小規模事業者持続化補助金の対象経費は?対象外になる費用も解説
小規模事業者持続化補助金の対象経費や対象外になる費用を分かりやすく解説します。


補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
ポイント
小規模事業者持続化補助金では、広告費・ホームページ制作費・設備導入費などが幅広い経費が対象になる
パソコンや車両、交付決定前に支払った費用などは原則として対象外になる
対象経費として認められるには、「販路開拓」や「業務効率化」につながる取組であることが重要
持続化補助金で対象になる経費は?
持続化補助金では、販路開拓や業務効率化につながる取組に必要な費用が補助対象になります。
ただし、どの支出でも認められるわけではなく、「補助事業に必要であること」が明確でなければなりません。
公募要領では、主に以下8つの費目が対象経費として定められています。
費目 | 主な内容 |
機械装置等費 | 業務用設備・機械の導入費 |
広報費 | チラシ・看板・広告など |
ウェブサイト関連費 | HP制作・ECサイト・WEB広告など |
展示会等出展費 | 展示会・商談会への出展費 |
旅費 | 展示会参加等の交通費 |
新商品開発費 | 試作品・デザイン開発など |
借料 | 機器・設備のレンタル費 |
委託・外注費 | 店舗改装・制作委託など |
それぞれの費目について、具体的に解説します。
① 機械装置等費
機械装置等費は、補助事業に必要な設備や機械を導入する際の費用です。
例えば、以下のような設備が該当します。
業務用オーブン
POSレジ
可食プリンター
移動式シャンプーユニット
厨房機器
美容機器
重要なのは、「売上拡大」や「業務効率化」に必要な設備であることです。
単なる設備の買い替えではなく、
新サービスを始める
提供品質を向上する
作業時間を短縮する
といった目的が求められます。
② 広報費
広報費には、販路開拓のための広告・宣伝費用が含まれます。
主な対象例は以下の通りです。
チラシ制作
パンフレット作成
ポスティング
看板設置
商品カタログ制作
ただし、単なる会社案内や企業紹介だけを目的としたものは対象外になりやすいため注意が必要です。
補助事業で提供する商品・サービスのPRであることが重要です。
③ ウェブサイト関連費
ウェブサイト関連費では、ホームページやECサイトに関する費用が対象になります。
例えば、以下のような費用です。
ホームページ制作
ECサイト構築
LP制作
サイト改修
SEO対策
リスティング広告
近年は、ネット集客強化を目的として申請する事業者も増えています。
ただし、単なるコーポレートサイト制作ではなく、「販路開拓につながる内容」である必要があります。
また、ウェブサイト関連費には補助上限の制限が設けられる場合もあるため、公募要領の確認が重要です。
④ 展示会等出展費
展示会や商談会への出展費用も補助対象になります。
対象となる主な費用は以下です。
展示会出展料
ブース設営費
オンライン展示会参加費
配布資料制作費
新規顧客の獲得や販路拡大につながる活動であることが前提となります。
⑤ 旅費
旅費は、販路開拓に必要な移動費として認められます。
例えば、
展示会会場への交通費
商談会への出張費
などです。
一方で、通常業務の出張費や日常的な交通費は対象外です。
⑥ 新商品開発費
新商品や新サービスの開発に必要な費用も対象になります。
主な例は以下です。
試作品の原材料費
パッケージデザイン費
商品設計費
試作開発費
特に、飲食店や製造業では活用されるケースが多い費目です。
⑦ 借料
借料は、設備や機器をレンタル・リースする際の費用です。
例えば、
イベント用機材レンタル
業務機器レンタル
短期リース費
などが該当します。
ただし、所有権が移転する購入契約は対象外となる場合があります。
⑧ 委託・外注費
委託・外注費は、自社で対応できない業務を外部に依頼する際の費用です。
代表例として、
店舗改装
内装工事
動画制作
デザイン制作
システム開発
などがあります。
特に、店舗改装費は持続化補助金でも活用事例が多い費目です。
事例
例えば、寿司店が集客力向上を目的として、店舗の雰囲気を改善する取組を行ったケースを考えてみましょう。
この場合、経費は以下のように分類されます。
内容 | 経費区分 |
店舗前のプチ庭園工事 | 委託・外注費 |
ホームページリニューアル | ウェブサイト関連費 |
業務用グリルの導入 | 機械装置等費 |
このように、小規模事業者持続化補助金では、「何のために使う費用なのか」によって経費区分が決まります。
小規模事業者持続化補助金で対象外になる費用は?
