このコラムのポイント
- 申請のカギは数字・根拠・市場分析の3点を明確にすること
- 小規模事業者は補助率が高く、ものづくり補助金と最も相性が良い
- 商工会や専門家を活用すれば、小規模事業者でも十分に採択を狙える
小規模事業者とは、製造業で従業員20人以下・商業サービス業で5人以下の事業者を指します。適切に要件を把握すれば、ものづくり補助金を活用して設備投資や生産性向上を進められます。

カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
小さな会社やお店でも使えるものづくり補助金。
ものづくり補助金といえば、小さな会社やお店、中小企業、そして個人でお仕事をしている人も利用できる制度です。
ただし、補助金を受け取るには、決められた条件を満たさなければなりません。
その条件は細かく決められているので、申し込む前にしっかりと小規模事業者の定義を確認しておきましょう。
企業といっても、いろいろな種類があります。大きな会社もあれば中規模な会社、小規模な会社もあります。
また、たったひとりで営業しているようなところにも、企業と呼べるところがあります。
会社といってもいろいろな種類があり、その形態はさまざまです。
それぞれの違いや意味が不明だと、受けられるはずの支援がうまく利用できなくなってしまいます。
出典:【補助金】「小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>」について
小さな会社やお店は、法律上、小規模事業者と呼ばれます。この小規模事業者は、仕事の種類や働いている社員の人数で決まります。
下記が目安です。
たとえば、お菓子を作る小さな工場や、近所のクリーニング屋さんは、上記に当てはまる場合が多いでしょう。
さらに、宿泊業(ホテルや旅館)や娯楽業(映画館やゲームセンター)でも、働いている人が20人以下なら小規模事業者として扱われます。
小規模事業者には、個人事業主も含まれます。
個人事業主とは、たったひとりで仕事をしている人や、会社を作らず、家族や少人数で仕事をしている人を指します。
例)
では、個人事業主と小規模事業者との違いは何でしょうか。
実は、個人事業主のほとんどが小規模事業者に当てはまります。
個人事業主と小規模事業者は、完全に切り離されるわけではありません。
したがって、個人事業主であっても、小規模事業者としてものづくり補助金を受けられることがあります。
ものづくり補助金以外でも、国からの支援を受けられるさまざまな補助金制度があるでしょう。
個人事業主だからといって、小規模事業者よりも受けられる補助金制度が少ないと諦めないでください。
出典:日本を支える中小企業
小規模事業者と似ていて混乱しやすい会社に、中小企業があります。
中小企業とは、シンプルにいえば、小規模事業者よりももう少し規模が大きい会社のことです。
中小企業としてみなされるためには、業種ごとに定められた基準に沿っていなければなりません。
資本金と従業員の基準からわかるように、中小企業は小規模事業者よりも少し大きい規模の会社です。
大企業は、名前の通り大きな会社です。
例)
などが該当します。
大企業はすでに基盤がしっかりとしているため、国が支援している補助金制度の対象にならないことが多いです。
もちろん、ものづくり補助金も対象外です。
ただ、大企業には法律で決められた明確な定義はありません。
見分け方としては、中小企業の条件に当てはまらない会社を大企業と考えればいいでしょう。
出典:【2025.8】ものづくり補助金におけるみなし大企業とは?補助対象外となるため注意
特別なケースで、みなし大企業と呼ばれる会社があります。
あまり聞き慣れない呼び方ですが、中小企業の定義に該当していても、大きな会社のグループに入っているため、中小企業として扱われないケースがあります。
出典:みなし大企業の定義とは?受給可能な協力金や補助金について
みなし大企業の例には、次のような会社が挙げられます。
上記に当てはまる会社は、中小企業であっても、申請できるはずの補助金制度に申請できない可能性があります。
参考:中小企業・小規模企業者の定義
出典:小規模事業者持続化補助金の記事
小規模事業者や個人事業主の方のために、さまざまなサポートがあります。
ここでは、代表的な例を紹介します。
小規模事業者は、小規模だからこそ支援してもらえる制度が充実しているため、上手に活用しましょう。利用することで、小さな事業でもさらに拡大でき、成功しやすくなります。
企業にはいろいろな種類があり、それぞれに違いがあります。
自分の事業内容や会社がどの種類に当てはまるのか知ることで、国や自治体が用意しているサポートを上手に使えるでしょう。
これから起業を目指す方や、すでに小規模な会社やお店を経営している方は、ぜひこれらの情報を参考にしてみてください。
参考:中小企業の定義に関するよくある質問
出典:全国トップクラスの採択実績-ジャストコンサルティング
