ものづくり補助金をキッチンカーに活用する方法!採択事例と採択のコツを紹介
キッチンカー導入には、ものづくり補助金を活用できます。この補助金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上や賃上げを支援する制度です。本コラムでは、実際の事例を交えながら、採択のポイントを解説します。


補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
ポイント
キッチンカー事業でも、内容によってはものづくり補助金を活用できる
キッチンカー事業は「新しい商品やサービスを生み出し、付加価値を高める取り組みであること」が必要
キッチンカー本体(車両)の購入費は補助金の対象にならない
キッチンカーにものづくり補助金は使える?
ものづくり補助金はキッチンカー事業にも活用できます。
ただし、キッチンカー本体(車両)の購入費は補助対象外であり、補助金でカバーできるのは主に車内設備や改装費などに限られます。
また、単にキッチンカーを購入して営業を始めるだけでは対象にならず、生産性向上につながる新サービスの開発や設備投資が必要です。
さらに、ものづくり補助金は既存事業者の新事業展開や生産性向上を支援する制度のため、実務上は次のようなケースが対象になりやすいです。
すでに飲食店を経営している事業者が、キッチンカー事業を新たに始める
食品製造業やカフェが、新しい販売チャネルとして移動販売を導入する
既存の飲食事業に加えて、イベント販売や移動販売モデルを構築する
一方で、これから初めて開業する人がキッチンカーを購入して営業を始めるだけの場合は、補助対象になりにくい傾向があります。
その場合は、創業向けの補助金や小規模事業者持続化補助金などの制度を検討する方が現実的です。
ものづくり補助金を使うための主な条件
キッチンカー事業で補助金を活用するには、単なる設備購入ではなく、革新的なサービス開発と生産性向上を示す事業計画が必要です。
主な条件は次のとおりです。
条件 | 内容 |
|---|---|
革新的な事業 | 新しいサービスやビジネスモデルであること |
数値目標 | 付加価値額を年平均3%以上増加 |
賃上げ要件 | 給与支給総額を年平均3.5%以上増加 |
例えば次のような取り組みは、革新性として評価される可能性があります。
AI需要予測を活用した移動販売
オンライン注文とキッチンカー販売の連動
地域食材を使った新しいフードブランドの開発
このように、単なる移動販売ではなく新しい価値を生み出す事業であることが重要です。
補助額と補助率
ものづくり補助金の代表的な枠である「製品・サービス高付加価値化枠」では、以下の補助条件が設定されています。
項目 | 内容 |
|---|---|
補助上限額 | 750万~2,500万円(従業員数により変動) |
補助率 | 中小企業1/2、小規模事業者2/3 |
下限額 | 100万円 |
例えば、小規模事業者が300万円の設備投資を行った場合、最大200万円程度の補助を受けられる可能性があります。
車両の購入費は補助対象外
ものづくり補助金では、自動車などの車両本体の購入費は補助対象外とされています。
公募要領でも、自動車の購入費や車検費用などは対象外経費として明記されています。
そのため、キッチンカーを導入する場合は次のように考える必要があります。
区分 | 補助対象 |
|---|---|
キッチンカー本体(車両) | 対象外 |
車内の厨房設備 | 対象になる可能性あり |
車両の内装改装工事 | 対象になる可能性あり |
例えば、キッチンカー製造会社から「車両+内装」をセットで購入する場合は、見積書を車両費と改装費に分けて提出する必要があります。
補助金の審査では、対象経費と対象外経費を明確に区別することが重要です。
キッチンカーで対象となる経費
キッチンカー事業で補助対象となる可能性がある主な経費は次のとおりです。
経費区分 | 内容 |
|---|---|
機械装置・システム構築費 | 冷蔵庫、発電機、グリル、調理設備など |
外注費 | キッチンカーの厨房設備設置や内装改装工事 |
例えば、以下のような設備は補助対象になる可能性があります。
大型冷蔵庫や業務用フライヤー
自家発電機
調理用グリルやオーブン
POSレジやモバイル決済システム
厨房設備の設置工事
このように、車両本体ではなく、キッチンカー内で使用する設備投資が補助対象になります。
キッチンカー事業におすすめな申請枠は?
