【3分でわかる】フリーランス新法をわかりやすく徹底解説!

フリーランス必見!2024年11月からのフリーランス新法で、何が変わるのかイラスト付きでわかりやすく解説。 契約内容の明確化、報酬の遅延防止など、働き方が安定します!
中本 明日香

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この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。


フリーランス新法とは?わかりやすく解説

フリーランス新法とは、簡単に言うとフリーランスが安心して働ける環境を整えるために2024年11月から施行される法律です。
働き方の多様化が進展し、フリーランスという働き方が増えている一方、フリーランスが取引先との関係でさまざまな問題・トラブルを経験していることが顕著になっています。

このことから、以下のことを目的とした法律が開始されます。

  • 取引の適正化:フリーランスと発注事業者の間での契約条件や報酬の支払いについて明確なルールを設け、不当な取引を防ぎます。
  • 就業環境の整備:フリーランスが安心して働けるよう、ハラスメントの防止や育児・介護との両立などの配慮を促進します

フリーランス新法の実施サイクル
この中でたとえば、これまであいまいだった「仕事の内容」や「報酬」が、契約書にしっかり書かれるようになります。これにより、トラブルを防ぎ、安心して仕事に取り組めるようにります。
参考:厚生労働省

フリーランス新法の開始はいつから?

フリーランス新法は、2024年11月1日に施行されます。
この法律は、2023年4月28日に可決され、同年5月12日に正式に公布されました。

フリーランス新法の対象者は?

フリーランス新法の対象者表
フリーランス新法の対象となるのは、以下の条件を満たす「特定受託事業者」と呼ばれる事業者です。

  • 個人事業者であること
  • 従業員を雇用していないこと
  • 特定業務委託を受けていること

※物品の製造、情報成果物の作成、または役務の提供といった業務を、他の事業者から委託を受けて行っていること。

つまり、フリーランス新法は、個人で事業を行い、他の企業から仕事を請け負っている人たちを対象としています。
また、フリーランス新法で発注者となる事業者として、以下の企業がこの法律の対象となります。

企業の条件

【特定業務委託事業者】

  • フリーランスに業務委託を行う従業員を使用する個人
  • フリーランスに業務委託を行う役員がいる、または従業員を使用する法人

【業務委託事業者】
フリーランスに業務委託をする事業者(フリーランスも含まれます)

フリーランス新法の対象外となる事業者

以下のような事業者も「フリーランス」と呼ばれることがありますが、フリーランス新法においては対象外となります。

  • 従業員を雇用している
  • 一般の消費者がお客さん(取引をしている)

フリーランスとは?個人事業主との違いは?

一般的に「フリーランス」と呼ばれる人は、さまざまな形態で働く人々を含みますが、フリーランス新法でいう「フリーランス」は、上記で説明した「特定受託事業者」に該当する人を指します。
この法律でいうフリーランスの特徴としては、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者のことを指します。

  • 個人事業主: 事業を行っている個人の総称
  • フリーランス新法の対象となるフリーランス: 個人事業主のうち、従業員を雇用せず、特定の業務を委託を受けて行っている人

フリーランス新法に該当する取引と該当しない取引

該当する取引 該当しない取引

該当する取引

  • 特定業務委託: 物品の製造、情報成果物の作成、または役務の提供を、他の事業者から委託を受けて行う取引。
  • 事業者間の取引: 企業とフリーランスのような、事業者同士の取引が対象となります。

該当しない取引

  • 一時的な雇用: 短期間のアルバイトやパートのような雇用は対象外です。
  • 消費者向けの取引: 一般消費者とフリーランスの取引は対象外です。


フリーランス新法で変わる7つのポイントをわかりやすく解説!

フリーランス新法とは2024年11月から開始するフリーランス新法で変わるのは主に以下の7つのポイントです。
これまで曖昧だった部分が明確に法律化され、頻発したトラブルを解消させることが目的とされています。

これらを、わかりやすく解説します。

  1. 取引条件の明示義務
  2. 報酬の支払期日
  3. 禁止される不当行為
  4. ハラスメント対策
  5. 育児や介護との両立の配慮
  6. 中途解除の事前申告
  7. 募集情報の的確表示義務

1.取引条件の明示

発注事業者は、フリーランスに業務委託する際、業務内容や報酬、支払期日などの条件を文書や電子データで明示する義務があります。
取引条件の明示

2.報酬の支払期日

発注事業者は、物品やサービスを受け取った日から60日以内に報酬を支払わなければなりません。
再委託の場合、元委託者からの支払期日から30日以内に支払う必要があります。
支払義務の順序

3.禁止行為

フリーランスに対し、以下の7つの不当な取引を禁止します。

  1. 受領拒否
  2. 報酬の減額
  3. 返品
  4. 買いたたき
  5. 購入・利用強制
  6. 不当な経済上の利益の提供要請
  7. 不当な給付内容の変更・やり直し

フリーランス新法を違反した場合
フリーランス新法に違反した場合、公正取引委員会や中小企業庁、厚生労働省の担当者が助言や指導、報告の要求や現地調査、勧告や公表、命令等の対応を行います。
さらに、命令に従わなかったり、調査を拒否した場合には、50万円以下の罰金が科されることがあります。また、この罰金は法人に対しても適用されます。

4.ハラスメント対策

フリーランスのはランス防止発注事業者は、フリーランスへのハラスメントを防ぐため、以下の対策を講じる義務があります。

  1. 相談体制の整備:ハラスメントに関する相談に対応できる窓口を設け、適切に対応する体制を整えます。
  2. ハラスメントの防止策:セクシュアルハラスメントやパワーハラスメント、妊娠・出産に関連するハラスメントを防ぐための方針を明確にし、従業員に周知します。
  3. 不利益な取り扱いの禁止:ハラスメントに関する相談を行ったことを理由に、フリーランスを不利に扱うことを禁止します。

