業務改善助成金は運送業でも使える?対象設備と活用事例を紹介 | みんなの補助金コンシェルジュ

業務改善助成金は運送業でも使える?対象設備と活用事例を紹介

執筆: 梅沢 博香公開日: 2026-03-27
業務改善助成金は運送業でも使える?対象設備と活用事例を紹介
井上 卓也カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

ポイント

  • 運送業でも業務改善助成金は活用できる

  • 小型トラックや配車システム、物流管理ソフトなど、業界特有の設備や車両が対象になる

  • 交付決定前の購入は対象外になるので注意する

業務改善助成金は運送業でも使える?

業務改善助成金は、運送業でも活用できます。

運送事業者が、生産性を高めるための設備投資と従業員の賃上げを同時に行う場合に、その費用の一部が助成されます。

例えば、「普通免許で運転できる小型トラック」を導入して、運転手不足による配送の遅れを解消しスムーズな地場配送を実現したり、タクシー業務において「配車システム連動型のカーナビ」を導入して配車指示を正確・迅速に行い、移動時間を短縮したりといった取り組みが可能です。

また、「物流管理システム」を導入して目標達成状況や取引内容をリアルタイムで可視化し、現場の従業員が経営的視点を持って売上増大に取り組める環境を整える事例も見られます,。

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対象となる事業者の基本要件

業務改善助成金を申請するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。主な要件は次のとおりです。

1.中小企業・小規模事業者であること
製造業の場合は、資本金3億円以下または常時使用する労働者数300人以下のいずれかを満たす企業が対象です。

2.事業場内最低賃金の要件を満たしていること
事業場内で最も低い賃金が、地域別最低賃金未満である事業場が対象となります。

3.一定期間以上雇用している労働者がいること
賃上げの対象となるのは、申請時点で雇入れ後6か月以上経過している労働者です。

4.労働保険に加入していること
労働保険に加入しており、保険料の未納がないことが必要です。

5.生産性向上につながる設備投資を行うこと
単なる老朽化による買い替えではなく、労働能率の向上につながる設備やシステムの導入が必要です。

製造業では、手作業で行っていた加工工程を自動化する機械や、事務作業を効率化する生産管理システムなど、幅広い設備投資が対象として認められています。

また、令和8年度は予算が約21億円規模に増額されており、例年よりも活用しやすい状況といえます。

業務改善助成金で車両購入はできる?対象条件と活用事例を解説

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業務改善助成金で対象になりやすい設備投資は?

業務改善助成金では、生産性向上に資する設備投資等が助成の対象となります。

運送業では、「配送ルートの最適化」「人手不足への対応」「事務・管理業務の自動化」に直結する設備やシステムが助成対象になりやすいです。

設備の種類

具体例

効果

車両・配送効率化設備

普通免許で運転できる小型トラック

運転手不足の解消・地場配送の円滑化

運行・配車管理システム

配車システム連動型カーナビ

移動時間の短縮・正確な配車指示

IT・経営管理システム

物流管理システム、目標管理機能

事務負担の軽減・売上目標の可視化

車両・配送効率化設備

運送業では、特定の免許を持つドライバーの不足が大きな課題ですが、「普通免許で運転できる小型トラック」の導入などが助成対象として認められています。

例えば、大型トラック輸送をメインとしていた事業場で、ドライバー不足により地場配送に遅れが生じていたケースでは、この小型トラックを導入したことで、配送体制が整いスムーズな運用が可能になった事例があります。

これにより、人手不足を補いつつ労働能率を高めることができます。

業務改善助成金で車両購入はできる?対象条件と活用事例を解説

運行・配車管理システム

現場の移動効率を上げるためのデジタル機器の導入も非常に効果的です。

タクシー業務において、「配車システム連動型のカーナビゲーション」を導入した事例では、配車室からの指示を瞬時に画面で伝えられるようになりました。

その結果、無線機のみの場合に比べて移動時間を短縮でき、不慣れな新人ドライバーでも効率よく業務を遂行できるようになったことで、事業場全体の生産性が向上しました。

IT・経営管理システム

配送現場だけでなく、事務や経営管理を効率化するシステムも対象となります。

全国の運送業者が利用する「物流ネットワークシステム」を活用し、取引高や車両の稼働状況をリアルタイムで可視化する機能を導入した事例があります。

データに基づいて目標達成状況を把握しやすくなることで、現場の従業員が経営的視点を持って売上拡大に取り組めるようになり、結果として賃金水準の向上につながった実績もあります。

