小規模事業者持続化補助金の災害支援枠とは?

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠は、能登半島地震により被害を受けた小規模事業者を助けるために設立された枠です。 本コラムでは、災害支援枠の被災の定義や、通常枠と比べてどのようなメリットや注意点があるのか分かりやすく解説していきます。
梅沢 博香

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小規模事業者持続化補助金の災害支援枠とは?

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠とは?

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠とは、令和6年能登半島地震で被害を受けた石川県、富山県、福井県、新潟県の小規模事業者を支援する補助制度です。
国が指定する支援機関の助言を受けながら事業再建計画を作成し、その実施にかかる費用の一部を補助します。

小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金とは、主に小規模事業者が販路開拓や生産性向上に取り組むための費用を支援する補助金です。
この補助金は、中小企業庁が主導し、地域の商工会議所や商工会が連携して実施しています。
2025年度の第17回公募からは、7つの申請枠で構成されます。

  • 創業型
  • 共同・協業型
  • ビジネスコミュニティ型

【一般型】

  • 通常枠
  • インボイス特例
  • 賃金引上げ特例
  • 災害支援枠
【2025年度版】小規模事業者持続化補助金の詳細はこちら!

補助対象者

小規模事業者持続化補助金の補助対象者は、以下に該当する小規模事業者です。

業種常時使用する従業員
商業・サービス業5人以下
製造業等20人以下
宿泊業及び娯楽業20人以下

参考:小規模事業者持続化補助金パンフレット

小規模事業者の定義

「常時使用する従業員」とは、毎日働く正社員が基本です。アルバイトはフルタイムに近い場合が該当します。
小規模事業者持続化補助金では、直接雇用の従業員のみが対象で、派遣社員や役員、個人事業主本人は含まれません。ただし、役員でも現場で働く場合は該当する可能性があります。

しかし、たとえば役員でも毎日現場で働き、他の従業員と同様に業務を行っている場合は、「常時使用する従業員」に該当する可能性があります。
たとえば、建設業で現場監督を務める役員や、小規模店舗で接客を担当する店長兼役員などが該当するケースです。
このように、5人以下または20人以下という基準は、表面的な役職だけでは判断がつかない場合があります。
申請時には具体的な業務内容を精査し、基準に基づいて判断することが必要です。

たとえば、以下のような方々が対象になります。

  • 家族経営の町工場
  • 個人で建設業を経営している方
  • 地域で美容室を経営している方

これらは一例ですが、条件に該当する小規模事業者の多くが申請可能です。

建設業が小規模事業者持続化補助金を活用する方法は?

採択率

過去16回の平均採択率は約60%でしたが、直近の採択率は30%台にまで減少しています。
また、2024年の公募回数はわずか2回と、これまでに比べ大幅に減少しました。この背景には、コロナ禍における小規模事業者の「持続性」を保護する必要性が薄れてきたことが影響していると考えられます。
これらのデータは、補助金申請の競争が厳しくなることを示しており、今後の申請準備において重要な参考情報となります。ぜひ最新の傾向を把握し、戦略的に申請を進めましょう。

持続化補助金の採択率の推移をチェック!

補助対象経費

機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、 資料購入費、 借料 、設備処分費 、委託・外注費 など
※補助対象経費は、申請枠によって異なりますが、幅広い経費が対象になります。

補助額/補助率

補助額、補助率は申請枠や特例適用の有無によって異なります。
【通常枠】

補助額補助率
50万円 (特例を活用した場合は最大250万円) 2/3(賃金引上げ特例活用事業者のうち赤字事業者については3/4)

参考:小規模事業者持続化補助金「通常枠」パンフレット
【創業型】

補助額補助率
200万円 (特例を活用した場合は最大250万円)2/3
2025年版!小規模事業者持続化補助金の「創業型」とは?

参考:小規模事業者持続化補助金「創業型」パンフレット
【共同・協業型】

補助額補助率
5,000万円参画事業者は2/3、地域振興等機関は定額

参考:小規模事業者持続化補助金「共同・協業型」パンフレット
【インボイス特例】

補助額補助率
補助上限50万円+50万円上乗せ2/3(賃金引上げ特例活用事業者のうち赤字事業者については3/4)

【賃金引上げ特例】

補助額補助率
補助上限50万円+150万円上乗せ 2/3(賃金引上げ特例活用事業者のうち赤字事業者については3/4)