ものづくり補助金にはいくつかの申請枠がありますが、キッチンカー事業で最も現実的なのは「製品・サービス高付加価値化枠」です。
国内で移動販売を行う多くの事業者は、この枠で申請するケースが一般的ですが、事業内容によっては別の枠を検討できる場合もあります。ここでは代表的な2つの申請枠を紹介します。
製品・サービス高付加価値化枠
国内向けのキッチンカー事業では、通常この枠を選択します。
ものづくり補助金の中でも、新しいサービスやビジネスモデルの開発を支援する代表的な枠です。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象 | 革新的な新サービス・新ビジネスモデル |
補助上限 | 750万〜2,500万円(従業員数により変動) |
補助率 | 中小企業1/2、小規模事業者2/3 |
例えば、次のような取り組みは評価される可能性があります。
オンライン注文とキッチンカー販売を連動させる
AI需要予測を活用した移動販売
地域食材を活用した新しいフードブランド
この枠が現実的とされる理由は、国内の一般消費者向けビジネスと相性がよいためです。
ただし、単にキッチンカーを導入するだけではなく、他社との差別化につながる新しいサービス内容が求められます。
グローバル枠
インバウンド需要を取り込む計画がある場合は、グローバル枠を検討できる場合があります。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象 | 海外需要・インバウンド対応事業 |
補助上限 | 最大3,000万円 |
主な条件 | 海外市場や訪日客向け事業 |
例えば、次のような事業です。
観光地で外国人観光客向けのキッチンカーを展開
海外市場向けの食品ブランドを開発
多言語注文システムを導入した移動販売
ただし、インバウンド型の場合は売上の半分以上が外国人観光客になる見込みなど、厳しい条件が求められるケースがあります。
そのため、一般的なキッチンカー事業ではハードルが高く、採用されるケースは多くありません。
迷った場合はこの枠を検討しよう!
キッチンカー事業で申請する場合は、まず製品・サービス高付加価値化枠を前提に検討するのが現実的です。
そのうえで、
革新的なサービス内容
設備投資(50万円以上の機械装置など)
3〜5年の成長計画
を具体的に整理することが、採択に近づくポイントになります。
事業計画書を作る際の注意点
キッチンカー事業でものづくり補助金を申請する場合、事業計画書の書き方が採択結果を大きく左右します。
単に「キッチンカーを導入したい」と書くだけでは不十分で、補助金の審査基準に沿った説明が必要です。
ものづくり補助金は、生産性向上につながる革新的な製品・サービスの開発を支援する制度です。
そのため、設備投資の内容や事業の新規性、売上成長の見込みなどを具体的に示すことが重要です。
特に、事業計画書では次のポイントに注意して作成しましょう。
車両購入費を補助対象としていないことを明確にする
事業の新規性・革新性を具体的に説明する
既存事業との違いを分かりやすく示す
読みやすく整理された事業計画書にする
車両購入費を補助対象にしていないことを明確にする
ものづくり補助金では、キッチンカーの車両本体の購入費は補助対象外です。
しかし、申請書の書き方によっては、審査員に「車両購入費を補助金で賄おうとしている」と誤解される可能性があります。
その結果、審査で不利になることもあるため、車両費は補助対象外であることを明確に記載することが重要です。
事業計画書では、次のような整理を行うと分かりやすくなります。
記載項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
設備導入の説明 | 厨房設備や内装改修のみを記載 |
経費一覧 | 補助対象経費と対象外経費を分ける |
例えば、
冷蔵庫
業務用グリル
発電機
厨房設備の設置工事
などは補助対象になる可能性がありますが、車両本体の費用は補助対象外として別に記載します。
事業の新規性・革新性を具体的に説明する
ものづくり補助金では、単なる設備導入よりも「新しいサービス開発」が重視されます。
そのため、「キッチンカーで営業を始める」という説明だけでは採択されにくく、事業の独自性を具体的に示す必要があります。
説明しておきたいポイントは次のとおりです。
キッチンカー導入による既存事業との差別化
新しい顧客層の獲得
販売機会の拡大
例えば、次のような取り組みは新規性として説明しやすい事例です。
SNS予約と連動した移動販売
イベント出店によるブランド認知拡大
