展示会出展に使える補助金は?【2025年版】
展示会出展に補助金を活用すると、コストを抑えられます。本コラムでは、展示会出展に使える具体的な補助金を紹介いたします。

この記事を監修した専門家

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
展示会出展に使える補助金は?
展示会出展に活用できる補助金には、大きく分けて「国の補助金」と「自治体の補助金」の2種類があります。
国の補助金 | 自治体の補助金 |
・小規模事業者持続化補助金 ・ものづくり補助金 ・新事業進出補助金 など | ・市場開拓助成事業(東京都) ・大規模展示商談会活用事業(大阪府) ・南丹市販路開拓支援事業(通常版)(京都府南丹市)など |
補助対象費用は?
展示会出展にかかる費用の中で、補助金の対象となるのは次のような経費です。
- 出展料(小間代など)
- ブース装飾費・備品購入費
- パンフレット・チラシ等の制作費
- 通訳・翻訳費
- 移動費・宿泊費
単に出展料だけでなく、商談のための準備や販促活動に関連する費用も幅広く対象になるケースが多いのが特徴です。特に海外展示会については、旅費や通訳費用まで認められることもあり、適切に活用すれば大きな販路開拓につながります。
【無料】展示会出展に使える補助金を相談する!
展示会出展に使える国の補助金制度
企業や個人事業主が展示会出展に活用できる代表的な国の補助金は、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、新事業進出補助金です。ここでは、各補助金の概要と展示会に関わる活用方法を解説します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓のために展示会へ出展する際に最も利用されやすい補助金です。対象経費には「展示会等出展費」が明記されており、広告やパンフレット作成と並んで展示会活用に適した制度として広く認知されています。
この補助金は中小企業庁が実施母体となり、商工会・商工会議所を窓口に運営されています。小規模事業者が自ら策定する経営計画に基づいて販路開拓を行うことを目的としており、展示会は新規顧客獲得や市場拡大に直結する取組として制度上もしっかり支援対象に含まれています。商工会に未加入の事業者でも申請可能で、広い層の事業者が使える点も特徴です。
項目 | 内容 | 備考 |
補助上限額 | 通常枠:50万円特例加算あり:最大250万円 | インボイス特例(+50万円)、賃金引上げ特例(+150万円)、両方満たすと+200万円 |
補助率 | 2/3(赤字かつ賃上げ特例を満たす場合は3/4) | |
主な対象経費 | 展示会等出展費、広報費、旅費、機械装置等費、委託・外注費など | 出展料・運搬費・通訳・翻訳費も対象 |
小規模事業者持続化補助金の概要をチェックする!
展示会での活用ポイント
販売目的のみは対象外:マルシェや物販イベントなど、販売のみを目的とした出展は原則認められません。
経費は期間内の支出のみ対象:補助事業期間を過ぎて支払った費用は対象外です。必ずスケジュール管理を徹底する必要があります。
海外展示会の注意点:旅費や通訳・翻訳費は対象ですが、実績報告時には外国語証憑に日本語要約を添付しなければなりません。報告書作成の翻訳費用は対象外です。
商工会との連携が必須:申請には商工会または商工会議所の面談と「事業支援計画書」の発行が必要です。締切を過ぎると発行できないため早めの準備が欠かせません。
活用事例
課題:地方で家具を製造する小規模事業者は、新しい販路を開拓したいと考えていましたが、展示会への出展料やブース装飾費が高額で、資金面の負担が大きな課題となっていました。
取り組み:小規模事業者持続化補助金を活用し、東京ビッグサイトで開催された専門展示会に出展。補助金を利用して出展料やパンフレット制作費、輸送費の一部を賄いました。さらに、英語版パンフレットを制作し、海外バイヤーとの商談にも対応できる体制を整えました。
成果:展示会で20社以上と新規商談を実施し、そのうち3社と継続取引が成立。初年度で売上が約200万円増加し、海外市場への販路開拓にも道が開けました。結果として、補助金を活用した展示会出展が事業成長の大きな契機となりました。
【無料】展示会出展に使える補助金を相談する!
