美容室開業に融資を活用する方法を紹介!事前準備方法も徹底解説

美容室開業に融資を用いる場合や運転資金を調達するには、事前準備と計画が非常に重要です。 今回は実際のデータをもとに、美容室における創業融資や運転資金に融資を活用する方法を解説します。
井上 雅也

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美容室 融資

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

美容室開業に必要な費用の項目

美容室の開業には、平均で2,000万円程度の初期投資が必要です。この費用は、内装工事費と設備投資が大きな割合を占めています。

具体的には、店舗物件の保証金や内装工事費、シャンプー台やセット面の美容機器、エアコンなどの空調設備が主な支出となります。

また、開店前の広告宣伝費や人件費、在庫仕入れなども必要不可欠な支出項目です。

実際の開業事例では、都心の30坪程度の美容室で、内装工事に1,200万円設備投資に800万円保証金などに500万円程度が必要となってくるでしょう。

このように美容室開業には、店舗づくりから運営開始まで、様々な費用項目の準備と適切な資金計画が成功への重要な鍵となります。

美容室の運転資金に必要な費用の項目

美容室の安定経営には、月々の固定費と変動費を賄うための運転資金として、最低でも150万円程度の確保が必要です。

これは予期せぬ支出や売上の変動に対応するための重要な経営基盤となります。

運転資金の主な用途は、スタッフの給与家賃水道光熱費などの固定費と、シャンプーやトリートメントなどの消耗品費販売商品の仕入れ費用などの変動費です。

また、予備費として約2ヶ月分の経費を確保することが推奨されています。

一般的な美容室の月間支出例では、人件費が40%家賃が15%材料費が10%水道光熱費が5%程度を占めているのです。

その他の経費も含めると月に150万円前後の運転資金が必要とされています。

このように、安定した美容室経営を実現するためには、適切な運転資金の確保と計画的な資金管理が不可欠です。

なぜ美容室開業に融資が必要なのか

美容室開業には多額の初期投資が必要であり、自己資金だけでの開業は非常に困難です。

なぜかというと、日本政策金融公庫の調査で、美容室開業後の約7割の方が、軌道に乗せるまでに半年以上もかかっているのです。

そのため、事業の成長性と収益性を見据えた融資の活用が、多くの開業者にとって現実的な選択となっています。

融資を活用する主な理由は、充実した設備投資による競争力の確保と、十分な運転資金の確保による安定経営の実現です。

また、融資による資金調達は、事業計画の客観的な評価を受ける機会にもなり、経営の健全性を高めることにも繋がります。

さらに、開業時に注意しておけばよかったこととして、「自己資金が不足していた」と答える人が多いのが現状です。

このように、美容室開業における融資の活用は、事業の安定性と成長性を確保するための重要な経営判断といえます。
参考:日本政策金融公庫(創業の手引き+)

