このコラムのポイント
- ネズミ被害は急増しており、火災・停電・食品汚染など深刻な経済損失を生む重大問題になっている
- 国や自治体のネズミ駆除助成金を活用することで、費用負担を抑えつつ安全で効果的な駆除が可能
- 自分で駆除するのは再発リスク・健康被害・技術不足などの理由から非効率で、結局高くつく可能性が高い
ネズミ駆除にかかる費用を、助成金でカバーできます。経済的負担を軽減しましょう!本記事を読めば、自治体ごとの助成金情報、申請条件、手続きの流れがわかります。

カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
出典:空き家のネズミって何するの?ネズミの被害と対策編
ネズミ駆除に関する情報は、特に都市部での被害が増加していることから、大きな問題になりつつあります。
以下では、
について詳しく解説します。
近年、ネズミによる被害は急増しています。
東京都ペストコントロール協会によると、ネズミ被害の相談件数は、2009年の1691件から2024年には4192件に増加。
特に、飲食店や住宅での被害が目立っています。
ネズミは食料を荒らすだけでなく、電線や配管をかじることで火災や停電の原因にもなります。
もし飲食店の厨房にネズミが侵入すれば、食材を汚染され、衛生問題が発生し、営業停止に追い込まれるリスクがあるでしょう。
ネズミによる経済的被害は、
などを含めると、年間数十億円に達するといわれています。
農業においてもネズミは作物に深刻な被害を与えており、2022年には約5,300万円の被害が報告されています。
このように、ネズミ被害は個人や企業にとって無視できない問題です。
自分でネズミを駆除しようとする場合、いくつかのリスクと高い費用が伴います。
まず、ネズミは繁殖力が強力であり、1匹見つけたからといって安心はできません。
1匹いたなら、実際には数匹以上が隠れている可能性が高く、駆除が不十分だと再発のリスクが高まります。
個人での駆除にかかる費用も無視できません。
一般的に、ネズミ駆除業者に依頼する場合の費用は1万円から30万円程度です。
個人で行う場合も、
などがかかってきて負担になるでしょう。
特に、効果的な駆除を行うためには専門的な知識や技術が必要です。
誤った方法で駆除を試みると、逆に被害が拡大する恐れもあります。
さらに、ネズミは病原菌を媒介する可能性があり、直接触れることで健康被害を引き起こすリスクがあります。
感染症のリスクを避けるためには、適切な防護具を着用し、衛生管理を徹底しなければなりません。とはいえ、これもまた手間とコストがかかる要因です。
ネズミ被害は年々増加しており、その影響は個人や企業にとって深刻な問題です。
個人で駆除を試みることは可能ですが、リスクや費用の面からも、専門業者に依頼することがおすすめです。
特に、ネズミ駆除には助成金制度がある場合もあるため、地域の制度を確認し、適切な対策を講じましょう。
出典:人間の生活を脅かすネズミ被害
ネズミ駆除助成金とは、住宅や事業所などでネズミの被害を防止するための駆除費用の一部を、国や自治体が補助する制度です。
ネズミは単なる不快害獣ではなく、
など、健康被害や衛生リスクを伴うため、適切な駆除が求められます。
しかし、駆除業者への依頼や防除対策には費用がかかるため、経済的負担の軽減を目的として、助成金が設けられています。
助成金制度を活用することで、個人宅や集合住宅、飲食店、商業施設などで、安全かつ効率的にネズミ対策ができるでしょう。
ネズミ駆除助成金の大きな目的は、
にあります。
具体的には以下のような意義があります。
前述したように、ネズミは雑菌や病原菌を運ぶ可能性があり、食品の汚染や伝染病のリスクを高めます。
助成金を活用して駆除を行うことで、家庭や施設の衛生状態が向上し、感染症の予防や、食の安全性向上に寄与するでしょう。
ネズミによる建材や家財のかじり被害は、住宅の耐久性や快適な居住環境に影響します。
駆除費用を助成することで、個人や地域の住宅環境が改善するでしょう。
ネズミは一軒の住宅だけでなく、周囲の住宅や店舗にも被害を拡大します。
そのため、助成金を通じて駆除を支援することは、地域全体の安全性や生活環境の向上にもつながるでしょう。
出典:自分で調べる。ネズミかもと思う5つの被害
ネズミ駆除助成金には自治体独自の助成制度がありますが、一部のケースで、国の制度による支援も利用可能です。
市区町村単位で実施される助成制度です。
対象は、
など、地域の特性に応じて異なります。
助成内容は、
など、対象経費が明確に定められています。
助成率や上限額は自治体ごとに異なり、50%〜全額補助まで幅があるので確認しておきましょう。
出典:地方自治体とは:地方自治体の定義や役割を整理する
一般的に、ネズミ駆除に対する国の支援制度は、
を目的とした補助制度の一部として位置づけられています。
食品衛生や農作物被害防止など、広域的な公共性が高い場合に対象とされます。
