このコラムの結論3点
- 補助金・助成金の申請条件になる重要書類
- 具体的・現実的な目標設定と社内合意が成功のカギ
- 一般事業主行動計画は、働きやすい職場づくりの基本指針
一般事業主行動計画とは、企業が働きやすい環境づくりのために目標と施策を定める計画です。101人以上の企業では義務化されており、補助金・助成金申請の条件になることもあります。

カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
A. 労働局への届出に加え、厚生労働省の両立支援のひろばなどでの公表が求められます。
A. 罰金はありませんが、行政指導の対象となり、企業評価や補助金申請で不利になる可能性があります。
A. 可能です。目標の達成状況や社内環境の変化に応じて、見直し・再届出ができます。
出典:一般事業主行動計画
一般事業主行動計画について基本的なことを説明します。
一般事業主行動計画は、企業が従業員にとって働きやすい環境を整備するために策定する計画です。
仕事と生活の調和を図ることが目的です。具体的には、次世代育成支援対策推進法や女性活躍推進法に基づいています。
出典:次世代育成支援対策推進法
出典:女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)
こうした法律により、対象となる企業の規模や具体的な取り組み内容が異なります。
計画では、一定の期間内に達成すべき目標を設定し、その目標を実現するための具体的な対策を明確にしなければなりません。
企業には多様な働き方や生活環境を持つ従業員を支援しつつ、持続可能な事業運営を実現することが期待されています。
参考:一般事業主行動計画とは?
みんなの補助金コンシェルジュでは、一般事業主行動計画とは何かをわかりやすく解説しています。「自社は作成が必要?」「何を書けばいい?」といった疑問もお気軽にご相談ください。
一般事業主行動計画について相談する!
一般事業主行動計画の目的は、主に以下の点にあります。
従業員が仕事をしながら子育てをしやすくするための環境を整えること。
女性が職場でその能力を発揮できるようにするための取り組みを行うこと。
子どもたちが健やかに育つための環境を整えることを目指す。
このように、一般事業主行動計画は企業が社会的責任を果たし、持続可能な成長を目指すための有効な手段です。
一般事業主行動計画を作成する対象者は、主に以下のような企業です。
2022年4月から、常時雇用する労働者が101人以上の企業は、一般事業主行動計画の策定と公表が義務付けられています。これは、以前の300人以上から対象が拡大されたものです。
101人以上の企業だけでなく、社会的意義を持つ取り組みを行う中小企業も積極的に行動計画を策定すると良いです。
このように、一般事業主行動計画は規模に関わらず多くの企業に求められています。
一般事業主行動計画は、以下の法律に基づいています。
出典:女性活躍推進への取り組み
女性活躍推進法は、女性が職業生活においてその能力を十分に発揮し、活躍できる社会を実現するための法律です。
この法律により、一定の要件を満たす事業主には一般事業主行動計画の策定・届出が義務付けられています。具体的には、以下のような内容が含まれます。
企業は、女性の活躍を推進するための具体的な行動計画を策定しなければなりません。
策定した計画は、社内外に公表することが求められる。
出典:次世代育成支援対策推進法とは?【わかりやすく解説】
次世代育成支援対策推進法は、子どもたちが健やかに育つための環境を整えることを目的とした法律。
この法律に基づき、企業は以下のような取り組みを行うことが求められる。
出典:【子育て応援を徹底解説】充実した子育て支援制度~育休手当から保育サービスまで~
従業員が、子育てをしながらでも働きやすい環境を整えるための施策を実施。
仕事と子育ての両立を図るために必要な雇用環境の整備を進める。
このように一般事業主行動計画は、女性の活躍や子育て支援を推進するための法的な枠組みの中で大事な役割を果たしています。
一般事業主行動計画は、企業が従業員の仕事と子育てを両立させるために必要な計画です。
この計画は女性活躍推進法や次世代育成支援対策推進法に基づいており、101人以上の従業員を抱える企業に策定が義務付けられています。
企業がこの計画を策定することで、働きやすい環境を整え、女性が活躍できる職場を実現することが期待されています。
こうした取り組みは、企業の社会的責任を果たすだけにとどまりません。従業員の満足度向上や企業のイメージアップにもつながるでしょう。一般事業主行動計画は、今後ますます重要な役割を果たすと考えられます。
参考:マンガでわかる「一般事業主行動計画」
一般事業主行動計画というと、少し難しそうに感じるかもしれません。しかしシンプルにいうと、会社やお店が、働く人のためにどんなことをやるかをまとめた計画です。
働く人が働きやすくなるように、どんなことをやるかを計画にまとめます。具体的には、次のようなことを書くことになるでしょう。
こうした計画を作ることで、会社全体が働きやすい環境を目指していることが明確になります。
では、なぜこの計画を作ることが大切なのでしょうか?理由は大きく分けて3つあります。
従業員は、会社がどんな方針で働きやすさを考えているかを知りたいものです。もし残業が多すぎたり、育児休暇が取りにくかったりすると、従業員は不安になるでしょう。
