このコラムのポイント
- 家賃滞納は物価高・収入減が背景にあり、誰にでも起こり得る身近な問題なので早期相談がおすすめ
- 住居確保給付金をはじめとする公的支援制度を活用することで、家賃支払いの負担を大きく軽減可能
- 家計管理(固定費削減・支出見直し・副収入)を行うことで、将来的な滞納リスクを確実に減らせる
家賃を滞納しそうなときに利用できる補助金・支援制度を紹介。住居確保給付金や自治体の家賃支援の申請方法、条件をわかりやすく解説します。

カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
出典:入居者による家賃滞納が発生したときの対応策は?督促時のNG行為や防止策も解説
近年、物価の高騰や電気代・食費の上昇により、生活費の負担が急激に増しています。
給与も思うように上がらず、ボーナスが減額されたり、非正規雇用で収入が不安定になったりする人も多いでしょう。
こうした背景から、
という相談が全国で増えています。
家賃の滞納は、誰にでも起こり得る身近な問題です。
そのまま放置していると、賃貸契約の解除や立ち退きを求められるリスクもあります。
また、長期間の滞納が続けば、家主や管理会社から信用情報機関に報告され、クレジットカードやローンの審査に影響を及ぼすでしょう。
一時的な滞納であっても、早めに相談・対応することが大切です。
たとえば、自治体や国が設けている住居確保給付金(じゅうきょかくほきゅうふきん)といった支援制度もあります。これを活用することで、家賃の支払いをサポートしてもらえる場合もあるので、確認してみましょう。
無理をしてひとりで抱え込まず、行政や支援機関に相談することが、生活を立て直す第一歩です。
出典:【大田区不動産ニュース】家賃滞納が発生してしまった場合のオーナー様の対応方法
家賃の支払いが困難になった場合、利用できる公的支援制度がいくつかあります。
その中でも特に注目すべきは、住居確保給付金です。
出典:住居確保給付金(転居費用補助)の申請手続きについて
住居確保給付金は、経済的な理由で住居を失う恐れがある方を支援するために設けられています。
住居確保給付金は、離職や収入の減少により家賃の支払いが困難になった方に対して、一定期間家賃相当額を支給する制度です。
住居を失うリスクを軽減し、安定した生活を支えることを目的としています。
支給を受けるためには、以下の条件を満たしていなければなりません。
申請時の世帯収入が、定められた基準額以下という条件については、単身世帯の場合、月収が81,000円以下である必要があります。
住居確保給付金の支給期間は原則3か月です。
しかし、求職活動の報告を行うことで最大9か月まで延長可能です。
支給額は世帯人数に応じて異なり、単身世帯の場合は月額最大53,700円が支給されます。
申請をするには、どのようなステップを踏めばいいか説明していきます。
住居確保給付金の申請を希望する場合、まずは地域の福祉事務所や自立相談窓口に相談しましょう。
申請に必要な書類は、以下の通りです。
必要書類を揃えたら、申請書を提出してください。
提出された書類に基づいて審査が行われ、支給の可否が決定されます。
支給が決定した場合、家主に直接振り込まれます。
東京都や大阪市などの自治体では、住居確保給付金に加えて、独自の家賃支援制度を設けています。
ここで、それぞれの家賃支援制度について解説します。
東京都では、住居確保給付金に加え、特定の条件を満たす世帯に対して追加の家賃支援を行っています。
具体的な支給額や条件は、各区の福祉事務所で確認可能です。
大阪市でも住居確保給付金に基づく支援が行われています。
特に、低所得者向けの家賃補助制度が設けられているのが特徴です。
こちらについても、詳細は市の公式サイトや窓口で確認しましょう。
こうした制度を利用することで、家賃の支払いが困難な状況を乗り越える手助けとなります。
家賃滞納のリスクを避けるためにも、早めに相談し、必要な支援を受けてください。
参考:住居確保給付金(家賃補助)について
家賃滞納は、誰にでも起こり得る身近な問題です。
物価高や収入減が続く今、少しの油断で家賃が払えなくなるかもしれないと不安を抱える人は多いでしょう。
しかし、早めに家計を立て直す工夫をすれば、滞納のリスクは確実に減らせるはずです。
出典:東京の家賃相場|一人暮らし向けランキングや治安についても解説!
