IT導入補助金にはこんな枠があります
IT導入補助金には、通常枠以外にもさまざまな枠があります。
では、なぜ複数の枠にわかれているのでしょうか。
ここではその理由と、どんなものが対象になるのか、多くの例や説明を交えて紹介していきます。
本記事では、IT導入補助金の中でも特に通常枠に特化して説明していきます。 IT導入補助金にはいくつか枠があり、そのひとつに通常枠があります。どんな枠なのでしょうか。
IT導入補助金には、通常枠以外にもさまざまな枠があります。
では、なぜ複数の枠にわかれているのでしょうか。
ここではその理由と、どんなものが対象になるのか、多くの例や説明を交えて紹介していきます。
業務をもっと早く、スムーズに行うために、パソコンやタブレットなどのITツールが必要になることがあるでしょう。
自社だけで購入することも可能ですが、もし自社だけで全部買うのは負担が大きい場合、IT導入補助金を活用して経済的負担軽減が可能です。
国や自治体は、IT導入補助金という制度を設置し、会社やお店がITの道具やソフトを導入するのを財政面で支援しています。このIT導入補助金には、いろいろな目的や使うものによって、枠と呼ばれる種類が複数あります。
また、IT導入補助金の対象となるITツールにも対象となるものと、ならないものがあります。
たとえば、会社のお金の計算を簡単にする会計ソフトや、注文をやりとりする受発注ソフト、お店で使うPOSレジ。そして、社員の成果を評価する人事評価ソフトなどは、IT導入補助金の対象となるでしょう。
参考:IT導⼊補助⾦のご案内
出典:IT導入補助金の申請枠の違いとは|通常枠・デジタル枠・セキュリティ枠の違いを解説
IT導入補助金にはいくつか枠があります。ここでいう「枠」とは、補助金を受けるときの種類やカテゴリーのことです。
学校でたとえるなら、算数、国語、理科といった科目があるように、IT導入補助金も通常枠、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠など複数の種類にわかれています。
枠ごとに、もらえるお金の金額や対象となるもの、使途が異なってきます。
大事なのは、自社で何をしたいか、どんな目的でITの道具を使いたいかを考えて、ぴったりの枠を選ぶことです。
そんなIT導入補助金の枠の中には、通常枠を含めてどのような枠があるか、早速次からみていきます。
複数ある枠の中でも、最も定番なのが通常枠です。
通常枠は、会社やお店が仕事を効率よく進めるために、必要なソフトやツールを導入する際に使われます。
通常枠はさらに、A類型とB類型という二つのグループにわかれています。
参考:通常枠について
AとBで何が違うのかと疑問でしょう。具体的には、次のような違いがあります。
A類型の場合、受け取れる補助金は5万円以上150万円未満になることが多いです。
一方でB類型の場合は、もっと多くの補助金がもらえて、150万円以上450万円以下になることもあります。
どちらのタイプでも、実際にかかる費用の半分以下になるというルールがあります。
もし会社が100万円かかる仕事をするとしたら、その半分の50万円くらいは国からもらえる可能性があるでしょう。
出典:イラスト素材: 賃上げ
A類型の場合、もし会社が賃上げ目標を申請書に入れていれば、その部分が評価されて、採用されやすくなる加点要素になります。
B類型の場合は、補助金が高い分、賃上げ目標が必須です。そのため、B類型で申請する会社は、しっかりとした賃上げ目標を示さなければ審査でマイナス評価になる可能性があるでしょう。
このように、A類型とB類型は、もらえる金額や賃上げの計画の有無が異なります。自社の状況に合わせて、どちらの枠がぴったりかを選んでください。
出典:IT導入補助金とは?図解を用いてわかりやすく解説
次に紹介するのが、セキュリティ対策推進枠です。
最近、サイバー攻撃が増えてきています。これを防ぐためにも、セキュリティ対策推進枠があります。
会社の大事な情報を守るためのシステムやツールを導入したい事業者は、セキュリティ対策推進枠で申請すると良いでしょう。
セキュリティ対策推進枠の目的は、サイバー攻撃から会社を守るために、リスクを少なくすることです。
たとえば、悪意のある第三者が会社のサーバーを攻撃して情報を盗もうとするのを防ぐためにITツールを導入したいなら、セキュリティ対策推進枠の対象です。この時対象となるITツールは、国が定めたサイバーセキュリティお助け隊サービスリストに掲載されているものです。
このリストに載っているものだけが補助金の対象となるため、セキュリティ対策推進枠で申請するならその一覧から選ばなければなりません。
セキュリティ対策推進枠の補助内容としては、サービスの利用料金が最大2年分まで補助されます。