これらの措置を通じて、フリーランスが安心して働ける環境を提供することが求められます。

5.育児・介護との両立配慮

フリーランスのワークライフバランスフリーランスが育児や介護を理由に業務の調整を申し出た場合、可能な範囲で配慮しなければなりません(例えば、納期の延長やリモート作業の許可など)。

たとえば…
・「子の急病により予定していた作業時間の確保が難しくなったため、納期を短期間延長したい」との申出に対し、納期を変更すること
・「介護のために特定の曜日についてはオンラインで就業したい」との申出に対し、一部業務をオンラインに切り替えられるよう調整すること など
※やむを得ず必要な配慮を行うことができない場合には、配慮を行うことができない理由について説明することが必要。

6.中途解除の事前予告

契約解除の条件
発注事業者が6か月以上の契約を解除する場合、30日前に予告し、必要に応じて理由を開示する義務があります。

7.募集情報の的確表示義務

特定業務委託事業者は、募集情報を的確に表示するため、広告等によりフリーランスの募集を行うときは、以下のことを行わないこと。

  • 虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない
  • 正確かつ最新の内容に保たなければならない。

free-lance募集の厳守

フリーランスと企業、どちらにもメリットがある

フリーランス新法がもたらす、フリーランスと企業双方へのメリット

フリーランス新法は、フリーランスの働き方をより安定させることを目的とした法律ですが、実は企業にとっても大きなメリットがあります。

透明性の向上でトラブル防止に繋がる

新法により、契約内容が明確化され、透明性が高まります。これにより、以下の様なトラブルが防止できます。

  • 報酬の未払い:契約書に報酬額や支払い時期が明記されるため、報酬の未払いトラブルが減ります。
  • 業務範囲の曖昧さ:業務内容が明確化されることで、後から「こんな仕事は頼んでいない」といったトラブルを防ぎます。
  • 契約期間の曖昧さ:契約期間が明確化されることで、いつまで仕事をするのかという不安を解消できます。

フリーランス新法の双方のメリット

企業側のメリット

  • 企業イメージの向上:法遵守企業としてのイメージ向上につながり、優秀なフリーランスの獲得に繋がる可能性があります。
  • リスク管理の強化:契約内容が明確化されることで、法的なリスクを軽減できます。
  • 業務効率化:契約書の作成や管理が効率化され、人事労務部門の負担を減らすことができます。

フリーランス側のメリット

  • 労働条件の改善:報酬の遅延や業務範囲の拡大といったトラブルを防止できます。
  • 働き方の安定化:契約内容が明確化されることで、安心して仕事に取り組むことができます。
  • キャリアアップ: 法律遵守企業との取引実績は、今後のキャリアアップに繋がる可能性があります。

フリーランス新法の準備はどう進めるべき?

企業が今から準備しておくべきポイント

委託事業者の準備

  • 契約書の見直し: 新法に沿った契約書を作成・見直す。
  • 従業員の教育: 新法の内容を従業員に周知徹底する。
  • 社内システムの整備: 契約書管理システムなどの導入を検討する。
フリーランスとして準備すべきこと

フリーランス側の準備

  • 契約書の内容をよく確認する: 不明な点は契約前に確認する。
  • 証拠を残す: 契約書やメールなどの証拠を保管する。
  • 専門家への相談: 法律的な問題が生じた場合は、弁護士などの専門家へ相談する。

フリーランス新法の気になる質問に回答します!

Q1: フリーランスが従業員を一時的に雇う場合、この法律の対象になりますか?
A: いいえ、フリーランスが短期間や一時的に労働者を雇う場合は「従業員を使用」とは見なされません。
従業員を長期間(31日以上)雇う場合のみ、「従業員を使用している」と見なされ、この法律の適用対象外になります。

Q2: フリーランスとして働いているが、契約上「労働者」ではなくても、この法律は適用されますか?
A: 法律上の「労働者」でない場合でも、フリーランスとして業務委託契約を結んでいる場合は、フリーランス新法が適用されます。
ただし、労働者として働いている場合は、労働基準法などの労働関係法令が適用されます。

Q3: 同居している家族を雇っている場合はどうなりますか?
A: 同居している親族を従業員として扱っている場合でも、「従業員を使用している」とは見なされません。
そのため、家族だけで運営している個人事業主はフリーランス新法の対象となります。

Q4: 業務委託が副業で行われている場合も適用されますか?
A: はい、フリーランスとして副業を行っている場合でも、その業務が業務委託契約に基づいているなら、フリーランス新法の適用対象となります。

Q5: フリーランスに対する報酬を現金以外で支払うことは可能ですか?
A: はい、フリーランスに対する報酬は現金以外でも支払うことができます。
ただし、支払い方法が現金以外の場合には、その方法について事前に明示しておく必要があります。

Q6: フリーランスがハラスメントを受けた場合、どこに相談すればいいですか?
A: ハラスメントに関する問題は、フリーランス自身が発注事業者に設けられた相談窓口に報告できます。さらに、問題が解決しない場合は、公正取引委員会や中小企業庁にも相談が可能です。

Q7: 報酬の支払いが遅れた場合、どのように対処すればいいですか?
A: フリーランス新法では、報酬は原則として給付を受けた日から60日以内に支払われることが義務付けられています。
これに違反した場合、フリーランスは発注者に対して是正を求めることができます。

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