美容室開業に融資を利用するときの3つのポイント

美容室関連の融資を利用するポイント

  • 信用情報を把握する
  • 審査の流れを調べておく
  • 審査基準を踏まえて準備する

信用情報を把握する

融資審査を円滑に進めるためには、自身の信用情報を事前に確認し、必要に応じて改善することが不可欠です。

信用情報は融資の可否を左右する重要な要素となります。

これは、金融機関が融資の審査を行う際に、申込者の返済能力と信用力を評価する基準として、信用情報を重視しているためです。

特に、過去の借入履歴や返済状況は、将来の返済能力を判断する重要な指標となっています。

具体的には、CICやJICCなどの信用情報機関で、自身の信用情報開示請求を行うことで、借入状況や返済履歴を確認することができます。

多くの成功例では、開業の半年から1年前には信用情報を確認し、必要な改善を行っています。

このように、事前の信用情報確認と適切な対応は、融資実現への近道となります。
参考:貸金業法指定信用情報機関

審査の流れを調べておく

美容室開業のための融資審査は、通常2週間から1ヶ月程度かかるため、その流れを理解し、計画的に準備を進めることが重要です。

事前の理解があれば、スムーズな審査対応が可能となります。

審査の流れを把握することで、必要書類の準備や面談での説明内容を効率的に準備できるだけでなく、開業までのスケジュール管理も適切に行えるようになります。

これは開業準備の遅延を防ぐ重要な要素です。

一般的な審査の流れは下記の通りです。

  1. 事前相談
  2. 申込書類提出
  3. 書類審査
  4. 面談
  5. 現地調査
  6. 最終審査

特に日本政策金融公庫では、この流れに沿って丁寧な審査が行われることで知られています。

このように、審査の流れを理解し、適切に対応することで、融資実現の可能性を高めることができます。

審査基準を踏まえて準備する

美容室開業の融資審査では、事業計画の実現性と返済能力の証明が最も重要です。

これらの審査基準を理解し、十分な準備を行うことで、融資承認の可能性が大きく高まります。

金融機関は、特に収支計画の妥当性、市場分析の的確さ、そして経営者としての資質を重視します。

これらの要素は、事業の継続性と返済の確実性を判断する上で、重要な評価ポイントです。

実際の審査では、過去の美容師としての経験年数、技術力、顧客基盤、そして具体的な集客計画などが評価されます。

成功事例では、3年以上の実務経験と、詳細な顧客データに基づく売上計画の提示が、高い評価を得ているのです。

このように、審査基準を理解し、それに応じた準備を行うことが、融資審査を通過するための重要な鍵といえるでしょう。

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美容室の開業・運営に使える融資

  • 振興事業貸付
  • 新規開業資金
  • 生活衛生改善貸付
  • 信用保証協会を通じた制度融資
  • 女性、若者/シニア起業家支援金

振興事業貸付

生活衛生関係の事業者向けに、日本政策金融公庫が提供する特別な融資制度です。

美容室の開業や設備投資に活用でき、一般的な融資と比べて低金利で利用できる点が特徴です。

この制度が注目される理由は、生活衛生同業組合の組合員であることを条件に、最大で1億5,000万円までの融資を受けられます。

また、返済期間も設備資金は最長20年運転資金は最長7年と長期に設定できるのです。

さらに、経営指導を受けることで、さらに有利な条件での借入が可能です。

都心で美容室を開業する場合は、店舗改装費用として2,000万円、設備購入費用として1,500万円の合計3,500万円を、年利1.21%で借り入れるなどの実績があります。

このように振興事業貸付は、美容室開業時の大きな初期投資を低金利で実現できる、理容美容業界に特化した心強い融資制度といえます。
参考:日本政策金融公庫(振興事業貸付)

新規開業資金

新規開業資金は、美容師が独立開業する際に活用できる融資制度です。

最大で7,200万円(うち運転資金は4,800万円)まで借入可能で、創業時の資金調達の強力なサポートとなります。

事業開始前の方、事業開始後7年以内の方であれば申し込みが可能となっています。

具体的な利用例として、美容室開業者が内装工事費1,500万円、設備資金800万円の計2,300万円を、返済期間10年で借り入れたケースがあります。

創業時の信用力が低くても利用できることから、多くの美容師の独立を後押ししています。

このように新規開業資金は、意欲ある美容師の独立開業を資金面で強力にバックアップする、理想的な融資制度として位置づけられています。
参考:日本政策金融公庫(資金開業資金)

生活衛生改善貸付

小規模な美容室経営者向けに特化した、日本政策金融公庫による融資制度です。最大で2,000万円までの融資を、低金利で受けることができます。

一般的な事業資金の借入と比較して金利が優遇されている理由は、生活衛生関係営業の振興や衛生水準の向上を国が支援する制度であるためです。

特に、従業員5人以下の小規模事業者に焦点を当てた制度となっています。

活用事例としては、老朽化した美容設備の入れ替えに800万円、店舗の改装費用に500万円を借り入れ、快適な施術環境の整備を実現したケースなどが挙げられます。

通常の融資と比べて年利が0.4%程度低く設定されているのが特徴です。

このように生活衛生改善貸付は、小規模な美容室の経営改善や設備投資を支援する、使い勝手の良い融資制度として重要な役割を果たしています。
参考:日本政策金融公庫(生活衛生改善貸付)

信用保証協会の制度融資

信用保証協会の制度融資は、美容室開業において最も利用価値の高い資金調達方法の一つです。

金利が低く、返済期間も長期に設定できることから、経営の安定性を確保しやすい融資制度といえます。

この制度融資が重宝される理由は、各地方自治体と信用保証協会が連携して実施しているため、地域の実情に応じた柔軟な融資条件が設定されていることにあります。

また、民間金融機関では対応が難しい創業間もない事業者でも、事業計画さえしっかりしていれば融資を受けられる可能性が高いのが特徴です。

東京都の制度融資では、創業前から創業後5年未満の事業者を対象に、最大3,500万円まで融資を受けることが可能です。

また、最長10年の返済期間が設定されており、多くの開業者が活用しています。

このように、信用保証協会の制度融資は、美容室開業時の重要な資金調達手段として、積極的な検討に値する選択肢です。
参考:全国信用保証協会連合会

女性、若者シニア起業家支援金

女性、若者、シニアを対象とした起業家支援金は、美容室開業時の貴重な資金源となります。

特に補助金としての性質を持つため、返済不要な資金として経営の大きな支援となっています。

この支援金が注目される背景には、政府が推進する多様な創業支援策の一環として位置づけられており、審査基準が明確で活用しやすい制度設計がなされています。

また、資金面だけでなく、経営に関するアドバイスや専門家によるサポートも付帯されている点も魅力です。

このように、性別や年齢に応じた起業家支援金は、美容室開業における重要な資金調達手段として、積極的な活用を検討すべき制度です。
参考:日本政策金融公庫(女性、若者シニア起業家支援金)

