POSレジをIT導入補助金で導入!活用術とPOSレジの魅力

POSレジがないことで不便している店もあるでしょう。POSレジはITツールの一つなので、IT導入補助金が活用できる可能性があります。本記事では、POSレジの機能や種類、IT導入補助金の利用法を紹介。
菱谷 里沙子

更新日:

IT導入補助金 POSレジ

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

POSレジって何?

IT導入補助金の対象として認められているITツールであれば、申請が可能です。
対象可能なツールの中には、POSレジもあります。そもそもこのPOSレジとはどんなものでしょうか。
POSレジといえば、よくスーパーやコンビニ、レストランなどで見かけるレジです。しかし、POSレジはただお金を清算するためのレジというだけではありません。お金のやりとりを記録するのはもちろん、売れた商品や売上金額などの情報を自動管理してくれているのです。お金の勘定もできて売り上げなどのデータも記録してくれるため、非常に賢く多機能的なツールといえます。

POSレジのPOSの意味とは

POSは、Point of Salesの略です。これを日本語に直すと販売時点情報管理となり、少しお堅い名称になります。販売時点情報管理をもっとかみ砕いていうならば、商品が売れたその瞬間に、どんな商品が、どれくらい売れたかを記録する仕組みという意味です。
たとえば、あるスーパーで100円のみかんが10個売れたら、POSレジは「みかんが10個売れました」「売上は1,000円です」とすぐに記録してくれます。店側はその情報を参考にして、お店の中でどんな商品が人気で、どれくらい在庫を抱えているかチェックできるのです。

POSレジと普通のレジは何が違うの?

POSレジは近代的なレジであり、従来のレジとは異なるシステムを備えています。昔のレジは、商品をスキャンして金額を出すだけでした。しかし、POSレジは昔のレジから進化しているため、機能はお金の計算だけではありません。普通のレジと比べて、多くの便利な機能があるのです。POSレジの機能を具体的に紹介していきます。

売上の記録を自動でしてくれる

POSレジは、売れた商品の情報をリアルタイムで記録してくれます。従来のレジでは、店員さんが1日の終わりに売上を手作業で計算する必要がありました。しかし、POSレジならそんな手間は不要なわけです。

計算ミスを防げる

POSレジは、バーコードを読み取るだけで商品の情報を正確に記録してくれます。自動操作によるものなので、手入力のミスが減り、お客さんとのトラブルを防げるでしょう。

本部と連携がとれる

複数の店舗を持っているお店の場合、POSレジを通して、各店舗の売上データを本部で一元管理できます。これにより、どの店舗が一番売れているのか、どの商品が人気なのかを、各店舗ごとではなく、本社でも簡単に把握できます。

在庫管理がスムーズになる

POSレジは、売れ行きの良い商品の個数を記録するだけに留まりません。店にある在庫も管理してくれるのです。
たとえば、桃が20個あったとして、そのうち10個が売れたら、POSレジをチェックすれば、残りは10個だとすぐにわかります。

売れ筋商品がわかる

POSレジをチェックすれば、どの商品が売れているかがわかります。
たとえば、サイダーが夏によく売れるのか、それとも冬でも売れるのかといった情報が、POSレジを見ればすぐわかるのです。情報をリサーチしなくても、POSレジが一元管理してくれるため、店側としてはデータの確認がしやすくなります。

商品の情報を登録ができる

POSレジは、商品ごとの情報を登録できます。たとえば、

  • 値段
  • 原価
  • 商品名
  • 在庫数

なども登録してくれ、その情報を使って売れ筋商品や売れ残りの商品を分析をしてくれるのです。

データを収集してくれる

POSレジは、どんなタイムゾーンでどんな商品が、どんなお客さんによく売れたのかを記録します。このデータを使えば、たとえば「夕方にはお弁当がよく売れる」「雨の日は傘がたくさん売れる」などの傾向が見えてきます。これらのデータは、店側の販売戦略に活かせるわけです。

