教育訓練給付制度を分かりやすく解説!働きながらでもOK!デメリットは?
教育訓練給付制度は、キャリアアップや再就職のために厚生労働大臣が指定する講座を受講・修了すると、 講座の受講にかかった費用の一部が支給される制度です。本コラムでは教育訓練給付制度の概要や申請方法、デメリットなどを分かりやすく紹介します!
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教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は、労働者の主体的なスキルアップを支援するため、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した方に対し、その費用の一部を支給する制度です。
対象となる教育訓練は、そのレベルなどに応じて以下の3種類があり、それぞれ給付率が異なります。
- 一般教育訓練給付金
- 特定一般教育訓練給付金
- 専門実践教育訓練
この制度の補助対象になるのは指定された講座で、検索システムから講座を検索できます。
働きながらまたは離職して間もない方が資格取得によるスキルアップを目指す場合におすすめの制度です。
検索システムから指定講座を検索する!
こんな方におすすめ!
- 働きながらスキルアップしたい
- 現在離職中だが資格を取り、それを生かして転職活動を行いたい
- 資格取得率や就職率などの要件をクリアした質の高い講座を安く受講したい
一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金は、厚生労働省が指定する資格取得を支援する制度です。
対象は就職やスキルアップに役立つ資格で、受講費用の20%(最大10万円)が支給されます。
主な対象資格
- TOEIC
- 日商簿記
- ITパスポート
- CAD利用技術者試験
- 産業カウンセラー試験
- 医療事務技能審査試験
- Microsoft Office Specialist
- インテリアコーディネーター
- メンタルヘルス・マネジメント検定試験 など
特定一般教育訓練給付金
特定一般教育訓練給付金は、再就職やキャリア形成に役立つ講座を対象とする制度です。
国家資格が多く、業務独占資格や名称独占資格が含まれます。給付額は受講費用の40%(最大20万円)と一般教育訓練より高めです。
さらに、2024年10月以降に受講開始し、資格取得または就職した場合、受講費用の10%(年間上限5万円)が追加支給されます。
主な対象資格
- 玉掛け
- 税理士
- 弁理士
- 行政書士
- 司法書士
- 宅地建物取引士
- 社会保険労務士
- フォークリフト運転技能講習
- ファイナンシャルプランニング技能検定
- 自動車第一種・第二種免許(大型・中型)など
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専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金は、取得に時間がかかる資格や高度な技術が必要な専門資格を対象とする制度です。
受講中は受講費用の50%(年間上限40万円)が6カ月ごとに支給され、資格取得後1年以内に就職すると20%(年間上限16万円)が追加支給されます。これにより、最大70%(年間最大56万円)の給付が受けられます。
さらに、2024年10月以降に受講開始し、資格取得・就職後に賃金が5%以上増加した場合、追加で10%(年間上限8万円)が支給されます。
| 支給額 | 年間上限額 |
2024年9月まで開講する口座 | 受講料の70% | 56万円 |
上記以外 | 受講料の80% | 64万円 |
主な対象資格
- 第四次産業革命スキル習得講座(クラウド、IoT、AI、データサイエンスなど)
- キャリアコンサルタント
- 看護師
- 助産師
- 美容師・理容師
- 保育士
- 栄養士
- 歯科衛生士
- 社会福祉士
- あん摩マッサージ指圧師
- 介護福祉士(実務者養成研修含む)など
参考:教育訓練給付制度
専門実践教育訓練給付金とは?働きながらでももらえる?
教育訓練支援給付金
教育訓練支援給付金は、離職中かつ45歳未満の人が初めて専門実践教育訓練を受講する際、一定の条件を満たすと失業手当(失業保険)の80%相当が支給される制度です。
受給条件
- 受講開始後、2カ月ごとにハローワークで失業認定を受ける
- 出席率が8割未満になると支給停止
- 通信制・夜間制の訓練は対象外
- 会社の役員に就任していないこと
期限付きの制度なので注意!
