IT導入補助金の支援事業者一覧と選び方
IT導入補助金について調べていると、支援事業者という言葉が出てきます。支援事業者とは何でしょうか。また、おすすめの支援事業者一覧はあるのでしょうか。

この記事を監修した専門家

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
IT導入補助金における支援事業者って何?

出典:IT導入補助金 登録・申請サポート
IT導入支援事業者とは、正確にいうとIT導入支援者のことです。中小企業や小規模事業者が業務を効率化できるよう、支援事業者は適切なITツールを提案します。
また、その導入をサポートすることも役割のひとつです。
こうした支援事業者は、ITツールの選び方や使い方を教え、導入後もサポートを続けてくれます。
具体的には、以下のような役割を担っているので確認しておきましょう。
事務局に中小企業や小規模事業者向けに役立つITツールを登録する
業務を効率化するためのITツールを選定することは、企業の生産性を向上させるために大切なことです。そして、支援事業者がこの選定を行っています。
事業者に最適なITツールを提案し、導入の手伝いをする
支援業者は、ITツールを使いたいと考える事業者に対しておすすめのITツールを提案し、導入のお手伝いまでします。
ただITツールを導入するだけでなく、その後、ツールがうまく使えるようにサポートも行います。もし使用方法でわからないことがあれば、アフターサポートもしてくれるでしょう。
申請者の問い合わせに応える
支援事業者は事務局に代わり、申請者や事業者からの質問や疑問に答える役割も持ちます。これによって申請者は、円滑に事業を進められるでしょう。
さらに、事務局からの指示や指導を事業者に伝え、問題がないように進められるように調整します。
不正行為を防ぐ
支援事業者は、不正行為を防ぐ役割も果たしています。
たとえば、補助金が不正に受け取られないように監視し、補助金が正しく交付されるように管理してくれるでしょう。
事業者が補助金を正しく使えるように監督する役目もあります。
ITツールの効果を最大限に引き出す
ITツールを導入することによって、事業者がより効率的に仕事を進められるように、ITツールの効果を最大限に引き出せるように支援します。
こうしたサポートにより、事業者はより生産性を上げ、ビジネスが成功しやすくなるでしょう。
参考:IT導入支援事業者とは
支援事業者の登録法

支援事業者として登録するには、主に二つの方法があります。
法人(単独)とは、ひとつの企業が全部の要件を満たして登録する方法です。ITツールの登録から報告まで、すべて一貫してひとつの企業が担当します。
その一方で、コンソーシアムは、複数の企業が協力して登録する方法です。
たとえば、ひとつの企業だけではクリアするのが難しい要件だった場合、複数の企業が協力して事業を進めます。この場合、コンソーシアムの中でそれぞれの企業が得意な分野を担当し、協力して中小企業や小規模事業者の支援を行うことになります。
コンソーシアムで登録する場合、幹事社と構成員が必須です。幹事社はグループをまとめ、構成員はそれをサポートします。
この方法を使えば、より広い範囲で多様な支援を提供することが可能になるでしょう。
21項目の要件をすべてクリアすること
IT導入支援事業者が法人(単独)として登録するには、決められた21項目の要件をすべて満たす必要があります。これらの要件は、IT導入支援事業者登録要領にも記載があります。
これをしっかり理解し、すべてのルールに従って事業を進めなければなりません。
コンソーシアムで登録する方法もある
もし法人(単独)で登録できなくても、コンソーシアムという形で登録することが可能です。
コンソーシアムという登録方法は、特に中小企業や小規模事業者により適したサービスを提供する方法といえるでしょう。
コンソーシアムは、幹事社と構成員のそれぞれが役割を果たし、協力して支援を実施します。
IT導入支援事業者としての役割を果たすためには、法人(単独)でもコンソーシアムでも、しっかりとした準備と理解が必要です。IT導入支援事業者 登録要領に書かれた内容をきちんと確認し、事業を行うことが求められるでしょう。
まとめ
このように、IT導入支援事業者は、企業のIT導入を手助けし、業務を効率化する役割を担っています。
また、補助金が正しく使われるように監視し、効果的にITツールを導入できるようにサポートする責任もあります。
事業者がより生産的に仕事を進められるように支援しているため、申請者はまずは支援事業者を選ぶことから始めましょう。
これからIT導入補助金を活用して業務を効率化したいと考えているなら、IT導入支援事業者は欠かせません。しっかりとしたサポートを受けて企業の生産性を高め、成功率を高めましょう。
参考:ITツール・IT導入支援事業者検索(コンソーシアム含む)
支援事業者には2種類ある

