このコラムのポイント
- ものづくり補助金では見積依頼書が必須。見積依頼書とは、適正価格を証明する重要書類。
- 申請後すぐに見積依頼書を送ると、スムーズな交付申請・購入手続きにつながる。
- 見積依頼書は審査・中間報告・実績報告でも証拠書類として使われるため、公式様式に従い作成し、保存しておこう。
ものづくり補助金の見積依頼書は、適正価格を証明し手続きを円滑に進めるための必須書類です。申請後すぐに作成・送付し、公式様式で整え、確実に保管することが成功のポイントです。

カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
ものづくり補助金について簡単にいえば、新しい機械や設備を買うためのお金を助けてもらうための支援金です。
ですが、その支援を受けるためには、いくつかの書類を提出しなければいけません。
ものづくり補助金申請に必要な書類はいくつかあるのですが、その中でも見積依頼書がとても大事です。
出典:【2025.8】ものづくり補助金では相見積もりが必要!業者選定理由書が必要となるのは?
まず、見積依頼書とは何かを把握しておきましょう。
平たく言えば、ある事業者が、この機械や設備を業務のために導入したいけれど、その価格が適正かを確認してほしいときに、お願いする書類です。
もしあなたが新しいパソコンを買いにお店へ行ったら、スタッフさんにこのパソコンはどれくらいの値段ですか?と尋ねるでしょう。
そのときにスタッフさんが回答する値段が見積もりです。
ただ、スタッフさんが口頭でその値段を伝えただけでは証明になりません。
本当にその値段を伝えた・聞いたことを証明するために、見積依頼書という書類を発行します。
ものづくり補助金では、この見積依頼書を使い、後で機械や設備を購入するときにその値段が正しいか確認します。
では、見積依頼書はどのように準備すればいいのでしょう。
出典:【文例あり】見積回答メールの書き方 成約率を上げるコツも解説
見積依頼書を準備するには、まずこの設備を導入したい!と決める必要があります。
決めたら、今度はそれを売っているお店や業者にお願いして見積もりをもらいましょう。
しかし、その前にやるべきことがあります。
それが見積依頼書の作成と送付です。
導入したい製品が決まり、ものづくり補助金申請をしたら、下記の手順で進めてください。
ものづくり補助金を申請した後は、できるだけ早く見積依頼書を業者に送りましょう。
なぜ早いほうがいいかというと、申請が通ったら、すぐにその補助金を使って購入するための手続きを開始できるからです。
見積もりをもらうのが早ければ早いほど、申請通過後、すぐに購入手続きを進められます。
ものづくり補助金を申請したら、締め切りから約2か月後に結果が出るでしょう。その間に見積もりをもらっておくと、補助金の受け取りが決定してからすぐに手続きを開始できます。
見積依頼書は、ただ見積もりをお願いするためだけの書類ではありません。
実は、後でどれくらいお金がかかったかを証明するためにも使えます。
たとえば、ものづくり補助金を使って購入したものが、本当に適正価格だったか確認することがあるでしょう。
その際は事務担当者がチェックすることになりますが、このとき、見積依頼書が証拠として役立ちます。
ですから、見積依頼書を受け取ったら大事に保管しておきましょう。後で求められたらすぐに提出できるようにしておくと安心です。
参考:補助事業の手引き
見積依頼書は、できるだけ早く送付することがポイントです。
手続きをスムーズに進めるためにも、余裕を持ってスケジュールを立てておきましょう。
見積依頼書を受け取るまでにはタイムラグが発生する場合も考えられるため、遅延に備えて早めに準備しておくと安心です。
ものづくり補助金を申請するときには、見積依頼書がとても大切です。機械や設備を購入するための値段が正しいかを証明する書類だからです。
申請後は早めに送り、スムーズに手続きを進めましょう。
見積依頼書は後でチェックされることがあるので、大切に保管しておくことを忘れないでください。
参考:【経済産業省】事例から学ぶものづくり補助金
見積依頼書は、審査過程での証拠書類として重要な位置づけです。
見積書を得るためには見積依頼書が必要であり、ものづくり補助金の申請後に事業者が準備すべき重要な書類のひとつです。
具体的にどんなときに必要かというと、ものづくり補助金に採択された後、交付申請を行う際に必要です。
