事業資金調達に役立つ銀行融資の種類やメリット、申請手順を解説
事業融資の資金調達に銀行融資を活用したいけど、具体的な種類や申請方法がわかりにくいですよね。
今回は銀行融資の種類からメリット、申請手順を詳しく解説します。
資金調達に銀行融資を活用したい方は、ぜひご覧ください。
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この記事を監修した専門家
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
銀行融資とは?
銀行融資とは、銀行が個人や事業者に対してお金を貸し出すサービスです。
銀行からの融資は、事業の拡大や個人の生活資金に必要な資金調達手段として利用されます。
銀行融資は事業者にとってビジネスの成長に不可欠であり、個人にとっては大きなライフイベントに対応する財源を提供してくれる、欠かせない存在です。
具体的には、事業者は設備投資や新規事業の立ち上げ資金を銀行融資で賄える、個人だと車や家などの購入資金を借りることができます。
このように、銀行融資は、個人や事業者が目標を達成するための重要な財源であり、社会にとっても重要な役割を果たしています。
銀行融資の仕組み
銀行融資は、企業や個人が事業資金や生活資金を得るために利用できる重要な手段であり、資金を必要とする人に貸し付けを行うことで、経済活動を支えています。
銀行が融資を提供する理由は、資金を提供することで利益を得ると同時に、信用力のある顧客と長期的な関係を築くことができるからです。
融資によって得られる利息が銀行の収益源となり、顧客との信頼関係を構築することで、将来的にさらなる取引やサービスを提供するチャンスが増えます。
たとえば企業が設備投資のために銀行から融資を受ける場合、事業の拡大や効率化が図られ、結果的に売上や利益が向上します。
銀行はこうした成果に基づく返済を期待し、リスクを管理しながら資金を貸し出すのです。
また、個人向けの住宅ローンや自動車ローンも、安定した返済能力が見込まれる顧客に対して提供しています。
銀行融資は個人や企業の資金調達において、信用力と返済能力を重視しながら顧客との関係を築いています。
事業者向け銀行融資と個人向け銀行融資の違い
事業者向け銀行融資と個人向け銀行融資は、目的や条件が大きく異なります。
事業者向けの銀行融資は、企業や自営業者が事業資金を調達するために利用され、個人向けローンは個人が生活資金や大きな買い物をするために借りるものです。
また、事業者向け銀行融資は融資額や返済期間が大きくなる傾向にあり、一方で個人向けの銀行融資は、より短期間での返済が求められる場合があります。
このように、事業者向けローンと個人向けローンは、それぞれ異なるニーズと条件に応じた融資形態であり、用途に応じて使い分けることが大切です。
事業者向け銀行融資の種類
事業者向けの銀行融資の種類を5つにまとめました。
- 事業資金ローン
- 設備資金ローン
- 運転資金ローン
- 不動産担保ローン
- ビジネスローン(無担保ローン)
事業資金ローン
1つ目は事業資金ローンです。事業資金ローンは、事業の立ち上げや成長を支援するための融資として利用されています。
新規事業の開始や事業拡大には大きな資金が必要なので、銀行融資で資金を賄います。
企業が成長するためには大きな初期投資が必要であり、銀行からの融資を受けることで、事業拡大に必要な資金を確保できます。
たとえば、ある企業が新しい事業を展開する際に、それに必要な設備や人材の確保には、たくさんのお金が必要になるのです。
このような場合において、事業資金ローンは新規事業や成長のための資金調達に非常に有効な手段といえます。
日本政策金融公庫:新規開業資金
金利相場 | 担保・保証人 | 審査期間目安 |
1%〜15% | 必要 | 1週間〜1ヶ月 |
設備資金ローン
2つ目は設備資金ローンです。設備資金ローンは、工場や機械などの事業設備を購入するための融資です。
事業の拡大や効率化のためには、最新の設備や機器の導入が不可欠であり、これには多額の初期費用がかかるため銀行融資を利用します。
企業が新しい機械や設備を導入する際、それらの購入資金として設備資金ローンを利用することがあります。