支援事業者には大きくわけて、
の2種類が存在します。
これらの違いを理解すれば、より自社に適した支援事業者を選べるでしょう。
ここではそれぞれのタイプについて詳しく説明しますので、しっかりと把握しておいてください。

出典:IT導入支援事業者になるには?ベンダー登録の方法
ベンダー系の支援事業者
ベンダー系のIT導入支援事業者とは、実際にITツール(ソフトウェアやハードウェア)を開発・製造している企業が、その製品の導入支援を行う事業者のことを指します。自社で開発した製品に関して、導入のサポートやサポート体制を直接提供していることが特徴です。
たとえば、会計ソフトを開発・販売している企業が、IT導入支援事業者としても活動している場合があります。この場合、この企業はベンダー系の支援事業者といえます。
その企業は自社の会計ソフトを導入したいと考えている企業に対して、インストールや操作方法の指導、システム導入後のサポートも提供。
ベンダー系の特徴
最大の特徴は、何といっても専門性の高さです。開発元であるため、そのITツールに関する深い知識と経験を持っていることが多いです。そのため、製品を導入した後のサポートも手厚く、製品に関する質問やトラブルに対して迅速に対応できます。
また、製品のカスタマイズや機能追加が必要な場合でも、開発元ならではの専門的な対応が可能です。
たとえば、会計ソフトのベンダー系支援事業者であれば、会計業務に特化した専門的な知識を持つスタッフがサポートしてくれるため、企業の経理部門の負担を軽減し、業務の効率化に大きく貢献できるでしょう。
さらに、ベンダー系の支援事業者は、製品に対しての責任が大きいため、長期的なサポートやトラブル対策を重視しています。企業のITシステムの安定性を確保するために、積極的に支援してもらえることが期待できるでしょう。
申請者はベンダーと直接やり取りをすることで、思わぬトラブル対応が早くできることがメリットのひとつです。
ただし、ベンダー系のIT導入支援事業者は自社製品に特化しています。そのため、複数のベンダーから提供される異なるITツールを使い分けたい企業にとっては、選択肢が限られてしまうでしょう。
自社のニーズに合わせて、どの製品を使いたいかが決まっている企業にとっては適したパートナーとなります。
販売代理店系のIT導入支援事業者
一方で、販売代理店系のIT導入支援事業者は複数のITツールを取り扱い、顧客のニーズに応じた最適なソリューションを提供する役割を担っています。
特に、中小企業や小規模事業者がIT導入補助金を活用して業務の効率化や生産性向上を目指す際に、助けとなるパートナーとなるでしょう。
たとえば、リコージャパン株式会社のような事務機器や複合機を取り扱っている企業は、販売代理店系の支援事業者に該当します。
リコージャパンは複数のメーカーからITツールを仕入れ、顧客にその製品を提供するだけでなく、導入後のサポートやメンテナンス、アフターサービスも提供しているからです。
販売代理店系の特徴
販売代理店系の支援事業者の大きな特徴は、取り扱っている製品が多岐にわたることです。これにより、特定のITツールだけでなく、企業のさまざまなニーズに合わせたソリューションを提案できます。
例)
- 会計ソフト
- 生産管理システム
- CRM(顧客関係管理)システム
このように、異なるベンダーから提供されるITツールを一度に導入できるため、企業のIT環境をトータルでサポートできます。
また、販売代理店系の支援事業者は、複数の製品を扱っているため、競争力のある価格で製品を提供できことが多いです。
顧客にとっては、複数の選択肢から最適なITツールを選べるため、コスパの高いソリューションを提供することが可能です。
さらに、販売代理店系の支援事業者は、製品の導入だけでなく、導入後のサポート体制にも力を入れている場合が多いです。
製品の使い方に関するトレーニングや、システムのメンテナンス、故障や不具合が発生した際の対応など、アフターサポートが充実しています。そのため、申請者としては長期的なパートナーとして安心して依頼できるでしょう。
ただし、販売代理店系の支援事業者は、ベンダー系の支援事業者と比べると、製品に対する専門的な知識がやや浅くなります。
幅広く多くの製品を取り扱うため、各製品に特化した専門知識が欠けている場合があるからです。ですから、対応に差が出る可能性があります。
それでも、販売代理店系の支援事業者なら複数の選択肢を比較して選べるため、企業にとっては選択肢が豊富で魅力的なパートナーとなるでしょう。
参考:登録申請・手続きフロー
自社に合った支援事業者を選ぶポイント