教育訓練支援給付金は2025年3月31日までに受講開始した人が対象です。それ以降は申請できなくなるため、**専門実践教育訓練を受講予定の人は早めに手続きを済ませましょう。**申請を忘れると受給できなくなるので、余裕をもって準備することが大切です。
この制度は2024年度までの暫定措置ですが、延長の可能性もあります。詳細はハローワークで確認してください。
教育訓練給付金の支給要件
基本条件は以下の2点です。
- 受講開始時点で、1年以上(専門実践教育訓練は2年以上)雇用保険に加入している(または過去に加入していた)。
- 受講開始時点で働いている、または離職後1年以内である。
過去に受給したことがある場合
- 前回の受講開始日以降、3年以上雇用保険に加入していること。
教育訓練給付金は、正社員だけでなく、パート・アルバイト・派遣社員も条件を満たせば対象になります。離職後1年以内なら申請可能ですが、過去に受給歴がある場合は3年以上の雇用保険加入が必要なので注意しましょう。
教育訓練給付金の対象となるもの・ならないもの
受講にかかったすべての費用が教育訓練給付金の支給対象になるわけではありません。
対象となるもの
教育訓練給付金の対象となるのは以下の2つです。
- 入学料・受講料
- キャリアコンサルティング費用(一般教育訓練給付金のみ)
キャリアコンサルティング費用とは、職務経歴やスキルを整理し、講座選びや就職活動に役立てるための有料コンサルティング費用です。
受講開始1年以内に受けた場合、最大2万円が支給対象となります。
※特定一般教育訓練給付金・専門実践教育訓練給付金は、ハローワークの「訓練前キャリアコンサルティング」が必須のため、キャリアコンサルティング費用は対象外です。
対象とならないもの
以下の費用は支給対象外です。
- 検定試験の受験料
- 補助教材費(テキスト・参考書など)
- 補講費
- 教育訓練施設が実施するための費用(学債など)
- 受講のための交通費
- パソコンなどの機材費
- クレジット会社の手数料
- 次回講座の割引券・無料券
- 支給申請時点での未納額 など
受講費用を計画する際は、給付金の対象になるもの・ならないものを事前に確認しておくと安心です。
教育訓練給付金の申請方法

出典:教育訓練給付制度のご案内
1. 支給要件の確認
教育訓練を受ける前に、「支給要件を満たしているか」をハローワークで確認しましょう。
- 「教育訓練給付金支給要件照会票」を記入し、窓口で提出すると確認できます。
- 雇用保険番号の記載が必要なため、会社から「雇用保険被保険者証」をもらいましょう。
※ハローワークでの確認なしでも申請は可能ですが、受給資格がないと不支給になるため、事前確認を推奨します。
2. 受講する講座を決める
- 教育訓練給付金の対象講座は、厚生労働省の検索システムで確認できます。
- 対象資格・講座は15,000種類以上あり、ハローワークの担当者がすべてを把握しているとは限らないため、自分で検索するのがおすすめです。
- どの資格を選ぶか迷う場合は、キャリア診断を活用し、自己分析をしてみるのも良いでしょう。
3. 訓練前キャリアコンサルティング(特定・専門のみ)
特定一般教育訓練・専門実践教育訓練は、申し込み前に「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける必要があります。
- ハローワークで無料で受けられる
- ジョブ・カード(職業能力証明書)を作成し、就業の目標やスキルアップ計画を立てる
- 受講前に必ず実施し、ハローワークへ提出
4. 受講申込手続き(受給資格確認)
- 特定一般教育訓練・専門実践教育訓練は、受講開始1カ月前までに受講申込手続きが必要
- ハローワークから交付される証明書を受け取る
特定一般教育訓練 → 受給資格確認通知書
専門実践教育訓練 → 受給資格者証
支給申請時に必要なので、大切に保管
- 一般教育訓練給付金は、事前のハローワーク申請は不要。講座申し込み時に、教育訓練給付金制度を利用する旨を伝えるだけでOK。
5. 講座の受講・修了
教育訓練給付金を受け取るには、講座を修了することが必須です。修了時に以下の書類を受け取ります。
- 教育訓練給付金支給申請書
- 教育訓練修了証明書
- 領収書
- 返還金明細書(該当する場合)
※講座によっては申請しないともらえない場合もあるので、事前に確認しましょう。
6. 支給申請(ハローワーク)
講座修了後、ハローワークで教育訓練給付金の支給申請を行います。
- 申請期限:「受講修了日」の翌日から1カ月以内
- 給付金の振り込み:申請完了後、約1週間後に振り込まれる
申請に必要な書類は、給付金の種類や状況によって異なるため、事前にハローワークで確認しましょう。
教育訓練給付制度の支給申請期間