POSレジには歴史があります

スーパーやコンビニ、飲食店へ行くと、会計コーナーに必ずといっていいほどPOSレジがありますよね。私たちにとっては見慣れたツールですが、POSレジには古い歴史があります。
ここで少し、POSレジがどのようにして誕生したか振り返ってみましょう。最初のレジは、1800年代に登場しました。カフェを経営していたアメリカ人が製造したのです。なぜレジを作ろうと思ったかというと、そのカフェで、店員さんが売上金を少しずつ盗むという問題が起こったからです。手作業でお金の勘定をしていたのでは、この問題は解決できません。そこで、人の手によってではなく、お金を管理してくれる機械を発明したのです。これが今のPOSレジの先駆け、従来型のシンプルなレジの始まりです。
その後、レジの技術はアメリカから日本へと伝わってきました。日本のデパートやスーパーでも利用されるようになりましたが、最初は今のPOSレジとは異なり、ただお金を清算するためだけのものでした。しかし、時代が進んでレジの技術も進むにつれて、進化してきたのです。ただお金の計算をする電卓のようなツールではなく、商品の情報を記録したり、売上を分析したりできるようにまで進化したのです。
そして、現代のPOSレジの原型が誕生したのは、1970年代頃です。アメリカで、「もっと詳しく商品を管理したい」というニーズが増し、POSレジの原型が誕生しました。POSレジの仕組みはすぐに日本にも広まり、今ではスーパーやコンビニだけでなく、小さなお店でも使われるくらいポピュラーになりました。

POSレジにも種類があります

一般の方はあまり知らないでしょうが、POSレジには複数の種類があります。お店によっても導入しているPOSレジの種類は異なってきます。どんな種類のPOSレジを使っているかによって、機能面使い方が若干変わってきます。ここでは、POSレジの代表的な種類を紹介します。

据え置き型POSレジ

最もポピュラーなタイプのPOSレジです。一般のスーパーやコンビニでよく見かけます。大きくどっしりとしていて、安定感があり、多くの商品を扱うお店に適しています。

タブレット型POSレジ

最近人気になっているのが、iPadタブレットを使ったPOSレジです。スタイリッシュでコンパクト、軽量でおしゃれなデザインなので、お店の雰囲気や内装重視のカフェや雑貨店などにおすすめです。

モバイル型POSレジ

スマホを使ったPOSレジのタイプです。モバイル型は特に、移動販売や小さなお店で使われることが多いです。
【まとめ】
POSレジは、単にお金を計算してくれるツールではなく、データを集めて経営を助けてくれる優秀なツールです。POSレジのおかげで、お店側はどんな商品が人気で、在庫は足りているのか、どんなお客さんがよく利用してきているかがすぐわかるのです。経営者にとって重要な情報となるため、POSレジは欠かせないツールといえるでしょう。歴史は意外に古く、これまで進化してきたため、今後も時代が進むにつれさらに便利に改良されていくことが期待できます。

POSレジ導入にIT導入補助金を活用しよう

IT導入補助金 POSレジ
POSレジを導入したいなと考えている事業者がいたら、ぜひIT導入補助金を活用することをおすすめします。POSレジは、多機能で店舗運営を効率化する便利なツールなので、導入することによって効率が上がり、無駄な手間暇を削減できるでしょう。補助金を利用すれば、全額自社負担の時と比べて大幅に負担が軽減します。
POSレジは、商品の販売管理や在庫管理、さらには売上分析など、多様な業務を支援してくれる優れたツールです。ですが、その分、最初にかかる費用が高いというのがネックで、導入を渋っていた事業者さんもいるでしょう。特に規模の小さいお店や企業でしたら、資金力がなく財政的に厳しく、導入を諦めざるを得なかったかもしれません。しかし、導入したいけれど初期費用が高すぎて手が出せない!といった時に補助金制度が味方になってくれます。国や地方自治体では、小規模事業者のためにいくつか補助金制度を用意しています。補助金制度を活用すれば、費用の負担を減らしながらPOSレジを導入できるでしょう。

補助金と助成金は違うもの

補助金とは、国や地方自治体が「経営を頑張る人たちを応援したい!」という目的で用意している経済的な支援制度です。補助金の大きな魅力は、返さなくてもいいことです。融資を受けるとなると、資金が調達できても後で返済しなければなりません。ですが、補助金であれば返済義務がないため気楽です。もらったら100%自社の資源にしていいのです。
補助金と助成金を混同してしまう方も多いですが、二つは厳密に性質が異なります。補助金の場合、対象者であり、かつ審査を通り抜けた限られた特定の人だけがもらえます。
というのも、補助金には予算が決められているため、誰にでも補助金をばらまくわけにはいきません。ですので、対象者を絞り込み、もらえる人の数を制限しています。もし制限なく公募してしまうと、多くの人が申請してくるため競争が激化するでしょう。
補助金は対象者を絞ったとしても競争が激しくなることはありますが、審査があるので、対象者の中から選ばれた人しか補助金を受けられません。ですから、申請したからといって漏れなく全員補助金が受けられるわけではないのです。
これに対し、助成金は一定の条件を満たしていれば、申請した人はほぼ漏れなく助成金がもらえます。競争は激しくなく、補助金のような細かい審査はありません。
また、補助金は申し込み期間が限られており、通常1年に1~3回の募集がありますが、その期間は約1か月程度と短いです。応募を希望する場合は、期間内に必要書類を準備しましょう。
一方で、助成金は基本的に1年中申し込むことができ、いつでも申請可能です。期間の縛りがないためスケジュールの自由度が高く、柔軟なシステムといえるでしょう。

