個人事業主が受けられる融資って何がある?融資後の事業計画も解説

「個人事業主でも受けられる融資は何があるんだろう」 「個人事業主は信用力がないって聞くし、融資を受けられるか不安」 個人事業主として融資を受けるとき、このような悩みはありませんか? 今回は個人事業主が融資を受ける際の不安を払拭します。
井上 雅也

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個人事業主が受けられる融資は何がある?融資後の事業計画も解説

個人事業主が受けられる融資って?

はじめに個人事業主が受けられる融資を解説します。

  • ビジネスローン
  • ノンバンク融資
  • 日本政策金融公庫
  • 地方自治体の融資制度
  • 信用保証協会の保証付き民間融資
  • 事業用クレジットカードのキャッシング

ビジネスローン

個人事業主が受けられる融資の1つ目は、ビジネスローンです。主に銀行が提供する事業資金専用のローンで、運転資金や設備投資に利用されます。

ビジネスローンの金利は約3%〜15%程度です。返済期間は1年〜5年と言われており、高額な融資を受ける際は10年に設定されることもあります。

ビジネスローンは保証人や担保なしで利用できる融資もありますが、高額な融資を受けるときには担保や保証人が必要なケースが多いです。

申請期間は数日から数週間程度で、比較的早く資金調達ができる反面、金利が高く設定されているので、計画的に利用しましょう。

金利返済期間担保・保証人申請期間
3%〜15%1年〜5年原則必要
(融資によって不要)
数日〜数週間

ノンバンク融資

2つ目はノンバンク融資です。ノンバンク融資は、銀行以外の金融機関(消費者金融や信販会社)が融資を提供しています。

銀行よりも審査が柔軟で、手続きも簡略化されているので、急な資金調達が必要になった場合におすすめの融資です。

しかし金利が約5%〜20%と高く、返済期間も1年以内が多いです。申請期間は数日から数週間程度なので銀行融資と似ています。

金利が高い代わりに無担保・無保証人で提供しているので、担保がない個人事業主でも簡単に融資が受けられるのです

金利返済期間担保・保証人申請期間
5%〜20%基本1年以内不要数日〜数週間


日本政策金融公庫

3つ目は日本政策金融公庫です。公的機関として、主に個人事業主や中小企業向けに新規開業時や運転資金などを提供しています。

日本政策金融公庫は比較的低金利で、約1%〜3%であるのが特徴です。返済期間も長く、5年〜10年程度の長期的な返済が可能です。

原則として担保や保証人が必要ですが、「新創業融資制度」という融資制度も用意されているため、担保や保証人が不要な場合もあります。

申請期間はやや長めで、2週間〜3週間程度かかります。申請のタイミングには注意しましょう。
日本政策金融公庫:融資制度

金利返済期間担保・保証人申請期間
1%〜3%5年〜10年原則必要
(制度により不要)
2週間〜3週間


地方自治体の融資制度

4つ目は地方自治体の融資制度です。地方自治体が信用保証を提供し、金融機関と連携して資金を提供する仕組みとなっています。

地方自治体の融資制度の金利は、自治体によって異なりますが、約1%〜4%程度が平均です。

返済期間も自治体によって異なり、5年〜10年くらいのスパンで返済します。公的期間なので低金利、長期の返済が特徴です。

保証人や担保は原則不要なケースが多いですが、自治体によって求められるケースがあるので、よく確認してから融資を受けましょう。

信用保証を提供するため、申請までの期間は数週間〜数ヶ月程度と長期にわたる可能性があるので、余裕を持って融資を受けるようにしてください。

金利返済期間担保・保証人申請期間
1%〜4%5年〜10年不要
(条件により必要)
数週間〜数ヶ月

信用保証協会の保証付き民間融資

5つ目は信用保証協会の保証付き民間融資です。この融資は信用保証協会が保証することで、個人事業主が担保や保証人を用意せずに受けられるものです。

金利は比較的低く、2%〜5%で設定されています。返済期間も3年〜10年と、長期的な設定なので、事業の計画や成長に合わせることができます。

信用保証協会が保証を行うので、基本的に担保・保証人は不要です。ですが保証料が発生するので、保証料のコストを踏まえていく必要があります。

信用保証協会と融資先の両方で手続きが必要となるため、審査期間は数週間〜数ヶ月程度を想定しておきましょう。
全国信用保証協会連合会

金利返済期間担保・保証人申請期間
2%〜5%3年〜10年不要
(条件により必要)
数週間〜数ヶ月


事業用クレジットカードのキャッシング

6つ目は事業用クレジットカードのキャッシングです。この融資は、短期的な資金調達手段として用いられるケースが多いです。