小規模事業者持続化補助金では、補助金の目的である「販路開拓」や「業務効率化」と関係が薄い費用や、公私混同の恐れがある費用は対象外になります。
特に、パソコンや車両などの「汎用品」は誤って申請されやすいため注意が必要です。
ここでは、対象外になりやすい費用を具体的に解説します。
汎用性が高い設備・備品は対象外
小規模事業者持続化補助金では、私用利用が可能な汎用品は原則として対象外です。
代表的な例は以下の通りです。
パソコン
スマートフォン
タブレット
車
バイク
自転車
文房具
家庭用電化製品
これらは事業以外でも利用できるため、「補助事業専用」と判断されにくい特徴があります。
例えば、
ノートPC
iPhone
一般的な乗用車
などは、多くの場合で対象外となります。
一方で、補助事業に特化した専門機器であれば、対象になる可能性があります。
中古品には購入条件がある
中古設備は、一定条件を満たさなければ補助対象になりません。
特に注意したいのは以下のルールです。
内容 | 取扱い |
50万円(税抜)以上の中古品 | 対象外 |
オークション購入 | 対象外 |
適正価格が確認できない中古品 | 対象外になる可能性あり |
例えば、
ヤフオク
メルカリ
個人売買
などで購入した設備は、原則として認められません。
補助金では、価格の妥当性や取引の透明性が重視されます。
補助事業期間中に使用していない費用は対象外
補助金は、「実際に補助事業で使用した経費」に対して支払われます。
そのため、以下のようなケースは対象外になる可能性があります。
導入した機械を使っていない
ホームページを公開していない
ECサイトが未完成
チラシを配布していない
例えば、ホームページ制作費を申請しても、実績報告時までにサイトが公開されていなければ、対象外と判断される場合があります。
補助事業は、「支払っただけ」では認められません。
実際に活用していることが重要です。
開業届を出していない個人との取引は注意
税務署へ開業届を提出していない個人との取引は、認められない場合があります。
例えば、
知人への個人発注
開業していないフリーランスへの依頼
などは注意が必要です。
特に、デザイン制作やホームページ制作を個人へ依頼する場合は、
開業届
請求書
事業実態
などを確認しておくことが重要です。
補助金の目的に合わない費用は対象外
補助金の目的に合致しない費用も対象外になります。
例えば、以下のようなケースです。
保険診療のみで使用する医療機器
保険診療の宣伝チラシ
日常的な運営費
単なる設備更新
個人的な利用を含む支出
小規模事業者持続化補助金では、
新規顧客の獲得
売上向上
販路拡大
につながる取組であることが求められます。
そのため、「なぜその費用が必要なのか」を説明できない経費は、対象外になる可能性が高いです。
小規模事業者持続化補助金の対象経費で注意すべきことは?