こんな状況ならPOSレジを導入しよう

下記のような問題を抱えている事業者は、POSレジ導入を強くおすすめします。
この機会にIT導入補助金をご検討してください。

  • 売上の計算が複雑で面倒
  • スタッフの勤怠管理が難しい
  • レジ締めに時間がかかりすぎている
  • 商品の在庫管理が大変で時間や手間がかかっている

上記のような課題が実際にあれば、IT導入補助金の申請書類にもこうした問題点を記載することができます。POSレジがないことでこんなに業務に支障が出ている、非効率的になっていると訴えることができるため、説得力が増すでしょう。この時、書類にはできるだけ具体的な数字を加えると良いです。
たとえば、「レジ締めに毎回30分以上かかっている」「先月、在庫の数え間違いで3万円の損失が発生した」などと、数字を含めて書きましょう。リアリティが出て、POSレジが本当に必要だと差し迫った状況を伝えられます。

IT導入補助金を利用する時の流れ

IT導入補助金 POSレジIT導入補助金を使えば、ITツールを導入するための費用を一部補助してもらえます。ここで申請の流れを確認しておきましょう。

スケジュールを立てる

期限に間に合うように、計画的に準備を進めましょう。事前にスケジュール感を持っておくといいです。補助金や助成金の申請に必要な期間は、申請する種類によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

  • 書類を準備する…2週間
  • 申請書を作成する…2週間
  • 審査の結果を待つ…1〜2ヶ月
  • 交付決定・導入の準備をする…2週間

これらのスケジュールを参考にし、計画的に申請手続きを進めましょう。
参考:IT導入補助金 事業スケジュール

IT導入支援事業者を探す

IT導入補助金を利用する際は、まず、どんなITツールを導入したいのかを考え、それを取り扱っているIT導入支援事業者を探します。ちなみにIT導入支援事業者とは、主に中小企業や小規模事業者を経済的に支援し、ITツールを導入を助けてくれる人たちのことです。
具体的には、どんなITツールを使うと便利かを提案したり、ITツールを使うための補助金の手続きをサポートしてくれたりします。IT導入補助金を活用すればITツールを安く導入できるので、事業者にとって大きな助けとなるでしょう。IT導入支援事業者は、審査を受けて国に認められたいわばお墨付きの事業者なので、申請者は安心して利用できます。
POSレジが必要だと考えるなら、IT導入支援事業者を検索し、POSレジを取り扱っている事業者を見つけます。探す時には、公式サイトで「POSレジ」やその商品名を入力して検索すれば、該当する事業者が出てくるでしょう。見つかったら、事業者に直接連絡を取って相談してみてください。

必要な書類を準備する

補助金や助成金を申請するために必要な書類を準備する必要があります。基本的に、以下の書類が必要です。

  • 決算書
  • 登記簿謄本
  • POSレジの見積書
  • 会社の情報(従業員数など)
  • 確定申告書(去年と一昨年分)

これらの情報を整え、明記しておきましょう。

課題や未来の改善点を書き出す

申請書類を作成するにあたり、お店で普段困っていることを具体的に書き出してみましょう。
POSレジがないことで、業務上でどんな問題があるのか整理します。
また、問題点を記載するほかに、POSレジを導入した場合、どのように業務が改善されるかも記載します。POSレジを導入したと仮定し、業務上で状況がどのように改善するか予測を立て、改善後の見通しを書きましょう。
例)

  • 在庫が自動で管理できるようになる
  • 売上がボタン一つで確認できるようになる
  • レジ締めが5分で終わって時間の節約になる
  • スタッフのシフト管理が楽になって無駄な労力が省ける

