【2025年度版】小規模事業者持続化補助金で車両購入はできる?

小規模事業者持続化補助金は幅広い経費が補助対象になります。本コラムでは、車両の購入費用も補助対象になるのかを解説します!トラクターやキッチンカーなどの車両購入に小規模事業者持続化補助金を活用したい方はぜひご覧ください。
梅沢 博香

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【2025年度版】小規模事業者持続化補助金で車両購入はできる?

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

小規模事業者持続化補助金で車両購入はできる?

小規模事業者持続化補助金では、基本的に車両購入はできません。
ただし、汎用性が低い車両の場合は補助対象になる可能性があります。
この記事では、補助金の概要や車両が補助対象になるケースと、そうでないケースを分かりやすく解説します。

小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金とは、主に小規模事業者が販路開拓や生産性向上に取り組むための費用を支援する補助金です。
この補助金は、中小企業庁が主導し、地域の商工会議所や商工会が連携して実施しています。
2025年度の17回公募からは、「通常枠」「創業型」「共同・協業型」の3つの申請枠で構成されます。

【2025年度版】小規模事業者持続化補助金の詳細はこちら!

2025年度の小規模事業者持続化補助金の変更点

2025年度の小規模事業者持続化補助金では、以下のような大きな変更が発表されています。

  • 卒業枠・後継者支援枠を廃止(枠の整理)
  • 共同・協業型、ビジネスコミュニティ型の新設

持続化補助金の概要出典:中小企業対策関連予算
これにより、補助金の対象や活用方法が広がり、より大規模な取り組みが可能になります。
社会状況に応じた補助金の変化は続いており、かつてはコロナ禍での支援が中心でしたが、2025年度はインボイス制度の普及や賃上げ、経済連携の強化に重点が移行しつつあります。
災害支援枠などの従来の支援策も残されていますが、補助金の目的が経済発展に向けて進化していることが伺えます。

補助対象者

小規模事業者持続化補助金の補助対象者は、以下に該当する小規模事業者です。

業種常時使用する従業員
商業・サービス業5人以下
製造業等20人以下
宿泊業及び娯楽業20人以下

参考:小規模事業者持続化補助金パンフレット

小規模事業者の定義

「常時使用する従業員」とは、毎日働く正社員が基本です。アルバイトはフルタイムに近い場合が該当します。
小規模事業者持続化補助金では、直接雇用の従業員のみが対象で、派遣社員や役員、個人事業主本人は含まれません。ただし、役員でも現場で働く場合は該当する可能性があります。

しかし、たとえば役員でも毎日現場で働き、他の従業員と同様に業務を行っている場合は、「常時使用する従業員」に該当する可能性があります。
たとえば、建設業で現場監督を務める役員や、小規模店舗で接客を担当する店長兼役員などが該当するケースです。

このように、5人以下または20人以下という基準は、表面的な役職だけでは判断がつかない場合があります。
申請時には具体的な業務内容を精査し、基準に基づいて判断することが必要です。
たとえば、以下のような方々が対象になります。

  • 家族経営の町工場
  • 個人で建設業を経営している方
  • 地域で美容室を経営している方

これらは一例ですが、条件に該当する小規模事業者の多くが申請可能です。

建設業が小規模事業者持続化補助金を活用する方法は?

採択率

過去16回の採択結果を基にした平均採択率は約60%ですが、直近では採択率が初めて30%台まで減少。
さらに、2024年の公募回数は2回と少なくなりました。
持続化補助金の採択率この背景には、コロナ禍における小規模事業者の「持続性」を保護する必要性が薄れたことが影響していると考えられます。
今後の補助金申請の傾向を把握する上で、これらのデータは重要な参考になりますので、ぜひおさえておきましょう。

持続化補助金の採択率の推移をチェック!

補助対象経費
補助対象経費は、申請枠によって異なりますが、幅広い経費が対象になります。
【通常枠】【創業型】
機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、 資料購入費、 借料 、設備処分費 、委託・外注費
【共同・協業型】
会場の設営費・内装等の工事費、会場借料、機器・機材の借料、 広報費、旅費 など

補助額/補助率

補助額、補助率は申請枠や特例適用の有無によって異なります。
【通常枠】

補助額補助率
50万円 (特例を活用した場合は最大250万円) 2/3(賃金引上げ特例活用事業者のうち赤字事業者については3/4)

