履歴事項全部証明書とは?取得方法や手数料について分かりやすく解説!

会社の設立や社会保険や許認可の手続きなど、さまざまな場面で必要になる履歴事項全部証明書。 このコラムでは、履歴事項全部証明書の役割、取得方法やその手数料、登記事項証明書(登記簿謄本)との違いを分かりやすく解説します!
梅沢 博香

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履歴事項全部証明書とは?取得方法や手数料について分かりやすく解説!

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

履歴事項全部証明書とは?

履歴事項全部証明書とは、法務局に登記された会社の情報を証明する書類です。
この書類には、以下の情報が記載されています。

  • 現在の会社情報(社名、本社所在地、代表者名など)
  • 過去3年間に変更・抹消された情報

会社設立時には法務局で法人登記を行い、会社の概要を公に公開します。
これにより、会社の信頼維持や取引先が実態を確認する手段となり、安心して取引ができる仕組みになっています。

履歴事項全部証明書の取得方法

履歴事項全部証明書を取得するには、以下2つの方法があります。

  • 法務局で取得
  • オンラインで取得

法務局で取得する場合

履歴事項全部証明書は、法務局に申請し手数料を支払うことで、会社関係者でなくても取得できます。申請時に委任状や実印、身分証明書は不要です。
取得方法は以下の3つがあります。

  • 法務局の窓口
  • 郵送申請
  • オンライン申請

【手数料や受付時間】
窓口申請:1通600円、月~金曜 8:30~17:15(年末年始・土日祝日除く)
郵送・オンライン申請:手数料や詳細は法務局サイトを確認。

【注意点】

  • 有効期限は法律上ありませんが、提出先から「取得後3か月以内」などの期間指定を求められる場合が多いです。
  • 会社設立直後は様々な手続きで必要になるため、提出先の件数を調べ、必要な分を一度に取得すると効率的です。

法務局の窓口で申請

履歴事項全部証明書は、「登記事項証明書交付申請書」を提出すれば、全国どこの法務局でも申請可能です。

【手数料や受付時間】
手数料:1通あたり600円
受付時間:月~金曜の8:30~17:15(年末年始や土日祝日は除く)

申請書類は法務局の窓口で入手できるほか、法務局の公式サイトからもダウンロード可能です。記載例も掲載されているため、事前に準備ができます。

郵送で申請

郵送で履歴事項全部証明書を申請する場合、以下の手順で行います。

  1. 申請書の準備:「登記事項証明書交付申請書」に必要事項を記入。
  2. 手数料の支払い:手数料600円分の収入印紙(または登記印紙)を申請書に貼付。
  3. 返信用封筒を同封:自分の住所を記載し、切手を貼った返信用封筒を忘れずに同封。
  4. 法務局へ郵送:上記書類を封筒にまとめ、管轄の法務局へ送付。
  5. 申請後、数日で法務局から履歴事項全部証明書が郵送で届きます。郵送でも窓口と同じく1通あたりの手数料は600円です。

オンラインで申請

履歴事項全部証明書は、「登記・供託オンライン申請システム」を利用してオンラインで申請できます。
【受取方法と手数料】

法務局窓口での受け取り:1通 480円
郵送での受け取り:1通 500円

【手続きの流れ】

  1. 申請者情報登録:初めて利用する場合は、事前に申請者情報を登録します。
  2. 申請手続き:システムから必要事項を入力して申請。
  3. 受け取り方法の選択:指定した法務局で受け取るか、自宅など指定した住所への郵送を選べます。


【システム利用時間】
利用可能時間:月~金曜の8:30~21:00
(年末年始・土日祝日は除く)
オンライン申請は窓口や郵送に比べて手数料が安く済み、便利です。
参考:法務局

スマホ・PCからいつでも履歴事項全部証明書を取得する方法!

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履歴事項全部証明書が必要になるタイミング

履歴事項全部証明書が必要になる主なタイミングは以下の6つです。

  1. 許認可の申請
  2. 登記内容の変更
  3. 法人設立届出書の提出
  4. 融資や補助金・助成金の申請
  5. 社会保険や労働保険の加入手続き
  6. 不動産賃貸契約や法人口座の開設

また、取引先や競合他社の調査にも使われることがあります。
主に「提出するとき」と「確認するとき」の2つの場面で活用される書類です。

1.許認可の申請

飲食業、建設業、宿泊業などの事業を始める際には、業種によって許認可が必要です。この申請時に履歴事項全部証明書が求められることがあります。
特に事業目的が申請する業種と一致していない場合、許認可が下りない可能性があるため、法人登記時に事業目的を正確に記載しておくことが重要です。

2.登記内容の変更

会社の登記内容を変更する際は、法務局で変更登記の手続きを行う必要があります。この手続きでも履歴事項全部証明書が必要です。

3.法人設立届出書の提出

法人設立後、2か月以内に税務署へ法人設立届出書を提出する必要があります。また、都道府県税事務所や市町村役場にも届出を行う必要があります。これらの手続きでは、履歴事項全部証明書を添付することが求められます。

4.融資や補助金・助成金の申請

金融機関からの融資や、国や自治体が提供する補助金・助成金を申請する際、提出書類として履歴事項全部証明書が必要になることがあります。この書類は、事業目的や会社の状況を確認するために使用されます。

5.社会保険や労働保険の加入手続き

会社を設立すると、社長1人の会社であっても健康保険や厚生年金保険などの社会保険への加入が義務付けられています。この手続きの際に履歴事項全部証明書の提出が必要です。
また、従業員を雇用する場合は、労働保険(労災保険・雇用保険)への加入も必要です。
手続き先は以下の通りです。

  • 健康保険・厚生年金保険:年金事務所
  • 労災保険:労働基準監督署
  • 雇用保険:ハローワーク

6.不動産賃貸契約や法人口座の開設

履歴事項全部証明書は、不動産賃貸や法人口座の契約時に必要です。
具体例:

  • 店舗やオフィスの賃貸借契約
  • 社員寮としてのアパート契約
  • 金融機関での法人口座開設

これらの場合、会社の情報を確認するために提出を求められます。

登記事項証明書(登記簿謄本)との違い

登記事項証明書(登記簿謄本)は、法務局に記録された登記情報をまとめた書類の総称で、その一つが履歴事項全部証明書です。
登記事項証明書には以下の種類があります。

  • 履歴事項全部証明書:登記の履歴がすべて記載される。
  • 現在事項全部証明書:請求日現在の登記情報のみを記載。
  • 閉鎖事項証明書:閉鎖された登記事項がわかる。
  • 代表者事項証明書:代表者の権限情報に特化したもの。

「登記簿謄本」という言葉は、かつて紙で管理されていた登記簿の複写書類を指していましたが、電子化された現在では登記事項証明書と呼ぶのが一般的です。
慣習的に「登記簿謄本の提出」と言われても、通常は履歴事項全部証明書を用意すれば問題ありません。

登記簿謄本とは?不動産や会社設立などの場面で用いる書類を解説

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