Go-Tech事業とは?公募要領の要点をまとめました!
Go-Tech事業は、中小企業が大学や公的な研究機関と協力して、事業化を見据えた研究開発や試作品の作成、販路拡大に取り組む際に補助が受けられる制度です。本コラムではGo-Tech事業の概要と、令和7年度の公募スケジュールなど分かりやすく紹介します。

この記事を監修した専門家

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
Go-Tech事業とは?
Go-Tech事業とは、中小企業の“研究開発”と“事業化”を応援する国の支援制度です。
Go-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)は、中小企業が大学や公的な研究機関と一緒に取り組む研究開発・試作品づくり・販路開拓などの活動を、最大3年間にわたり国が支援する制度です。
特に、成果が実際のビジネスにつながる可能性が高いプロジェクトを重点的にサポートします。
また、これまで実施されていた「サビサポ事業(商業・サービス競争力強化連携支援事業)」や「サポイン事業(戦略的基盤技術高度化支援事業)」は、2022年度(令和4年度)からこのGo-Tech事業に一本化されました。
出典:中小企業庁gotechナビ
Go-Tech事業の対象者
Go-Tech事業に応募できるのは、中小企業や小規模事業者が中心です。
ただし、単独では申請できず、大学や公設試験研究機関などと一緒に、2者以上の共同体(コンソーシアム)を組む必要があります。
共同体の中心は、中小企業や小規模事業者です。

たとえば、こんな組み合わせが該当します。
- 中小企業 + 大学
- 小規模事業者 + 地方自治体の研究機関
- 中小企業 + 大学 + 試験研究機関 など
また、大学や公設試験研究機関などが「従たる研究機関」または「アドバイザー」として参加することが必須条件です。
共同体を組む相手を探すには、当サイトの検索機能をご活用ください。この機能では、共同体を構成するために必要な事業管理機関や研究実施機関を簡単に検索できます。
事業管理機関の検索はこちら
研究実施機関の検索はこちら
Go-Tech事業の申請方法
申請の手続きは、国の研究開発申請専用システム「e-Rad(イーラド)」で行う予定です。
このシステムの利用には事前の登録や手続きが必要で、完了までに時間がかかることもあるため、余裕をもって準備を始めましょう。
申請の流れについては後述いたします。
e-Rad(イーラド)の公式サイトはこちら!
Go-Tech事業の補助上限・補助率
Go-Tech事業には、以下の2つの申請枠があります。
通常枠:一般的な研究開発プロジェクト向け
出資獲得枠:民間ファンド等から出資を受ける予定があるプロジェクト向け(より高額な支援)
| 通常枠 | 出資獲得枠 |
事業期間 | 最大3年間(2年または3年) |
補助上限 | 単年度あたり:4,500万円以下 2年間合計:7,500万円以下 3年間合計:9,750万円以下 | 単年度あたり:1億円以下 2年間合計:2億円以下 3年間合計:3億円以下 |
補助率 | 中小企業等:2/3以内 大学・公設試等:定額 |
Go-Tech事業の対象経費
- 人件費・謝礼等
- 機械装置等の設備備品費
- 消耗品費、委託費 など
Go-Tech事業で購入した機械装置は、補助金交付の目的に従って運用し、経済産業大臣が定めた期間内に処分する場合は事前承認が必要です。
【使用・処分に関するルール】
- 補助金の交付目的に反する使用、譲渡、交換、貸付、担保設定、廃棄などを行う場合は、事前に経済産業大臣の承認を受けなければなりません。
- 処分を行った場合、得た収益の一部を国に納付する義務があります(納付額は当該財産に係る補助金額が上限)。
【転用の場合の例外】
- 機械装置を研究成果を活用するために転用(所有者の変更を伴わない目的外使用)する場合は、事前承認を得ることで納付義務が免除されます。
- ただし、収益納付は免除されません。
補助金で取得した機械装置は厳密な条件下で管理・運用し、事前承認が必要な場合は必ず手続きを行ってください。
Go-Tech事業の対象となる研究開発
対象となる研究開発は、「特定ものづくり基盤技術」(※)として、国が高度化指針にて定めております。