ここでは、
といった3つの観点から、現実的で続けやすい対策を紹介します。
家計について、難しく考える必要はありません。なんとなく支出を減らすだけで変わります。
家賃滞納を防ぐ第一歩は、お金の流れを正確に把握することです。
多くの人が陥るのは、なんとなく使っているお金の多さに気づかないことです。
例)
1回あたりは小額でも、積み重なると大きな出費になるでしょう。
家計簿をつけるのが面倒なら、スマホの家計管理アプリを使うのがおすすめです。
銀行口座やクレジットカードを自動連携できるため、手間をかけずにも、今月どこにいくら使ったかを一目で確認できます。
支出の傾向がわかれば、この出費は本当に必要?と考える意識が自然に芽生えるでしょう。
家計の中で最も大きな支出が家賃です。
理想的な家賃の目安は、手取り月収の25〜30%とされています。
しかし、近年はこれを超えてしまうケースが増えています。
もし収入に対して家賃が重すぎると感じたら、思い切って住居の見直しを検討してください。
例)
生活の質を大きく落とさずに固定費を下げる選択肢もあります。引っ越し=負けという発想になるのではなく、生活を守るための前向きな選択として捉えましょう。
サブスク・保険・通信費の3項目を見直してみましょう。
固定費削減は、家賃滞納を防ぐうえで最も効果が大きい方法です。
特に見直したいのは、下記の3つのコストです。
出典:2023年、サブスクリプション型アプリの収益化が重要視される理由
動画配信・音楽・オンライン学習など、契約しているものの中で最近使っていないものはすぐ解約しましょう。
たった1件でも月1000円〜2000円が浮きます。
内容を見直して、重複している保障は外し、掛け捨てに変えるだけでも数千円〜数万円の節約になるはず。
大手キャリアではなく、格安SIMやネット回線の乗り換えると節約効果が期待できます。
大手キャリアから変更するだけで、月に5000円以上安くなることが多いです。
光熱費も、毎月の小さな工夫で節約可能です。
例)
こうした小さな習慣を積み重ねるだけで、月1000〜2000円の差が出てくるでしょう。
また、各自治体や電力会社では、低所得世帯向けの料金割引制度が設けられている場合があります。
支払いが難しいときは、滞納する前に一度相談してみるのも有効です。
出典:クラウドソーシングとは?企業が活用するメリット・デメリットを紹介
本業一本だと不安定な時代です。
コロナ以降、副業を認める企業は増え、収入源を複数持つ人が増えています。
家賃滞納を防ぐためには、一時的でも副収入を得る手段を持つといざというとき役立つでしょう。
副業の例として、次のようなものがあります。
在宅ワークはパソコンやスマホがあれば始められ、特別なスキルがなくても挑戦しやすいのがメリットです。
出典:クラウドソーシングとは?意味やメリット、活用例、発注の手順を解説
メルカリやラクマなどのフリマアプリを活用すれば、自宅の不用品をお金に換えることも可能です。
これ誰か使ってくれるかもと思うものは、積極的に出品してみましょう。思わぬ臨時収入になることがあります。
また、自分の得意分野を活かせるスキルシェアサービスもおすすめです。
このように、好きなことを教えたり販売したりして収入につなげる人も増えています。自分の特技が、生活を支える力になる可能性があります。
家賃の支払いに不安を感じているときほど、人は焦りや自己嫌悪に陥りがちです。
だなんて、ご自身を責めてしまっていませんか。
しかし、今の社会状況を考えれば、家賃の支払いに苦しむのはあなただけではありません。
まずは冷静に、どうすれば改善できるかを考えてください。
支出を減らす・収入を増やすという具体的な行動を積み重ねていくことで、少しずつ気持ちの余裕は戻ってくるはずです。
また、困ったときは遠慮せず、支援機関や家主に相談する勇気を持ちましょう。
誠実に相談すれば、思いがけず理解を得られる場合があります。
相談することは決して弱さではなく、自分と生活を守るための強さです。
小さな行動の積み重ねが未来を変えます。
家賃滞納は突然訪れるものではなく、少しずつの無理の積み重ねから始まるもの。
だからこそ、少しずつの改善で立て直すことが可能です。
これら3つを意識するだけで、今月は払えるかなという不安から、大丈夫、なんとかなるという安心に変わるでしょう。
お金の問題は、誰にでも起こり得るものです。
大事なのはひとりで抱え込まないことです。
早めに手を打ち、少しずつ生活を整えていけば、来は明るくなるでしょう。
参考:離職や解雇、やむを得ない休業等で生活に困窮する方へ
家賃の支払いが難しくなったとき、もうダメだとあきらめる前に、まずは利用できる制度を確認してみましょう。
国や自治体には、生活を立て直すための支援制度が、多く用意されています。
ここでは、代表的な3つの制度について紹介します。
家賃支援の代表格といえるのが、前述した住居確保給付金です。
失業や収入減などで家賃の支払いが難しくなった人に対し、原則3か月間(最長9か月)、家賃相当額を自治体が直接大家に支払う仕組みです。
【主な対象者】
給付される金額は地域によって異なりますが、実際の家賃上限の範囲内で支給されます。
