令和6年度「業務改善助成金」をわかりやすく解説!個人事業主は? - みんなの補助金コンシェルジュ

令和6年度「業務改善助成金」をわかりやすく解説!個人事業主は?

このコラムを読んで分かること ・「業務改善助成金」の概要 ・「業務改善助成金」の令和6年度の変更点  ・個人事業主が「業務改善助成金」を受給可能かどうか

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令和6年度版「業務改善助成金」は個人事業主ももらえる?.png

CONTENTS

「業務改善助成金」とは?

「業務改善助成金」は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する制度です。
業務改善助成金1出典:「業務改善助成金」パンフレット
簡単に言うと、賃上げと設備投資をセットで行う事業者がもらえる助成金です。
本コラムでは、「業務改善助成金」の概要と令和6年度の変更点、個人事業主が申請できるか否かについて解説します。

「業務改善助成金」の厚生省のホームページはコチラ!
「業務改善助成金」の分かりやすいパンフレットはコチラ!

「業務改善助成金」の支給要件

「業務改善助成金」の支給要件は次の3点です。

  • 中小企業・小規模事業者であること
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること

この3つの要件を満たした事業者は、事業場内最低賃金の引上げ計画と設備投資等の計画を立て、(工場や事務所などの労働者がいる)事業場ごとに申請できます。
業務改善助成金出典:「業務改善助成金」パンフレット

中小企業・小規模事業者であること

■中小企業の場合
資本金の額または出資の総額・常時使用する従業員の数、いずれかの要件を満たす場合、中小企業となります。
業務改善助成金出典:中小企業庁
■小規模事業者の場合
資本金や出資総額に関する基準はなく、従業員数が基準となります。
従業員数が20人もしくは5人より少ない場合、個人事業主も小規模事業者に含まれるので個人事業主も「業務改善助成金」に申請できます。
業務改善助成金4.png出典:中小企業庁
※中小企業基本法では、小規模事業者のことを正式名称である「小規模企業者」として記載されています。

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不交付要件がないこと

「業務改善助成金」には該当すると交付されない条件(不交付要件)が決められています。
不交付要件については申請マニュアル8ページまたは、「業務改善助成金Q&A」の17・18ページをご覧ください。

■例
以下いずれか遅い日までの間に当該事業場の労働者の時間当たりの賃金額を引き下げた場合
  • 賃金額を引き上げてから6月を経過した日
  • 交付申請書の提出日の前日から起算して3月前の日から実績報告手続を行った日の前日

事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること

事業場内の最低賃金が、地域別の最低賃金と比較して50円以内の差額である場合が対象となります。
地域別最低賃金の確認はコチラ!

■例
地域別最低賃金が1,000円の地域
事業場内最低賃金が1,040円……〇
事業場内最低賃金が1,050円……×


■「事業場内最低賃金」とは?
事業場内最低賃金は、事業場で最も低い時間給を指します。
事業場は、労働者が働く場所や拠点のことです。
労働基準法では、「同一の住所で従業員が働いており、独立して業務を行っている場所」と定義されています。
例えば、企業単位で見ると1つでも本社、東京支店、大阪支店、名古屋支店はそれぞれ違う事業場になります。

業務改善助成金5出典:厚生省ホームページ

「業務改善助成金」の助成額

助成額

助成上限額は、引き上げ額、引き上げ人数、事業場規模によって異なります。
引き上げ額、引き上げ人数、事業場規模が大きいほど助成額が大きく、最大上限額は600万円です。
業務改善助成金6.pn出典:厚生省ホームページ

助成率

申請を行う事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって助成率が変わります。
生産性要件に該当した場合は、( )書きの助成率が適用されます。

900円未満900円以上950円未満950円以上
9/104/5(9/10)3/4(4/5)

■生産性要件とは?
助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、以下2つのどちらかであることを指します。

  • その3年度前(※1)に比べて6%以上伸びていること
  • その3年度前(※1)に比べて6%以上(6%未満)伸びていること

「生産性」の計算式によって計算等の詳細についてはこちらのパンフレットをご覧ください。

助成対象経費

助成対象となる経費は「生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等」です。
業種によってさまざまな設備投資などが考えられますので、下表の他、業種別の活用事例や「生産性向上のヒント集」を参考にしてください。
業務改善助成金対象.png出典:厚生省ホームページ

「業務改善助成金」活用事例

導入設備投資と活用事例をご紹介します。

業種導入設備業務改善の内容
飲食店受注・会計システム業務を効率化する
飲食店市場から直接、食材を仕入れるための仕入用車両仕込み作業の効率化を図る
機械製造業照明をLED照明作業環境を改善、作業ミスの防止と節電効果を図る
造園業造園ガーデニングCAD造園工事の完成イメージを三次元で提案する
エステサロ ン多機能型のエステ機械短時間で効率的なサービスを提供する

出典:茨城労働局労働基準部賃金室

特例事業者は優遇措置がある!

