このコラムのポイント3選
- 採択のポイントは、革新性・実現可能性・優位性を備えた質の高い事業計画書である
- 2025年からは上限額引き上げや収益納付廃止など、事業者に有利な制度改正が行われた
- ものづくり補助金の補助額は補助率と従業員数別の上限額で決まり、満額が出るとは限らない
ものづくり補助金の補助額は最大3,000万円。枠や事業規模により異なり、補助率は中小企業1/2、小規模事業者は2/3が基本。設備投資内容や要件を満たす必要があります。

カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
A. 原則として毎年実施されていますが、公募回数や内容は年度ごとに異なるため、最新の公募要領の確認が必須です。
A. はい、一定の要件を満たせば個人事業主も申請可能です。従業員数や業種区分が判断基準になります。
A. 原則として同一経費についての併用は不可ですが、目的や対象経費が明確に異なれば併用可能な場合もあります。
A. 可能です。不採択理由を分析し、事業計画を改善することで、次回公募で採択されるケースも多くあります。
A. 必ずではありませんが、要件整理や計画書の完成度が高まり、採択可能性が上がる傾向があります。
新規事業の設備投資には、枠によっては最大1,250万円まで支給されます。特に革新的なサービスや製品開発に該当する事業に対して、支援が活発に行われています。対象となる企業は主に、
です。ものづくり補助金制度は、新たな事業を開始する際の初期投資を支援することが目的です。
この補助金を利用する際に気になるのが、実際どれくらいの補助額を受け取れるかということでしょう。ものづくり補助金の上限額は、企業の従業員数によって異なります。具体的には、以下の通りです。
補助率は中小企業・中堅企業が1/2、小規模事業者が2/3であり、企業の規模によって支援額が変わります。
たとえば、従業員数が15人の中小企業が2,400万円の設備投資をする場合を考えてみます。2,400万円に補助率1/2を掛けると、補助額は1,200万円です。
しかし、これが従業員数15人の企業の場合、補助金の上限は1,000万円のため、実際に受け取る金額は1,000万円です。
このように補助額には上限があるため、必ずしも計算通りの金額がもらえるとは限りません。上限があるため、計算で出した金額より低い金額になる場合もあります。
参考:補助金とは
みんなの補助金コンシェルジュでは、ものづくり補助金の補助額や上限額をわかりやすく解説しています。「自社はいくらもらえるの?」と気になる方は、まずは無料でご相談ください。
【無料】ものづくり補助金の補助額が知りたい!
ものづくり補助金は、経済産業省が中小企業向けに公募している補助金の中でもとても人気が高い制度です。
では、どのような事業が過去に採択されてきたのでしょうか。革新的なサービスや製品開発であればかなり幅広い業種が対象となり、ユニークな事例が採択されています。
例)
最近では、ドローンなどの最新技術を活用した事業も注目されており、採択率が高まっています。
例)
このように、新しい技術を活用した革新的な事業はものづくり補助金の支援を受けやすいです。ものづくり補助金を活用することで、企業は新規事業の立ち上げに必要な設備投資を支援してもらえます。
さらには、革新的なアイディアを実現するための資金を得ることが可能です。事業内容が斬新で他社との差別化も明確なら、採択される可能性は高まるでしょう。
参考:【公式】成功事例の紹介
出典:補助金入門 STEP1補助金の基本知識
ものづくり補助金がいくらもらえるかは、事業者にとって気になるはず。
申請時に補助額もはっきりわかればいいですが、申請の段階ではまだわかりません。
補助額が確定するのは、補助金交付が決定し、必要な手続きが済んでからです。
もっと厳密にいえば、どれだけの割合を補助してもらえるかという補助率や最終的な補助額は、実際に事業を行った後に決まります。
およその補助額は、募集のガイドラインに書かれている補助率や補助上限額をもとに計算するのもひとつです。
参考:今さら聞けない補助金<全般>の基礎の基礎
ものづくり補助金では、事業を始めるときに必要な設備を買います。
そのときはまだ補助金が振り込まれていないため、最初は事業者側で資金を用意しなければなりません。
最終的に補助金が入るのは、事業が終わり、報告をして審査が通過してからです。
補助金の申請からお金が入るまでには、一年以上かかることもあります。それまでは自己資金で立て替える必要があります。
ものづくり補助金を申請する事業者人は、補助金がもらえるまでにお金をどう使うか考えておきましょう。
参考:わかりづらい補助金用語集
補助金の金額は、申請後に変わることもあります。採択された時点では、すべてが承認されたわけではないためです。後で金額が変わることがあります。
では、どんなときに補助額が変わってしまうのでしょうか。変わる場合の例をみていきます。
たとえば、小規模事業者や大幅賃上げ特例などが認められなかった場合、補助額は下がってしまいます。
ものづくり補助金でカバーできる対象経費だと思っていたものが、実は対象外だったと後からわかった場合、その対象外の金額については減額です。