ものづくり補助金は、小規模事業者も申請できます。
小さな会社やお店、中小企業、そして個人でお仕事をしている方はぜひ利用してください。
ただし、補助金を受け取るには、決められた条件を満たす必要があります。条件は細かく決められているので、申し込む前にしっかり確認しておきましょう。
ものづくり補助金の正式名称は、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金です。
できるようにと、お金を支援する制度です。
ものづくり補助金を活用すれば、小規模事業者は新しい技術やサービスを開発し、商品を作る過程をより良くできるでしょう。
参考:【公式】ものづくり補助金総合サイト
出典:ものづくり補助金5つの申請枠を紹介
ものづくり補助金の申請には、3つの枠があります。
申請する際は、どの枠に当てはまるか確認した上で申請しましょう。
ここではそれぞれの枠について簡単に解説します。
出典:中小企業庁担当者に聞く中小企業省力化投資補助金
下記のような目的があるとき、補助金を出してもらえる枠です。
具体的にいえば、工場に機械を導入し、より効率的に業務を遂行するために利用可能です。
小規模な会社ほど補助率は高くなりますが、大きな企業だと補助率は下がります。
なお、普通の機械を買うだけでは、支援してもらえません。あくまで専用の設計がされた機械であることが条件です。
出典:省力化投資をして業務効率化を図ろう
出典:【2025】ものづくり補助金の概要 上限は最大4000万円/収益納付なし
この枠には2つの種類があります。
革新的な新しい製品やサービスを作るための支援です。
たとえば、とても画期的なアイデアの製品を作るために補助金が出ます。
出典:【18次公募】ものづくり補助金「成長分野進出類型(DX・GX)」とは?
未来に注目される分野、たとえばデジタル化(DX)や環境への配慮(GX)を促進するための経費を支援してもらえる枠です。
新型コロナで大変だった小規模事業者には、支援がさらに増えるでしょう。
新製品やサービスの売上が、将来的に10%以上になるような計画が必要です。
出典:ものづくり補助金の担当者に聞きました
海外との取引や、海外企業と共同で事業を行うために必要な設備やシステムを補助してもらえる枠です。特に海外で活躍したい小規模事業者におすすめです。
小規模であれば、支援される割合が2/3まで増えます。
参考:ものづくり補助金のご案内
A. はい。業務効率化、DX化、新サービスの提供など、設備以外の取り組みも対象です。
A. ありません。むしろ補助率が高く優遇される枠もあります。
A. 市場分析不足・根拠の弱い経費計上・計画書の具体性不足がよくある減点要因です。
A. 見積書、直近の決算書(確定申告書)、事業計画に関連する資料の3つは必須です。
A. 原則必要です。支援機関の確認印がないと申請できない制度です。
参考:法令検索
ものづくり補助金の目的は、日本の小規模事業者がもっと強くなり、成長できるようにサポートすることです。
補助金を利用して上記のようなことができれば、小規模事業者はもっと効率的に働けるでしょう。
さらに良質な商品を作り、多くの人に商品やサービスを提供できるようになるはずです。その結果、売上が伸びて利益アップにつながると期待できます。
小規模事業者の業績が改善すれば、地域の経済・社会の発展にもつながります。
ものづくり補助金は、小規模事業者の生産性アップを助けるために、この制度を創設しました。そのため、生産性アップが期待できないような補助金の使途だと、採択されないでしょう。
生産性が高ければ、小規模事業者はもっと効率的に働けます。より多くの商品を作り、より多くの顧客に届けることが可能です。
ものづくり補助金を申請し、採択されるためにはいくつか条件があります。
条件を満たすためにも、小規模事業者はしっかりと計画を立て、実行しなければなりません。
以下の3つが主な条件です。
小規模事業者が作る商品やサービスに対して、毎年付加価値を増やさなければなりません。
付加価値とは、商品を作るときにかかる経費を引いた後の金額です。
小規模事業者は、より価値のある商品を作ることで、より多くのお金を得られます。
小規模事業者が社員に支払うお給料は、毎年1.5%以上増やさなければなりません。
小規模事業者が成長していく中で、社員にもその成果をしっかりと還元してほしいという狙いがあります。
社員が喜んで働けるようになれば、小規模事業者はさらに成長できるでしょう。いわばウィンウィンの関係です。
最低賃金を、その地域の最低賃金よりも30円以上高くする必要があります。これによって小規模事業者は従業員の生活を支え、働きやすい環境にできます。
こうした要件をクリアした小規模事業者は、ものづくり補助金に申請可能です。
申請にあたっては、事業計画書を作成しなければなりません。
事業計画書は、3年~5年間で実行することを想定して作成してください。