出典:IT導入補助金2024:IT導入支援事業者(登録ベンダー)が押さえておく
ベンダー系と販売代理店系のIT導入支援事業者にはそれぞれ特徴があり、どちらを選ぼうか迷ってしまうこともあるでしょう。
自社にとって最適な支援事業者を選ぶためには、まず自社のニーズをしっかりと把握することです。
特定の製品を導入したい
自社が使用したいITツールが決まっている場合は、ベンダー系のIT導入支援事業者が適しています。専門的な知識を持っており、製品に関するサポートも手厚いからです。
複数の製品を比較して選びたい
さまざまな製品を比較して、最適なITツールを選びたい場合は、販売代理店系の支援事業者がおすすめです。多くの製品を取り扱っており、競争力のある価格で提供できるからです。
どの支援事業者を選ぶかは、企業の方針やニーズに大きく左右されます。自社の目標や予算をしっかりと明確にした上で、ベンダー系か販売代理店系かを選びましょう。
まとめ
IT導入支援事業者には、ベンダー系と販売代理店系の2種類あり、それぞれに特性と利点がありました。
ベンダー系の支援事業者は、製品の開発元として深い専門知識を持ち、製品に関するサポートが充実しています。
一方で、販売代理店系の支援事業者は複数の製品を取り扱っており、それぞれの企業に最適なソリューションを提案することが可能です。
自社のニーズに合わせて、どのタイプの支援事業者が最適かを選んでください。
それぞれの特徴を理解し、自社にとって最適なパートナーを見つけることで、IT導入の成功につながるでしょう。
支援事業者はどう選べばいい?支援事業者一覧はある?