改善後にどれくらい時間やお金を節約できるのかを考え、どのように効果が現れるかを明確にすると、「ぜひ応援したい!」と思ってもらえる申請書類になります。

IT導入補助金が決まったらPOSレジを購入する

IT導入補助金が採択される前にPOSレジを購入しないように気を付けましょう。購入するのはIT導入補助金で交付決定がされてからです。ちなみに、POSレジだけを導入しても補助金の対象にはなりません。
あくまで欲しいのはPOSレジだけと考えていると、POSレジだけ購入してしまうという間違いをしてしまいます。しかし、IT導入補助金を実際に受けるには、POSレジと一緒にソフトウェアを導入する必要があります。POSレジ単体だけでは補助金は出ないため、ソフトウェアとセットで購入することを忘れないでくださいね。
このように、IT導入支援事業者は、補助金を使ってITツールを導入するための大事なサポートをしてくれる存在です。正しい手順を踏んで導入を進めることで、補助金を上手に活用し、ビジネスを効率的に進めることができます。
以上が、POSレジを導入するために申請する際のステップです。これらを順を追って進めていくことで、スムーズにIT導入補助金の申請ができ、POSレジ導入の可能性を高めていけるでしょう。
参考:IT導入補助金 2025
参考:IT導入補助金

IT導入補助金でPOSレジを導入するメリット

では、小規模事業者がIT導入補助金を利用してPOSレジを導入すると、どんなメリットが期待できるでしょうか。

時間を節約できる

POSレジを導入すれば、今までよりも時間が大幅に削減できるでしょう。POSレジのおかげで売上の集計や在庫管理が自動化されるため、これまで手作業にかかっていた無駄な時間を大幅に減らせます。その分店員さんは他の仕事に集中できるでしょう。

経営をもっと効率的にできる

POSレジが集めてくれたデータを使えば、売れ筋商品を把握したり効率よく在庫を管理したりできます。これにより、無駄な仕入れを減らし、利益を増やすことができるのです。

お客様の満足度が向上する

POSレジは会計を円滑にしてくれるため、お客さんを待たせる時間が短くなります。それによってお客さんの満足度は高まり、不満は減るでしょう。ポイントカードやクーポンの管理も簡単にできるので、お客さんにとっても店側にとっても便利です。

環境に優しい

POSレジを導入すれば、紙のレシートを減らすことが可能です。電子レシートを利用することで、環境への負担を減らせるでしょう。

IT導入補助金でPOSレジを導入する時の注意点

IT導入補助金を利用すれば、POSレジにかかる初期費用を減らせますよね。IT導入補助金を上手に活用するには、申請方法や必要書類を確認し、早めに準備しなければなりません。
最後に、IT導入補助金を活用してPOSレジを導入したいと考える事業者が、補助金を受け取るまでに気を付けなければいけない注意点を解説します。

条件を確認しよう

IT導入補助金には、それぞれに特別なルールがあります。そのため、まずは自社がIT導入補助金の対象に当てはまるかどうか確認しましょう。
せっかく苦労して作成した申請書類も、そもそもIT導入補助金の対象外であったら却下となり、時間と労力が無駄になります。あわせて締め切りも忘れずに確認してくださいね。

コストを管理しよう

IT導入補助金は交付決定がされたとしても、後払いです。そのため、POSレジを導入する費用は自社で立て替える必要があるのです。立て替えるためには資金が必要なので、計画的にお金の管理をしておきましょう。
いざPOSシステムを導入しようとしても、立て替えるためのお金がなければ前に進みません。
実際にIT導入補助金が振り込まれるまでの間のお金の流れを、事前によくチェックしておいてくださいね。

POSレジの選び方に気を付けよう

前述したように、POSレジには複数の種類があります。それぞれの種類で特徴は異なってくるため、自社の業務に最適なPOSレジを選びましょう。せっかく導入しても、業務に必要な機能が欠けていては不便です。

定期的に報告が必要

IT導入補助金が実際に振り込まれた後でも、報告義務があります。実際にPOSレジを導入してみた結果を報告しなければならないのです。申請内容に変更があった際も、すぐに報告する必要があります。
参考:IT導入補助金2025 通常枠

おわりに

POSレジは、単なる売上計算以上に、店舗運営に欠かせないデータ管理分析機能を有する賢いツールです。まだ導入しておらず、不便を感じている事業者はぜひIT導入補助金を活用し、導入しましょう。IT導入補助金が出れば、これまでのコスト負担を減らし、効率的な運営が期待できます。

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監修者からのワンポイントアドバイス

POSレジ導入をIT導入補助金を活用して導入を検討される方も多いです。この場合、通常枠ではなく、インボイス枠(インボイス対応類型)で申請を行う必要があります。必ずこちらの申請枠のスケジュールを確認して申請を検討するようにしましょう。