これにより、効率化と生産性向上が図られ、他の企業との競争が促進されるのです。
設備資金ローンは、事業の拡大や効率化を図るために不可欠な資金源です。
日本政策金融公庫:一般貸付
金利相場 | 担保・保証人 | 審査期間目安 |
1%〜15% | 必要 | 1週間〜数週間 |
運転資金ローン
3つ目は運転資金ローンです。運転資金ローンは、日常的な事業運営(人件費や仕入れ、その他の運営コスト)を賄うために使用されます。
この融資は、特に売上が不安定な時期でも事業を安定的に運営するための資金を確保するためです。
運転資金ローンは、キャッシュフローが厳しい状態においても、事業が滞りなく継続できるようにサポートします。
具体的には、季節性のあるビジネスにおいて売上が少ないオフシーズンも、変わらず従業員の給与や固定費を支払わなくてはなりません。
この場合、必要であれば運転資金ローンを利用して短期的な資金ニーズに対応しています。
このことから、運転資金ローンは事業運営を安定させ、経済的な波に対応するための重要な融資です。
日本政策金融公庫:国民生活事業
金利相場 | 担保・保証人 | 審査期間目安 |
1%〜15% | 原則必要 | 1週間〜1ヶ月 |
不動産担保ローン
4つ目は不動産担保ローンです。この融資は、大規模な事業拡大や長期的な資金ニーズに対応する際に利用されることが多いです。
不動産担保ローンが効果的な理由は、担保があることで銀行側がリスクを抑えることができ、その結果、融資額が大きくなります。
金利も比較的低く抑えられ、融資期間も長期に設定できるため、大規模な設備投資や長期的なプロジェクトにおいて最適といえるでしょう。
例として、企業が新たに大規模なオフィスビルの購入を計画している場合、その企業が所有する別の不動産を担保に提供し、不動産担保ローンを活用できます。
この方法により、大きな資金を確保し、長期的な事業の計画が実現可能です。
これらの理由から、不動産担保ローンは大規模な資金調達が必要な場合や、長期的な投資に対応する際に適しています。
楽天銀行:不動産担保ローン
金利相場 | 担保・保証人 | 審査期間目安 |
1%〜10% | 主に不動産 | 即日〜1ヶ月程度 |
ビジネスローン(無担保ローン)
5つ目はビジネスローンです。この融資は、中小企業や個人事業主が急な資金ニーズに対応するためによく利用されます。
ビジネスローンが人気の理由は、担保が不要なため手続きが簡単で、迅速に資金を調達できる点にあります。
特に急な資金ニーズや短期間の資金繰りに対応できるため、流動性の確保が重要な中小企業にとっては便利な手段です。
たとえば小売業者が急激に売上が伸びた場合、仕入れ資金が不足することがあります。
そんな時にビジネスローンを活用することで、即座に資金を確保し、さらに売上を伸ばすチャンスを逃さずに対応できます。
したがってビジネスローンは、急な資金ニーズや柔軟な資金繰りが必要な場面で、有効かつ迅速な資金調達手段です。
PayPay銀行:ビジネスローン
金利相場 | 担保・保証人 | 審査期間 |
1%〜15% | 不要 | 即日〜1週間程度 |
銀行融資のメリット
銀行融資を受ける主なメリットを2つご紹介します。
金利が低い
銀行融資の最も大きなメリットの一つは、金利が低いことです。銀行は信用度の高い企業や個人に対して、比較的低い金利で資金を提供することができます。
低金利である理由は、銀行は信用審査を厳格に行い、リスクを最小限に抑える仕組みを持っているからです。
信用力のある借り手に対しては、安定した収益が見込めるため、低金利での融資が可能となります。
信用力によって差はありますが、銀行融資は金利の低さが大きな利点であり、長期的な借り入れに特に有効です。
融資額が大きい
銀行融資のもう一つの大きなメリットは、融資額が大きいことです。銀行は、事業規模や信用状況に応じて融資を提供する能力があります。
理由として、銀行は豊富な資本力を持っており、長期的な返済能力を持つ顧客に対しては、数億円単位の大規模な融資を行えるのです。
特に不動産担保を設定する場合や、事業計画が堅実な企業に対しては、さらに高額な融資が期待できます。
このように、銀行融資は高額の資金調達が必要な場面で非常に有効な手段となります。
