人材開発支援助成金でいくらもらえる?制度内容をわかりやすく解説!
人材開発支援助成金は、労働者に対して職業訓練等を実施した際の、訓練の経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する事業者向けの制度です。
本コラムでは人材開発支援助成金の活用で1年度にもらえる助成額や、各コースの概要と活用事例をイラスト付きで分かりやすく解説します!
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この記事を監修した専門家
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
人材開発支援助成金でいくらもらえる?
人材開発支援助成金の活用では、1事業者あたり1年度で最大1億円もらえます。
ただし、助成額はコースごとに異なります。
コース名 | 助成額 |
人材育成支援コース | 最大1000万円/年度 |
人への投資促進コース | 最大2500万円/年度(成長分野等人材訓練を除く) このうち自発的職業能力開発訓練は最大300万円、成長分野等人材訓練は最大1000万円まで。 |
建設労働者認定訓練コース | 最大1000万円/年度 |
建設労働者技能実習コース | 最大500万円/年度 |
教育訓練休暇等付与コース | 定額30万円(賃金要件・資格等手当要件を満たす場合は36万円) |
事業展開等リスキリング支援コース | 最大1億円/年度 |
人材開発支援助成金とは?
人材開発支援助成金とは、労働者に対して職業訓練などを実施した際の、訓練の経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。
労働者が専門的な知識や技能を習得するために、企業が実施する人材育成の取組を支援します。
たとえば、新しいシステムの導入に伴う社員研修や、新規事業展開のために従業員が新たな技術を習得する場合に、本助成金を活用できます。
人材開発支援助成金は、6つのコースに分かれています。
- 人材育成支援コース
- 人への投資促進コース
- 建設労働者認定訓練コース
- 建設労働者技能実習コース
- 教育訓練休暇等付与コース
- 事業展開等リスキリング支援コース
出典:人材開発支援助成金
OFF-JT……企業の事業活動と区別して業務の遂行の過程外で行われる訓練
OJT……適格な指導者の指導の下、企業内の事業活動の中で行われる実務を通じた訓練
【人材開発支援助成金の対象となる事業主】
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 職業能力開発推進者を選任していること
- 労働組合等の意見を聴いて事業内職業能力開発計画とこれにもとづく職業訓練実施計画届を作成し、その計画の内容を労働者に周知していること など
人材開発支援助成金を活用するメリット
- 従業員の生産性が向上する
- 人材育成上の費用負担が軽減する
- 従業員のキャリアアップへの意識が高まる
スキルUPの研修費用を支援!人材育成支援コース
人材育成支援コースは、職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成するコースです。
以下3つの訓練が本コースの対象となります。
【対象者】
【助成額】
経費助成 | 賃金助成 | OJT実施助成 |
1人1時間あたり 760円(中小企業以外は380円) | 訓練の種類と雇用形態により、訓練費用の 45%〜70% が助成されます。非正規雇用者や正社員化を目指す場合はより高い助成率が適用されます。 | OJTを行う場合、1人あたりの訓練に対して 最大20万円(中小企業以外は11万円)が支給されます。 正社員化を目指す訓練では、1人あたり 10万円(中小企業以外は9万円)です。 |
【活用事例】
IT未経験者が参加するプログラムでは、最初に基本的なプログラミングの知識をOFF-JTで学び、その後、実務で使うソフトウェアを活用しながらOJTでプロジェクトを担当します。
| OFF-JT | OJT |
ITスキルの習得 | 基本的なプログラミングの知識を教育訓練機関で学ぶ。 | 実務で使うソフトウェアを活用しながらプロジェクトを担当する。 |
企業内の人材育成を応援!人への投資促進コース
人への投資促進コースは、企業が従業員の育成やスキル向上に向けた訓練を支援する制度です。このコースには以下の5つの訓練メニューが含まれています。
