本コラムの結論3つ
- 効力日と登記日は異なるため実務対応に注意
- 会社名変更は定款変更後、速やかな登記が必須
- 登記後は銀行・取引先・各種書類の更新が大切
会社名変更登記は、定款変更後2週間以内に法務局へ申請が必要です。必要書類や費用、効力発生日の違いを理解すれば、トラブルなくスムーズに手続きが可能です。

カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
会社名変更登記は、企業がその商号を変更する際に必要な手続きであり、以下のステップを踏むことが求められます。
① 株主総会の開催(特別決議)
② 定款変更
③ 変更後の商号の決定
④ 登記申請書類の準備
⑤ 法務局への申請と完了までの期間
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
出典:株主総会とは? スタートアップ企業も知っておくべき基本情報
会社名を変更するためにはまず株主総会を開催し、特別決議を行います。商号は会社の定款に記載されているため、定款の変更が必要です。
出典:商号(社名)とは? 決め方の基本から法的ルール、屋号・商標との違いも解説
株主の3分の2以上の賛成を得ることが求められます。株主総会の議事録には、
などを詳細に記載しましょう。
株主総会で商号変更が決議された後、次に定款の変更を行ってください。定款は会社の基本的なルールを定めた文書であり、商号もその一部です。
定款の変更には株主総会の決議が必要であり、変更後の商号を明記した新しい定款を作成します。この新しい定款は、登記申請の際に必要な書類です。
商号変更の決議が行われた後、具体的な新商号を決定してください。このとき、既存の商号との類似性や商標権の侵害がないかを確認するための調査が必要です。
商号は企業のブランドイメージに直結するため、慎重に選定してください。
商号変更に伴う登記申請書類を準備しましょう。必要な書類には、以下が含まれます。
これらの書類は、法務局に提出するために必要です。書類の不備がないように、事前に確認を行ってください.。
準備が整ったら、法務局に登記申請を行いましょう。申請は株主総会の決議日から2週間以内に行ってください。
法務局での審査には通常、数日から2週間程度かかりますが、申請内容や法務局の混雑状況によって異なる場合があります。審査が完了すると、登記が完了したことを証明する登記完了証が発行されます。
このように、会社名変更登記は複数のステップを経て行われる大事な手続きです。各ステップを確実に実行することで、スムーズな商号変更が可能です。
参考:登記情報提供サービス
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会社名変更登記とは、企業がその商号(社名)を変更する際に必要な法的手続きです。この手続きは会社法に基づいています。
商号の変更を行った場合には、必ず法務局に対して登記申請を行ってください。商号は会社の正式名称であり、取引先や顧客からの信用を示す大事なものです。そのため、商号を変更する際には、定款の変更も伴うことが一般的です。
出典:合同会社の定款の作成方法や掲載内容
商号変更登記は、会社のイメージやブランド戦略においても大きな役割を果たします。
例)
こうした変更を適切に登記することで法的な効力を持たせ、外部に対しても新しい社名を正式に認知させることが可能です。
参考:社会保障・税番号制度 国税庁法人番号公表サイト
登記が必要となる理由は、主に以下の点に集約されます。
登記を行うことで、商号の変更が法的に認められ、第三者に対してもその商号を使用する権利を主張できます。
登記がなければ旧商号のまま取引を行うことになり、混乱を招く恐れがあるでしょう。
企業の商号は、その企業の信用やブランドイメージに直結します。登記を怠ると、取引先や顧客からの信頼を失う可能性が高まります。
特に金融機関との取引や契約においては、最新の登記情報が求められることが多いため、登記の更新は欠かせません。
会社法では、
などの変更があった場合、原則として2週間以内に登記申請を行うことが義務付けられています。
この法令を遵守することで、企業は法的なトラブルを避けられます。
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登記を怠った場合には、さまざまなリスクが伴います。以下に主なリスクを挙げます。
登記を怠ると、会社法第976条に基づき、代表者個人に対して最大100万円の過料が科せられる恐れがあります。
この過料は会社の経費として処理できず、個人の負担となるため、経済的なダメージが大きくなるでしょう。
登記内容が古いままだと、取引先や金融機関から管理が不十分な会社とみなされ、信用を失うリスクがあります。特に、
といったときに登記情報が最新でないと、取引がストップしてしまうでしょう。
登記を怠ることで、商号の使用に関する法的なトラブルが発生する可能性があります。