【災害支援枠】

補助額補助率
直接被害:200万円 間接被害:100万円定額、2/3

【ビジネスコミュニティ型】

補助額補助率
50万円、 2以上の補助対象者が共同で 実施する場合は100万円定額

参考:持続化補助金の概要

2025年度の小規模事業者持続化補助金の変更点

2025年度の小規模事業者持続化補助金では、以下のような大きな変更が発表されています。

  • 卒業枠・後継者支援枠を廃止(枠の整理)
  • 共同・協業型、ビジネスコミュニティ型の新設

これにより、補助金の対象や活用方法が広がり、より大規模な取り組みが可能になります。
社会状況に応じた補助金の変化は続いており、かつてはコロナ禍での支援が中心でしたが、2025年度はインボイス制度の普及や賃上げ、経済連携の強化に重点が移行しつつあります。
災害支援枠などの従来の支援策も残されていますが、補助金の目的が経済発展に向けて進化していることが伺えます。

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠の概要

小規模事業者持続化補助金にはさまざまな種類があります。
2025年からは大幅に運用が変更され、新たに「共同・協業型」と「ビジネスコミュニティ型」が追加されました。
これにより、補助金の型は以下の4つに分類されます。

  • 一般型
  • 創業型
  • 共同・協業型
  • ビジネスコミュニティ型

災害支援枠は小規模事業者持続化補助金の中でもスタンダードな一般型の中にあります。
一般枠.参考:持続化補助金の概要

災害支援枠の対象者

災害支援枠は、通常枠と異なり、能登半島地震の被害を受けた地域に限定されています。
令和6年初めに発生した地震を対象としているため、補助対象となる事業者が絞られているのが特徴です。
【対象事業者】
被災区域(石川県、富山県、福井県、新潟県)の商工会地域にある小規模事業者で、令和6年能登半島地震の被害を受けた事業者(※商工会議所地域は窓口が異なります)。

「被害を受けた」とは?

対象者の要件に記載がある「被害を受けた」とは次の2つの場合を示します。

  • 自社の事業用資産に損壊等の直接的な被害を受けた
  • 能登半島地震に起因して、売上減少といった間接的な被害を受けた


補助金は公的な事業支援であるため、被害を受けたことも自己申告ではなく公的な証明書が求められます。
具体的には、以下の書類が必要になります。

  • 被害状況の確認公的書類(罹災証明書等)
  • 被災前と比べて売上が20%以上減少したことを行政機関が証した書面(セーフティネット保証4号の認定書、地方自治体が独自に発行した証明書等)


また在庫や棚卸資産は事業用資産とはみなされず、ここでいう被害に該当しません。
どちらかといえば、機械や営業車が壊れてしまったりしたことを指します。

被災地域に事務所があれば補助対象になる!

補助対象は事業所の所在地で判断されます。つまり、事業を行っている場所が対象地域(石川県、富山県、福井県、新潟県)にあれば申請が可能です。
例えば、本店が東京にあっても、支店が石川県にあり震災の被害を受けた場合は補助対象となります。一方で、本店が石川県にあっても、実際の事業活動が東京で行われている場合は対象外となります。

基本的な要件は通常枠と同じ

災害支援枠も小規模事業者持続化補助金の一つであるため、申請者は小規模事業者であることが必須です。

  • 業種ごとの常時使用する従業員数
  • 補助対象者の要件(社団法人は不可 など)
  • 常時使用する従業員の定義

などの基本要件は、通常枠と変わりません。

災害支援枠の補助率

通常枠とは異なり、特定の事情を考慮して定額補助が適用される場合があります。
【補助率】

  • 原則:2/3
  • 直接被害を受けた事業者で、一定の要件を満たす場合:定額補助(上限額まで満額補助)

【定額補助の対象要件】
以下のいずれかに該当する事業者が対象となります。
1.新型コロナウイルスの影響を受けた事業者
2.過去の災害で被害を受けた事業者で、以下の両方を満たす場合

  • 被災した事業用資産の証明ができる
  • 復旧・復興のために国等の支援を活用している

3.以下のいずれかに該当する事業者

  • 過去の災害後、売上が20%以上減少している事業者
  • 令和6年能登半島地震発生時に厳しい債務状況にあり、経営再建に取り組み、認定支援機関の確認を受けている事業者

4.過去の災害復旧・復興に要した債務を抱えている事業者
【証明書類の提出が必要】
定額補助を申請する場合、要件を満たすことを証明する書類の提出が必要です。
(例)コロナ被害の場合:国や自治体のコロナ支援交付決定通知、または所定の申告書の提出が必要

災害支援枠の補助上限額

通常枠では補助上限額が50万円ですが、災害支援枠では被害状況に応じた補助上限額が設定されています。

被害状況補助上限額

直接的な被害を受けた事業者
200万円
間接的な被害を受けた事業者100万円

復興支援という趣旨のもと、通常枠とは異なる手厚い補助が用意されています。
復興支援という趣旨のもと、通常枠とは異なる手厚い補助が用意されています。

災害支援枠と通常枠との違い

最も多くの事業者が利用するのは通常枠です。
一般的に「小規模事業者持続化補助金」といえば、通常枠や、それに付随するインボイス対応・賃上げに関する特例を指します。
災害支援枠も基本的な要件は通常枠と変わりませんが、補助金の内容や目的が大きく異なります。