訓練の種類 | 内容 |
高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練 | デジタル人材の育成や成長分野での訓練に高率の助成が行われ、大学院での訓練も対象になります。 |
情報技術分野認定実習併用職業訓練 | IT未経験者を即戦力化するため、OJT(職場内訓練)とOFF-JT(職場外訓練)を組み合わせた訓練が助成されます。 |
長期教育訓練休暇等制度 | 働きながら長期の訓練を受けられるように、休暇制度や短時間勤務制度の導入・運用に対する助成が行われます。 |
自発的職業能力開発訓練 | 従業員が自主的に受ける訓練費用を企業が負担する場合に助成されます。 |
定額制訓練 | 月額定額で受け放題の研修サービスを導入する事業主に対する助成です。 |
【対象者】
【助成額】
| 経費助成 | 賃金助成 | OJT実施助成 |
高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練 | 75% | 960円 | |
情報技術分野認定実習併用職業訓練 | 60% | 760円 | 20万円 |
長期教育訓練休暇等制度 | 制度導入経費20万円 | 960円 | |
自発的職業能力開発訓練 | 45% | | |
定額制訓練 | 60% | | |
経費助成の支給限度額は、実訓練時間数に応じて以下のとおりです。
| 100時間未満 | 100時間~200時間未満 | 200時間以上 | 大学(一年度あたり) | 大学院(一年度あたり) |
高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練 | 30万円 | 40万円 | 50万円 | 150万円 | 成長分野等人材訓練:国内150万円/海外500万円 |
情報技術分野認定実習併用職業訓練 | 15万円 | 30万円 | 50万円 | | |
自発的職業能力開発訓練 | 7万円 | 15万円 | 20万円 | 60万円 | 国内60万円 海外200万円 |
※中小企業以外の場合は上記の金額よりも低くなり、賃金要件・資格等手当要件助成が適用された場合は上記の表よりも高くなります。
詳細は公式サイトでご確認ください。
【活用事例】高度デジタル人材訓練・成長分野等人材訓練
中小企業において、高度なデジタル分野の人材育成のため、プロジェクトマネージャーの資格取得講座を実施
効果
- 非常に高度なスキル(ITスキル標準(ITSS)レベル3、4以上など)を持った人材の育成が可能
- 高率助成(75%)により、費用負担を大幅に軽減
助成金
受講料 | 経費助成 | 賃金助成 |
一人当たり280,000円(30時間の受講と資格試験料含む) | 210,000円 | 28,800円 |
【活用事例】情報技術分野認定実習併用職業訓練
中小企業においてIT分野未経験の従業員にプログラミング講座の訓練を実施
効果
- 経験者採用以外の方法でDX推進人材を確保可能
- 未経験の従業員が研修で実務経験を得ることで、即戦力として働ける一人前のSEに成長
受講料 | 経費助成 | 賃金助成 | 実施助成 |
1人当たり750,000円で800時間のOFF-JT、200時間のOJT(資格試験料含む)の場合 | 450,000円 | 608,000円 | 200,000円 |
【活用事例】自発的職業能力開発訓練
従業員の自発的な資格取得を支援
効果
- スキルアップや資格取得のために自発的に学ぶ従業員の受講費を会社が負担することで、従業員のモチベーションと生産性が向上
助成金
受講料 | 経費助成 |
労働者が400,000円の訓練を受講し、事業主が受講料の1/2の200,000円を負担した場合 | 90,000円 |
【活用事例】長期教育訓練休暇等制度
インバウンド対応のため海外の語学学校で5か月間の英会話クラスを受講するための休暇を取得
効果
- 休暇制度により、従業員の自発的なスキルアップを支援することで、福利厚生が充実し、従業員のモチベーションが向上
助成金
長期教育訓練休暇制度導入経費助成 | 賃金助成(有給休暇の場合のみ) |
200,000円 | 150日の長期休暇取得で、900,000円 |
認定訓練などの実施を支援!建設労働者認定訓練コース