仮に会社が2年間、あるセキュリティサービスを使うと決めたとき、そのサービスの料金の一部が国から援助してもらえるでしょう。
セキュリティ対策推進枠は、情報を守るためにとても大事な枠です。近年、サイバー攻撃が増えている現代においては、ますます必要とされています。
最後に紹介するのは、デジタル化基盤導入枠です。会社が仕事をより効率良く、そしてデジタルな方法で行えるようにするためのツールを導入するとき、使われます。
特に、中小企業や個人事業主にとっては、とても魅力的な枠です。
デジタル化基盤導入枠は、会社の業務の中で、
など、業務を効率よく進めるためのさまざまな機能を持つITツールを導入するときに使われます。
対象となるITツールの条件は、ひとつ以上の業務効率化のための機能が搭載されていることです。この要件を満たすITツールを購入すれば、さらにパソコンやタブレット、スキャナー、プリンターなどの機器も、同時に補助金の対象となる場合があります。
通常枠と混同しやすいのですが、通常枠とデジタル化基盤導入枠は異なるものです。通常枠では、こうしたパソコンやタブレットといったデバイスは対象外になることが多いです。
しかしデジタル化基盤導入枠では、ITツールと一緒にそれらの機器も補助の対象に該当します。
もし新しくパソコンなどを買いたいときは、この枠を利用しましょう。
デジタル化基盤導入枠を使えば、会社がデジタル技術を取り入れて、仕事のやり方を大きく変えることが可能です。
たとえば、昔は紙と鉛筆で記録をしていたものが、今ではパソコンで一括管理できるようになり、仕事がとても速く進むでしょう。
参考:4月1日更新 通常枠およびデジタル化基盤導入枠
ここでは、IT導入補助金の通常枠について、できるだけ詳しくたっぷりと説明していきます。
などを含め、通常枠の特徴を盛りだくさんでお届けします。
IT導入補助金は、会社やお店が仕事をもっと効率良く、デジタルな力を使って新しいことに挑戦できるように、国や自治体がお金を支援してくれる制度です。
ごく簡単な例を挙げれば、学校で新しいパソコンや文房具を買うときに奨学金が出るように、会社がパソコンやソフトを導入するときにも、この補助金を使うと費用の一部をサポートしてもらえます。
その中でも通常枠は、業務効率化や売上アップなど、会社のさまざまな仕事をサポートするためのITツールを導入したい時にぴったりです。
通常枠で申請すれば、導入するソフトウェアやその機能の数に応じて、最大450万円もの補助金を受け取ることが可能です。
通常枠に申請すると、会社が導入するITツールの費用のうち半分以内で補助してもらえます。
たとえば、もしも導入するソフトウェアが200万円かかったら、補助率が1/2の場合、計算上は200万円×1/2で100万円の補助金がもらえることになります。
ただし、通常枠では、補助金の上限額が導入するソフトウェアの機能数によって変わってくるでしょう。
具体的には、通常枠ではソフトウェアの機能数が1機能以上か4機能以上かで、補助上限額が異なります。1機能以上の場合は補助対象経費が5万円から150万円未満となり、補助率は1/2以内で計算されます。
一方、4機能以上の場合は、補助対象経費が150万円から450万円以下です。こちらも補助率は1/2以内で計算されます。
まとめると、導入するソフトウェアに搭載されている機能の数が多いほど、もらえる補助金の上限額が高くなるということです。
仮に会計機能を持つソフトウェアの場合、200万円の製品なら200万円×1/2で100万円の補助金が受け取れるでしょう。
たとえ同じ会計機能を持つソフトウェアでも、400万円の製品を導入した場合、計算上は200万円の補助金になるはずです。
しかし、1機能のみのソフトウェアには上限が150万円と決まっているため、実際に受け取れる金額は150万円です。
通常枠で対象となる費用は、
といったソフトそのものにかかる経費はもちろん、
などの導入関連費用も対象となります。これらの合計金額に対して、最大半額まで補助が受けられます。
通常枠においては、導入するITツールの機能数や対象となる業務プロセスの数によって補助上限額が決定します。
ここでいうプロセスとは、ITツールを使って会社の仕事を効率化するための業務工程のことです。
たとえば、以下のような業務プロセスが対象となります。
さらに汎用プロセスといって、単体では使えなくても、上記のプロセスと組み合わせることで、より多くの業務に対応できる自動化や分析ツールも対象です。
通常枠の補助率は、どの種類のITツールでも基本的には1/2以内です。かかる費用の半分以上は、国から支援を受けることができるでしょう。
ただし、補助上限額は、導入する機能の数によって以下のようにわかれています。
このように、もし会社がたった1種類の機能だけを持つソフトウェアを導入する場合、最大で150万円までの補助金が支給されます。