繰り返しになりますが、取得に時間がかかることがあるため、早めに準備しておいてください。
また、見積依頼書は採択後の中間報告や実績報告時に経理証拠書類としても使用されることがあります。
そのため、事業者は見積依頼書をいつでも提出できるように事前に準備しておかなければなりません。
見積依頼書を作成する際は、指定された様式に従いましょう。
ものづくり補助金の公式サイトでは、参考様式3 見積依頼書というWordファイルをダウンロードできるので、フォーマットとして活用してください。
必要な情報を記入して見積依頼書を作成しましょう。
参考:【公式】成功事例の紹介
A. 見積依頼書は、見積をくださいと依頼するための書類で、見積書は業者が提示する価格の書類です。
ものづくり補助金では、両方が証拠書類として活用されます。
A. 申請後すぐに作成・送付するのがベストです。
取得に時間がかかる場合があるため、締め切りギリギリは避けましょう。
A. 原則として1社でも問題ありませんが、相見積もりを取ることで価格の妥当性をより証明しやすくなります。
A. 基本は公式の参考様式3を使用することがおすすめです。指定様式を使うことで審査でのトラブルを防げます。
A. 交付申請や実績報告で、証拠書類不足と判断される可能性があります。
不備があると補助金が受け取れなくなるケースもあるため、必ず準備しておきましょう。
A. 業者の押印不要・PDFでのやり取りが許可されるケースもありますが、最新の運用ルールを必ず公募要領で確認してください。
A. 必要です。
中古の場合は特に価格の妥当性を証明するため、見積依頼書・見積書の提出が求められる傾向が高いです。
出典:担当者に聞く「ものづくり補助金」
ものづくり補助金の見積依頼書は、ただ作成すればいいわけではありません。ルールがあることに留意してください。
ルールを遵守していなければ、最悪の場合、書類の不受理や交付無効となってしまいます。
ここでは、ものづくり補助金の見積依頼書に関する重要なルールについて解説していきます。
面倒ですが、ものづくり補助金の見積依頼書は、複数の経費を一枚の見積依頼書にまとめて提出することができません。
つまり、補助対象の経費ごとに作成する必要があります。
経費が複数ある場合は、全部の経費について見積依頼書を提出しなくてはならないため、手間がかかります。
仮に、機械装置と技術導入の経費を申請したい場合、それぞれの見積依頼書を作成しなければなりません。
ものづくり補助金の見積依頼書では、合計金額だけでなく内訳を記載しましょう。
見積金額に複数の項目が含まれている場合は、忘れずに内訳を記載してください。
通常の見積依頼書のように、一式という表記を使用すると、内訳がわからくなってしまいます。これではせっかく提出しても、ものづくり補助金の申請の有効な書類とはみなされません。
ですから、見積依頼を出す時は、依頼先に一式表記を使わず、きちんと内訳を記載するよう事前に伝えておきましょう。
見積依頼書は、前述したように補助事業の中間報告や実績報告でも必要です。
ものづくり補助金の経理証拠書類のひとつとして、大切に保管しておきましょう。
いったん手続きが終わって落ち着いたからといって、処分しないでください。
ものづくり補助金の事務局からの指示に対して、経理証拠書類の原本を提出できなければ、
補助金対象外になるリスクがあります。
見積依頼書はすぐに処分せず、厳重に扱いましょう。
見積依頼書を業者に送付するタイミングは、ものづくり補助金の申請後です。
採択結果の発表後、交付申請の手続きで見積依頼書を使いましょう。
採択発表日までに見積書を取得しておけば、採択結果発表後すぐに交付申請が可能です。
通常、ものづくり補助金では、申請の締切日から約2ヶ月後に採択結果が発表されます。それに合わせて見積依頼書を用意しておけば、採択結果の発表後にスムーズに交付手続きができるでしょう。
採択結果の発表時期までに見積書を取得できるよう、スケジュールを立ててください。
たとえば、8月末がものづくり補助金の申請の締切だとしたら、10月末頃に採択結果が発表されます。これに備えて、申請者は8月末頃から見積依頼書を作成し、設備の購入先である業者に見積依頼書を送付できていると良いです。
業者に見積依頼書を送付後、早ければ一週間程度で見積書が返送されるでしょう。
