要点まとめ
- 企業が反社会的勢力と関わると、法的・風評・財務・上場審査の4つの重大リスクを負う可能性がある
- 取引先のリスクを防ぐための反社チェック方法は、登記調査・専門機関・ツール・公的相談・ネット調査の5つ
- 複数の手段を組み合わせて行うことで、より正確で実効性の高いリスク対策が可能になる
取引先が反社会的勢力に関係していないか確認する「反社チェック」の実践ガイド。登記調査・専門機関・ツール・公的相談・ネット検索など、企業が行うべき5つの具体的な調査方法を解説します。 法的・風評リスクを防ぎ、安全な取引先選定に役立つポイントをまとめました。

カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
「反社チェック」とは、取引先やその関係者が暴力団などの反社会的勢力に関わっていないかを事前に確認することです。簡単に言えば、「安全に取引できる相手かどうか」を見極めるための調査です。
このチェックは、トラブルを防ぐための保険のようなもの。もし知らずに反社会的勢力と関係を持ってしまえば、企業の信用が大きく損なわれ、取引停止や社会的批判につながるおそれがあります。
そのため、反社チェックは単なる形式的な確認ではなく、企業が健全な取引を行い、社会的責任(CSR)を果たすための基本的な取り組みです。取引先の背景をしっかり確認しておくことが、安心してビジネスを進める第一歩といえるでしょう。
「反社会的勢力(反社)」とは、社会の秩序や安全を脅かす存在を指します。企業が安全に取引を行うためには、どのような人や組織が反社に該当するのかを正しく理解しておくことが大切です。
具体的には、以下のような組織や個人が該当します。
このような勢力と関わらないことは、企業の信用を守るための基本的なコンプライアンス対応です。たとえ間接的な関係であっても、企業の社会的評価や取引継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
反社会的勢力と関係を持つと、企業は次の4つのリスクに直面します。いずれも事業継続に関わる重大な問題につながるため、日常的なチェックが欠かせません。
| リスクの種類 | 主な内容 |
| 1. 法的リスク | 行政指導、取引停止、金融機関からの信用低下などの法的措置を受ける可能性があります。 |
| 2. 風評・社会的リスク | SNSや報道での炎上、信用失墜、顧客・取引先からの離反が起こることがあります。 |
| 3. 財務リスク | 恐喝や不当請求、不利な契約による金銭的損失が発生するおそれがあります。 |
| 4. 上場・審査リスク | IPO審査での不通過や、金融機関との取引制限など、資金調達に影響するケースがあります。 |
2011年に全国で施行された「暴力団排除条例」や、警察庁が策定した「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針(2007年)」に基づき、企業には次の3つの対応が求められています。
継続的に体制を見直し、取引リスクを未然に防ぐことが求められます。
参考:法務省
企業が反社チェックを行うべきタイミングは、新しい取引の開始時や経営体制の変更時など、企業活動の節目です。一度の確認で終わりではなく、定期的かつ重要な局面ごとに実施することがリスク回避の基本となります。
| 実施タイミング | 実施の目的・ポイント |
| 1. 新規取引時 | 初めての取引先と契約を結ぶ際は、必ず反社チェックを行います。特に金額が大きい取引や長期契約の場合は、信用調査と併せて慎重に確認します。 |
| 2. 取引先の変更時 | 代表者交代・M&A・出資などで経営体制が変わったときは再チェックが必要です。実質的支配者が変わる場合は特に注意が必要です。 |
| 3. 年次の定期チェック | 状況は常に変化します。既存の取引先でも、少なくとも年1回は反社チェックを実施し、最新の情報に更新します。 |
| 4. 上場・融資・M&Aなどの重要局面 | 上場審査、銀行融資、出資、M&Aの際は、相手先および関係先の反社チェックが必須です。特に上場審査では、証券取引所が重要項目として確認します。 |
反社チェックのタイミングを見誤ると、後から反社会的勢力との関係が発覚し、取引停止や信用失墜につながるおそれがあります。そのため、日常業務の中にチェック体制を組み込み、以下のように運用ルールを整えることが重要です。