このように運送業では、「ドライバーの負担をどう減らすか」「配送や配車のムダをどう省くか」を具体的に解決する投資が採択のポイントとなります。

対象外になりやすい設備

業務改善助成金では、「生産性向上に直結しないもの」や「私的利用も可能な汎用性の高い設備」は対象外となります。

  • 汎用パソコンやタブレット: 事務作業全般に使えるため原則対象外ですが、農業経営管理システム専用として不可欠な場合は例外的に認められることがあります。

  • 一般車両: 軽トラックや営業用の普通車は対象外です。助成対象となるのは、特殊な機能を持つ「特種用途自動車(8ナンバー)」に限られます。

  • その他: LED照明への交換(単なるコスト削減)や、エアコン設置、福利厚生目的の備品購入などは、生産性向上との関連が薄いため対象外と判断されます。

特例事業者の場合に認められる設備

一定の条件を満たす「特例事業者」に該当する場合は、通常は対象外となる設備も例外的に認められることがあります。

【特例事業者の要件】

  • 事業場内最低賃金が1,000円未満である

  • 原材料費の高騰などにより、最近3か月のうち任意の1か月の利益率が前年同月比で3ポイント以上低下している

特に「物価高騰の影響」を受けた特例事業者の場合は、パソコン、タブレット、スマートフォンなどの情報機器や、一定の条件を満たす貨物車両(トラック等)や乗用車の導入が認められるケースがあります。

これにより、生産現場だけでなく、事務や配送を含めた農業経営全体の業務改善が可能になります。

業務改善助成金の対象になる設備投資は?

業務改善助成金の運送業の活用事例は?

運送業では、深刻な「ドライバー不足」の解消や、IT・デジタル化による「配送・配車業務の効率化」に助成金を活用するケースが目立ちます。

実際に設備投資を行い、生産性を向上させることで賃金引上げを実現した、3つの代表的な成功事例をご紹介します。

事例1. 普通免許で運転できる小型トラックの導入による地場配送の効率化

特定の免許が必要な車両から、より多くの人が運転できる車両へ切り替えることで、配送体制を柔軟にする取り組みです。

改善前の課題
大型トラック輸送をメインとしていた事業場では、地場(近隣エリア)配送用のトラック数や、中型・大型免許を持つ運転手が不足していました。

その結果、細かい地場配送に遅れが生じ、業務全体のボトルネックとなっていました。

導入設備
普通免許で運転できる小型トラック

導入効果
普通免許しか持たないスタッフでも配送が可能になったことで、配送体制が整い、地場配送をスムーズに行えるようになりました。

結果として、事業場全体の労働能率が向上し、時給を45円引き上げる原資を確保できました。

対象設備と効果

設備

効果

小型トラック(普通免許対応)

運転手不足の解消・地場配送の円滑化

事例2. 配車システム連動型カーナビの導入による移動時間の短縮

タクシー業務において、アナログな指示をデジタル化することで、配車の正確性とスピードを向上させた事例です。

改善前の課題
配車担当者が顧客の指定場所を無線で乗務員に伝えていましたが、無線が途切れたり場所が不正確だったりすることがあり、配車に余計な時間がかかっていました。

導入設備
タクシー配車システム連動型カーナビゲーション

導入効果
配車室で受けた注文を瞬時にタクシーのカーナビ画面へ伝達できるようになりました。

その結果、効率よく移動時間を短縮でき、地理に不慣れな新人乗務員でもすぐに業務を遂行できるようになりました。

対象設備と効果

設備

効果

配車システム連動カーナビ

移動時間の短縮・新人乗務員の早期習得

小型ハイブリッド車・電気自動車

燃料費などのコスト低減

事例3. 物流管理システムの導入による目標管理の効率化

データを可視化することで、現場の経営意識を高め、売上拡大につなげた事例です。

改善前の課題
取引高や車両の稼働状況をリアルタイムで把握することが難しく、目標達成に向けた具体的な分析や対応方針の検討が遅れがちでした。

導入設備
物流管理システム(目標達成状況の可視化機能)

導入効果
取引目標の達成状況がパソコン上でリアルタイムに把握できるようになりました。

所長や配車担当者が「どのエリアでどのくらい荷物が動いているか」を毎日共有し、現場の従業員が経営的視点を持って売上増大に取り組めるようになったことで、取引の拡大と賃金水準の向上を実現。

対象設備と効果

設備

効果

物流管理システム

目標達成状況の可視化・経営分析の効率化

目標管理・可視化機能

現場の経営意識向上・売上目標の達成

運送業の活用事例に共通するポイント

運送業の事例では、「人手不足のカバー」「移動・手待ち時間の削減」を機械やシステムで解決している点が共通しています。

特に、免許制度の制約をクリアする車両の導入や、デジタル化による正確な配車指示など、具体的なボトルネックを解消することで、確実に生産性を高めています。

業務改善助成金では、これらの投資によって「いかに配送効率が上がり、収益(賃金)に還元できるか」というストーリーが重要になります。

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監修者

監修者からのワンポイントアドバイス

運送業の業務改善助成金では、配車システムの導入などが一般的ですが、特例事業者に該当する場合は、条件付きで小型トラックや乗用車などの車両購入も対象になる可能性があります。ただし、単なる買い替えではなく、運転手不足の解消や配送効率の向上などの説明が重要となります。