国の支援制度は自治体の補助金と併用できる場合があるため、より広範囲の被害対策に活用可能です。
ネズミ駆除助成金は、個人や事業者の経済的負担を軽減しつつ、衛生環境や住宅環境を改善するための大事な制度です。
自治体や国の制度内容を確認し、適切な駆除対策と組み合わせて活用することで、快適で安全な生活空間の維持につながるでしょう。
参考:東京都ねずみ防除指針
ネズミ駆除助成金は、誰でも無条件で利用できるわけではありません。
助成金を受けるためには、一定の条件を満たさなければなりません。
条件を大きくわけると、
に関わってきます。
それぞれの自治体によって、細かく設定されている場合があるため、あらかじめ確認しておきましょう。
出典:企業・自治体等による好事例
ここでは、各条件について詳しく解説します。
ネズミ駆除助成金の対象となる住宅形態は自治体によって異なりますが、基本的には以下の2つです。
個人住宅とは、一戸建ての住宅のことです。
助成金の対象となる場合、次のような条件が設定されます。
助成金は、居住者自身の生活環境改善を目的としています。
そのため、賃貸に出している住宅や別荘など、一時的に使用している住宅は対象外になる可能性が高いです。
ネズミ被害が発生していることを証明する必要があります。
証拠としては、たとえば、
糞
などの写真や報告書が求められるでしょう。
出典:【公式】ネズミ駆除本舗
個人住宅に対する助成金は、駆除費用の50%程度が補助されるケースが一般的です。
とはいえ、自治体によっては、上限額を数万円〜十数万円に設定している場合があるため、確認が必要です。
集合住宅(マンションやアパートなど)は、複数世帯が共有する建物であるため、助成金の取り扱いが個人住宅と異なります。
ネズミ駆除の対象は、建物全体の共用部分や各戸の状況に応じて決まるため、助成金の申請は、管理組合やオーナーが行うケースが多いです。
共用部分や複数世帯への被害が確認できる場合、助成金の対象となることが多いです。
個別の住戸での被害のみでは、対象外となる場合があります。
集合住宅の場合、助成金と自己負担分を管理組合で分担して負担することが前提です。
このように、住宅形態によって申請方法や対象範囲が変わります。
助成金を活用する前に、自分の住宅が対象になるか確認しておきましょう。
ネズミ駆除助成金には、使用できる駆除方法や業者に関する制限が設けられていることがあります。
これは、安全性や効果を確保するためです。
主な制限は以下の通りです。
多くの自治体では、助成金の対象は、登録された専門業者による駆除のみと定められています。
出典:ネズミ駆除に超音波は有効?
助成金を受ける場合、使用する薬剤や器具が規制されることがあります。
申請対象となる薬剤は、一般的に国や自治体で認可されたネズミ駆除用の薬剤に限定されます。
人体やペットに危険がある薬剤は対象外です。
捕獲器や忌避器なども、安全性と効果が確認されている製品に限られる場合があります。
これにより駆除効果が保証され、誤った駆除による被害拡大を防ぎます。
上記のケースでは、助成金の対象にならないことがほとんどです。
自治体の助成金制度は、確実で安全な駆除を行うことを条件にしているためです。
ネズミ駆除助成金には、利用者の所得や住居の条件に関する制限が設けられることがあります。
公共性や支援の公平性を考慮した制度設計によるものです。
自治体によっては、世帯の所得が一定額以下であることを条件として助成を行う場合があります。
福祉的な側面を重視した制度であり、高所得世帯の場合は助成の対象外となる可能性があります。
一方で、住居条件にはどんな条件があるか見ていきましょう。
自宅を自己所有している場合に限る自治体があります。
賃貸住宅の場合、オーナーや管理会社が申請者にならなければなりません。
老朽化した建物や共同住宅での共用部分など、被害の影響範囲が大きい場合は、優先的に助成対象となるでしょう。
ネズミ駆除助成金は、他の自治体助成金や国の補助金と併用できない場合があります。
併用可の場合でも、総補助額に上限が設定されることが多いため、申請前に確認しましょう。
ネズミ駆除助成金を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
これらの条件を満たすことで、助成金を活用しながら安全かつ効果的なネズミ駆除を行うことが可能です。
特に、専門業者による駆除を前提とすることで、衛生リスクを最小限に抑え、再発防止も期待できる点が特徴です。
参考:事業主の方のための雇用関係助成金
助成金の対象条件は自治体ごとに異なるため、申請前に必ず自治体の公式情報を確認してください。
など、証拠書類の準備が必須です。
助成金は費用の一部を補助するものです。
駆除計画や予算を事前に立て、補助金申請と実施を連動させましょう。
参考:各種助成金・奨励金等の制度
出典:ネズミ駆除に助成金は出る?