参考:小規模事業者持続化補助金「通常枠」パンフレット
【創業型】

補助額補助率
200万円 (特例を活用した場合は最大250万円)2/3

参考:小規模事業者持続化補助金「創業型」パンフレット
【共同・協業型】

補助額補助率
5,000万円参画事業者は2/3、地域振興等機関は定額

参考:小規模事業者持続化補助金「共同・協業型」パンフレット

特徴1:商工会議所や商工会の協力が必須

この補助金は商工会と連携して申請します。商工会では相談やアドバイスを受けられるため、申請のハードルは低めです。商工会員でなくても利用可能なので、安心して活用してください。

特徴2:幅広い活用範囲

小規模事業者持続化補助金は、さまざまな事業活動に利用できます。
販路開拓はもちろん、以下のような取り組みも対象となります。

  • ITを活用した業務効率化(例:クラウドサービスの導入)
  • 新規事業の立ち上げ(例:新商品の開発や販売)
  • プロモーション活動(例:広告やウェブサイト制作)

事業の成長を目指す幅広い取り組みに対応しており、自社のニーズに合わせて柔軟に活用できます。

車両購入は補助対象外!

小規模事業者持続化補助金では、さまざまな経費が補助対象になりますが、車両購入費は、補助対象外です。
本補助金では、補助事業以外にも使えてしまう汎用性高いものは対象外となるからです。

汎用性が高く目的外使用になりえるもの(車・オートバイ・自転車・文房具等・パソコン等)は補助対象外となります。

引用:小規模事業者持続化補助金の第16回公募パンフレット

小規模事業者持続化補助金は、事業の継続と発展を支援するためのものです。そのため、発展が見込めない場合や不正利用の恐れがある場合には交付されません。
たとえば、「営業車として補助金を使い、実際はプライベートで利用する」といった用途に税金が使われるのは多くの人が納得しないでしょう。
このため、車両など汎用性の高いものは補助対象外となるのです。
ちなみに、カーナビやドライブレコーダーも、車両と同様に汎用性が高いため補助対象外です。

車両の改装費用は補助対象

車両購入費自体は補助対象外ですが、車両の改装費や集客、ホームページ作成などは活用できます。
たとえば、飲食店が販路拡大を目指してキッチンカー出す場合を例に出します。
具体的には、車両を改装してキッチンカーにするための工事費を、委託・外注費として申請可能です。
また、集客のためのチラシや車両の前に立てる看板などの費用は、広報費に該当します。
車両を使った事業をお考えの方は、ぜひ小規模事業者持続化補助金をご活用ください。
持続化補助金の経費.出典:小規模事業者持続化補助金の第16回公募パンフレット

トラクター、ブルドーザーなどの車両は補助対象になることも

トラクター、ブルドーザーなど、明らかに該当事業でしか使えない車両は補助対象になり得ます。
このように車両によっては、小規模事業者持続化補助金の補助対象になる場合もあります。
判断基準としては、「補助事業の遂行のみに使えるか否か」です。
また、補助事業開始前に購入した車両は補助対象外ですので、ご注意ください。

事例:ブルドーザーを活用した地域の産業振興

背景と目的

有限会社〇〇建設は、地域の土木工事を主力事業とする小規模事業者です。近年、再開発需要が増加する中で、施工のスピードと精度向上が求められていました。同社は持続的な経営を目指し、最新技術を活用したブルドーザー導入を軸に、販路拡大と生産性向上を図る補助事業に取り組みました。

補助事業の内容

【販路開拓】
地元自治体や企業向けに「短期間で高精度な施工」の強みをアピールする販促用リーフレットとウェブサイトを新たに制作。
地域の公共事業案件での採用率向上を目的とした効果的な広報活動を展開。
【生産性向上】
最新の3D測量システムを搭載したブルドーザー用アタッチメントを導入し、作業効率を大幅に改善。
従業員向けに操縦技術を高める専門的なトレーニングを外部講師に委託。

補助対象経費

補助事業の遂行に必要な以下の経費が補助対象となりました。
機械装置等費:

  • ブルドーザー車両本体の購入費用
  • 最新の3D測量システム対応アタッチメントの購入費用

広報費:

  • サービス紹介用リーフレットの作成・配布費用

ウェブサイト関連費:

  • ウェブサイトの更新費用(新サービスの告知・PR強化)

委託・外注費:

  • ブルドーザー操縦技術向上のための外部講師によるトレーニング実施費用

成果目標

  • 年間新規契約数を10件増加させる。
  • 作業効率を20%向上し、施工時間短縮とコスト削減を実現。
  • 地域の公共事業案件における採用率を25%向上。

補助事業の期待される効果

  • 地域のインフラ整備スピード向上と信頼性の強化。
  • 新技術導入による競合他社との差別化。
  • 地域経済の活性化と持続可能な経営基盤の確立。

特例の活用

最低賃金を+50円とすることで、賃金引上げ特例を適用し、上記補助上限額に150万円を上乗せした。

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