給付金 | 申請期間 |
一般教育訓練給付金 | 教育訓練を修了した日の翌日から1か月以内 |
特定一般教育訓練給付金 | 教育訓練を修了した日の翌日から1か月以内 |
専門実践教育訓練給付金 | ハローワークが通知する支給単位期間(6か月)の末日から1か月以内 追加支給がある場合は、一般被保険者当として雇用された日の翌日から1か月以内 |
教育訓練給付制度の申請に必要な書類
一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金を申請する際には、以下の書類をハローワークに提出する必要があります。
基本の提出書類
- 教育訓練給付金支給申請書
- 教育訓練修了証明書
- 領収書(受講料の支払いを証明するもの)
- 教育訓練経費等確認書
- 返還金明細書(還付金が発生した場合)
- 本人・住居確認書類(運転免許証・住民票など)
- マイナンバー確認書類(マイナンバーカードまたは通知カード)
- 身元確認書類(運転免許証・パスポートなど)
- 通帳またはキャッシュカードのコピー(振込先の確認)
キャリアコンサルティング費用を申請する場合
キャリアコンサルティング費用の支給申請を行う場合、以下の追加書類も必要です。
- キャリアコンサルティングの費用に係る領収書
- キャリアコンサルティングの記録(面談内容の記録)
- キャリアコンサルティング実施証明書
申請時に不備があると給付金の振り込みが遅れることがあるため、事前に必要書類を揃えておきましょう。
特定一般教育訓練給付金
特定一般教育訓練給付金の支給申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 受給資格確認通知書
- 教育訓練給付金支給申請書
- 教育訓練修了証明書
- 領収書
- 教育訓練経費等確認書
- 返還金明細書(還付金が発生した場合)
- 特定一般教育訓練給付受給時報告書
- 本人・住居確認書類
- マイナンバー確認書類
- 身元確認書類
- 通帳またはキャッシュカードのコピー
専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金の支給申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 受給資格者証
- 教育訓練給付金支給申請書
- 教育訓練修了証明書
- 領収書
- 返還金明細書(還付金が発生した場合)
- 教育訓練経費等確認書
- 専門実践教育訓練給付最終受給時報告書(専門実践教育訓練に係る最後の支給単位期間について教育訓練給付の支給を受けようとする場合に必要)
- 専門実践教育訓練給付追加給付申請時報告書(専門実践教育訓練修了後、資格取得等したことにより支給申請した場合に必要)
- 資格取得を証明する書類(資格を取得した場合)
- 本人・住居確認書類
- マイナンバー確認書類
- 身元確認書類
- 通帳またはキャッシュカードのコピー
教育訓練給付制度を活用するデメリット
教育訓練給付制度は、スキルアップや資格取得を支援する便利な制度ですが、いくつかのデメリットもあります。
1.先に費用を負担しなければならない
教育訓練給付金は後払いのため、受講料や入学金を最初に自己負担する必要があります。経済的な負担が大きい場合、受講をためらうことも。
2.受講・修了しないと給付金がもらえない
給付金を受け取るには、講座を最後まで修了することが必須です。途中で辞めたり、出席率が基準に満たなかったりすると給付対象外となります。
3.給付対象外の費用が多い
受講費用のすべてが給付対象になるわけではありません。
【対象外の例】
- 検定試験の受験料
- テキスト・教材費
- 交通費・宿泊費
- パソコンやソフトの購入費
4.申請手続きが煩雑
申請には、多くの書類を準備し、ハローワークで手続きを行う必要があります。特に、特定一般教育訓練・専門実践教育訓練は、事前のキャリアコンサルティングや受給資格確認手続きが必要で、手間がかかります。
5.対象講座が限られている
教育訓練給付金の対象講座は厚生労働省が指定しているため、希望する講座が必ずしも対象になるとは限りません。対象外の講座は、費用を全額自己負担することになります。
6.失業手当との併用ができないケースがある
教育訓練給付金と失業手当(失業保険)は基本的に併用可能ですが、教育訓練支援給付金は失業手当の受給終了後に支給されるため、同時には受け取れません。
7.受給履歴があると次回の受給に制限がある
過去に教育訓練給付金を受給したことがある場合、次回受給するには3年以上の雇用保険加入が必要です。頻繁に利用できる制度ではないため、計画的に活用する必要があります。
教育訓練給付制度のQ&A
働きながらでも活用できる?