補助金の趣旨が「早期の事業再建」

通常、小規模事業者持続化補助金は販路拡大や生産性向上を支援する制度ですが、災害支援枠は「早期の事業再建」が目的です。
例えば、通常枠では設備の単なる刷新は認められませんが、災害支援枠では被災した設備の復旧目的での購入が認められます。再建を目的とした補助金であることを念頭に置いておくと、申請の際の経費判断がスムーズになります。

補助対象経費に車両購入が加えられている

補助対象経費は通常枠とほぼ同じ(機械装置等費、広報費、委託・外注費など)ですが、災害支援枠では「事業用車両の購入」が認められる点が大きな違いです。
通常枠では、営業車であっても「汎用性が高い」という理由で車両購入は認められません。
しかし、災害支援枠では、地震で被害を受けた事業用車両の買い替えが補助対象となります。

注意点

  • 事業用の車両が被災した場合に限る
  • カーナビなどの付属品、車検・登録手数料などの費用は補助対象外
  • 補助金で車両を購入する場合、「様式5 車両購入の理由書」の提出が必要
小規模事業者持続化補助金で車両購入はできる?

事業に使用していた車が地震で壊れた場合、その買い替えは事業再建の一環として補助対象となります。
ただし、無制限に認められるわけではなく、「事業用の車が被災した場合に限る」というルールがあります。
また、カーナビなどの付属品、車検や登録手数料などの車本体以外の費用は対象外となります。補助金で車を購入する場合は、「様式5 車両購入の理由書」を提出する必要があるため、申請の際は注意しましょう。

交付決定前の事業でも補助対象となることがある

通常、小規模事業者持続化補助金では交付決定前に発生した経費は補助対象外です。
しかし、災害支援枠では特例として、能登半島地震による災害発生後の事業については、交付決定前の経費も補助対象となる場合があります。
これにより、早期復旧のためにすでに修繕や設備購入を行った事業者も、補助金を活用しやすくなっています。

災害支援枠特有の注意点と申請時のポイント

災害支援枠は一般型に分類されるものの、特別な趣旨を持つ補助金です。そのため、通常枠とは異なる注意点があります。ここでは、申請時に気をつけるべきポイントを解説します。

補助金の使い方によっては一部返還が必要になることがある

補助金には「収益納付」という制度があり、補助事業で直接収益を得た場合、その分の補助金を返還しなければならない仕組みがあります。
例えば、災害支援枠では車両購入が補助対象ですが、その車を使って移動販売や宅配などの事業を行い収益を得た場合、収益納付の対象となる可能性があります。
車両購入は本補助金特有の支援内容であるため、収益納付のリスクを事前に把握し、事業計画の段階で考慮しておくことが重要です。

申請は郵送のみ、オンライン申請は不可

直近の公募では、災害支援枠は郵送でのみ受け付けられています。
他の補助金ではオンライン申請が主流になっていますが、災害支援枠は書類を印刷し、郵送で提出する必要があります。

郵送での申請時の注意点

  • オンライン申請は不可
  • 書類を印刷し、郵送で提出する必要がある
  • 事務局への直接持参は不可

提出期限と郵送方法を事前に確認し、余裕を持って申請手続きを進めるようにしましょう。
参考:災害支援枠の公式サイト
参考:災害支援枠のパンフレット

2025年も災害支援枠の公募は継続予定

2025年も引き続き、災害支援枠の公募が予定されています。
被災地域の事業者に向けた補助金として、事業再建を支援する制度です。要件や申請方法をしっかり確認し、活用できるよう準備を進めましょう。
参考:令和6年度補正予算 小規模事業者持続化補助金 災害支援枠

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠は、通常枠よりもさらに幅広い用途に用いることができます。
もちろんその分考えるべきこと、あるいは集めるべき書類は増えてしまいますが、場合によっては定額(満額)補助というかなり強力な支援をしてくれる補助金となっています。
災害から立ち直るのは大変かもしれませんが、この制度を活用して、ぜひとも事業を復活させ、さらに発展させてみてください。

監修者からのワンポイントアドバイス

災害支援枠には早期の事業再建という目的があり、手厚い支援が用意されています。被災した設備の復旧目的での購入や事業用車両の買い替えも対象となっており、通常の補助金の対象経費の考え方とは大きく異なっています。本年度も災害支援枠での公募は予定されています。被害を受けられた方は大変お辛いと思いますが、是非、事業再建へのご活用をご検討下さい。

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