ネズミ駆除助成金は、住宅環境の衛生改善や安全確保を目的に、自治体が提供する支援制度です。
助成金を受けるためには、事前に手順を理解し、正確に手続きを進めてください。
申請の流れを解説するにあたり、
の4つのステップがあります。
以下に詳しく解説します。
助成金の申請を行う前に、まず自治体の担当窓口で事前相談を行うことがおすすめです。
事前相談では、以下の内容を確認しましょう。
事前相談を行うことで、後から書類不備や条件違反によって申請が却下されるリスクを大幅に減らせます。
自治体によっては事前相談が必須な場合があるため、必ず確認しておきましょう。
助成金の申請には、必要書類をそろえることが不可欠です。
一般的には以下の書類が求められます。
費用の内訳がわかる見積書を用意しましょう。
ネズミ被害の状況を示す写真を添付する必要があります。
自治体所定の申請書に必要事項を記入してください。
自治体によっては、追加書類や同意書が必要になる場合もあります。
事前相談時に確認し、漏れなく準備しましょう。
書類をそろえたら、いよいよ申請書類の提出です。
これからの流れは、おおむね以下の通りです。
直接窓口に持参する場合や、郵送で受け付ける場合があります。
郵送の場合は、到着日が申請日として扱われることが多いので注意しましょう。
自治体が提出書類の内容を確認し、助成対象かどうか審査します。
書類の不備や内容確認が必要な場合は、自治体から問い合わせがあるでしょう。
事前に見積もりを提出して承認された後、専門業者による駆除作業を開始。
助成金は、作業完了後の費用精算に合わせて交付されることが一般的です。
駆除作業完了後、業者の作業報告書や領収書を提出してください。これにより、助成金が支給される手続きが開始されます。
書類の確認が完了すると、指定口座に助成金が振り込まれます。
振込までの期間は自治体により異なりますが、おおむね数週間〜1か月程度です。
助成金申請にはいくつかの注意点があります。
注意点を押さえておかなければ、
などのトラブルが生じるでしょう。
申請には締切があります。
作業実施前の申請が必要な場合もあるため、駆除を始める前に申請可能期間を確認してください。
記入漏れや添付書類の不足は、審査の遅れや却下の原因になります。
写真の不鮮明さや、見積書の内容不足にも注意しましょう。
自己流の駆除や、非認定の業者による作業は対象外です。
助成金交付後の駆除方法変更は、再審査が必要になる場合があります。
助成金は、正しく駆除が実施されたことを前提に支給されるもの。
不正受給や報告の不備があった場合、返金を求められるリスクがあります。
ネズミ駆除に関する助成金制度は、自治体ごとに異なる特徴を持っています。
以下に、
について簡潔にまとめます。
各自治体では、ネズミ駆除に対する助成金の制度が異なります。
たとえば、東京都中央区では、町会や自治会が行う駆除活動に対して、経費の3分の2を補助する制度があります。
一方で、他の自治体では個人宅への助成金がほとんどない場合も多く、主に団体向けの支援が中心です。
また、自治体によっては、
といったサービスも提供しています。
補助金額は自治体によって異なりますが、一般的には団体の規模に応じた上限額が設定されています。
東京都中央区を例にとると、構成員数が
が支給されます。
個人向けの補助金は少ないため、具体的な金額は自治体の制度に依存しているのが特徴です。
助成金を受けるための条件や、申請方法も自治体によって異なります。
多くの自治体では、助成金を受けるためには事前に申請が必要です。
指定された業者による駆除作業の実施や、具体的な費用見積もりの提出が求められるでしょう。
また、申請手続きには時間がかかることが多く、即日対応が難しい場合もあります。
したがって、各自治体のホームページで詳細を確認し、必要な手続きを把握しておいてください。
ネズミ駆除助成金は、衛生環境や住宅環境の改善を目的とした制度で、専門業者による駆除や申請条件を満たすことで活用できます。
自治体ごとに制度や条件が異なるため、事前確認と必要書類の準備を行い、安心・安全な駆除対策に役立てましょう。
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ネズミ駆除助成金は住宅環境の衛生改善や安全確保を目的としています。物件の形態や所得、住居の条件などの申請要件がございます。これらは自治体によって異なってくることから事前に自治体に確認の上、申請を行うようにしていくと良いでしょう。