企業ニーズに基づき、求められる「用途」に着目した12技術で構成されています。
※特定ものづくり基盤技術分野
- デザイン開発に係る技術
- 情報処理に係る技術
- 精密加工に係る技術
- 製造環境に係る技術
- 接合・実装に係る技術
- 立体造形に係る技術
- 表面処理に係る技術
- 機械制御に係る技術
- 複合・新機能材料に係る技術
- 材料製造プロセスに係る技術
- バイオに係る技術
- 測定計測に係る技術
事業期間
研究開発期間は最大3年とされていますが、一度採択されても期間が保証されるわけではありません。
国の会計基準に基づき、補助金は単年度ごとに交付決定されます。
各年度の後半に行われる中間評価ヒアリングで研究の進捗状況が確認され、その後の評価委員会で次年度の継続が妥当と判断された場合にのみ、次年度も研究を続けることが可能です。
評価結果によっては、計画の変更や研究開発の縮小・中止になることもあるため、全期間の保証はありません。
Go-Tech事業の申請の流れ
Go-Tech事業の申請の流れは以下のとおりです。
- 共同体の構築
- e-Radへの登録
- 申請書類の作成と提出
- 審査と採択
- 採択後の手続き
出典:中小企業庁
1. 共同体の構築
Go-Tech事業への申請は、単独の中小企業では行えません。以下の2者以上で構成される共同体を組む必要があります。
- 中小企業者等(主たる研究実施機関)
- 事業管理機関(申請手続きや進捗管理を担当)
- 研究等実施機関(大学や公設試験研究機関など)
共同体の構成員は、日本国内において事業を営み、本社を置き、かつ、研究開発等を行う必要があります。
2. e-Radへの登録
申請は「e-Rad(府省共通研究開発管理システム)」を通じて行います。そのため、事業管理機関は以下の登録手続きを行う必要があります。
- 研究機関の登録:e-Rad上で研究機関としての登録を行います。
- 研究者の登録:事業管理機関の担当者を研究者として登録し、研究者IDおよびパスワードを取得します。
- e-Radへのログイン:取得したIDとパスワードを使用してe-Radにログインします。
登録手続きには2週間程度を要する場合があるため、余裕をもって進めてください。
3. 申請書類の作成と提出
申請書類は、事業管理機関が作成し、e-Rad上で提出します。提出方法は以下の通りです。
- 申請書類の作成:公募要領に基づいた申請様式を使用して作成します。
- e-Rad上での提出:e-Rad上の本事業の公募に関するサイトにおいて、申請情報の入力を行い、申請書類のファイルをアップロードします。
- 申請情報の確認と登録:申請情報ファイルの内容に不備がないことを確認してから「確認・実行」ボタンをクリックし、登録を完了します。
申請書類の提出は、e-Rad上でのみ受け付けられます。持参、FAX、郵送、電子メール等による提出は受け付けられません。
4. 審査と採択
提出された申請書類は、中小企業庁にて全国一律に審査されます。審査基準は以下の3つの観点から行われます。
- 技術面:研究開発の技術的な内容や新規性。
- 事業化面:研究成果の事業化の可能性や市場性。
- 政策面:国の経済産業政策との整合性や社会的意義。
審査結果の発表までには、公募締切から約1ヶ月半程度を要します。
5. 採択後の手続き
採択された場合、以下の手続きを行います。
- 交付申請:補助金の交付申請を行います。
- 事業実施:研究開発を実施し、進捗報告や実績報告を行います。
- 成果報告:事業終了後、成果報告書を提出します。
参考:Go-Techナビ
採択率
平均採択率は約49%です。
| 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
令和6年度(全国) | 228 | 114 | 約50% |
令和6年度(関東) | 80 | 33 | 約41% |
令和5年度(2回) | 76 | 41 | 約54% |
令和5年度(1回) | 170 | 83 | 約49% |
補助金交付候補者の採択想定件数は以下のとおりです。
通常枠 | 出資獲得枠 |
100件程度(予定) | 4件程度(予定) |
Go-Tech事業の公式サイト
Go-Tech事業の公募期間
令和7年2月17日(月)~ 令和7年4月18日(金)17時まで
Go-Tech事業の公募期間、2025年度は1回のみ!
