雇用保険、週10時間以上の労働者も対象の方針!デメリットや課題は
厚生労働省は、雇用保険の対象を週20時間以上から週10時間以上に拡大する方針を示しました。これにより、パートやアルバイトなど短時間労働者も失業給付や育児休業給付金の対象となる見込みです。
本記事では制度改正によるメリット・デメリットを紹介します。
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雇用保険の対象拡大、短時間労働者も
厚生労働省は、雇用保険の対象を週20時間以上働く人から週10時間以上の人に拡大する方針です。
これにより、パートやアルバイトなど短時間労働者が失業給付や育児休業給付金の対象となる見込みです。
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雇用保険とは
雇用保険とは、失業したときや育児休業を取得したときなどに給付金が支給される制度です。
現在の適用対象は、週20時間以上働く人で、約4,000万人が加入しています。
雇用保険の給付金
基本的には、失業した場合は120日間、育児休業を取得した場合は120日間、それぞれ受け取ることができます。
給付率
失業給付は基本手当日額の70%、育児休業給付は手取り収入の実質8割です。
厚生労働省|雇用保険制度について
雇用保険の対象拡大により影響のある人
週10時間以上20時間未満の所定労働時間で働く人々に影響があります。
パートやアルバイトなど短時間労働者も雇用保険の対象となり、対象者は最大で約500万人増える見込みです。
適用対象の拡大の内容
適用対象の拡大に伴い、雇用保険の制度内容も一部変更されます。
具体的には、以下のような策が提案されています。
労働時間の緩和
・週の労働時間を現行の「週20時間以上」から「週10時間以上」に緩和する。
時短勤務者への支援策
・育休明けの時短勤務者に対し、2025年度から時短勤務の賃金の10%を支給。
・2歳未満の子どもを育てる人を対象とする育休後の時短勤務の支援制度を導入。
育休給付金の引き上げ
・育休給付金において、両親が共に育休を取った場合、手取り収入の実質10割に引き上げる。
自己都合退職時の失業給付開始期間の前倒し
・自己都合で退職した場合、失業給付の開始までの期間を現行より1カ月前倒しする。
メリットとデメリット
メリット
失業等給付
失業時や職業訓練受講時に給付を受けられます。雇用保険の拡大で、失業時に安定した収入を得られる可能性があります。
育児休業給付
子どもを養育するために休業をする場合に支払われる給付を受けられます。育児休業後の時短勤務者への支援策も含まれ、仕事と家庭の両立を支援します。
デメリット
保険料負担の増加
雇用保険に加入する場合、保険料が増える可能性があります。保険料は賃金の1.55%で計算され、労働者と事業主が負担します。これは、パートタイムで働く人や雇用する企業にとって負担増となる可能性があります。
適用対象の拡大の意義と影響
雇用保険の対象拡大は、多様な働き方をする人々の安心と安定を図る重要な改革です。
特に、女性や高齢者などパートで働く人々が保険の対象に含まれることで、経済的な安心感が増すことが期待されます。
一方で、労働者や雇用者には保険料負担の増加などの課題があります。
特に中小企業で懸念されているのは雇用コストの上昇です。