事業再構築補助金を受けた後の廃業対応や返還について徹底解説!

事業再構築補助金を受けた後に廃業する場合、その補助金はどうなるのでしょうか。廃業した場合の返還額や手続きについて詳しく解説します。
中本 明日香

公開日:

更新日:

事業再構築補助金 廃業

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

事業再構築補助金を受けた後に廃業した場合どうなる?

事業再構築補助金を受けた後に廃業した場合、以下のとおり残存簿価相当額等により、補助金交付額を限度に返還が求められます。

事業再構築よくある質問より

事業再構築補助金公式サイトよくある質問出典:事業再構築補助金公式サイト「よくあるご質問」より

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症拡大により厳しい状況にある事業者を支援するために創設された補助金です。
新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、または事業再編という思い切った事業再構築を行う中小企業等の挑戦が支援され、新規事業に必要な経費を最大1.5億円まで補助してもらえます。

さらに、2024年、事業再構築補助金12回公募より公募内容が大幅に見直しされ開始されました。
具体的な内容・変更点は以下のコラムで解説しています!

【2024年最新】事業再構築補助金とは?2024年から見直しされた点をわかりやすく!


事業再構築補助金の通常の廃業時の対応

事業再構築補助金の採択を受けた後に、廃業をする場合でも、上記にもあるとおり全額返還をする必要はありません。
ただし、残存簿価相当額等により、補助金交付額を限度に返還が求められます。

これは、いくつかの条件に基づいて一部の返還が求められるということです。

残存簿価相当額による返還の具体例

具体的な返還額の計算方法について、以下のように説明します。

例1: 機械設備を購入した場合
  1. 購入時点の状況:
    • 機械設備の購入価格: 1,000万円
    • 補助金交付額: 600万円(購入価格の60%)
    • 機械設備の残存簿価(廃業時点の価値): 500万円
  2. 廃業時の対応:
    • 残存簿価(500万円)を基に返還額を計算。
    • 返還額 = 補助金交付額 × (残存簿価 / 購入価格)
    • 返還額 = 600万円 × (500万円 / 1,000万円) = 300万円

したがって、この場合、返還すべき金額は300万円となります。

例2: ソフトウェアを購入した場合
  1. 購入時点の状況:
    • ソフトウェアの購入価格: 500万円
    • 補助金交付額: 300万円(購入価格の60%)
    • ソフトウェアの残存簿価(廃業時点の価値): 200万円
  2. 廃業時の対応:
    • 残存簿価(200万円)を基に返還額を計算。
    • 返還額 = 補助金交付額 × (残存簿価 / 購入価格)
    • 返還額 = 300万円 × (200万円 / 500万円) = 120万円

この場合、返還すべき金額は120万円となります。

全額返還となるケースもある?

一般的なケースで廃業する場合、事業再構築補助金の返還額は残存簿価相当額が上限となりますが、不正行為を行った場合は全額返還を求められる可能性が非常に高いです。

不正行為とはたとえば、虚偽の申請による不正受給、補助金の目的外利用、補助金受給額の不当な操作などがあげられます。

このような悪質な行為の後に廃業すると、全額返還を求められるだけでなく、最悪の場合、刑事責任を追及される可能性もあります。

また、不正等なく、廃業を検討する場合においても、以下のとおり「補助金」には法律に基づいた報告義務があり、補助事業を中止、廃止等する場合は必ず事前の報告が必要です。

補助事業等を中止し、又は廃止する場合においては、各省各庁の長の承認を受けるべきこと。
引用:補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律


事業再構築補助金の報告義務

廃業報告の手続き

廃業が決定した場合、まず事業再構築補助金に事業の停止、廃止の報告を行います。
その後、具体的な返還額の算出手続きが進められ、最終的な返還額が確定します。
返還手続きが完了するまで、補助金の使用に関する証拠書類を保持し、適切な対応を行うことが重要です。

手続きの流れ

廃業による事業の廃止の申請は、Jグランツから電子申請で行います。
大まかな流れは以下のとおりです。

廃業の申請方法

1.事業者専用画面のトップページからアクセス

  • 中止(廃止)承認申請の入力フォームにアクセス。
  • 廃止する理由を詳しく入力し、日付をカレンダーから選択。(入力内容は以下のとおりです)


出典:補助金申請システム(jGrants2.0)事業者マニュアル中止(廃止)承認申請
2.審査と承認
審査結果はマイページから確認できます。このとき差し戻しがあれば、修正して再度申請を行います。
補助金申請システム(jGrants2.0)事業者マニュアル中止(廃止)承認申請

廃業後のサポートと再起支援

事業の継続が困難になった場合、中小企業やその経営者に対する再チャレンジ支援が行われています。

この支援は、収益力の改善や事業再生が極めて困難な中小企業、または保証債務に悩む経営者が対象です。
支援の目的 収益力の改善や事業再生が困難な中小企業や保証債務に悩む経営者に、再チャレンジを支援。

支援の内容

  • 専門家の支援: 弁護士などが現状分析し、廃業や保証債務整理の助言。
  • 無料相談: 協議会の支援は無料。
  • 外部専門家の紹介: 必要に応じ、専門の弁護士を紹介。

具体的な支援方法

  • 中小版GLを活用した私的整理: 破産せずに整理。
  • 法的整理と事業譲渡: 事業や雇用の一部維持。
  • 経営者保証GLの活用: 保証債務免除の可能性。
  • 対象企業 収益力改善や事業再生が困難な中小企業とその保証債務に悩む経営者。

「再チャレンジ支援」の公式ページはこちら!

まとめ

事業再構築補助金を受けた後に廃業する際には、適切な手続きを行い、必要な報告を忘れずに行うことが重要です。

また、再起支援の活用も検討し、次のステップへ進むための準備を整えましょう。廃業や返還についての詳細は公式サイトを参照し、専門家の助言を受けることをお勧めします。

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