あくまでこれらは一例で、すべてではありません。
他にも補助額が変わる事例はあるため、心配な点があれば事務局に問い合わせてください。
| 項目 | 内容 | 具体例 |
| 補助率 | 補助対象経費のうち、 どの割合が補助されるかを 示す割合 | 補助対象経費3,000万円、 補助率1/2の場合 → 補助金1,500万円、 自己負担1,500万円 |
| 補助上限額 | 補助金として支給される 金額の上限 | 上限1,000万円の場合、 経費が2,000万円でも補助金は 最大1,000万円まで |
| 補助金額の考え方 | 補助率と補助上限額の両方を 確認すること | 補助率で計算した金額と上限額を比べ、低い方が支給額 |
| 補助率が 高くなる ケース | 小規模事業者・ 再生事業者など | 通常より高い補助率が適用されやすい |
| 高補助率の枠 | 製品・ サービス高付加価値化枠など |
補助率は、どれだけの割合が補助されるかを示した割合です。
たとえば、補助対象のお金が3000万円で、補助率が半分だとすれば、3000万円の半額である1500万円が補助金として支給されることになります。そして残りの1500万円が事業者の負担です。
補助上限額とは、補助される金額の上限のことです。
もし補助上限額が1000万円だとすると、いくら1000万円を優に超えて経費がかかっていたとしても、補助金は1000万円まで支給されません。
補助金の金額がどれくらいか知りたいなら、まずは適用される補助率と補助上限額を確認してください。
これらの要素は、事業の内容や自分の状況によって決まってきます。
小規模事業者や再生事業者の補助率は、通常の事業者より高いことが多いです。
製品やサービスを高めるための枠では、補助率が2/3になることもあるでしょう。
小規模事業者かどうかは、会社の従業員数次第です。
従業員が少なければ小規模事業者として申請できるので、それだけ補助率は高くなります。
出典:【17次締切】ものづくり補助金【省力化(オーダーメイド)枠】の公募が開始されました。
省力化枠の場合、補助金の額によって補助率が変わります。
補助対象経費の1500万円までは高い補助率が適用され、1500万円を超える部分は低い補助率になります。
このように、ものづくり補助金を申請するにはまず自分が適用される補助率と、補助上限額を確認してください。
参考:担当者に聞く 令和5年度補正 ものづくり補助金「省力化(オーダーメイド)枠」とは
2024年のものづくり補助金、18次締切分の電子申請はすでに終了しています。そして2025年も、引き続きものづくり補助金が行われました。
2025年では、いくつかの重要な変更点もみられました。
まず基本的なルールが見直され、補助金の上限額が増えることに。
さらに、最低賃金が引き上げられる特別な仕組みも導入されました。
これは事業者側にとってうれしい変更点です。
中小企業庁が2025年のものづくり補助金の新しい概要を発表したことに伴い、ここでは大きな変更点をいくつかまとめていきます。変更点を簡単にみていきましょう。
主な変更点は以下の通りです。
では、具体的にどのような内容に変わったのでしょうか。
ものづくり補助金に申請しようとする中小企業や小規模な会社は、新しい製品やサービスを開発するために取り組む事業計画が必要です。
これはものづくり補助金においては基本中の基本です。
そして計画書は一度提出すればいいわけでなく、3年から5年という長期的なスパンのものです。
事業計画書は、次のような条件を満たすことが求められます。
上記の条件を満たさない場合、補助金を返さなければなりません。
出典:事業計画書とは?
厳しい条件のようにも見えますが、最低賃金引き上げ特例を使う場合、このうちのいくつかの要件は当てはまらなくて構いません。
会社の規模に応じて補助金の上限額が変わりました。
特に、賃上げに力を入れている企業には追加で補助金が出ます。
たとえば次のように補助額が変わりました。
これらの上限額は、企業が賃上げに力を入れている場合、さらに補助額が上がります。
ただし、賃上げに関していくつかの基準を満たさなければならないため、確認しておきましょう。
出典:ものづくり補助金の収益納付とは?
今までは、事業の成果によって得たお金(収益)を補助金として納めなければならないケースがありました。
しかし2025年からは、収益納付が不要になりました。事業化した成果から得たお金を返還する必要はありません。
こうした変更点から、2025年からものづくり補助金は企業にとってさらに利用しやすくなるでしょう。
特に、企業規模や賃上げに注力している会社にとっては使いやすくなります。
ものづくり補助金を利用する予定があるなら、2025年から変わった変更点をしっかり頭に入れ、綿密な計画を立ててください。
新しいルールをしっかり理解し、ぜひ活用してみましょう。
参考:一般型とは
みんなの補助金コンシェルジュでは、 ものづくり補助金の補助額の仕組みや注意点までまとめてご案内しています。 「思ったより少なかった…」を防ぐためにも、無料相談をご活用ください。
【無料】ものづくり補助金について相談する!
