建設業はものづくり補助金を活用できる!採択事例を紹介します!

設備導入による革新的な事業展開を支援するものづくり補助金。建設業でも活用できるのでしょうか。また、どのような活用方法があるのでしょうか。本コラムでは、具体的な事例を交えながら分かりやすく解説していきます。
梅沢 博香

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建設業はものづくり補助金を活用できる!採択事例を紹介します!

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

建設業でものづくり補助金は使える?

ものづくり補助金は、建設業者も対象となる補助金です。
直近の第18次公募要領では、補助対象者について以下のように記載されています。
第18次公募要領引用:ものづくり補助金公募要領_18次締切
補助対象は中小企業等であり、その分類の中に建設業も含まれています。
公募要領の一覧でも、製造業に続いて建設業が明記されています。
建設業者でも要件を満たせば申請可能なので、詳細を確認して活用を検討しましょう。

2025年度版、ものづくり補助金の概要はこちら!

ものづくり補助金の活用概要

ものづくり補助金の概要を確認しましょう。

事業内容(どちらかを選択)

  • 高付加価値化(製品・サービス高付加価値化枠)
  • 設備投資を行い、新しい価値を生み出し、国内市場を活性化させる。
  • 海外展開(グローバル枠)
  • 海外市場の拡大や共同事業を通じて、国内の生産性向上を目指す。

※ いずれか一方のみ選択可能

基本要件

  1. 付加価値額の年平均成長率が3%以上(営業利益+人件費+減価償却費)
  2. 給与支給総額が直近5年間の年平均成長率以上、または年平均成長率の2%以上増加
  3. 事業内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高いこと
  4. これらを計画書にまとめ、実行すること

建設業でも、これらの要件を満たす事業であれば、ものづくり補助金の活用が可能となる。

製品・サービス高付加価値化枠グローバル枠
要件革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化海外事業の実施による国内の生産性向上
活用事例最新複合加工機を導入し、これまではできなかった精密加工が可能になり、より付加価値の高い新製品を開発海外市場獲得のため、新たな製造機械を導入し新 製品の開発を行うとともに、海外展示会に出展
補助上限750万円~2,500万円3,000万円
補助率中小企業1/2
小規模・再生2/3
中小企業1/2
小規模2/3
補助対象経費機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、 クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
<グローバル枠のみ>海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費
その他収益納付は求めません。

ものづくり補助金の対象経費

ものづくり補助金で補助対象となる経費は以下の通りです。

共通の補助対象経費

  • 機械装置・システム構築費(必須)
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費

グローバル枠のみ対象の経費

  • 海外旅費
  • 通訳・翻訳費
  • 広告宣伝・販売促進費

建設業で活用される経費

建設業では特に以下の経費が活用されることが多いです。

  • 機械装置・システム構築費(建設機械や施工管理システムの導入)
  • 専門家経費(設備導入時の外部コンサルタント費用)

実際の採択事例でも、機械装置・システム構築費が重要な要素となっています。
補助対象となる設備投資は単価50万円以上が要件であり、建設機械や施工支援システムなどの導入は比較的大規模で高額になるため、補助対象として適合しやすいといえます。

建設業者のものづくり補助金活用事例3選!

建設業者がものづくり補助金を活用し、事業を発展させた具体例を3つ紹介します。

事例1:ICT設備導入による生産性向上と労働環境改善

課題

ある総合建設業者では、以下のような問題を抱えていました。

  • 高齢化により労働者が減少し、生産性が低下
  • 労働環境の悪化により人材確保が困難
  • 若手が「やりがい」を感じにくく、定着率が低い

取り組み

ものづくり補助金を活用し、ICT(情報通信技術)を活用した施工管理システムを導入。以下のプロセスをICT設備で効率化しました。
〈3次元起工測量 ⇒ 3次元設計データ作成 ⇒ ICT重機による施工 ⇒ 3次元出来高管理 ⇒ 3次元データ納品・検査〉
簡単に言うと、測量から検査までの作業をICT技術で自動化し、効率化を図ったということです。

得られた効果

  • 業務効率化により、一人あたりの生産性が向上し、利益増加
  • ICT導入により品質向上、技術者のモチベーションアップ
  • 熟練工に依存せず、若手技術者の活躍の場が拡大し、雇用安定

この企業では、測量時間の短縮や計算精度・速度の向上により、業務時間が50~90%削減されるという大きな成果を得ました。

ポイント

  • 高齢化による熟練工不足と若手の定着率の低さという課題を同時に解決
  • 業務効率の向上だけでなく、品質向上も実現し、革新的な事業展開を実現


このように、ものづくり補助金を活用することで、建設業における労働力不足や業務効率化の課題を解決しつつ、競争力のある事業へと発展させることが可能です。

事例2:3Dスキャナ・ドローン活用によるICT化の加速

課題

ある建設業者は、一般工事や基礎工事、解体工事を受注し、すでにICT設備を導入していました。
その結果、受注が増加しましたが、以下のような課題が発生しました。

  • 測量や設計を外注しており、納期のコントロールが難しい
  • 人材不足により納期遅れが発生し、さらなる効率化が必要
  • ICT化の導入率がまだ約40%にとどまっていた