建設労働者認定訓練コースは、建設分野の認定訓練や指導員訓練を実施し、建設労働者に有給で受講させた場合に、費用の一部が助成されるコースです。
【対象者】
【助成額】
経費助成 | 賃金助成 |
認定職業訓練または指導 員訓練のうち建設関連の訓練を実施した場合、対象経費の1/6 | 建設労働者に対して認定 訓練を受講させた場合、建設労働者1人1日あたり3,800円 |
スキルアップの実習を支援!建設労働者技能実習コース
建設労働者技能実習コースは、企業が建設労働者に対して技能向上のための実習を有給で受講させた場合に費用の一部が助成されるコースです。
【対象者】
- 中小建設事業主、中小建設事業主団体(支給対象は、男性・女性労働者)
- 中小以外の建設事業主、中小以外の建設事業主団体(支給対象は、女性労働者のみ)
【助成額】
| | 経費助成 | 賃金助成(最長20日間) |
建設事業主 | 20人以下 | 支給対象費用の3/4 | 1人あたり日額8,550円 |
21人以上 | 35歳未満は支給対象費用の7/10。35歳以上は支給対象費用の9/20 | 人あたり日額7,600円 |
中小建設事業主以外の建設事業主 | 支給対象費用の3/5 | |
建設事業主団体 | 中小建設事業主団体 | 支給対象費用の4/5 | |
中小建設事業主団体以外の建設事業主団体 | 支給対象費用の2/3 | |
自主的なスキルアップを支援!自教育訓練休暇等付与コース
教育訓練休暇等付与コースは、従業員が有給休暇を使って自主的にスキル習得の訓練を受けた際、費用の一部が助成されるコースです。
【対象者】
【助成額】
1事業主あたり30万円支給されます。
訓練後に労働者の賃金が5%以上増加、または資格手当で賃金が3%以上増えた場合、追加で6万円が支給されます。
対象となる教育訓練休暇制度
対象となる教育訓練休暇制度は決められており、それら全てを満たす必要があります。
- 日単位で取得が可能なものであること
- 被保険者を対象とした有給の教育訓練休暇制度であること
- 3年間に5日以上の取得が可能な有給の教育訓練休暇制度を就業規則または労働協約に制度の施行日を明記して規定するものであること など
新規分野のスキル習得を支援!事業展開等リスキリング支援コース
事業展開等リスキリング支援コースは、企業が新規事業に向けて従業員に新たな分野の知識やスキルを習得させる訓練を行う際、費用の一部が助成されるコースです。
本コースは令和8年度末までの時限措置です。
【対象者】
【助成額】
経費助成 | 賃金助成 |
実費相当額の75% | 1人1時間あたり960円 |
※中小企業以外の場合は上記の金額よりも低くなります。
【基本条件】
以下3つを満たす必要があります。
- OFF-JTで行う訓練であること
- 実訓練時間が10時間以上であること
- 以下どちらかに該当する訓練であること
- 事業展開に伴い、新しい分野で必要な専門知識やスキルを習得させる訓練
- 事業展開は行わないが、企業内でDX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進めるため、関連業務に必要な専門知識やスキルを習得させる訓練
【活用事例】
従業員数100名程のコンサルティング会社
業務効率化と顧客対応の迅速化を目指し、生成AIを活用する新たな業務システムの導入を予定。
事業展開等リスキリング支援コースを活用して従業員に生成AIの基本的な操作方法から、テキスト生成やデータ分析の活用方法など、実務で必要となるスキルを習得させる訓練を受講させた。
コースの適用で実質1/4で生成AIスキルが学べる!
当社では事業展開等リスキリング支援コースの活用で実質1/4の受講費で、生成AIのスキルが学べる研修をご用意しました。
従業員にAIの活用方法を効果的に習得させたい事業主様に大変おすすめの研修です。
通常40万円(税込)の研修が事業展開等リスキリング支援コースを利用することで実質10万円(税込)で受講できます!
コスト意識の高い事業者さまに大変ご好評の研修内容となっております。
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参考:人材開発支援助成金
人材開発支援助成金の申請フロー
人材開発支援助成金を申請する流れは各コースによって申請フローが異なりますが、基本的な手続きの流れは以下のとおりです。
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