さらに、4種類以上の業務プロセスをカバーするITツールを導入し、さらに賃上げの計画を実行する場合、最大で450万円までの補助金を受給できます。
たとえば、ある会社が会計機能を持つソフトウェアを導入する場合、その製品が200万円のものなら、補助金は200万円×1/2=100万円です。
もし同じ会計機能を持つ製品で400万円のものを導入する場合、補助金は計算上200万円になります。
とはいえ、1機能のみの場合の上限が150万円となっているため、実際には150万円が上限です。
先ほどお伝えしたように、通常枠ではITツールの導入関連費も補助対象です。
たとえば、拡張機能やデータ連携ツール、セキュリティ対策にかかる費用、さらに導入コンサルティングや研修、保守サポートなども、ソフトウェア購入費と合わせて補助対象経費として計上されます。
これにより、会社全体で導入するITシステムの総額が増えても、その半分まで国から支援を受けられるため、初期投資の負担が大幅に軽減されるでしょう。
出典:IT導入補助金2025
通常枠の対象となるITツールは、基本的には、IT導入支援事業者が販売しているソフトウェアやその導入関連費です。
ここで大切なのは、通常枠ではパソコンやタブレットなどのハードウェアは対象外になる点です。これらのハードウェアは、インボイス枠など別の枠では対象となります。
しかし、通常枠では主にソフトウェアやサービス、そしてそれに関連する導入サポート費用が補助対象です。
具体的には、以下のような費用が対象となるので、確認しておきましょう。
これらの合計金額に対して、通常枠では最大で半額の補助金が支給されます。
参考:インボイス制度について
通常枠で申請するには、厳しい条件をクリアしなければならないかというと、そこまで厳しいわけではありません。
通常枠の対象となるのは、中小企業や小規模事業者、さらに個人事業主も含まれています。
ただし、納税証明書が必要になるため、法人の場合は会社設立初年度の企業では申請ができません。
通常枠で申請するためには、いくつかの申請要件を満たす必要があるので、ここで確認しておきましょう。
出典:【GビズIDとは】電子申請で活用 取得方法・できること・注意点を解説
gBizIDプライムアカウントとは、複数の行政サービスを、ひとつのアカウントで利用できるシステムです。これがなければ申請できないため、とても大切です。
gBizIDプライムアカウントの取得には、印鑑証明書(個人事業主の場合は印鑑登録証明書)が求められます。
また、登録印で押印した申請書を郵送するか、マイナンバーカードを使ってオンラインで申請する方法があります。
郵送の場合、1週間ほどかかる点に気を付けましょう。
IT導入補助金の申請時には、SECURITY ACTION宣言が必須です。
これは、会社が情報セキュリティ対策に積極的に取り組むことを自己宣言する制度で、ひとつ星またはふたつ星として宣言します。
この宣言は、IT導入補助金の申請において大切な評価項目のひとつです。
また、通常枠の申請では、3年間の事業計画期間中に、
のどちらかが求められます。
ここでいう労働生産性とは、付加価値額を従業員数と年間平均労働時間で割ったものです。加価値額は営業利益、人件費、減価償却費の合計によって計算されます。
具体的な計算方法は、事務局からダウンロードできる計算用フォーマットに沿って行いましょう。
通常枠で150万円以上の補助金を申請する場合、追加で重要な条件が課されます。それは、賃上げ計画の策定と従業員への表明です。
具体的には、地域別最低賃金に30円以上の上乗せが必須です。場合によっては、50円以上の上乗せが求められることもあります。
加えて、給与支給総額(全従業員および役員に支払われる給与、賃金、賞与、役員報酬など)を、年平均成長率1.5%以上向上させなければなりません。
この成長率の計算は、(1年後の労働生産性-現在の労働生産性)÷現在の労働生産性×100で求められます。
具体的には、1~3プロセスに該当する場合は補助金の上限が150万円未満です。
最低賃金は地域別最低賃金+30円以上、さらに給与支給総額が年平均成長率1.5%以上に向上することが加点対象となります。
その一方で、4プロセス以上の場合、補助金の上限は150万円以上450万円以下となり、最低賃金は地域別最低賃金+50円以上(+30円以上は必須項目)です。
もしこれらの賃上げ条件が達成されなかった場合、補助金の全額または一部の返還が求められるリスクがあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
なお、通常枠の申請においては、他にも加点項目が設定されています。
例)
これらは審査時に加点対象となり、有利です。