小規模事業者がどのように成長し、どのように目標を達成するかを示しましょう。
計画的に進めていくことが求められ、実行できなければ、補助金がもらえない可能性があります。
かといって、事業計画書を盛って書いてしまうと実現不可能になり、不利となるでしょう。あくまで実現可能な目標を記載してください。
参考:中小機構法上の中小企業・小規模企業者の定義
ものづくり補助金をもらいたいなら、まずは申請しないことには始まりません。
申請は基本的にオンラインで行います。
その際、
など、詳細な情報を提出してください。
具体的な計画が書けるように、明確な構想を描いておきましょう。
申請が通って採択されれば、補助金の交付が確定します。
補助金は基本的に後払いです。
小規模事業者が業務に必要な設備を購入し、試作品を製造するための費用として、補助金を活用できます。
とはいえ、補助金の金額や割合は、申請する枠や小規模事業者の状況によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
ものづくり補助金が交付されれば、小規模事業者は多くのメリットを享受できます。
具体的にどのようなメリットがあるか、ここで確認していきましょう。
ものづくり補助金が交付されれば、小規模事業者は少ない負担で新しい機械や設備を購入できます。
事業に必要な最新技術も導入できるでしょう。
これによって、効率的に商品を作ることが可能です。
小規模事業者が成長すれば、社員の給料や待遇を改善できます。
待遇が改善すれば、社員にとってさらに働きやすい環境になるはずです。
その結果、社員は業務により一層やりがいを感じてくれるでしょう。それに伴い、模事業もグングン成長していけます。
ものづくり補助金に申請するには、事業計画を立てて実行する必要があります。
このプロセスはものづくり補助金を受けるためだけでなく、自社の将来のためにもなる取り組みです。
たとえ補助金が採択されなくても、長い目で計画を立てて計画書を作成したことは、無駄にはならないでしょう。
計画書を作成することで、小規模事業者は今後の成長を見据えて動いていけます。
これによって今まで以上に安定した経営が可能になり、小規模事業者の将来が明るくなると期待できるでしょう。
参考:小規模事業者の類型化
ものづくり補助金と融資は混同しやすいですが、ものづくり補助金は融資とは異なります。
ものづくり補助金は、採択された場合に返済する必要がないという点が特徴です。
一方、融資の場合は返す必要があります。
ものづくり補助金は、正しい計画を立て、計画通りに事業を進めれば受け取ることが可能です。
資金を受け取った後も返済義務はありません。
この点が、多くの中小企業や事業者にとって魅力的です。
ものづくり補助金を利用すれば、普段は挑戦しづらい大規模な研究開発や、設備投資にもチャレンジできるでしょう。
ものづくり補助金にはメリットもたくさんありますが、注意点もあるのであらかじめ確認しておきましょう。
補助金の採択率は高いとはいえません。
人気が高く、競争率がとにかく高いため、難易度の高い制度といえます。
ライバルが多い中で採択を受けるには、計画書の質を高める必要があります。
採択されたとしても、申請時に提出した事業計画書に沿って、計画を実行しなければなりません。
これは努力義務ではなく義務です。
計画通りにいかなかった場合は、採択された後でも補助金が交付されないリスクもあります。
計画に基づいて事業を進めることが求められるため、適切に管理してください。
小規模事業者とは、事業の規模や従業員数で定義される事業者です。
ものづくり補助金を受け取るためにも、条件をしっかりと理解しておきましょう。
ものづくり補助金は、製造業やサービス業、個人事業主を含む小規模事業者にも適用される支援制度です。
ものづくり補助金を利用すれば、事業の拡大や生産性向上のために活用可能です。
小規模事業者の定義は、事業の内容によって異なる点に注意してください。
製造業やその他の業種であれば、従業員が20人以下、サービス業やお店であれば5人以下の従業員などが指定されています。
こうした条件に当てはまる事業者が、ものづくり補助金の対象です。
個人事業主でも、小規模事業者としてものづくり補助金を受けることは可能です。ものづくり補助金を利用して、個人事業を発展させることができるでしょう。
ものづくり補助金は、小規模事業者の生産性向上をサポートし、競争力を高めるために有用な制度です。
小規模事業者はものづくり補助金を利用し、さらに事業を拡大し、成長するチャンスをつかんでください。
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ものづくり補助金における小規模事業者とは製造業やその他の業種であれば、従業員が20人以下、サービス業やお店であれば5人以下の従業員などが指定されています。補助率も高くなっておりますのでぜひ申請をご検討されると良いでしょう。