地域食材を活用した新メニュー開発
このように、キッチンカー導入によって生まれる新しい価値を具体的に説明することが重要です。
既存事業との違いを分かりやすく示す
キッチンカーの導入が、単なる店舗営業の延長ではなく、新しい事業展開であることを示すことも重要です。
次のように整理すると、審査員に伝わりやすくなります。
項目 | 店舗営業 | キッチンカー導入後 |
|---|---|---|
顧客層 | 店舗周辺の来店客 | 移動販売で広域の顧客 |
販売方法 | 来店中心 | イベント販売・予約販売 |
販売場所 | 店舗のみ | 催事・オフィス街など |
このように、導入によってどのように市場が広がるのかを具体的に示すことが大切です。
売上の変化や販売数の増加見込みなど、可能であれば数値も示すと説得力が高まります。
読みやすい事業計画書にする
ものづくり補助金の審査では、1人の審査員が多くの申請書を短時間で確認します。
そのため、事業計画書は分かりやすい構成にすることが重要です。
読みやすくするポイントは次のとおりです。
見出しを使って内容を整理する
補助対象経費と対象外経費を明確にする
売上予測や成長計画を数値で示す
例えば、
「イベント出店により年間販売数を30%増加」「移動販売導入により売上を3年で1.5倍に拡大」
など、具体的な数字を示すことで事業の実現可能性を伝えやすくなります。
キッチンカー事業のものづくり補助金の活用事例
キッチンカー事業でも、ものづくり補助金を活用して新しい販売モデルを構築した事例があります。
特に多いのは、既存の飲食店が新たな販売チャネルとして移動販売を導入するケースです。
ここでは、実際の活用イメージが分かるように、代表的な2つの事例を紹介します。
製品・サービス高付加価値化枠の事例
地域レストランがキッチンカー事業を開始
北海道で洋食レストランを営む事業者が、来店客の減少に対応するためキッチンカー事業を導入した事例です。
近年はデリバリーやテイクアウトの需要が増え、店舗だけでは新規顧客の獲得が難しくなっていました。
そこで、ものづくり補助金を活用してキッチンカー設備を整備し、移動販売による新しい販売モデルを構築しました。
設備投資 | 内容 |
|---|---|
厨房設備 | 冷蔵庫・ガスコンロ・グリルプレート |
電源設備 | 自家発電機を搭載 |
外装デザイン | SNS映えを意識した車体デザイン |
※車両本体の購入費は補助対象外のため自己負担
得られた成果
効果 | 内容 |
|---|---|
販売エリア拡大 | 周辺市町村のイベントへ出店 |
商品ヒット | ご当地メニューが1日600個販売 |
認知度向上 | SNS拡散で市外から出店依頼 |
キッチンカー導入によって、店舗中心だった販売モデルをイベント・移動販売へ拡張できたことが成功のポイントです。
結果として、新しい収益源の確保につながりました。
グローバル枠の事例
観光地でインバウンド向けキッチンカーを展開
地方の観光地で和食レストランを運営する事業者が、訪日外国人の増加を背景にキッチンカー事業を開始した事例です。
観光地では、外国人旅行者の増加により「手軽に食べ歩きできる日本食」の需要が高まっていました。
そこで、インバウンド観光客をターゲットにした移動販売モデルを構築しました。
施策 | 内容 |
|---|---|
多言語対応 | 英語・中国語メニューを導入 |
観光地出店 | 観光スポット周辺で販売 |
キャッシュレス | 外国人向け決済システム |
得られた成果
効果 | 内容 |
|---|---|
観光客売上増 | 売上の約60%が訪日客 |
出店機会拡大 | 観光イベントへの出店 |
ブランド認知 | SNS口コミで外国人観光客に拡散 |
この事例では、観光地のインバウンド需要を取り込む販売モデルを構築したことで、グローバル枠の要件に合致しました。
キッチンカー事業では、単なる移動販売ではなく、新しい販売モデルや市場開拓につながる取り組みを明確にすることが重要です。
既存店舗の販売チャネル拡大や、観光地でのインバウンド対応など、事業の新規性と成長性を具体的に示すことで、ものづくり補助金を活用できる可能性が高まります。
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監修者からのワンポイントアドバイス
小規模事業者持続化補助金のような補助金申請の際には公募回によって必要な書類が異なる場合があります。必ず申請する公募回の公募要領をよく読んで必要な書類を確認するようにしましょう。不備があると不採択になりますので注意が必要です。