そこで、一般事業主行動計画を作成すれば、会社はこんな制度を作ります、こんなサポートをしますと具体的に示すことが可能です。これにより、社員は安心して働くことができ、仕事のやる気も上がるでしょう。
計画を作ることで、会社全体でどんな働き方を目指すかがはっきりします。これまでの会社では、こういう働き方をしてほしいと思ってはいても、具体的に伝わらないことが多くありました。
しかし計画に書くことで、社員全員が同じ方向を向いて働くことが可能です。もし女性の活躍を応援したい会社なら、育休や時短勤務など、具体的にどの制度を作るかを計画に記載します。社員がそれを見れば、自分も活躍できそうと感じるでしょう。
これは大事なポイントです。
国や自治体には、働きやすい会社を増やすために金銭的支援をする制度があります。これを補助金や助成金と呼びます。
ですが、この支援金を得るためには、会社がどんなことをやっているかを示さなければなりません。そのときに役立つのが、一般事業主行動計画です。
計画に沿って会社が取り組んでいることを説明できれば、きちんと計画を実行している会社と認められ、補助金や助成金をもらいやすくなります。
では、もう少し詳しくなぜ補助金や助成金に必要なのかを見てみましょう。
国や自治体は、働きやすい会社を増やしたいと考えています。そのため、会社が社員の働きやすさを向上させる取り組みをすると、支援としてお金を出す仕組みを作りました。
とはいえ、お金を渡す側としては、ただ会社がやりますと宣言しただけでは信用できないもの。だからこそ、計画として文章にまとめて実行しているかを確認します。このときに必要なのが一般事業主行動計画です。
計画があれば、
などを証明できます。
補助金や助成金には、申請の条件となるものがあります。支援金をもらうためには、まずこの条件をクリアしなければなりません。
例)
これらの条件を満たしているかどうかを判断するために、計画書としてまとめる必要があります。
まとめていなければ、申請しても条件を満たしていないと判断され、お金はもらえません。
一般事業主行動計画を書くことで、会社がしている取り組みが見える形になります。補助金や助成金をもらうためにはただ制度を作るだけでなく、きちんと実施している事実を示さなければなりません。
もし育休取得率を上げるという目標を掲げたなら、実際に何人が育休を取得したか、どのようなサポートを行ったかを計画書や報告書に記載してください。
これによって国や自治体の担当者は、この会社は計画通りに働きやすい環境を整えていると認められます。
みんなの補助金コンシェルジュでは、一般事業主行動計画の作成から届出の流れまでサポートしています。「記載内容に不備はない?」「期限に間に合う?」など、実務面の不安も無料でご相談いただけます。
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ここまで補助金や助成金の話をしてきましたが、計画を作ることは会社自体にも大きなメリットがあります。
計画を作って制度を整えることで、社員が安心して働けます。育児や介護をしている社員も無理なく働けるようになり、退職率が下がることもあるでしょう。
計画があることで、外部の人から見てもしっかりしている会社という印象です。銀行や取引先、将来働きたいと思う人にとっても安心材料になるはずです。
計画書に基づいて取り組みを実施している会社は、補助金や助成金を申請しやすくなります。実際にお金を受け取ることで、制度をさらに充実させることも可能です。
ここまで見てきたように、一般事業主行動計画は会社やお店が働きやすい環境を作るための大切な計画です。
これらの理由から、一般事業主行動計画を作成することとても大切です。計画を策定することで働き方の改善に取り組みやすくなり、社員の満足度も上がります。
そして、補助金や助成金が計画の実現を後押ししてくれるでしょう。最初は難しく感じるかもしれませんが、相談窓口や専門家のサポートを受けながら作成すればスムーズに取り組むことが可能です。
どんな働き方を大事にしているのかを文章にまとめましょう。これが一般事業主行動計画を作る大きな目的であり、補助金・助成金を活用するための第一歩です。
一般事業主行動計画は、企業が従業員の仕事と生活の調和を図るために必要な計画です。
この計画を作成するためには、いくつかの基本的なステップがあります。ここでは、そのステップを詳しく説明します。
最初に、計画の期間を決める必要があります。計画の期間は、通常1年から3年の範囲で設定されます。この期間は、企業の実情や目指す目標に応じて柔軟に決めてください。
次に、目標を設定します。目標は具体的で測定可能なものでなければなりません。
たとえば、育児休業の取得率を男性は20%、女性は50%といったように、数値で示すと良いです。こうすれば目標達成の進捗を確認しやすくなります。
目標を設定する際には、従業員からのフィードバックを参考にすることも効果的です。
従業員がどのような支援を必要としているかを理解することで、より実効性のある目標を設定することが可能です。
働き方改革や多様な人材活用の具体的な施策を考えてください。働き方改革とは、従業員がより良い環境で働けるようにするための取り組みです。
たとえば、フレックスタイム制度やテレワークの導入が挙げられます。これにより、従業員は自分のライフスタイルに合わせた働き方が可能になるでしょう。
一方で多様な人材活用とは、さまざまな背景を持つ人々が活躍できるようにすることです。
たとえば、育児や介護をしている従業員に対して、短時間勤務制度を導入することが挙げられます。