美容室の開業や運営で失敗しない施策

美容室開業や運営で失敗しない方法

  • 専門家に相談する
  • 先輩美容師の話を聞く
  • 綿密な事業計画を作成する

専門家に相談する

美容室開業の成功には、税理士や社会保険労務士などの専門家への相談が不可欠です。

彼らの専門知識と経験は、開業時の様々なリスクを回避し、安定した経営基盤を築く上で重要な役割を果たします。

専門家に相談することで、資金計画や人事労務、税務申告など、経営に関する複雑な課題に適切に対応することができます。

また、開業後の運営においても、定期的な専門家との相談は、経営の健全性を保つための重要な取り組みとなります。

実際に、開業初年度から税理士に相談している美容室は、適切な経理システムの構築や節税対策により、平均して20%以上の経費削減に成功しています。

また、社会保険労務士との連携により、スタッフの定着率が向上した事例も多く報告されています。

このように、専門家への相談は、開業時のリスク軽減と安定経営の実現に向けた重要な投資といえます。

先輩美容師の話を聞く

成功している美容室経営者からの助言は、開業準備から運営までの具体的なノウハウを学ぶ最も効果的な方法です。

実際の経験に基づいた情報は、理論だけでは得られない貴重な知見をもたらします。

先輩美容師の経験談からは、立地選定のポイントや客層の分析方法、効果的な集客戦略など、実践的なアドバイスを得ることができます。

また、失敗事例を知ることで、同じ過ちを繰り返すリスクの軽減が可能です。

美容室オーナーの多くは、開業前に価格設定や商圏分析について具体的なアドバイスを得ることで、開業後の早期黒字化を実現しています。

このように、先輩美容師からの実践的なアドバイスは、開業成功への近道となる重要な情報源です。

綿密な事業計画を作成する

美容室開業の成功には、詳細な事業計画の作成が必須です。

綿密な計画は、資金調達から運営まで、全ての経営判断の基準となり、目標達成への道筋を明確にします。

事業計画には、市場分析競合調査収支計画マーケティング戦略など、具体的な数値目標と実行計画を盛り込む必要があります。

これにより、想定外の事態への対応力も強化され、経営リスクを最小限に抑えることができます。

実例として、入念な事業計画を立てた美容室は、開業後3年以内の廃業率が10%以下に抑えられているのに対し、計画が不十分な場合は30%以上の廃業率を示しています。

特に、月次の収支計画を詳細に立てた店舗では、早期での黒字化を実現しています。

このように、綿密な事業計画の作成は、美容室経営の成功に不可欠な基盤となります。

融資以外の資金調達方法

  • 補助金の活用
  • 知り合いからの援助
  • クラウドファンディング

補助金の活用

美容室開業において、国や自治体が提供する補助金は、返済不要な資金として非常に魅力的な選択肢です。

これらの補助金は、地域活性化や雇用創出、新規ビジネス支援などの目的で交付されています。

補助金を活用するメリットは、融資と異なり返済の必要がないことに加え、事業計画の審査を通過することで、計画の実現性が専門家によって認められる点にあります。

特に、創業補助金や小規模事業者持続化補助金は、美容室開業時の設備投資や広告宣伝費として活用できます。

たとえば、創業補助金では最大200万円の補助が受けられ、店舗の改装費や設備購入費の一部として活用できます。

また、各地方自治体独自の補助金制度もあり、東京都の創業助成事業では、最大300万円の補助を受けられる場合もあります。

このように、補助金の活用は、美容室開業時の資金調達において、重要な選択肢の一つといえます。

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知り合いからの援助

身近な知人や親族からの資金援助は、融資に比べて柔軟な返済条件を設定できる資金調達方法です。

この方法は、金融機関からの審査が通りにくい場合や、より自由度の高い資金調達を望む場合に検討される選択肢となっています。

知人からの援助は、信頼関係に基づく取引であり、利息の設定や返済期間について柔軟な対応が可能です。

また、事業の成長に応じた返済計画を立てやすく、開業初期の資金繰りの負担を軽減できます。

ただし、知人との金銭的な関係は慎重に検討する必要があり、明確な契約書の作成と計画的な返済計画の立案が重要です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を募る新しい資金調達方法です。

この方法は、美容室のコンセプトや想いに共感してくれる支援者を見つけられる点で、従来の資金調達とは異なる可能性を秘めています。

クラウドファンディングの利点は、資金調達と同時に開業前から顧客基盤を構築できることです。

また、SNSなどを通じた情報発信により、店舗の認知度向上にも繋がります。

独自の商品開発を掲げた美容室が、目標金額300万円に対して450万円の資金を調達し、支援者には特別価格でのサービス提供や限定商品を返礼品として提供しています。

このように、クラウドファンディングは、単なる資金調達を超えて、マーケティングや顧客開拓にも活用できる効果的な手段となっています。

【まとめ】美容室開業や経営において融資を効果的に利用しよう!

今回は、美容室の開業・運転資金に活用できる融資について解説しました。

データから見て開業における準備や、運転資金などのキャッシュフローを安定させることが重要です。

美容室の開業や運転資金には、利用できる融資が多いので、自分に合った融資を見つけてみましょう。

開業にあたり失敗しないための施策も取り込みつつ、スムーズに開業・運営を目指すようにしてください。

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補助金を活用してみませんか?

補助金は原則として返済、金利がありません。

これにより融資などで資金調達した際、補助金を活用することで返済の負担を軽減できます。

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