たとえば東京都23区なら、単身世帯で月額5万円台、二人世帯なら6万円台までが目安です。
申請は、住んでいる市区町村の自立相談支援機関で行います。
面談で状況を伝え、必要書類を提出すれば審査が行われます。
支給が決まれば、家賃分が直接振り込まれるという流れです。
家主に直接支払われるため、使い込みの心配がない点でも安心です。
家賃だけでなく、生活そのものが苦しいときに利用できるのが、生活福祉資金貸付制度です。
各自治体の社会福祉協議会が窓口となっており、無利子・保証人不要でお金を借りることが可能です。
一時的な資金(10〜20万円程度)を貸し付ける制度。失業や病気などで急に収入が減った場合に利用可能。
生活再建を目的に、原則3か月分の生活費を貸し付ける制度。必要に応じて家賃や公共料金の支払いにも使える。
返済は原則1年後から開始、分割で無理のないスケジュールを組めるため、短期間の生活立て直しに役立つ。
特に、住居確保給付金と併用できるケースもあり、同時申請すればより安定した支援を受けられる。
どうしても家賃の支払いが難しく、他の制度でも生活再建が困難な場合は、生活保護の住宅扶助もひとつの選択肢。
住宅扶助とは、生活保護の受給者に対して、自治体が家賃を負担してくれる制度です。
世帯人数や地域によって上限額が定められています。
生活保護は最後の手段と考える方は多いですが、憲法で保障された最低限度の生活を守るための公的制度です。
失業や病気などで一時的に困窮した人も対象となるため、ためらわず相談してほしい制度のひとつといえます。
申請は、最寄りの福祉事務所で行います。
生活状況を説明し、必要書類を提出して審査を受ける流れです。
受給が決定すれば、家賃は自治体から直接家主へ支払われます。
一部の市区町村では、国の制度とは別に独自の家賃補助制度を設けています。
例)
このように、地域の実情に合わせた制度が多く存在します。
たとえば、東京都世田谷区では、世田谷区住宅手当制度があり、民間賃貸住宅に住む低所得世帯を対象に家賃の一部を助成しています。
こうした自治体独自の制度は、意外に知られていないことが多いです。
お住まいの市区町村の公式サイトや、役所の住宅課に問い合わせて確認してみましょう。
家賃を滞納しそうになったとき、焦るあまりつい取ってしまいがちな行動があります。
しかし、これらは状況をさらに悪化させる原因になるため、控えましょう。
最もやってはいけないのが、大家さんや管理会社からの連絡を無視することです。
支払いが遅れても、誠実に事情を話せば、猶予や分割払いなどの相談に乗ってくれる場合があります。
黙って連絡を取らないままでいると、支払う意思がないと判断され、契約解除や立ち退き請求へ発展する恐れがあります。
どんなに言いづらくても、
と正直に伝えましょう。それが信頼を保つ第一歩です。
消費者金融やカードローンで一時的に家賃を払おうとするのは、とても危険です。
確かに、とりあえず今月を乗り切れると思うでしょう。しかし、翌月以降に返済が追いつかなくなり、多重債務の連鎖に陥るケースはよくあります。
家賃の支払いが難しい場合は、まず借金ではなく、公的支援制度の活用を検討すること。
借金で穴埋めをしても根本的な解決にはなりません。
もう払えないから出ていこうと、無断で退去してしまうのはNGです。
契約書には、退去の際は〇日前までに申告というルールがあるのが一般的。
これを破ると、敷金が返ってこなかい、残りの家賃を請求されるなどして、結局不利になるでしょう。
また、部屋の原状回復費用が後から高額で請求されるケースもあります。
そのため、退去を考えるときは、必ず大家や管理会社に相談してから行動しましょう。
滞納を放置しているうちに、次の家賃の支払い日が来てしまい、結果的に2~3か月分たまってしまうことがあります。
こうなると分割払いでさえ厳しくなるでしょう。
最悪の場合は、訴訟・強制退去につながることさえあります。
払えないと気づいた時点で、すぐに動くことが何より大切です。
支援制度の相談窓口や、自治体の生活支援課に連絡するだけでも状況は変わります。
家賃滞納は、決して怠けているから起きる問題ではありません。
など、誰にでも起こりうる現実的なリスクです。
しかし、国や自治体には、
など、生活を守るための仕組みがしっかりと整っています。
滞納しそうなときこそ、黙らずに相談することが何よりの解決策です。
お金の問題は、行動の早さが命です。
一歩早く動けば、立ち退きや信用情報への悪影響を防げるでしょう。
今さら相談しても遅いと思わず、今日できることから始めてください。
参考:住まいに困っている
家賃滞納は誰にでも起こり得ることです。
物価高や収入減で支払いが難しくなっても、
などの支援制度があります。
大切なのは、放置せず早めに相談すること。
行動が早いほど、使える制度や解決策が増えます。
また、
なども効果的です。
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家賃の支払いが厳しくなった場合には自治体などの公的支援を受けることが可能になる場合があります。それが住宅確保給付金です。給付の要件にはハローワークへの求職活動など所定の要件が課されています。まずは自治体にご相談をされると良いでしょう。