一方で、事業者が見積依頼書の作成に時間がかかったり、業者とのやり取りが入ったりすると、見積書の入手が遅れてしまいます。余裕をもって準備しておきましょう。
出典:業者選定理由書が必要となるケースと書き方を解説! 事業再構築補助金
どうしても見積もりが取れない場合や、1社しか見積もりを用意できなかった場合は、業者選定理由書を提出することがおすすめです。
震災などやむを得ない事情や正当な理由があれば、見積もりを取れなかった理由が認められ、補助金は無効になりません。
具体的に、業者選定理由書を提出する時はどんな時でしょうか。
たとえば、A社はとても優れた技術を持っているため、A社以外からの調達は考えられないという理由があるとしましょう。
どうしても購入先を1社に絞りたい場合は、業者選定理由書を提出することで認められる場合があります。
業者選定理由書のひな形は、ものづくり補助金の公式サイトからダウンロード可能です。
公式サイトで補助事業の手引きをクリックし、参考様式4 業者選定理由書(Word)を利用しましょう。
見積依頼書にはいくつかの必須項目があります。
まず基本的なのは日付です。単純に、見積依頼書を作成した日を記入すれば良いです。
宛先は、見積もりを依頼する先の業者名です。差出人や送り主のところには、自社の住所や代表者の氏名、役職を書きましょう。
タイトルと件名のところには、見積依頼の目的を簡潔に書きます。
たとえば、補助金の対象となる製品やサービスの購入について書いておくと良いです。
要件には、製品の概要や型式、製造年月日など、見積もりに必要な条件を書きます。
なお、要件はできる限り詳しく書いてください。
提出書類や部数では、見積依頼先に依頼する書類とその部数を記載しましょう。
見積依頼書には、購入したい製品やサービスの条件を詳しく書いてください。
業者が理解しやすくなるように、具体的な製品名や品番、技術名をしっかり記入します。
仮に塗装機を購入したいとすれば、以下のような要件を書いておくと良いです。
こうした要件を詳しく書いておくと、業者はより正確な見積を出してくれます。
仕様は別紙に書くことをおすすめします。
別紙に記載したら、わかりやすくその旨を記載しておくと丁寧です。
機械設備やシステムを購入する場合は、別紙で仕様書を準備する必要があります。仕様書とは、カタログや商品の説明書などで、製品の詳しい情報が書かれた資料です。
仕様書を準備しておけば、業者に商品やサービスの詳細をしっかり伝えられます。
例)
提出締切日は、見積書を提出してもらう期限です。
必ず提出締切日は書いておきましょう。これを忘れてしまうと、業者が見積を遅れて提出してしまう恐れがあります。
提出期限を記載しておかないと、業者は1か月以内に出せばいいかな?と甘く考えてしまう可能性があります。
想定より遅れて困ることがないように、必ず○月○日までに提出してくださいと明記しておきましょう。
提出先には、見積書を送付する先の住所や担当者名を記載します。
以上の項目に抜けがないよう、最終的に念入りに確認しましょう。
見積依頼書の書き方を詳しく説明します。
見積依頼書は、業者から見積をもらうための大切な書類です。書く時は見積依頼書の項目に必要な情報をしっかりと記載しておきましょう。
項目ごとに記入例を見ていくと、漏れなく書けます。
下記を参考にしながら記入すると、忘れずに書けるでしょう。
これらの内容を漏れなく記入することで、見積依頼書に必要な情報を準備可能です。
ちなみに、見積書のルールは業者に共有しておくことがおすすめです。
見積依頼書に書ききれないルールは、直接伝えておくとトラブルを防げるでしょう。
たとえば、見積金額には一式という表現を使わず、各項目ごとの内訳を示してくださいと伝えておくのも良いです。
事前にルールを伝えておけば、業者は適切な見積を作成してくれるので、後でトラブルになることを防げるでしょう。
ものづくり補助金の見積依頼書をとる時は、下記の注意点に気を付けてください。
出典:発注書(注文書)
ものづくり補助金を利用する際、補助事業終了後も経理証拠書類の確認が必要な場合があります。
こうした証拠書類は、事業終了から5年間保管することが、交付規定で義務付けられています。
書類がいつでも提出できるように、見積依頼書を含む関連書類は適切に管理しておくましょう。
関連書類には、下記のものが含まれます。
ものづくり補助金では、税抜価格が基準となる項目がいくつかあります。