また、2025年度は2回目の公募は実施されない予定です。
この1回のチャンスを逃さないよう、早めの準備をおすすめします。
Go-Tech事業の活用事例
1. みかんの皮から化粧品原料を開発!【愛媛製紙株式会社】
愛媛県の製紙会社が、捨てられていたイヨカンの皮に注目。
大学と連携して、皮から「セルロースナノファイバー」という高機能素材を取り出し、化粧品などの原料として再利用できるようにしました。
地元の特産品を活かしながら、新しい市場を開拓する好例です。
2. 糖尿病患者にやさしい“痛くないインスリン注射器”を開発【株式会社アイカムス・ラボ】
「毎日インスリンを注射する患者さんの負担を減らしたい」
そんな想いから、小型で痛みの少ない電動インスリン投与装置を開発。
医療機関との連携で、患者の投与管理もできる新しい医療機器として注目されています。
医療分野の社会課題に、ものづくり技術で応えた好事例です。
3. 繊維の技術を応用して“次世代バッテリー素材”を開発【テックワン株式会社】
繊維業界で使われていた紡糸技術を活かして、電気自動車向けの新しいリチウムイオン電池材料を開発。
長持ちして大容量のバッテリー素材として、今後の普及が期待されています。
まったく異なる分野への挑戦が、新たなビジネスチャンスを生み出しました。
Go-Tech事業の活用事例はこちらから!
Go-Tech事業に関するよくある質問
Q1:Go-Tech事業を利用するには、どんな手続きが必要ですか?
A:申請は「e-Rad(府省共通研究開発管理システム)」を通じて行います。
まずは共同体(中小企業+大学や研究機関など)を組んだうえで、公募要領に従って申請書を作成・提出する必要があります。
申請の流れは以下の通りです:
- 共同体のメンバー決定
- 研究テーマや事業計画の整理
- e-Radでのアカウント登録
- 必要書類の作成・提出(ISICOなど支援機関のサポートを活用できます)
事前相談も可能なので、まずは地域の支援機関に相談するのがおすすめです。
Q2:どんな支援が受けられるのですか?補助金以外にも何かありますか?
A:Go-Tech事業では、以下のような資金・専門支援の両面からサポートが受けられます。
- 最大9,750万円または3億円の補助金(事業規模や枠による)
- アドバイザーによる技術面・事業化へのアドバイス
- ビジネスマッチング支援(大学・企業との連携先紹介)
- 採択後のフォローアップや進捗確認支援
つまり「資金だけでなく、実現に向けたサポートも手厚い」のがGo-Techの特長です。
Q3:どんな企業が対象になりますか?うちのような中小企業でも大丈夫?
A:はい、中小企業基本法で定められた中小企業であれば対象です。
特に以下のような企業に向いています:
- 新製品や新技術の開発に挑戦したい
- 大学や研究機関と連携して研究開発を進めたい
- 補助金を活用して事業化・量産化につなげたい
「研究は初めて」「大学とのつながりがない」という場合でも、地域支援機関が共同体の組成をサポートしてくれますので、ぜひ相談してみてください。
Q4:過去にGo-Tech事業を使って成功した企業はありますか?
A:はい、数多くの成功事例があります。たとえば、
- 次世代自動車向けの軽量素材を開発し、大手メーカーとの取引に成功した事例
- AIを活用した生産ラインの自動化により、工場の省人化と品質向上を実現した中小企業
- 地域の大学と連携して新素材を開発し、特許取得と新市場参入につなげた例もあります
これらの事例は「技術はあるけど資金やネットワークが足りない」という中小企業が、一歩を踏み出して成果につなげた好例です。
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厳しい審査をクリアする必要があり、4社に1社しか通過できない難関補助金も多いのです。
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監修者からのワンポイントアドバイス
本補助金は補助金額が非常に大きいのが魅力です。共同体を組んで申請を行う必要があるため補助金申請には入念な準備が必要となります。研究志向型の中小企業で技術はあるが資金面でのサポートが欲しい事業者は検討してみると良いでしょう。