銀行融資のデメリット
銀行融資のデメリットを2つ解説します。
必要書類が多い
銀行融資のデメリット1つ目は、必要書類が多いことです。銀行は借り手の信用力を確認するために、詳細な情報を求めるため、提出する書類の数が多くなります。
理由は、銀行がリスクを最小限に抑えるために厳格な審査を行うからです。
財務諸表や事業計画書、納税証明書など、多くの書類を提出する必要があります。
特に中小企業や個人事業主にとっては、この準備に時間と労力がかかり、迅速な資金調達が難しい場合があります。
銀行融資の審査は時間がかかるため、資金を急いでいる場合には不便に感じることが多いです。
したがって、銀行融資を利用する際は、必要書類の多さとそれに伴う手続きの複雑さを考慮する必要があります。
審査基準が厳しい
2つ目のデメリットは、審査基準が厳しいことです。銀行は、融資先の信用リスクを厳密に評価するため、審査のハードルが高いです。
貸したお金が回収不能となる可能性を最小限にするために、厳しい審査基準を設けています。
特に、中小企業や設立間もない企業に対しては、融資が承認されにくいことがあります。
また個人事業主の場合も、返済能力が十分に証明できない場合は、審査の通過が難しいです。
例えば、スタートアップ企業が銀行融資を申請する場合、まだ実績が乏しいために融資が拒否されることが多いです。
審査に落ちてしまった場合、他の融資手段を検討しなければならず、時間や労力がさらに必要となります。
このように、銀行融資は審査が厳しいため、誰もが簡単に利用できるわけではありません。
銀行融資を活用する2つの注意点
銀行融資の活用時に気をつけたいポイントを2つ解説します。
返済計画を立てない
注意点の1つ目は、返済計画を立てないことです。無計画に借り入れを行うと、返済が滞り、最終的には信用に影響を与えることになるでしょう。
返済計画を立てない理由として、借り入れを急いで行いたいという焦りや、将来の収入に過度の期待を抱いている場合があります。
しかし、将来の不確定な要素に依存して返済を考えるのは非常に危険です。
安定した返済スケジュールを事前に作成することが、長期的な経済的安定につながります。
例として中小企業が多額のローンを借り入れたが、返済計画を十分に考えずに行った結果、売上が予想よりも伸びず、ローン返済に苦しむケースがあります。
この場合、返済に追われるあまり、事業運営に支障をきたすこともあるので注意しましょう。
したがって、銀行ローンを利用する際には、必ずしっかりとした返済計画を立てることが重要です。
適切な借入額の設定をしない
2つ目の注意点は、適切な借入額を設定しないことです。必要以上の借入れは、返済負担を増やし、事業や個人の財務状況を悪化させる原因となります。
借入額が適切でない理由として、資金がたくさんあることで安心感を持ってしまうことや、将来の大きな投資を見据えて過剰に借り入れてしまうことが挙げられます。
しかし、過度な借入れは利息の負担を増やし、資金繰りが厳しくなってしまうのです。
よくあるケースとして、企業が新規プロジェクトのために必要以上の資金を借り入れてしまう場合。
そのプロジェクトが計画通りに進まなかった場合、余剰資金が無駄になり、利息の負担だけが残ってしまうことがよくあります。
したがって、銀行ローンを利用する際には、実際に必要な資金を冷静に見極め、適切な借入額を設定することが重要です。
銀行融資の申し込み手順
まず、融資を申し込む際には、銀行の窓口やオンラインでの相談から始まり、具体的な申請書類の提出を行います。
その後、銀行による審査が行われ、最終的な融資条件が提示されます。この一連のプロセスを把握しておくことで、無駄な手戻りを防ぐことができます。
例えば、事業者が事業資金を調達する際には、事業計画書や過去の収益データを求められることが一般的です。
そのため、銀行融資をスムーズに進めるには、事前に申し込み手順を理解し、必要書類を整えておくことが、融資を成功させる鍵となります。
銀行融資に必要な書類
銀行融資において一般的に求められる書類や、必要な書類をまとめました。
- 借入申込書
- 事業計画書
- 納税証明書
- 印鑑証明書
- 会社概要書
- 借入残高証明書
- 代表者の個人信用情報
- 財務諸表(直近数期分)