仮に他の企業が同じ商号を使用していた場合、商号の権利を巡る争いが生じることがあります。
12年以上登記の更新がない場合、法人格が消滅するみなし解散のリスクがあります。
出典:令和7年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について
これにより、企業は法的に存在しないものとみなされ、事業活動ができなくなるでしょう。
以上のように、会社名変更登記は企業にとってとても大事な手続きであり、怠ることによるリスクは多岐にわたります。
商号変更を行った際には速やかに登記手続きを行い、法的な義務を果たしてください。
定款で商号を変更したら、変更日から2週間以内に社名変更登記が必要です。
出典:合同会社の定款の作成方法や掲載内容
会社を経営していると、さまざまな理由から会社名を変更したいと考えることがあるでしょう。
など理由はさまざまです。
しかし、ただ新しい名前を決めたといっても、法律上はそれだけでは正式に会社名が変わったことにはなりません。
ここで大事なのが、会社名変更登記です。
会社名変更登記を行うタイミングは、法律によって明確に定められています。一般的には、定款を変更する決議を行った後に、登記を申請しなければなりません。
定款とは会社の基本ルールを定めたものであり、会社名(商号)もこの定款に記載されています。つまり会社名を変更するためには、まず定款を変更する必要があるわけです。
仮に、株式会社〇〇を株式会社△△に変更したい場合、まずは株主総会で定款変更の決議を行ってください。
出典:【株主総会とは?】ゼロから分かる株主総会【基礎知識】
定款変更の決議が済むと、法律上は会社の意思として新しい商号を採択したことになります。
しかし、外部から見たときに会社の名前が変わったことを証明するためには、登記簿に記載を反映させます。これが登記のタイミングです。
参考:商業・法人登記の申請書様式
商号変更が会社の意思決定の結果であることを、法律上明確にするためです。定款変更決議前に登記を申請してしまうと、まだ会社の意思として商号変更が承認されていない状態になり、登記が受理されません。
さらに、登記は会社の正式な情報を社会に示す手段です。
など、さまざまな場面で登記情報は信用の基盤になります。定款変更という内部手続きが完了して初めて、社会に向けて会社名を正式に公示する手続きが登記です。
では、定款変更決議が完了した後、どのように登記を行うのか、順を追って見ていきましょう。
会社法では、商号変更は定款の変更にあたるため、株主総会での特別決議が必要です。
出典:会社法309条(株主総会の決議)/条文と解説
特別決議とは、株主の議決権の3分の2以上の賛成を得ることです。小規模な会社でも、株主全員の承認が必要になるケースがあります。
これにより、会社内部での意思決定が完了してください。
株主総会で承認された後、定款自体を修正しましょう。紙の定款の場合は商号部分を書き換え、電子定款の場合は更新したPDFなどを準備します。
この時点で会社として商号を変更する意思が文書として残るため、登記申請の際に必要書類として提出可能です。
定款変更後、登記申請を行うために以下の書類を準備してください。
出典:株主総会議事録とは?記載事項・ひな形・書き方などを紹介
書類の不備があると登記が受理されないことがあるため、事前に法務局に確認してください。
出典:(参考)委任状の書き方
必要書類を整えたら、管轄の法務局へ登記申請を行いましょう。通常、申請から登記完了までには1週間から2週間程度かかります。
登記が完了すると、登記簿に新しい会社名が正式に記載されることに。この時点で、社会的にも会社名が正式に変わったことになります。
会社名が変更されたと認められる日は、登記簿に新しい商号が記載された日ではありません。法律上の効力は、株主総会で定款変更が承認された日に遡ります。
つまり登記完了前でも、社内や契約上では新しい商号を使うことが可能です。
商号変更の効力日と登記日が異なる理由は、会社法上の効力と、外部への公示のタイミングが別だからです。
このため、登記前に契約書や取引先への連絡を行う際は効力日を明確にしておきましょう。
商号変更の効力日を明示して、銀行や取引先、税務署などへの通知を行ってください。
通知のタイミングや内容を間違えると、契約上のトラブルや取引の混乱が生じる可能性があります。
これらは登記完了後に行うこともできますが、効力日はあくまで定款変更決議日ですので注意してください。
商号変更登記を怠ると、法的・実務的にさまざまなリスクがあります。
登記簿上の商号と契約書上の商号が異なる場合、契約の有効性や支払の正当性に疑問が生じる恐れがある。
商号変更が登記されていないと、銀行口座名義変更や契約更新に支障が出ることがある。
法律上の正式名称が古いままでは、書類上の不備として会社や役員に責任が及ぶ場合がある。定款変更後は速やかに登記を行い、効力日や登記日を正確に管理しましょう。
