【2024年度】事業再構築補助金の成長分野進出枠について徹底解説!

事業再構築補助金の成長分野進出枠は、大胆な事業構築に取り組む方への補助金です。 今回は事業再構築補助金の成長分野進出枠の概要、申請要件、注意事項を専門家が解説します。
井上 雅也

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【2024年度】事業再構築補助金の成長枠について徹底解説!

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

事業再構築補助金の成長分野進出枠とは?

事業再構築補助金の成長枠とは、ポストコロナに対応した成長分野への大胆な事業再構築にこれから取り組む事業者を支援する補助金です。ただし、成長枠は第12回公募より名称が「成長分野進出枠」に変更となり、以下の2つの類型に分かれました。

  • 通常類型:ポストコロナに対応した、成長分野への大胆な事業再構築や縮小している市場の課題への取組を支援
  • GX進出類型:ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を支援

事業再構築補助金の成長分野進出枠の補助上限と補助率

補助上限額

事業再構築補助金の成長枠における補助上限額は類型と従業員数によって異なります。

従業員数通常類型GX進出類型
20人以下1,500万円(2,000万円)3,000万円(4,000万円)
21~50人3,000万円(4,000万円)5,000万円(6,000万円)
51~100人4,000万円(5,000万円)7,000万円(8,000万円)
101人以上6,000万円(7,000万円)8,000万円(1億円)

※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合

補助率

事業再構築補助金の成長枠における補助率は企業規模によって異なります。

企業規模中小企業等中堅企業等
補助率1/2(2/3)1/3(1/2)

※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合

大規模な賃上げとは?

補助上限額、補助率を引き上げるためには以下の3点を満たす必要があります。

  1. 補助事業期間内に給与支給総額を年平均6%以上増加させること
  2. 補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること
  3. 応募時に、大規模な賃上げに取り組むための計画書を提出する

事業再構築補助金の成長分野進出枠の対象要件

事業再構築補助金については「全枠共通の要件」、「申請予定類型の要件」の2つを満たす必要があります。

全枠共通の要件

  1. 【事業再構築要件】事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
  2. 【金融機関要件】事業計画について金融機関等又は認定経営革新等支援機関の確認を受けていること
  3. 【付加価値額要件】補助事業終了後3~5 年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること

【事業再構築要件】
事業再構築の定義に該当するのは以下の6つとなり、いずれかに該当することが要件となります。

  1. 新市場進出
  2. 事業転換
  3. 業種転換
  4. 事業再編
  5. 国内回帰
  6. 地域サプライチェーン維持・強靭化

【金融機関要件】
事業計画について金融機関や認定支援機関に確認を受ける必要があります。ただし、補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受ける必要があります。
【付加価値額要件】
付加価値額とは、「営業利益」「人件費」「減価償却費」を足したものを指します。この付加価値額について補助事業終了後3~5年で年平均成長率4.0%以上の増加または従業員一人当たりの付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加することが要件となります。この際、成果目標の比較基準となる付加価値額は、補助事業が終了する月を含む決算年度の付加価値額となるため、注意が必要です。

成長分野進出枠(通常類型)の要件

通常類型においては以下の2つのパターンのどちらかで要件を満たす必要があります。
パターンA

  • 事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させること【給与総額増加要件】
  • 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10 年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること【市場拡大要件】

市場拡大要件に該当する業種・業態については事務局が一覧を公開していますので、そちらをご参照ください。
市場拡大要件の対象となる業種・業態の一覧はこちら
パターンB

  • 現在の主たる事業が過去~今後のいずれか 10 年間で、市場規模が 10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること、又は地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の 10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の 10%以上を占めること【市場縮小要件】

市場縮小要件に該当する業種・業態については事務局が一覧を公開していますので、そちらをご参照ください。
市場縮小要件の対象となる業種・業態の一覧はこちら

成長分野進出枠(GX進出類型)の要件

  • 事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させること【給与総額増加要件】
  • グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取組であること【GX 進出要件】

【GX進出要件】
「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「実行計画」が策定されている14分野に関し、各分野ごとに「現状と課題」として記載のある「課題」の解決に資する取組であることが必要となります。
14分野に関する詳細はこちら

事業再構築補助金の成長分野進出枠の対象経費

対象経費一覧

経費項目備考
建物費新築の建物については必要性が認められた場合に限ります。
機械装置・システム構築費100万円以上のシステム構築費を計上する場合は、実績報告時に要件定義書など規定の書類を提出する必要があります。
技術導入費
専門家経費
運搬費
クラウドサービス利用料
外注費
知的財産権等関連経費
広告宣伝・販売促進費
研修費補助対象経費総額の1/3までが認められます。
廃業費市場縮小要件を満たすことで通常類型に申請し、既存事業の廃止を行う場合のみ認められます。また、補助対象経費総額の1/2または2000万円の小さい額が上限となります。

