発し、新たな市場へ進出する計画を立てる。

補助対象となる経費
新商品の研究開発費、設備投資、広告宣伝費、展示会出展費など

飲食店による事業転換—デリバリー専用キッチンの新規展開事業転換

和食料理店を営んでいる企業が、コロナ禍の影響で店舗営業が制限されたため、事業転換として新たにデリバリー専用のキッチン(ゴーストキッチン)を開設し、全国的に宅配サービスを展開する。
この新規事業では、和食の技術を活かしながら、家庭向けの健康志向メニューやテイクアウトに特化した料理を提供。
事業計画では、3年間の事業期間終了時に、デリバリー専用事業が売上高の主力となり、既存の店舗営業と並ぶ主要事業に成長することを目指す。

補助対象となる経費
デリバリー専用の調理設備の購入および設置費、オンライン注文システムの構築費用、デリバリー用の包装材開発費 など

業種転換によるオンライン教育サービスの新規展開【業種転換】

フィットネスジムを運営している企業が、コロナ禍の影響で対面でのトレーニング提供が難しくなり、業種転換として新たにオンライン教育プラットフォームを開発。
新事業では、健康管理やフィットネスに関するオンライン講座を全国向けに提供し、主たる業種をフィットネス業からオンライン教育事業に転換。
事業計画では、3年間の期間終了時点でオンライン教育サービスが売上高の主要部分を占めることを目指す。

補助対象となる経費
オンラインプラットフォームのシステム開発費、健康管理やフィットネスに関する動画コンテンツの制作費 など

今後の公募の予定

事業再構築補助金は年に数回公募があり、2024年7月に第12回公募が終了しました。
現在、第13回公募の発表はありません。(2024年9月12日現在)

事業再構築補助金は大幅に見直しを行ったうえで12回公募が実施されました。13回公募以降も数回実施される可能性が高いと予想されます。
第13回公募は、以下のスケジュールになる可能性があります。

公募期間:2024年11月中旬~2025年2月上旬
採択発表:2025年5月中旬~6月中旬


2024年の事業再構築補助金はいつまで?スケジュールを予想!

事業再構築補助金の公式サイト

3.小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者や個人事業主が事業の持続的な発展を図るために活用できる補助金です。
販路拡大や業務効率化を目的とした設備投資や広告宣伝費など幅広い経費が補助されます。
小規模事業者が行う販路開拓や業務効率化(生産性向上)に関連する経費が補助対象になります。

小規模事業者持続化補助金の概要の詳細はこちら!

新規事業立ち上げに伴う販路開拓や効率化の取り組みであれば、これに該当し本補助金が活用できます。

補助額補助率
2/350万円

※通常枠の場合

小規模事業者持続化補助金を活用する際の注意点

商工会議所の支援を受ける必要がある

申請には、商工会議所が発行する「事業支援計画書(様式4)」が必要です。
発行には時間がかかるため、余裕を持って依頼しなければ申請期限に間に合わない可能性があるのでご注意ください。

公募要領に計画書の発行の締切日に記載されているので確認しましょう。
計画書の発行の締切日は、小規模事業者持続化補助金の申請締切日の1週間前に設定されています。

新規事業立ち上げの活用事例

新規事業立ち上げに小規模事業者持続化補助金を活用する場合、以下のような事例が考えられます。

ECサイトを活用した新規商品販売

小規模なアパレル事業者が新しいブランドを立ち上げ、全国に販路を広げるためにECサイトを構築する。

補助対象となる経費販路開拓要素
ECサイト構築費用、商品撮影、広告費(SEO対策やウェブ広告)、広報費、オンライン展示会への出展費など新たな顧客層へのオンライン販売チャネルを開拓

地域特産品を活かした新店舗の開業

地元の特産品を使ったカフェを新規に開業し、地元の観光客向けに販路を広げる。

補助対象となる経費販路開拓要素
新店舗の広報活動(チラシ、ポスター、ウェブサイトの作成)、展示会出展費、メニュー開発費、広報イベントの開催費地域内外に向けた広報や新商品の開発を通じた販路拡大

オンライン教育サービスの新規展開

個人事業主がオンラインで教育プログラムを提供する新規事業を立ち上げ、全国の受講生をターゲットにする。

補助対象となる経費販路開拓要素
ウェブサイトの構築や運営費、オンライン広告、動画制作費、教育プログラムのシステム開発費、広報費全国規模で受講者を募るためのウェブやSNS広告を使った広報活動

今後の公募の予定

小規模事業者持続化補助金は年に数回公募があり、2024年5月に第16回公募が終了しました。
現在、第17回公募の発表はありません。(2024年9月12日現在)
次回公募は以下のようなスケジュールになる可能性があります。

公募要領公開:2024年10月~11月
採択発表日:2025年1月〜2月

小規模事業者持続化補助金の公式サイト

新規事業立ち上げに利用できる助成金

新規事業の立ち上げに利用できる助成金として、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)があります。

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)は、事業展開やDX・GXに伴い新たな分野で必要となる知識や技能を従業員に習得させるための訓練の費用を助成する制度です。
本助成金は、令和4年から8年度までの期間限定の制度です。
助成率

種類中小企業大企業
経費助成率75%60%
賃金助成額(受講者1人1時間あたり)960円480円

受講者1人あたりの限度額

訓練時間中小企業大企業
10h以上100h未満30万20万
100h以上200h未満40万25万
200h以上50万30万

新規事業立ち上げの活用事例

ITツールを活用したWEB集客をスタート

小売業の営業部門において、ITツールを活用したWEB集客を始める。
ノウハウの習得させるために従業員にITツールに関する講座を受講させる際に人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)を活用。
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の公式サイト

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ものづくり補助金
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事業再構築補助金
・最大7,000万円~3億円
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小規模事業者持続化補助金
・最大250万円
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省力化投資補助金
・最大1,500万円
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中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
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