登記のタイミングや効力日を正しく理解することは、会社の信頼性を守るためにとても大切です。慌てず、確実に進めてください。
このように、会社名変更登記は社内手続きと登記手続きの二段階で考えなければなりません。
株主総会での決議後、必要書類を揃えて法務局へ申請しましょう。この順序を守ることで、スムーズに会社名を変更できます。
会社名変更登記を行う際には、以下の書類が必要です。それぞれの書類について具体的に説明していきます。
登記申請書は、商号変更を法務局に申請するための基本的な書類です。
などの情報を記載しましょう。正確な記入が求められ、記載内容に不備があると申請が受理されないため、注意してください。
株主総会議事録は、商号変更に関する決議が行われたことを証明する大事な書類です。この議事録には、
が記載されます。議事録は株主の承認を得たことを示すため、必ず作成し、署名・押印を行ってください。
登記申請を代理人に依頼する場合には、委任状が必要です。この書類には、
などを記載します。委任状は、代理人が正式に申請を行う権限を持っていることを証明するための書類です。
出典:印鑑届出書とは?印鑑(実印)の届出と登録に関する法的義務
商号変更に伴い、会社の印鑑を変更する場合には、印鑑届出書を提出してください。この書類には新しい印鑑を押印し、代表者の印鑑証明書を添付しましょう。印鑑届出書は、商号変更と同時に法務局に届けてください。
商号変更に伴い定款も変更しましょう。変更後の定款には、新しい商号が記載されていることが求められます。
この定款は株主総会での決議を経て作成され、登記申請時に添付しなければなりません。
これらの書類を準備し、法務局に提出することで、商号変更登記の手続きが完了します。各書類の記載内容や提出方法に不備がないよう、事前に十分な確認を行いましょう。
会社名を変更する登記を行うには、一定の費用がかかります。大きくわけると、
の2種類です。
登録免許税とは、登記手続きを行う際に法務局に納める税金です。会社名変更の場合、資本金の額に関係なく一律15,000円が求められます。これは、株式会社でも合同会社でも同額です。
ポイントは、この登録免許税が、登記の申請を受理してもらうための基本的な費用であることです。書類を作っただけでは税金を納めなければ登記は完了しないため、注意してください。
そのほかの実費としては、次のようなものがあります。
定款変更の議事録などに貼る印紙。
出典:登記簿謄本とは?取得方法や費用、記載内容の見方について詳しく解説
登記簿謄本や履歴事項全部証明書を取得する費用。
出典:登記簿謄本(登記事項証明書)とは?取得方法や記載内容を解説
司法書士に依頼すると、登記書類の作成や申請を任せられるため安心ですが、その分手数料がかかります。費用は会社の規模や依頼内容によって異なりますが、3万円〜5万円程度が目安です。
会社名変更登記は、意外と注意しなければならないポイントがいくつもあります。ここでしっかり押さえておくことで、手続きがスムーズに進むでしょう。
最も基本的で大切なのが、新しい会社名がすでに他社で使われていないか確認することです。登記の際、同一地域で同じ商号を使っている会社があると、登記が受理されない場合があります。
商号の使用可否は、法務局の商号検索や登記簿謄本で事前に調べることが可能です。
会社名変更は、定款の変更が前提です。株主総会で定款変更の決議をした後に登記申請を行ってください。
定款変更前に登記申請しても受理されないので、順序を間違えないようにしましょう。
会社法上、商号変更の効力は会社法上、株主総会で決議された日から発生しますが、登記が完了するのはその後です。
このズレにより、外部から見た会社名と内部で決定した会社名が異なる期間が生じます。銀行や取引先への通知、契約書の作成などで混乱しないよう、日付を意識して対応してください。
登記が完了したら、会社の名前を変更したことを社会に周知するための実務対応が必要です。
最初に行うべきは、公式な機関への届出です。
届出は、登記完了後すぐに行うのが安心です。効力日を明確に伝えることで、取引先や金融機関でのトラブルを防ぐことが可能です。
会社名変更は、内部の手続きだけでなく、広報やマーケティング面にも影響します。
これらをタイミングよく更新することで、顧客や取引先に混乱を与えずにスムーズな変更が可能です。
はい、可能です。必要書類を揃えれば自分で申請できますが、書類不備を避けたい場合は司法書士に依頼するのも有効です。
営業自体は可能ですが、登記を怠ると過料や契約・銀行手続きで不利益が生じる可能性があります。
必須ではありませんが、ブランド保護の観点から商標登録を検討する企業は多いです。
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商号変更は登記がゴールではなく、銀行口座の名義変更や許認可の届出など、その後の実務対応が重要です。効力日と登記日の違いを理解し、全体のスケジュールを逆算して準備することが、トラブルなく新体制をスタートさせる鍵となります。