自己都合退職の失業保険、給付制限期間の短縮はいつから?

2025年4月から、失業保険(失業給付)において自己都合退職者にとって有利な変更が予定されています。具体的には、給付制限期間が1カ月に短縮されることで、従来よりも早く失業保険を受け取れるようになります。また、自己都合退職であっても、在職中または離職日前1年以内に雇用保険の教育訓練給付の対象となる教育訓練を受けた人は、7日間の待機後にすぐ失業給付を受け取れるようになります。
梅沢 博香

公開日:

更新日:

失業保険の待機期間短縮へ

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

変更点2:支給開始が早まる

2025年4月から、自己都合退職者への失業給付の支給開始を早めるため、給付制限期間を現在の2カ月後から1カ月後に短縮することが検討されています。

失業保険(失業給付)では、求職の申込をした日(受給資格決定日)から7日間の待期期間があり、その期間中は給付が支給されません。
さらに会社に不満があるなどの理由で退職する(自己都合退職)の場合は、待期期間後に給付制限期間があります。
この給付制限期間が、現行の2カ月後から1カ月後に短縮されます。

ただし、短期間での入退社を繰り返すことを防ぐため、5年間で3回以上、正当な理由のない自己都合退職をした人には、給付制限期間が3カ月に設定されるのでご注意ください。

自己都合退職の場合の支給開始までの流れ

【現行】
受給資格決定→待機期間(7日間)→給付制限期間(2カ月)→支給
【2025年4月から】※原則
受給資格決定→待機期間(7日間)→給付制限期間(1カ月)→支給

支給開始が早まることのメリット

給付制限期間が短くなることで、転職しやすい環境が整うメリットがあります。
給付制限期間は、労働者が安易に離職しないように設けられていますが、この期間があることで、退職後の生活への不安から転職をためらう人もいます。
今回の改正では、労働者が安心して再就職活動を進められるように給付制限期間を見直すことになりました。

失業保険(失業給付)とは

失業保険(失業給付)は、会社で働いていた人が失業したときに、一定の条件を満たすと受け取れる手当です。
これは公的保険制度の一種であり、正式には「雇用保険」と言います。
失業した場合や自己都合での退職にあたり受給することができます。

受給資格

雇用保険に加入していれば、失業したときに失業保険(失業給付)を受け取れる場合があります。
ただし、離職したすべての人が失業手当をもらえるわけではありません。

受給額

失業保険(失業給付)の基本手当日額は、原則として離職日直前6ヶ月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割って算出した金額のおよそ50~80%です。

受給期間

失業保険(失業給付)の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間となっています。
参考:厚生労働省|「基本手当について」

変更点2:学びなおしで待機期間後すぐ受給

2025年4月から、自己都合退職者が職期間中や離職日前1年以内に雇用保険の教育訓練給付の対象となる教育訓練を受けた人は、7日間の待機後にすぐ失業保険(失業給付)を受け取れるようにする方向です。

現在の制度では、倒産や解雇など会社都合の退職の場合、学び直しの有無にかかわらず7日間の待機後にすぐ受給できますが、自己都合退職の場合は受給開始が遅れるため、労働移動を妨げるとの指摘がありました。
今回の改定で、学びなおしに取り組んだ自己都合退職者は、早期に失業保険(失業給付)を受給できるようになります。

まとめ

2025年4月から、失業保険(失業給付)に関して自己都合退職者にとって有利な変更が予定されています。主な変更点は以下の2つです。

  • 給付制限期間が1カ月に短縮され、早く失業保険が受け取れるようになる
  • 自己都合退職でも、職期間中や離職日前1年以内に雇用保険の教育訓練給付の対象となる教育訓練を受けた人は、7日間の待機後にすぐ失業給付を受け取れるようになる

人気コラムをチェック!

【2024年版】個人向け給付金・補助金!国からもらえるお金一覧
【2025年度入学向け】ランドセルの補助金・助成金はある?
【2024年版】全国自治体の粉ミルクの補助金・支給事業一覧