加点項目を満たすほど採択される可能性が高まるため、申請前にしっかりと確認し、必要な対策を講じてください。
ここまで、通常枠の特徴について詳しく説明してきました。
まとめると、通常枠のIT導入補助金では、最大で450万円の補助金を受け取ることが可能です。
補助金の上限額は、導入するITツールの機能数、すなわち業務プロセスの数によって変わってきます。
1プロセス以上の場合は5万円から150万円未満、4プロセス以上の場合は150万円から450万円以下と定められています。
通常枠における補助率は、基本的に1/2以内であり、費用の半分までが支援される仕組みです。
また、対象となるITツールは、IT導入支援事業者が販売するソフトウェアおよびその導入関連費であり、パソコンなどのハードウェアは対象外です。
補助対象経費には、
などが含まれ、これらの合計金額に対して補助金が計算されます。
さらに、通常枠で申請するには、下記が要件です。
特に補助金額が150万円以上となる場合は、従業員への賃上げ計画も厳格に求められるでしょう。
地域別最低賃金に一定額を上乗せし、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上向上させてください。
これらの要件を満たせば審査時の加点が得られます。補助金を無事に受け取るための大切な条件です。
また、通常枠では、申請審査の際にさまざまな加点項目が設定されています。
例)
追加で評価される項目を満たせれば、より高い採択率が期待できるでしょう。
このように、通常枠は他の枠と比べて対象となるITツールやサービスの種類が幅広いです。そのため、業務効率化や売上アップ、経営の改善に寄与するものとして、多くの中小企業や小規模事業者、個人事業主にとって魅力的な枠です。
通常枠を利用すれば、事業者は新しいITツールを導入し、従来の紙ベースや手作業での業務を大幅に効率化できるでしょう。
結果として生産性が向上し、経営が安定する効果が期待されます。
最後に、通常枠の申請を検討する場合は、導入するITツールがどのくらいの業務プロセスをカバーしているのか、またその費用がどのくらいになるのかをしっかりと把握しておいてください。
補助額の計算を正確にしておきましょう。
会計機能だけでなく、複数の業務プロセスに対応している場合は、補助上限額が高く設定されるため、自社のニーズに合わせたツール選定が求められます。
そして、gBizIDの取得やSECURITY ACTION宣言、さらには賃上げ計画など、必要な申請要件をすべてクリアしましょう。
計画通りに実行できる体制を整えることが、補助金を確実に受け取るためのポイントです。
通常枠の特徴をしっかりと理解し、自社に最適なITツールを選び、必要な手続きを正しく行えば、最大450万円の補助金を受け取ることが可能です。
企業の業務効率化や生産性向上、さらには経営改善のために、ぜひ通常枠の活用を検討してください。
IT導入補助金における通常枠の特徴について解説してきました。
補助金の上限金額や補助率、対象となる経費、申請要件、加点項目、さらには具体的な計算例や対象物について、詳しくわかっていただけたでしょうか。
通常枠は、会社やお店がITツールを導入するための多くのニーズに応える支援制度として、幅広い対象をカバーしています。
導入するソフトウェアの機能数に応じて、5万円から150万円未満、または150万円から450万円以下と補助上限が設定され、かつ補助率は基本的に半額以内となる仕組みです。これにより、企業は初期投資の負担を大幅に軽減でき、効率的な業務運営を実現できます。
クラウド型のITツールやインボイス対応のツール、国が推進するセキュリティサービスなど、加点項目をうまく活用すれば、審査の際に有利になるでしょう。
採択される可能性が一層高まり、企業はより多くの補助金を受け取るチャンスが広がります。
通常枠は多くの中小企業や小規模事業者、個人事業主にとって、ITツール導入のための強力な支援となるはずです。
会社の経営を効率化し、業務のスピードを上げるために、通常枠の補助金制度をしっかりと理解し、適切なITツールの導入と正確な申請手続きを進めましょう。
IT導入補助金の通常枠は、企業の成長と発展を強力にサポートしてくれる仕組みです。自社に合ったITツールの導入を検討し、将来の成功につなげる一助となれば幸いです。
IT導入補助金2025の申請のコツを分かりやすく解説します!
小規模事業者持続化補助金の通常枠とは?活用事例も紹介!

IT導入補助金は法人でも個人事業主でも申請が可能な補助金です。しかし納税証明書の添付が必須のため1期目の事業者では申請できない点には注意が必要です。IT導入補助金の通常枠は最も一般的な申請枠であり、人気のある申請枠となっています。