対象経費に関する注意事項

  • 資産性のない経費のみを計上する事業 や、1つの経費区分だけに大半の経費を計上する事業等、特段の事由がある場合には、交付申請時に、 その理由を明らかにした理由書を添付書類に追加して提出する必要があります。
  • 補助事業により取得した資産は、原則として専ら補助事業に使用される必要があります。既存事業等、補助事業以外で用いた場合目的外使用と判断し、残存簿価相当額等を国庫に返納いただく必要があります。

その他対象経費についての不明点や補助金申請に関するご相談を弊社は無料で承っておりますので、お気軽にご相談くださいませ。
無料ご相談はこちらから

事業再構築補助金の成長分野進出枠の必要書類

全枠必須書類

必要書類備考
事業計画書最大15ページで作成が必要になります。
金融機関・認定経営革新等支援機関による確認書 金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合は、資金提供元の金融機関等による「金融機関による確認書」を提出する必要があります。
決算書直近2年間の貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、販売管理費明細等が必要になります。
ミラサポplus「ローカルベンチマーク」の事業財務情報以下のページより作成が可能です。
事業財務情報作成サイトはこちら
従業員数を示す書類
固定資産台帳補助対象とする機械装置等が既存事業で使用している機械装置等の置き換えでないことを確認するために必要になります。
収益事業を行っていることを説明する書類法人の場合は「直近の確定申告書別表一及び法人事業概況説明書の控え」
個人事業主の場合は「直近の確定申告書第一表及び所得税青色申告決算書の控え」

事業計画書については別コラムで詳しく書き方を解説していますので、ご覧ください。
事業計画書の書き方について

事業類型別の追加提出書類

必要書類事業類型
市場拡大要件を満たすことを説明する書類通常類型
給与総額増加要件を満たすことを説明する書類通常類型・GX進出類型
補助率等引上要件を満たすことを説明する書類通常類型・GX進出類型で補助率引上げを受ける場合
市場縮小要件を満たすことを説明する書類市場縮小要件を満たして通常類型を申請する場合
廃業費を計上することの妥当性を説明する書類通常類型で廃業費を計上する場合
GX進出要件を満たすことを説明する書類GX進出類型

事業再構築補助金の成長分野進出枠の申請方法

事業再構築補助金の申請は規定の電子申請システムで行う必要があります。また、申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要になるため、事前に用意が必要です。
GビズIDプライムアカウントの取得はこちら
★詳しい申請方法について知りたい方はこちら

事業再構築補助金の成長分野進出枠を見据えた事業戦略

事業再構築補助金の成長分野進出枠において、ただ闇雲に事業を営むことは危険といえるでしょう。

なぜかというと、成長分野に進出する際は、他社や他サービスとの競争が激化することが考えられるからです。

自社の独自の強みや、競合との差別化を明確にしておかないと、顧客はあなたの会社を利用する理由がなくなり他の会社やサービスに埋もれてしまいます。

具体的な戦略としては、顧客のニーズを満たす独自のアイデアを見つける必要があるのです。

成長分野のリストを参考にしながら、身近な分野や新たな市場を見てみるなど、視野を広げることによって新たなビジネスのアイデアやチャンスが見つかるはずです。

また、事業再構築補助金に限らず、補助金の申請には事業計画書がとても重要になります。

事業内容と申請動機が一貫しているかマスキング処理(情報漏洩を防止するもの)の仕方は適切であるかなど、最新の注意を払う必要があるでしょう。

このように、独自の事業アイデアを生み出し、それに沿って適切に事業計画書を作成していくことが大切です。

【2024年最新】事業再構築補助金とは?2024年から見直しされた点を徹底解説!

事業再構築補助金の最新情報は?

事業再構築補助金の第13回公募の情報や、来年のスケジュールにおいてもチェックしておくことで、しっかりとした準備や対策ができます。

事業再構築補助金の第13回公募は、2024年の11月〜12月ごろだと予想され、これが2024年度最後の公募となる可能性が高いです。

また、来年度の事業再構築補助金においては公式の発表がありませんが、2024年度の傾向やスケジュールをもとに、予想をしました。

下記の2つのコラムから、事業再構築補助金についての情報を確認しましょう。

事業再構築補助金13回公募はいつから?スケジュールを予想してみた!
2025年も事業承継引継ぎ補助金は実施される?初回スケジュールの予想を公開!

まとめ

事業再構築補助金の成長枠は第12回公募より大きく内容が変更されました。申請枠内の事業類型ごとにも要件や必要書類等が細かく決められていますので、申請前に注意して確認が必要です。

弊社でも補助金のプロが事業再構築補助金の申請をサポートしております。「事業計画書を作成する時間がない」「必要書類が揃えられるか不安」などお困りの事業者様は一度無料相談会にお問い合わせくださいませ!
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