参考:小規模事業者持続化補助金
ものづくり補助金(グローバル枠のみ)
ものづくり補助金は、中小企業の革新的な新製品・新サービス開発や事業展開を支援する国の代表的な補助金であり、展示会出展が認められるのは「グローバル枠」に限られます。グローバル枠は、日本の商品やサービスを海外市場に展開することを目的とした枠組みです。
そのため、通常枠では対象外となる展示会出展も、海外市場開拓に直結する場合に限って補助対象に含まれます。最新設備やシステム構築費と併せて、海外展示会への出展を活用すれば、大規模な販路拡大が可能になります。
項目 | 内容 | 備考 |
補助上限額 | 最大3,000万円 | 下限100万円 |
補助率 | 中小企業:1/2小規模・再生事業者:2/3 | |
対象経費 | 【共通】機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウド利用費、原材料費、外注費、知財関連経費【グローバル枠のみ】海外旅費、通訳・翻訳費(上限30万円)、広告宣伝・販売促進費 | 展示会は海外市場開拓に関連する場合のみ対象 |
ものづくり補助金の概要をチェックする!
展示会での活用ポイント
対象はグローバル枠のみ:展示会関連費用は、海外市場への販路開拓を目的とした「グローバル枠」でのみ認められます。
海外展開に直結することが条件:海外の新市場で自社製品を広める目的でなければ対象になりません。国内展示会や既存市場向けの販促は対象外です。
対象経費が幅広い:旅費や通訳・翻訳費、広告宣伝費など、海外展示会に必要な費用が幅広く対象となります。
上限額が高額:最大3,000万円まで補助されるため、大規模な販路拡大に向いた制度です。
活用事例
課題:精密部品メーカーは海外市場に進出したいと考えていましたが、シンガポールでの展示会に必要な出展料や渡航費、現地通訳費が高額で、自己資金だけでは負担しきれない状況でした。
取り組み:ものづくり補助金(グローバル枠)を活用し、国際産業見本市へ出展。補助金で出展料、英語版カタログの制作費、渡航費、通訳費をまかない、さらにブース装飾や広告にも予算を充てることができました。
成果:展示会では現地ディストリビューターや商社と多数の商談を実現。そのうち2社と契約を結び、初年度で海外売上が1,000万円規模に拡大。海外市場参入の確かな足掛かりを築くことに成功しました。
参考:ものづくり補助金
新事業進出補助金
新事業進出補助金は、「新市場への挑戦」を前提に展示会出展を販路開拓の起点とできる制度です。中小企業が既存事業とは異なる新しい業種や業態に挑戦する際に活用でき、展示会出展費も対象になります。
この補助金は2025年に新設され、事業再構築補助金の後継的な位置づけとされています。目的は、従来の市場や事業形態にとらわれず、新市場進出や高付加価値分野への挑戦を後押しすることです。そのため、新商品や新サービスを広めるための販路開拓経費として、展示会出展や広告宣伝費も支援対象に含まれています。
新事業進出補助金の概要をチェックする!
従業員数 | 補助上限額 | 大幅賃上げ時の上限額 | 補助率 |
20人以下 | 2,500万円 | 3,000万円 | 1/2 |
21~50人 | 4,000万円 | 5,000万円 |
51~100人 | 5,500万円 | 7,000万円 |
101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
主な対象経費:建物費、構築物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知財関連経費、広告宣伝・販売促進費
販路開拓関連の補助対象例:パンフレット・動画・写真制作費、Web広告費、展示会出展料・装飾費・販促物制作費、新製品PR用のWebサイト構築費
展示会での活用ポイント
新規性が重要:既存製品の宣伝ではなく、新しく挑戦する事業や市場での販路開拓につながる展示会であることが条件です。
販促費が対象:広告費や展示会の出展料などは公式に対象経費として認められており、実務的にも使いやすい制度です。
公募時期の確認が必須:公募は年に4回ほど実施される予定で、締切を逃すと申請できないため、早めの準備とスケジュール管理が欠かせません。
活用事例
課題:老舗の食品メーカーが、和菓子製造から健康食品市場へ新規参入を計画。しかし新市場では知名度が低く、販路開拓に苦戦していました。
取り組み:新事業進出補助金を活用して健康食品の専門展示会に出展。補助金でブース装飾やパンフレット制作、試食用サンプルの費用をまかない、さらにWeb広告を組み合わせて集客を強化しました。
成果:展示会では100社以上と商談を実施し、5社との新規契約を獲得。初年度で1,500万円規模の売上を実現し、新市場進出の確かな足掛かりを築きました。
参考:新事業進出補助金
【無料】展示会出展に使える補助金を相談する!