これにより、従業員は家庭と仕事を両立しやすくなるでしょう。さらに、従業員の意見を積極的に取り入れることをおすすめします。
定期的にアンケートを実施し、従業員がどのような制度を望んでいるのかを把握すれば、より良い施策を実施することが可能です。
計画を策定したら、次に社内での周知と承認プロセスを進めてください。まず、策定した計画を従業員に周知します。
周知の方法としては、社内の掲示板に掲示したり、電子メールで送信したりする方法があります。社内の会議で計画を説明することも効果的です。
周知が終わったら、承認プロセスです。承認プロセスとは、計画を実施するために必要な承認を得るための手続きです。
通常、経営層や人事部門が関与します。承認を得ることで、計画が正式に実施されることが確定します。
承認を得たら計画を実行に移しましょう。実施にあたっては、計画に掲げた施策を具体的に進めていくことが求められます。定期的に進捗を確認し、必要に応じて計画を見直してください。
一般事業主行動計画の作成には、
が含まれます。
これらのステップを踏むことで、企業は従業員が働きやすい環境を整えることができ、結果として企業全体の生産性向上にもつながるでしょう。
一般事業主行動計画は企業にとって大切な施策であり、従業員の満足度を高めるためにも欠かせません。
企業はこの計画に真剣に取り組むことでより良い職場環境を実現し、持続可能な成長を促進することが期待されます。
参考:一般事業主行動計画の策定・届出等について
まず、補助金や助成金という言葉から説明します。
出典:補助金とは?図解を用いながらわかりやすく解説
国や自治体から、会社や団体が特定の目的のために取り組む活動に対して支援として出されるお金です。
会社が働く人のために制度を作ったり、改善したりするときに支援されるお金です。
どちらも会社が働きやすい環境を作るために使えるお金と考えればわかりやすいでしょう。
ではなぜ一般事業主行動計画が必要かというと、国や自治体は、計画に沿って本当に取り組みをしている会社にだけお金を渡したいからです。
計画があれば、この会社は働きやすい環境を整えるために努力していると証明できます。
逆に計画がなければ、本当に取り組むつもりか不明とみなされ、補助金や助成金の申請が通らないことがあります。
実際に、計画を作っていないと申請できない補助金や助成金もあります。
いくつか具体例を紹介します。
出典:令和7年度 働き方改革推進支援助成金について(業種別課題対応コースとは?)
この助成金は、社員が働きやすい環境を整えるために会社が行う取り組みを支援する制度です。
こういった取り組みを行う会社に助成金が支給されます。
一般事業主行動計画の作成が条件です。計画に沿った実施内容を示すことで、助成金を受け取ることが可能です。
出典:事業主の方のための雇用関係助成金
雇用関係助成金には、社員の雇用を守ったり、新しく働く人を雇ったりするときに使える制度があります。
こうした助成金も、計画を作って会社の方針を明確にしていることが条件になる場合があります。
計画を作っただけでは不十分です。
助成金や補助金の申請でしっかり活かすためには、いくつかポイントがあります。
社員が働きやすくなるとだけ書いても、曖昧すぎて評価されません。
下記のように数字や期限を入れることで、実行計画として信頼されます。
目標だけ立てても、実行できなければ意味がありません。
上記のように、実現可能な具体的な行動を書きましょう。
計画は作っただけでは意味がありません。社員や管理職の理解・協力が必要です。
これらを確認してから申請すると、後で問題が起きにくくなります。
計画や実施内容は、書面や電子データで残しておきましょう。
記録を残すことは、助成金や補助金を受けるうえで大切です。
最後に、計画作成でよくある失敗と注意点をまとめます。
社員が働きやすくなるように頑張りますとだけ書くと、実際に取り組んだかどうか判断できません。
数字や期限を入れ、誰が見ても分かるように具体化してください。
夢のような計画や実現が難しい制度を書いても、審査で低評価になります。
現場の状況や社員の意見を反映して、実行可能な内容にしましょう。
上司や社員の意見を無視して作った計画は、実行できず形だけのものになりがちです。
作成前に社内で説明会を開き、意見を取り入れましょう。
口頭で決めた計画は、後で証拠として提出できません。計画書、議事録、実施記録などとして必ず書面で残してください。
一般事業主行動計画は、会社が働きやすい環境を作るための計画です。補助金や助成金を受けるためには、計画の作成が条件になる場合があります。
計画を活かすには、具体的で現実的な目標を立て、社内合意を得て、書面で記録を残すことです。
失敗しやすいポイントを押さえることで計画が実際に役立ち、助成金や補助金の申請もスムーズになるでしょう。
参考:法令検索 次世代育成支援対策推進法
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みんなの補助金コンシェルジュでは、一般事業主行動計画が必要な企業かどうかの判断や、制度対応のポイントを整理してご案内しています。未対応によるリスクを避けたい方は、まずは下記からご相談ください。

厚生労働省の両立支援のひろばの中にある一般事業主行動計画は従業員101人以上の企業には策定が義務付けられています。補助金では本計画の策定が申請の必須要件になっていたり、加点項目となっているものもあります。企業が従業員の仕事と子育てを両立させるために必要な計画となりますので積極的に検討されると良いでしょう。