こうした仕組み化によって、企業は反社リスクを継続的に監視・管理し、トラブルを未然に防止できます。
企業が反社会的勢力との関与を防ぐためには、正しい手順で反社チェックを行うことが欠かせません。実務でよく使われる代表的な方法は、次の5つです。
| チェック方法 | 内容(概要) |
| 1. 登記情報の調査 | 企業の基本情報や経営実態を確認する基本的な方法 |
| 2. 専門調査機関への依頼 | 調査会社に過去の経歴や関係先の調査を依頼 |
| 3. 反社チェック専用ツールの活用 | データベースで照合し、短時間で確認できる |
| 4. 公的機関(警察・暴追センター)への相談 | 正式な情報確認が必要な際の最終手段 |
| 5. ネット検索・報道記事の調査 | SNSやニュースで最新の関係情報を確認 |
これらの方法を単独で終わらせず、複数を組み合わせて行うことで、リスクをより確実に防げます。以下では、基本となる「登記情報の調査」について詳しく見ていきましょう。
登記情報の確認は、反社チェックの第一ステップです。企業の所在地・代表者・資本金などを公的データで確認できる信頼性の高い方法です。
企業の登記情報(履歴事項全部証明書・現在事項全部証明書)は、以下の方法で入手可能です。
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メリット
注意点
登記情報で確認した内容は、ネット検索や反社チェックツールと照合して補完しましょう。
以下、「現在事項全部証明書」でチェックする箇所です。スマホ・PCから反社チェックに使える登記簿をPDFですぐにダウンロードしたい方は、弊社の「ラクリア法人証明書請求」をご活用ください!
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現在の会社法では資本金1円からの設立が可能です。しかし、取引先の信頼性を判断する上では、資本金の金額も一つの判断材料になります。
| 資本金額 | 警戒レベル | 判断の目安 |
| 1円〜10万円未満 | 高 | 事業実態がない法人の可能性あり |
| 10万円〜100万円未満 | 中 | 起業初期では一般的だが、業種によっては不自然 |
| 100万円以上 | 低 | 一般的な水準。単体では問題なし |
資本金だけで判断せず、複数の情報を総合的にチェックしましょう。疑わしい点が複数重なる場合にのみ、警戒を強めるのが正しい判断です。
自社の簡易チェックでは把握しきれない背景情報や人物関係を調べたい場合、専門の調査機関(興信所)への依頼が効果的です。プロのネットワークを活用し、反社リスクを事前に発見できます。
メリット
注意点
依頼前に「どの範囲を、どの目的で調べたいか」を明確にすることが大切です。
専門調査機関とは、法人や個人の信用調査を専門に行う企業や興信所のことです。反社チェックでは、次のような複数の調査を組み合わせて総合的に分析します。主な調査内容は以下のとおりです。
代表的な調査会社としては以下があります。
これらは上場企業や金融機関でも広く利用されている信頼性の高い機関です。
参考:帝国データバンク公式サイト
参考:東京商工リサーチ公式サイト
反社調査を依頼する際は、以下の点を明確にしておきましょう。
調査結果をそのまま保管するだけでなく、社内の再発防止策やモニタリング計画に活かすことが重要です。
反社チェックを効率的かつ継続的に行いたい場合は、専用の反社チェックツールを活用する方法が有効です。自動化によって調査時間を短縮し、モニタリング精度も高められます。
メリット
注意点
反社チェックツールとは、企業名や代表者名を入力するだけで、複数の信頼性ある情報ソースを横断的に検索し、反社会的勢力との関連性を自動で照合するクラウド型サービスです。多くのツールはAPI連携や自動レポート機能を備え、CRMや契約管理システムなどと連携して運用することができます。
| ツール名 | 主な特徴 |
| RISK EYES | 反社情報特化DBを搭載し、曖昧な氏名検索に対応。 |
| RoboRoboコンプライアンスチェック | Excel取込&AI照合機能で一括確認が可能。 |
| アラームボックス パワーサーチ | 報道記事をスコア化し、誤認リスクを低減。 |