展示会出展に使える自治体の補助金
国の補助金だけでなく、各自治体も展示会出展を支援する独自制度を設けています。対象や条件が地域に密着しているため、自社の所在地に合った補助制度を調べることが重要です。
市場開拓助成事業(東京都)
市場開拓助成事業は、都内中小企業が展示会出展や広告活動に活用できる代表的な助成制度です。ただし、令和7年度(2025年度)の募集はすでに終了しています 。例年、募集は 6月中旬〜下旬 に実施されるため、来年度(令和8年度)を狙う場合は春頃から準備を進め、東京都中小企業振興公社の公式サイトを必ずチェックしましょう。
項目 | 内容 | 備考 |
助成上限額 | 300万円 | 海外展示会も対象 |
助成率 | 1/2 | 対象経費の半額 |
対象経費例 | 出展小間料、資材費、輸送費、通訳費、販促物制作費など | 出展費が必須経費 |
展示会での活用ポイント
出展小間料が必須経費とされており、展示会出展が計画の中心になる必要があります。助成対象商品は、東京都が定める成長産業分野に属する製品や、公社の支援・評価を受けた製品に限られます。公募は年1回で申請期間が短いため、告知が出たら迅速に準備することが不可欠です。
参考:東京都中小企業振興公社
大規模展示商談会活用事業(大阪府)
大阪府のこの制度は、府内のものづくり中小企業が指定展示商談会に出展する際、小間料金や装飾費などの経費を補助する制度です。展示商談会への出展支援と技術・販路力の強化を目的としています。
項目 | 内容 | 備考 |
補助上限額 | 25万円 | 小間料金・装飾経費を対象とする補助経費全体に対して上限 |
補助率 | 1/2 | 補助対象となる経費の半額を補助 |
対象経費例 | 小間料金、装飾経費 | 補助対象は「小間料金及び装飾経費」に限る |
展示会での活用ポイント
補助対象となる展示商談会は、府が指定するものに限定されています対象経費は小間料・装飾費に絞られており、パンフレットや広告費は対象外です。期ごとに募集期間が設定されているため、出展予定の展示会がどの期に含まれるかを確認する必要があります。
参考:大阪府
南丹市販路開拓支援事業(通常版)(京都府南丹市)
南丹市の販路開拓支援事業(通常版)は、市内の中小企業者や起業後5年未満の事業者が、展示会等の出展を通じて販路を拡大する際に、出展費用を一部補助する制度で
項目 | 内容 | 備考 |
補助上限額 | 50万円(大規模展示会等支援事業) | 展示会等参加の事業で利用可能 |
補助率 | 1/2以内 | 対象経費の半分まで補助 |
対象経費例 | 展示会参加費・輸送費・通訳費等 | 展示会等支援事業における出展費用 |
展示会での活用ポイント
展示会での活用ポイントとしては、起業後5年未満の事業者には「起業者販路開拓支援事業」という特別枠があり、助成率は10/10、上限は10万円と設定されています。また、補助金の交付は当該年度につき1事業者1回まで、通算でも3回までと制限があります。申請は展示会開始の30日前までに行う必要があり、終了後には実績報告書の提出も必須です。対象となる展示会は、都市圏や海外など、新しい取引の開拓や拡大を目的としたものに限られています。
参考:南丹市
【無料】展示会出展に使える補助金を相談する!
よくある質問
展示会出展に使える補助金について、よくある疑問をまとめました。国の補助金と自治体の補助金では仕組みや条件が異なるため、申請前に必ず要件を確認しましょう。
Q1. 展示会に使える国の補助金は、どこで出展しても補助対象になりますか?
国の補助金は、展示会の開催場所にかかわらず対象となります。たとえば、小規模事業者持続化補助金や新事業進出補助金は、国内外を問わず展示会等出展費を補助対象としています。ただし、制度によっては「海外枠」に限られる(ものづくり補助金のグローバル枠など)ケースもあるため、募集要項で必ず確認しましょう。
Q2. 海外展示会の出展にも補助金は使えますか?