取り組み

測量・設計業務の効率化を目的に、以下のICT設備を導入。

  • 3Dレーザースキャナ
  • ドローン

測量は3Dレーザースキャナで実施し、範囲が不足する場合はドローンを活用して解析。
さらに、写真解析ソフトを導入し、より精密なデータ分析を可能にしました。

得られた効果

  • 3Dレーザースキャナによる自動測量・データ送信で、作業時間と労務負担を削減
  • 事務所PCと連動し、3D図面作成の効率が向上
  • 自社で測量・設計を完結できるようになり、納期管理が容易に
  • 熟練度の低い従業員でも業務に貢献可能

ポイント

  • 業務のボトルネックとなっていた測量・設計を的確に把握し、必要な設備を導入
  • 最新技術であるドローンを活用し、柔軟な測量体制を構築
  • すでにICTを導入していたため、新設備との連携がスムーズ

このように、ものづくり補助金を活用することで、建設業のICT化をさらに進め、業務の効率化と生産性向上を実現することができます。

事例3:板金資材加工切断機の導入による品質向上と業務効率化

課題

長年、瓦を中心とした屋根工事を手掛けていた建設業者では、近年、板金を使用した屋根工事が増加していました。
しかし、以下のような課題を抱えていました。

  • 屋根工事や板金業者の増加により、競争が激化していた
  • 板金の切断工程を手動で行っており、時間がかかり、廃棄ロスが発生していた
  • 人材不足の中、熟練工の技術に依存する状況だった

取り組み

ものづくり補助金を活用し、動力切断機を導入。従来の手動スリッター(切断機)ではズレが生じていましたが、新設備により以下の改善が実現しました。

  • 位置決めを自動化し、正確な切断が可能に
  • 高い切断力によりズレがなくなり、品質が向上

得られた成果

  • 歪みのない高品質な資材加工が可能となり、受注が約20%増加
  • 手動作業の大幅削減により、作業時間を約60%短縮
  • ズレによる廃棄ロスが50%削減
  • 作業のマニュアル化が進み、熟練工の技術に依存しなくても対応可能に

ポイント

  • 業界内の競争激化に対応し、差別化を実現
  • 高性能機械の導入により、品質・時間・作業環境すべてが向上
  • 資材の廃棄ロス削減にも貢献し、環境面でも高評価

このように、ものづくり補助金を活用することで、建設業の生産性向上や競争力強化、環境負荷の低減にもつなげることが可能となります。

大規模な設備投資に適したものづくり補助金

建設業におけるものづくり補助金の活用事例は数多くありますが、特に多いのは以下の2つのパターンです。

  • 情報通信技術(ICT)を活用した業務効率化
  • 大型機械設備の導入による生産性向上

活用事例のように、「革新性」「生産性向上」「労働環境の改善」といった要素を取り入れた事業計画が望まれます。
ものづくり補助金の本質は、導入する技術によって企業全体を総合的に強化することにあります。
そのため、単なる設備導入ではなく、事業の成長につながる革新的な取り組みが求められます。

2025年は省力化(オーダーメイド)枠が廃止へ

2025年から、ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠は廃止され、省力化補助金へと移行しました。
そのため、建設業者がものづくり補助金を申請する場合、基本的には「製品・サービス高付加価値化枠」での申請が主流となります。
グローバル展開を視野に入れている場合は「グローバル枠」も選択肢となりますが、多くの建設業者にとっては「高付加価値化枠」が適しているでしょう。
いずれにしても、ものづくり補助金には申請時の注意点があるため、最後にそれを確認しておきましょう。

「ただ設備を導入したい」だけでは、ものづくり補助金の活用は難しい

ものづくり補助金は、新しい設備を導入するだけでは採択されません。現状の課題を解決し、事業の生産性を向上させる具体的な計画が求められます。
そして、その計画を実行し、成果を上げることが必要です。
例えば、「現場にドローンを導入したい」という考えは魅力的に思えるかもしれません。
しかし、導入目的が曖昧なまま補助金を申請し、実際の運用が計画通りに進まなければ、最悪の場合、補助金の返還を求められることもあります。

目的と効果を明確にすることが重要

ものづくり補助金の事業は、3年から5年と長期的な視点で取り組むものです。
そのため、導入する設備がどのように事業成長に貢献するのかを明確にし、できるだけ数字やデータを用いて効果を示すことが重要になります。
大規模な設備投資を行えるものづくり補助金を活用し、計画的に事業を発展させることで、建設業者としてさらなるレベルアップを目指しましょう。

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監修者からのワンポイントアドバイス

補助対象となる設備投資は、単価50万円以上が要件です。建設機械や施工支援システムの導入は比較的大規模かつ高額となるため、補助対象として適合しやすいと言えます。
建設業の皆様が本補助金を活用するには、具体的な数値を示し、納得感のある事業計画を策定することが重要です。行政書士などの専門家に相談し、精度の高い事業計画を提出することで、補助金を効果的に活用できます。

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