ものづくり補助金に申請するからには、申請が通って実際に補助金を得たいはずです。
採択されるためには、厳しい審査をくぐり抜けなければなりません。
2024年のものづくり補助金の採択率は、30〜40%程度でした。採択倍率はおおむね2〜3倍です。
2023年度、16次締切分における採択率は48.8%でした。2025年以降はどうなるでしょうか。
ここでは、ものづくり補助金を受けるために、大切なポイントを解説していきます。
ものづくり補助金の成功の法則として重要なポイントはいくつかありますが、最も重要なのが、事業計画書のクオリティです。
事業計画書が、ものづくり補助金の申請に欠かせない書類であることは言うまでもありません。
ものづくり補助金を受けるための申請内容を示す重要書類なので、当然その内容がしっかりしていなければ、審査は通りません。
事業計画書の内容は、
といった観点で審査されます。こうした要素を満たしているほど高評価が得られ、採択率は高まります。
ですから、採択率アップのためにも、事業計画書の作成に力を入れてください。
書類作成にあたっては、必要に応じて専門家のサポートを受けることもおすすめです。
どんなに文章力の高い人でも、初めて事業計画書を書くときには苦労するでしょう。
経営者本人がしっかりと計画を理解し、言語化できている必要があります。
申請にあたってはオンラインで口頭審査も行われるため、文章だけでなく口頭でもしっかり発言できなければなりません。
経営者自身が計画について具体的に説明することが求められるため、ただ漠然と計画していてはうまくいきません。
事業計画書の内容が採択の決め手といってもいいくらいです。
事業計画書は、補助金を受けて何をどのように行うのか、その目的や手順を詳細に示す書類です。
計画がしっかりとしたものだと認められれば採択率は高くなるため、リアリティある計画を立てましょう。
前述した4つの観点を、それぞれ詳しくみていきます。
製品やサービスがどれだけ革新的かがみられます。
技術的な新しさや独自性が必要です。
ものづくり補助金の申請は競争率が高いですから、他の事業者や製品と比較していかに斬新な技術や発想を取り入れているか、アピールしましょう。
もちろん口頭でも説明できるようにしておくこと。
革新性が低いと評価も下がり、採択率が低下してしまいます。新しさを重視してください。
事業計画がどんなに素晴らしくても、非現実的では評価は悪くなります。
実現可能性のある計画でなければなりません。
実行可能性が低ければ、審査を通過するのは難しいでしょう。
実現可能性の高さをアピールするには、
などについて、具体的な実践法を明確にする必要があります。
リスクマネジメントについても言及し、万が一のトラブルにどう対処するかも示しておくと有利です。
自社の製品やサービスが、競合他社に比べてどのような優位性があるか示してください。
市場で差別化できないものなら評価は下がってしまいます。
競争優位性がどれだけ高いかを具体的に記述してください。
ライバルとの差別化のポイントが弱いと、採択率は期待できません。
事業計画は、ものづくり補助金の対象となる事業であることが求められます。
そのため、公募要領に記載されている対象事業や申請要件を満たすことが基本条件です。
また、3年から5年という長期的なスパンで、年平均成長率3%以上の達成が見込めなければなりません。
そのため単なるアイディアで終わらせず、実行可能・具体的・リアルな成長戦略を示してください。これが適格性の評価につながります。
2024年度のものづくり補助金では、オンラインでの口頭審査が実施されました。
この審査には、個人事業主本人や法人の代表者がたったひとりで臨まなければなりません。
他の誰でもない経営者自身が、事業計画についてしっかり説明できなければ意味がありません。
事業計画を作成する際は、経営者自身がその内容を十分に理解し、疑問点や問題点に対して、自分の言葉で話せるように準備しておく必要があります。
もし経営者が計画に対して曖昧で不安なら、専門家に相談するのもおすすめです。
とはいえ最終的には自分が口頭審査を受けるため、経営者自身が計画に対する理解を深め、その内容を確実に語れるようにしなければなりません。
ものづくり補助金が不採択となる理由のひとつに補助対象外となる経費を申請していることが挙げられます。これが原因で不採択になるケースは意外に多いです。
補助金を申請する際は、補助対象となる経費を正しく申請しているかどうかを確認してください。このポイントをしっかり押さえておくことも、大きなポイントです。
補助対象経費として認められるものと、認められないものがあります。
たとえば下記のような、事業の目的に直接関連する経費が対象です。
一方で、日常的な運営費や事業と直接関係ない経費は対象外です。
これらを誤って申請してしまうと審査に通らない可能性が高くなるため、注意してください。
繰り返しになりますが、補助金額や補助率を確認する際には、申請する経費が本当に補助対象となるかをしっかり確認しておきましょう。
補助対象経費が正確に積算されていることが確認できれば、採択される可能性が高まります。
この点をきちんと押さえて、事業計画をしっかり作成してください。
参考:【公式】ものづくり補助金総合サイト
ものづくり補助金とは?企業を支援する補助金の仕組みを解説
ものづくり補助金は上限4,000万円!最新の公募スケジュールは?
みんなの補助金コンシェルジュでは、事業内容に応じた補助額の目安や計算方法を丁寧にサポートしています。補助額を最大化したい方は、下記のフォームからぜひ一度ご相談ください。

最大3,000万円の補助額は魅力ですが、従業員数や枠選びで受給額は変わります。ものづくり補助金の収益納付廃止は大きな好機となっています。採択の鍵は、単なる設備投資ではなく「革新性」を証明する事業計画です。制度を正しく活用し、事業成長につなげましょう。