海外展示会も対象となる補助金があります。小規模事業者持続化補助金では、展示会等出展費として海外出展も補助対象です。新事業進出補助金でも、広告宣伝・販売促進費の中に海外展示会出展が含まれています。ものづくり補助金は「グローバル枠」に限り、渡航費や通訳・翻訳費も認められています。
Q3. 小規模事業者持続化補助金と自治体の補助金は併用できますか?
同じ経費を国と自治体で重複申請することはできません。たとえば、同じ展示会の出展料を国の補助金と自治体の補助金で同時に申請するのは不可です。ただし、別の経費(例:国の補助金で小間料、自治体補助金で広告費)であれば認められる場合があります。制度ごとに募集要項を確認することが必要です。
Q4. 展示会出展に補助金を活用する時、どのタイミングで申請するのがベストですか?
展示会の契約や支払いの前に、補助金の交付決定を受けておく必要があります。補助金は「交付決定前の支出」を対象外としているため、展示会開催日から逆算して余裕を持った準備が欠かせません。申請受付期間が短い場合も多いため、募集が開始されたらすぐに準備を進めるのが理想です。
Q5. 展示会出展に補助金を活用する時、どのタイミングで入金されますか?
補助金の入金は、展示会終了後に実績報告を提出し、審査で承認された後です。多くの制度で「後払い方式」が採用されており、まずは自己資金で支払いを行い、承認後に補助金が振り込まれます。
小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)の流れ
申請書類の提出 ➤ 採択 ➤ 交付決定 ➤ 事業実施 ➤ 実績報告 ➤ 補助金入金
このように、即時入金される仕組みではないため、資金繰りを見据えた計画が重要です。
参考:小規模事業者持続化補助金
まとめ
展示会出展は、新規顧客や取引先との接点を増やす有効な手段ですが、費用負担が大きな課題となります。そこで活用したいのが補助金制度です。
- 国の補助金(小規模事業者持続化補助金・ものづくり補助金(グローバル枠)・新事業進出補助金)は、販路開拓の一環として展示会出展費を対象に含めています。
- 自治体の補助金(東京都の市場開拓助成事業、大阪府の大規模展示商談会活用事業、京都府南丹市の販路開拓支援事業など)でも、地域ごとに展示会出展をサポートする制度が整備されています。
いずれの制度でも共通するのは、「交付決定前の支出は対象外」「補助金は後払い方式」 という点です。申請のタイミングを逃さないこと、そして資金繰りの計画を立てておくことが成功の鍵となります。
展示会は単なる出展ではなく、販路拡大・新市場進出の大きなチャンスです。自社の事業計画に合った補助金を選び、戦略的に活用することで、補助金は強力な追い風となるでしょう。
2025年度、補助金を活用したい方はこちら!
実は、「補助金は申請すれば受給できる」わけではありません。
厳しい審査をクリアする必要があり、4社に1社しか通過できない難関補助金も多いのです。
審査通過率を飛躍的に上げるには、申請サポート会社の力を借りるのが鉄則!
提出書類の抜け・漏れがないように、弊社が万全のサポートで審査通過を目指します。
弊社の提携企業がサポートさせていただいた方のお喜びの声
弊社は、提携企業を通じて補助金申請のサポートを行っており、これまでに90億円以上の申請総額、3,000件以上の申請実績があります。
専門家による的確なアドバイスとサポートで、御社を採択へ導きます!
サポートさせていただき見事採択された方々のお喜びの声をご紹介します。
「簡単な内容を伝えただけで、立派な書類に仕上げていただきました。急な変更にもすぐ対応してくれて、とても満足です!」
「電話やメールで手続きが完了するので非常に楽でした!LINEでも相談できる気軽さもよかったです。」
「必要な情報を渡すだけで専門家がすべて対応してくれます!リアリゼイションのマニュアルを活用すれば、必要なところを穴埋めするだけで書類ができますし、とにかく時間が浮浮いて、本業に集中することができました!」
補助金に関するお悩みやご相談がある方は、以下のお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせくださいませ。担当者があなたのお悩みに丁寧に回答いたします!
監修者からのワンポイントアドバイス
展示会出展費用は対面での商談が可能となる非常に効果的な販促手段となります。補助金申請のスケジュールを勘案し、合致するようでしたら検討されると良いでしょう。展示会に参加する社員の方々の旅費なども補助対象となることが多いため経費節減にもつながります。