たとえば、相見積(あいみつもり)を取得する際は、税抜価格を基に必要性が判断されます。
相見積とは、同じものを買いたいときに、2つ以上のお店や会社に値段を聞いて比べることです。
たとえば、同じ機械を買うときに、A店とB店でどちらが安いか調べることは、相見積を意味します。
相見積によって、一番お得な値段を見つけることが可能です。
さらに、事業実施のために依頼した専門家に支払う専門家経費も税抜価格で判断され、上限があります。
このため、見積依頼書には税抜き価格を明確に記載してください。
ものづくり補助金の申請後、交付申請には特定の期限が設けられていません。だからといって、見積依頼書の提出期限を定めないのはリスキーです。
補助事業の終了期限は決まっているため、ギリギリになっては余裕がありません。
駆け込む形にならないように、見積依頼書は早めに受け取ることが好ましいです。
いくら自分が早く業者に渡しても、見積書が提出されなければ事業が進みません。
見積依頼書を送る際には、提出期限を設定し、業者に伝えておきましょう。
ものづくり補助金を申請するときは、特定の条件でお金を使う予定があるはずです。
その際、購入金額が50万円を超える場合は、見積もりは一社だけでなく、複数の会社から取りましょう。複数の業者からとることを求められています。
仮に60万円の機械を導入したいとしましょう。
その値段が適正かどうかを証明するために、複数の会社から見積もりをとらなければなりません。
複数の書類が集まることになりますが、そのすべてを大事に保管しておいてください。
50万円以上の設備や物を買う場合、必ず2社以上から見積もりをもらわなければいけないという規定があります。
50万円以上でなくても、複数の業者から見積もりを取らなければいけないケースがあります。
それは、中古機械や中古設備を購入する場合です。
性能や型式、製造年月日が同程度の中古品について、3社以上から見積もりを取得する必要があります。
機械の型番や年式が書かれた見積もりを取りましょう。
どうしても複数の見積もりが取れない場合は、前述したように、理由を明記した業者選定理由書を提出しましょう。
たとえば、50万円以上する測量用ドローンを購入する場合は、2社以上から見積もりを取ることがルールです。
これはすべての事業者に適用されるルールで、例外はありません。
見積もりを取るときは、同じ条件で見積もりを依頼しましょう。どの会社に対しても、同じ仕様で見積もりを依頼してください。
ものづくり補助金の申請には、見積依頼書が欠かせません。
本記事では、見積依頼書が何か、作成・送付時のポイント、注意すべきルールについて具体的に解説してきました。
見積依頼書は、購入予定の機械や設備の価格が適正かどうかを確認するための書類です。
申請後の審査や経理証拠としても大切で、補助金を受け取るまでの各段階で活用されます。
見積依頼書は、早めに準備しましょう。申請後すぐに見積依頼書を業者に送ることで、採択後の手続きをスムーズに進められます。
見積依頼書には、大まかではなく詳細な内訳を記載すべきです。
金額の内訳を明確にし、一式という曖昧な表現は避けましょう。
複数の経費がある場合は見積依頼書一枚にまとめず、対象ごとに別々の見積依頼書を用意してください。
見積依頼書の作成にはルールがあるので、それに従って作成すると良いです。指定されたフォーマットを利用しましょう。フォーマットは公式サイトからダウンロードが可能です。
作成した見積依頼書は、中間報告や実績報告での提出が求められることがあるため、原本を大切に保管しましょう。
不備やルール違反がある場合、交付無効のリスクがあります。
送付するタイミングは、申請後すぐが好ましいです。
採択結果発表(通常2か月後)に備えましょう。結果発表後の交付申請手続きを円滑に進められます。
繰り返しになりますが、見積依頼書は、申請を成功させるポイントとなる重要書類です。適切な準備と管理で、ものづくり補助金を最大限活用してください。
ものづくり補助金の流れとは?申請手順を徹底解説
ものづくり補助金をキッチンカーに活用する方法!採択事例と採択

見積依頼書は補助金の交付申請の時には添付しなければならない書類となります。一定金額以上の場合は複数社に依頼をしないといけないため導入予定の経費の内容に合わせて同様の表記で各社から見積もりを取って頂く必要があります。そのためにも見積依頼書を大事になってきます。