出典:IT導入補助金
支援事業者はたくさんあるため、どの支援事業者を選べばいいか申請者は迷うことがあります。
導入するツールや事業者をどのように選ぶべきかは、多くの企業にとって悩ましい問題でもあります。
特に、導入するITツールが決まっていない、またはどの事業者に依頼すればいいかかわからない状況では、選択肢を絞ることが難しいでしょう。
支援事業者一覧があるため、その中から選ぶというのもひとつの方法です。
あるいは、ネットで評判や実績を調べた上で、信頼できそうなところを選ぶのもいいでしょう。企業にとって、ITツールの導入は、業務効率化や競争力の強化に不可欠なステップです。
そんなときは、以下の3つのポイントに基づいてIT導入支援事業者を選ぶことをおすすめします。
自社のニーズに合ったITツールを取り扱っているor幅広い種類のITツールを取り扱っている
最も重要な選定基準は、自社が導入したいITツールに対応しているかどうかです。
たとえば、仮にあなたが会計業務を効率化したいと考えているなら、そのニーズに合った会計ソフトを取り扱っている事業者を選ぶことがおすすめです。
何か特定のITツールを導入する場合、その製品を提供している事業者を選ばなければなりません。
しかし、導入するITツールが明確に決まっていなければ、さまざま選択肢を提案してくれる事業者を選ぶのが望ましいでしょう。
IT導入補助金の採択実績が豊富か
多くの企業が、IT導入補助金に申請しています。
しかし、IT導入補助金には審査があるため、すべての申請が通るわけではありません。実際、採択率は40~60%程度と言われています。
ですから、IT導入支援事業者を選ぶ際には、過去に多くの企業が補助金を申請し、採択されている実績が豊富な支援事業者を選ぶといいでしょう。
採択実績が豊富な支援事業者であれば、今回も成功するのではと期待が持てます。実績があるところなら補助金申請に関するノウハウも充実しており、スムーズに手続きを進められるはずです。
対面での相談が可能かどうか
ITツールの導入に際しては、特に書類の準備や申請作業が複雑になる場合が多いため、電話やオンラインだけでは不十分です。そのため、実際に会って相談できる事業者を選ぶのが望ましいでしょう。
対面での打ち合わせが可能なら、細かい要望や不安な点について直接相談できるため、より確実なサポートを受けられます。
また、IT導入補助金の申請書類作成には専門的な知識が必要なこともあるため、対面でのサポートを受けることで安心感が得られるでしょう。
導入したいITツールが決まらないなら販売代理店系の支援事業者
もし、特に導入したいITツールが決まっていないなら、ベンダー系の事業者よりも販売代理店系のIT導入支援事業者を選ぶことをおすすめします。なぜなら、販売代理店系事業者は複数のベンダーのITツールを取り扱っており、最適なツールを比較検討した上で提案してくれるからです。
販売代理店系IT導入支援事業者のおすすめポイント
販売代理店系を利用するのはなぜおすすめかについて、解説していきます。
自社に最適なITツールを提案してくれる
自社の業務ニーズや目標に最適なITツールがどれかを判断するのは難しいでしょう。
特に、会計ソフトや顧客管理システム、勤怠管理システムなど種類が多く、どのツールを選ぶべきか迷ってしまいます。
ベンダー系の事業者は、自社で開発・販売しているツールのみを扱っているため、その範囲内でしか選択できません。複数の選択肢がある方が、より自社に適したツールを見つけやすくなるでしょう。
販売代理店系事業者なら、複数のベンダーが提供する幅広いITツールの中から、自社に最適なものを提案してくれます。そのため、導入前の選定段階でしっかりと相談できる点が大きな魅力です。
地方でも対面で相談しやすい
ベンダー系のIT導入支援事業者は、拠点が都市部に集中していることが多いです。そのため、対面での相談が難しい場合があります。
その点、販売代理店系事業者は、日本全国に営業拠点があり、地方でも対面での打ち合わせが期待できます。
特に、IT導入補助金の初心者や、補助金申請に不安がある場合は、顔を合わせて相談できる事業者を選べたほうが、安心感があるでしょう。
おすすめのIT導入支援事業者一覧

出典:IT導入支援事業者とは?選び方やオススメを初心者向けに解説
導入するITツールが明確に決まっていないなら、販売代理店系のIT導入支援事業者に相談するのがおすすめです。
その中でもおすすめのIT導入支援事業者を、ここでは2社紹介します。
ディーエスブランド
IT導入補助金対象の生成AIツールや健康経営支援ツールを提供しています。これらを導入したい企業に対しても支援を行っているため、ぜひ検討してみてください。
IT導入補助金を活用して、生成AIや健康経営を推進できるでしょう。
リコージャパン株式会社
リコージャパンは、取り扱っているITツールの種類が多く、IT導入補助金の採択実績もトップクラスです。
特に補助金のノウハウに長けています。
大手ということもあり、全国に営業拠点があるため、対面での相談がしやすいのも魅力です。
以上のように、IT導入支援事業者を選ぶ際には、自社のニーズに合ったツールを提供しているか、補助金申請に強い事業者であるか、そして対面での相談が可能かといった点を重視しましょう。
選定の際には、これらのポイントをしっかりと考慮し、最適な事業者を選んでください。
おわりに
IT導入補助金を活用する際には、支援事業者を選びましょう。
支援事業者には、ベンダー系と販売代理店系があります。これらふたつの違いを理解し、自社に最適な支援事業者を選ぶことで、ITツールの導入効果を最大限に引き出せるでしょう。
支援事業者一覧を確認しながら、自社のニーズに合ったパートナーを見つけ、業務の効率化と生産性向上を実現させてください。
監修者からのワンポイントアドバイス
IT導入補助金はIT導入支援事業者に伴走支援をして頂きながら申請を行うタイプの補助金です。他の補助金申請とは形式が大きく異なります。そのためIT導入支援事業者の親身なサポートが不可欠となっていますのでしっかり支援してくれる事業者選びが重要です。