小規模事業者持続化補助金に申請する際に経費に関する注意点を5つ解説します。
1.ウェブサイト関連費には上限がある
ホームページ制作やECサイト構築などのウェブサイト関連費には、補助額の上限が設けられています。
具体的には、ウェブサイト関連費として計上できるのは、補助金交付申請額(または確定額)の1/4までです。
上限額は最大50万円となります。
例えば、補助金額が100万円の場合、ウェブサイト関連費として認められるのは最大25万円です。
また、ウェブサイト関連費だけで申請することはできません。
そのため、
チラシ制作
設備導入
店舗改装
など、他の経費と組み合わせて申請する必要があります。
2.支払いは原則「銀行振込」が必要
補助金では、支払い方法にもルールがあります。
特に重要なのが、「銀行振込」が原則である点です。
支払方法 | 取扱い |
銀行振込 | 原則対象 |
現金払い | 10万円超は対象外 |
商品券・相殺 | 対象外 |
例えば、10万円(税抜)を超える支払いを現金で行った場合、その経費は補助対象外になる可能性があります。
また、
小切手払い
商品券払い
相殺処理
なども認められていません。
クレジットカード払いについては、補助事業実施期限までに口座引き落としが完了している必要があります。
3.「交付決定」前の発注・契約は対象外
小規模事業者持続化補助金では、「採択=補助対象確定」ではありません。
実際に経費が認められるのは、「交付決定通知書」を受け取った後です。
そのため、交付決定前に行った以下の行為は原則対象外になります。
発注
契約
購入
支払い
納品
例えば、「採択されたから大丈夫だと思って先に契約した」というケースでも、交付決定前であれば補助対象外になる可能性があります。
このルールは非常に重要なため、申請時は必ず確認しておきましょう。
4.証拠書類は必ず保管する
補助金は、実績報告で証拠書類を提出しなければ受け取れません。
主に必要となる書類は以下の通りです。
見積書
発注書
契約書
納品書
請求書
領収書
通帳の写し
これらの書類に不備があると、経費が認められない可能性があります。
特に、
金額が一致しない
振込履歴が確認できない
書類の日付が不自然
などは注意が必要です。
申請時だけでなく、事業完了後まで整理して保管しておきましょう。
5.見積書は原則必要になる
小規模事業者持続化補助金では、基本的にすべての経費で見積書が必要です。
さらに、一定条件では「相見積もり(複数社見積)」も求められます。
条件 | 必要書類 |
通常の経費 | 見積書 |
100万円(税込)超 | 2社以上の相見積 |
中古品購入 | 金額に関係なく相見積 |
例えば、100万円を超える設備導入では、1社だけの見積では認められない可能性があります。
また、中古品は価格の妥当性確認が重視されるため、少額でも複数見積が必要です。
見積不足は差し戻しや対象外判定につながるため、早めに準備しておきましょう。
よくある質問
Q:ホームページ制作費は対象になりますか?
はい、ホームページ制作費は「ウェブサイト関連費」として対象になる場合があります。
例えば、以下のような費用です。
ホームページ制作
ECサイト構築
LP制作
WEB広告運用
サイト改修
ただし、以下の点に注意が必要です。
ウェブサイト関連費だけでの申請はできない
他の経費と組み合わせる必要がある
補助金額の1/4(最大50万円)が上限
また、単なる会社案内サイトではなく、「販路開拓につながる内容」であることが求められます。
Q:持続化補助金では、補助事業に関連するコンサルの受講料は経費になりますか?
いいえ、コンサルの受講料は補助対象外です。
持続化補助金に定められている8つの費目の中に、一般的な「コンサルティング受講料」や「セミナー受講料」という項目は含まれていないからです。
Q:交付決定前に支払った費用は対象になりますか?
いいえ、原則として対象外です。
持続化補助金では、「交付決定通知書」を受け取った後に実施した経費だけが補助対象になります。
具体的には、以下を交付決定後に行う必要があります。
発注
契約
購入
支払い
納品
例えば、「採択されたから先に契約した」いう場合でも、交付決定前であれば対象外になる可能性があります。
補助金申請では非常に重要なルールのため、必ず確認しておきましょう。
Q:持続化補助金は個人事業主でも申請できますか?
はい、個人事業主でも申請可能です。
小規模事業者持続化補助金は、一定の従業員数以下であれば、法人だけでなく個人事業主も対象になります。
主な条件は以下の通りです。
業種 | 従業員数の条件 |
商業・サービス業 | 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
申請時には、個人事業主の場合、
確定申告書
開業届
本人確認書類
などの提出を求められる場合があります。
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監修者からのワンポイントアドバイス
小規模事業者持続化補助金は20回公募から大きく変更になっています。対象経費や賃金引上げの考え方など公募要領を確認し、申請を行うようにしましょう。専門家と相談の上、要件などを満たしているか判断を仰ぐくことが採択への近道です。