- 資産証明書(不動産など)
- 許認可証明書(業種による)
- 確定申告書(法人税・所得税)
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 保証人に関する書類(必要に応じて)
- その他の追加で求められることがある書類(例:契約書、発注書、顧客リストなど)
一般的に求められる書類はとても多く存在するので、実際に銀行融資を受ける際は、担当の方に自分が用意すべき必要な書類を忘れずに聞いておきましょう。
これらを踏まえて、必要な書類をしっかり揃えて提出することが、融資を成功させるために重要です。
銀行融資審査で見られるポイント
銀行融資審査で見られるポイントは、返済能力や信用力が中心です。銀行は、融資を行う際に、借り手が確実に返済できるかどうかを慎重に確認します。
その理由は、銀行にとって融資はリスクを伴うため、返済が滞るリスクを最小限に抑える必要があるからです。
審査では、収入の安定性、借入額と返済能力のバランス、そして過去の借入履歴や信用情報が重要な要素となります。
事業者向けローンでは、過去の業績や事業の将来性が評価され、場合によっては担保の提供が求められることもあります。
このように、銀行融資の審査では、返済能力と信用力が最も重視されるため、これらの点に自信が持てる状況で融資を申し込むことが大切です。
銀行融資に関するよくある質問
ここでは銀行融資に関するよくある質問をまとめました。
- 金利はどのように決まるの?
- 融資を受けられなかった場合の代替手段は?
金利はどのように決まるの?
1つ目は金利の決定についてです。基本的な金利の決定には、中央銀行が示す政策金利が影響します。
これは市場全体の金利水準を決める基準となるため、政策金利が上がると銀行の貸出金利も上がる傾向があります。
次に、借り手の信用力や返済能力も大きな影響を与えます。信用スコアが高いほどリスクが低いため、より低い金利が適用されるのです。
逆に、信用力が低い場合はリスクが高いとみなされ、金利が上昇することが一般的です。
さらに、借り入れ期間や融資の種類によっても金利の変動があります。具体的には、短期融資の方が長期融資に比べて金利が低くなるようなイメージです。
結論として、金利は政策金利、借り手の信用力、融資の期間や種類といった複数の要因によって決定されるため、各要素を総合的に判断しましょう。
融資を受けられなかった場合の代替手段は?
2つ目は融資を受けられなかった場合についてです。銀行から融資を受けられない場合でも、いくつかの代替手段が存在します。
多くの企業や個人が銀行融資に依存していますが、銀行融資の審査に落ちてしまった場合でも、資金調達は可能です。
まず、政府や自治体が提供する補助金や助成金です。
特に、中小企業や新興企業向けの資金援助プログラムは、審査基準が銀行に比べて柔軟であることが多いです。
次に、クラウドファンディングやエンジェル投資家を活用する方法もあります。
これらは特に、事業の将来性が高いプロジェクトに対して、投資家が資金を提供する仕組みです。
さらに、信用金庫やノンバンクといった他の金融機関も選択肢の一つです。
これらの機関は、銀行に比べて貸出条件が緩やかな場合が多く、中小企業にとっては魅力的な資金調達手段となります。
銀行融資が難しい場合でも、他の資金調達手段を検討することで、必要な資金の確保が可能です。
【まとめ】銀行融資を受けて事業資金調達に役立てよう!
今回は銀行融資についての概要と種類、申請方法について解説しました。
審査は比較的厳しいですが、その分金利は低く設定されているので事業において銀行融資を利用すると返済負担は軽減できます。
銀行融資では信用情報や事業の計画性が重要視されるため、しっかりと書類を作成する、過去の返済履歴を確かめるのが重要です。
この記事を参考に、事業の資金調達に向けて銀行融資を検討してください。
補助金や助成金も活用できます!
本記事でも触れましたが、補助金や助成金を活用して事業資金の調達をすることも可能です。
ですが、実際に自分の条件に合った補助金はどのようなものがあるのかわかり辛いですよね。
補助金や助成金を活用を検討している方は、ぜひ下記のリンクからどのような補助金があるのかチェックしてみてください!