| USONAR(ユーソナー) | SNS・掲示板・記事を横断監視。風評チェックに強い。 |
| AUTORO反社チェック | RPA基盤でCRM・SFAと連携し、自動監視を実現。 |
特にIPO準備中やリスク管理を重視する企業では、複数ツールを併用することで調査精度をさらに高めることが推奨されます。
取引先に反社会的勢力との関与が疑われる場合や、風評が気になる場合は、公的な相談窓口を活用する方法があります。
具体的には、地元の警察署や暴力追放運動推進センター(暴追センター)への相談が可能です。これらは法的な強制調査を行う機関ではありませんが、反社会的勢力に関する情報を継続的に収集・分析しており、信頼性の高い一次情報源として無料で相談できるのが特長です。
メリット
注意点
警察や暴追センターは、最終判断よりも「助言・相談の場」として活用するのが基本です。
各都道府県警察には「暴力団排除対策室」などの専門部署が設けられており、企業や個人からの相談を受け付けています。
相談の流れは以下の通りです。
※警察は捜査機関であるため、個別案件に関して「反社かどうか」を明確に回答することはできません。また、情報開示や捜査対応には一定の制約がある点にも注意が必要です。
「暴追センター(公益財団法人 暴力追放運動推進センター)」は、都道府県ごとに設置された民間非営利団体で、警察と連携しながら反社会的勢力の排除を支援しています。企業向けの相談窓口を設けており、反社チェックの一環として利用できます。
主な相談方法
※暴追センターは民間の公益法人であり、捜査権や法的強制力はありません。提供される情報は、一般公開情報や通報をもとに整理された内容です。
最も手軽に始められる反社チェックの方法が、インターネット検索や新聞記事の確認です。初期段階のスクリーニングとして非常に有効であり、費用をかけずに広範な情報を収集できます。
メリット
注意点
信頼性を確保するには、複数の情報源でクロスチェックすることが重要です。
1.インターネット検索を活用する
GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、企業名や代表者名にネガティブワードを組み合わせて検索します。
検索に使えるキーワード例として以下があります。
例:「株式会社〇〇 逮捕」「〇〇代表 反社会的勢力」など。過去の事件や関与が報じられていないか確認しましょう。
2.新聞記事データベースを利用する
ネット上では見つからない報道情報を確認するには、新聞記事検索サービスが有効です。代表的なサービスは以下のとおりです。
全国紙・地方紙・業界紙を横断的に検索でき、ネット検索よりも正確性・網羅性に優れた情報を得られます。
3.SNS・口コミサイトで風評を確認する
X(旧Twitter)やFacebook、口コミサイトなどを確認し、企業の評判・苦情・トラブル投稿をチェックします。特に近年はSNSでの「炎上」や「内部告発」が信用に直結するため、発言内容のトレンドを確認しておくことが重要です。
これらの基本を押さえることで、初期段階での反社リスクの把握と早期対応が可能になります。
反社チェックの目的で弊社の「ラクリア法人証明書請求」を活用された方々のお声を紹介します。
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新規の下請け業者と契約する際、必ず登記簿謄本を確認しています。
以前、名前だけでは分からなかった会社の代表者名を確認したところ、過去に問題があった人物と同一だと判明し、契約を見送ったことがあります。
オンラインで登記簿謄本をスムーズに取得できるので、反社チェックの精度とスピードが格段に上がりました。
IT企業(大阪府)
大手企業との提携に向けて、取引先リスト全社分の登記簿謄本を一括で取得しました。
社名だけでは分からない資本関係や役員の経歴を把握できるため、リスクマネジメントの観点で非常に役立っています。
ダウンロード形式でデータが手に入るのも便利で、社内のコンプラチームからも好評です。
広告代理店(福岡県)
クライアントの紹介で新規案件を受ける際、まず登記簿謄本を取得して法人の実在性や代表者を確認しています。
万が一にも反社と関係がある企業と関わるわけにはいかないので、情報を「自分の目で確かめる」ステップは欠かせません。
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