「業務改善助成金」では、以下2つのどちらかの条件に当てはまる事業者を特例事業者とし、助成上限額の拡大・助成対象経費の拡大の優遇が受けられます。

特例事業者条件
賃金要件申請事業場の事業場内最低賃金が950円未満である事業者
物価高騰等要件原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1か月の利益率が前年同月に比べ3%ポイント※以上低下している事業者

物価高騰等要件に該当する場合、通常は、助成対象となる生産性向上に資する設備投資等として認められていないパソコン等や一部の自動車も助成対象となります。(パソコン等は新規導入に限る)
業務改善助成金8.出典:令和6年度「業務改善助成金」パンフレット

令和6年度の主な変更点は4点!

令和5年度からの主な変更点は次の4点です。
今回の変更は、拡充ではなく縮小、厳格化と言えます。

  • 関連する経費が終了
  • 生産量要件や関連する経費が終了
  • 事業完了期限が令和7年1月31日に
  • 令和6年度から同一事業場の申請は年1回までに

関連する経費が終了

前年度では特例事業者の一部に限り、「関連する経費」も助成対象経費として認められていました。
令和6年度は「関連する経費」が廃止され、助成対象となる経費の幅が狭まりました。
業務改善助成金出典:令和5年度「業務改善助成金」パンフレット
■「関連する経費」とは?
生産性向上に資する設備投資等を行う取り組みに関連する費用として、業務改善計画で計上された経費を指します。
業務改善助成金出典:令和5年度「業務改善助成金」パンフレット

生産量要件が終了

前年度では助成上限額の拡大・助成対象経費の拡大等優遇措置が適応される特例事業者は次の①~③の3種類でした。
令和6年度は②の「生産量要件」が廃止され、特例事業者に該当する事業者の幅が狭まりました。
業務改善助成金11出典:令和5年度「業務改善助成金」パンフレット

業務改善助成金12出典:令和6年度「業務改善助成金」パンフレット
■「生産量要件」とは?
売上高や生産量などの事業活動を示す指標の直近3か月間の月平均値が前年、前々年または3年前の同じ月に比べて、15%以上減少している事業者のことです。

事業完了期限が令和7年1月31日に

賃金の引き上げ、設備の導入、代金の支払い等事業は令和7年1月31日までに完了させることになりました。
前年度の事業完了期限は翌年2月末だったので、今年度は1か月早まりました。
※やむを得ない事由がある場合は、理由書の提出により、令和7年3月31日とできる場合があります。

令和6年度から同一事業場の申請は年1回までに

令和5年度では同一年度に複数回(上限2回)申請できましたが、令和6年度からは1回のみになりました。
参考:中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)交付要領

「業務改善助成金」の利用方法・流れ

大まかな流れとしては「交付申請➤賃金引上げや設備導入➤受給」です。
業務改善助成金13.png出典:令和6年度「業務改善助成金」パンフレット

交付申請 令和6年12月27日まで

「業務改善助成金」の利用に向けて「事業実施計画書」を作成します。
具体的には以下を行い、労働局に申請を行います。

  • 事業場内最低賃金の引き上げ計画の策定
  • 業務改善計画の策定(設備投資や器具購入などの実施計画)


■ポイント

  • 業務改善計画の策定にはその設備投資を行うことで生産性の向上・従業員の労働能率の増進にどのような効果があるのかを明記します。
  • 設備投資等を行う場合は、助成対象経費の見積書の他に相見積り書も添付書類として求められるのであらかじめ準備しましょう。

交付決定

労働局が事業実施計画や添付書類を確認し、問題なければ助成金の交付決定が行われます。
申請書類に不備があった場合は労働局から内容確認がされます。

事業の実施 令和7年1月31日まで

事業実施計画書に基づき、以下を実施します。

  • 事業場内最低賃金の引き上げ
  • 業務改善(設備や器具の導入および助成金の対象経費の支払い)


■ポイント

  • 設備投資等を交付決定通知前に行うと助成金の対象外となるのでご注意ください。
  • 地域別最低賃金の発効に対応して事業場内最低賃金を引き上げる場合、発効日の前日までに引き上げていただく必要があります。

実績報告書

以下を作成して労働局に申請を行います。

  • 助成金支払いのための支給申請書
  • 業務改善計画の実施結果と賃金引上げ状況を記載した事業実績報告書

交付額確定と助成金額支払い

労働局が実績報告書の審査を行い、助成金の金額が確定されます。

助成金受給

「業務改善助成金」は、助成金が支給された後も状況報告をする必要があります。
受給後に賃金を引き下げる等、助成金の不交付事由に該当すると助成金の返金となりますのでご注意ください。

賃金の引上げはいつまでに行えばいい?

賃金の引上げは、交付申請後(申請書を労働局に提出した後、郵送による場合は申請書が労働局に到達した後)以降から事業完了期日までの間であれば、実施時期を問いません。
また、実際の支払いは事業実績報告書の提出日までに行う必要があります。
ただし、最低賃金が上がると業務改善助成金のハードルも一緒に上がるため、最低賃金が更新される10月1日までの賃上げがおすすめです。
詳細は以下のコラムをご覧ください。

「業務改善助成金」の仕組みを社労士が解説!いつ賃上げするのがベスト?

ちなみに、9月に賃上げをする場合は6月には申請を済ませましょう。
賃上げ時期から逆算したスケジュールを立てることがおすすめです。
業務改善助成金13.png出典:リアリゼイション「業務改善助成金セミナー」セミナーレポート
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