教育訓練給付制度を活用するには、雇用保険の加入期間などの条件を満たせば在職中も活用できます。
在職中の方(パート・アルバイト含む)はもちろん、一定の条件を満たせば離職中も利用できます。
以下が、3つの給付金制度に共通する条件です。
在職中の方
教育訓練を開始する日に一般被保険者または高年齢被保険者である
離職中の方
離職(一般被保険者または高年齢被保険者でなくなったとき)から1年以内である
それぞれの給付金制度によって以下のとおり条件が設けられています。
【一般教育訓練給付金】
初めて利用する方 | 2回目以降利用方 |
雇用保険加入期間が1年以上ある | 雇用保険加入期間が3年以上あり、前回の支給日から3年以上経っている |
【特定一般教育訓練給付金】
初めて利用する方 | 2回目以降利用方 |
雇用保険加入期間が1年以上ある | 雇用保険加入期間が3年以上あり、前回の支給日から3年以上経っている |
【専門実践教育訓練給付金】
初めて利用する方 | 2回目以降利用方 |
雇用保険加入期間が2年以上ある | 雇用保険加入期間が3年以上あり、前回の支給日から3年以上経っている |
たとえば、入社1年目(雇用保険加入期間1年)の方が初めて教育訓練給付制度を利用する場合、一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練が利用できます。
教育訓練給付制度は2回目でも申請できる?
教育訓練給付制度は2回目以降も利用できます。
回数の制限はありませんが、2回目以降利用する場合は3年間期間をあける必要があります。
公務員も使える?
教育訓練給付制度は、公務員は利用できません。
教育訓練給付制度を利用するためには必ず雇用保険に加入していなければならないためです。
公務員(国家公務員・地方公務員)に関しては雇用保険の適用除外になっています。
教育訓練給付制度は年齢制限がある?50歳以上もOK?
一般教育訓練給付金 | 特定一般教育訓練給付金 | 専門実践教育訓練給付金 |
年齢制限なし | 年齢制限なし | 受講開始時に45歳未満 |
申請期限を過ぎた場合は申請できる?
「教育訓練給付制度」の申請期間は基本的に1か月以内とかなりタイトですが、うっかり申請期限を過ぎてしまった場合でも、2年以内であれば申請を受け付けています。
給付金 | 申請期間 |
一般教育訓練給付金 | 教育訓練を修了した日の翌日から2年以内 |
特定一般教育訓練給付金 | 教育訓練を修了した日の翌日から2年以内 |
専門実践教育訓練給付金 | ハローワークが通知する支給単位期間(6か月)の末日から2年以内 追加支給がある場合は、一般被保険者当として雇用された日の翌日から2年以内 |
失業手当(失業保険)と教育訓練給付金は同時に受給できる?
失業手当(失業保険)は、退職後の生活保障を目的とした給付金、教育訓練給付金はスキルアップを支援する給付金であり、性質が異なるため併用可能です。教育訓練給付金が減額されることもありません。
ただし、教育訓練支援給付金(専門実践教育訓練を受講し一定の条件を満たした場合の給付金)は、失業手当の受給終了後に支給されるため、同時に受け取ることはできません。
【2025年4月改正】自己都合退職の失業保険、すぐもらうには?
参考:厚生労働省のパンフレット