事業クレジットカードのキャッシングの金利は、約10%〜18%程度で、返済期間も1ヶ月〜数ヶ月程度と短いことが分かります。

申請期間も即日で行え、手続きも非常に簡単。無担保・無保証人で利用できるので、急な資金調達に向いているのです。

しかし金利がかなり高いので、長期的な融資には向きません。返済負担を考慮しながら融資を受けるようにしましょう。

金利返済期間担保・保証人申請期間
10%〜18%1ヶ月〜数ヶ月不要即日〜

個人事業主が融資を受けるメリット

個人事業主が融資を受けるメリットを3つ解説します。

  • 資金繰りの安定
  • 成長投資が可能になる
  • 金利による節税が期待できる

資金繰りの安定

メリットの1つ目は、資金繰りが安定することです。新規開業や事業拡大時において、運転資金やまとまった資金が必要となります。

融資を受けることで、資金不足による事業の停滞を防ぎ、必要なタイミングで必要な事業投資ができるのです。

また、予想外の出費や経営状況の変化に柔軟に対応する目的で、あらかじめ融資を受けて余裕を持っておくとより事業が安定します。

成長投資が可能になる

2つ目は成長投資が可能になることです。融資を受けることにより、自社の成長に向けて積極的にお金を使うことができます。

たとえば新しい設備の導入、事務所や事業施設の確保、資格取得や研修など、自己投資におけるスキルの向上も可能です。

これにより事業の成長が加速し、より好循環を生み出せる要因となります。

金利による節税が期待できる

3つ目は金利による節約ができる点です。融資を受ける際に発生する金利は、事業経費として税務上の損金に算入できます。

これによって課税所得が減少し、税負担が軽減できるのです。融資額が多ければ多いほど、受ける恩恵も大きくなります。

個人事業主であれば確定申告は必須であるので、覚えておくと良いです。

個人事業主が融資を受けるデメリット

個人事業主が融資を受けるデメリットを3つ解説します。

  • 返済の負担
  • 保証人や担保の負担
  • 審査に時間がかかる

返済の負担

デメリットの1つ目は、返済が負担になることです。融資は必ず返済の義務が伴うので、元金に加えて利息の支払いも必要となります。

事業がうまくいっている場合は問題ありませんが、思うようにいかない場合は返済の負担がより大きくなるリスクがあるのです。

キャッシュフローが思うようにいかない場合は、返済計画を見直す、リスケジュールを設定するなどの対応をしましょう。

保証人や担保の負担

2つ目は保証人や担保が負担になることです。個人事業主自らの自己資産を担保として差し出す場合があり、融資の支払いが滞ると差し押さえられるリスクがあります。

また保証人を建てた場合は、返済の責任が保証人にまで及ぶため、保証人との関係も悪化する恐れがあるのです。

そうならないためにも、事前にしっかりとリスクを把握した上で融資を受け、担保や保証人も慎重に決めましょう。

審査に時間がかかる

3つ目は審査に時間がかかる点です。公的金融機関や信用保証協会を通じた融資は、審査に時間がかかることがあります。

事業計画書の提出や財務状況の確認が必要となり、資金が必要なタイミングに間に合わない可能性があるのです。

急な資金調達が必要な場合は、ノンバンク融資や事業用クレジットカードのキャッシングといった審査の早い融資を活用しましょう。

個人事業主が融資を受けるために必要な書類

個人事業主が融資を受ける際に必要な書類を下記でまとめたので参考にしてください。

  • 事業計画書
  • 創業計画書
  • 企業概要書
  • 確定申告書
  • 身分証明書
  • 納税証明書
  • 資金使途計画書
  • 登記事項証明書
  • 見積書(設備資金を申し込む場合)

これらの書類は、個人事業主として問題なく活動しているかを確認するための書類となります。

事業の計画、融資の使い道、しっかりと納税しているかなどの情報が必要です。確定申告書は過去2年〜3年分の提出が求められる場合があります。

また、法人化をしている方は、登記事項証明書が別途必要となるので、準備し忘れることがないようにしましょう。
日本政策金融公庫:申請方法・必要書類

個人事業主の融資審査で重要となるポイント

個人事業主の融資審査で重要となるポイントは主に2つです。

  • 返済能力の評価
  • 信用情報の確認
  • 事業計画の内容

返済能力の評価

ポイントの1つ目は、返済能力の評価です。金融機関は、過去の収益実績現在の事業計画をもとに、融資をしっかりと返済できるかを評価します。

特に、安定したキャッシュフローを持つ個人事業主資産を保有している個人事業主は、審査において有利になります。

信用情報の確認

2つ目は信用情報の確認です。金融機関は、過去の借入歴や返済状況を確認し、信用情報に問題があると、融資審査において不利に働く可能性があります。

信用情報を事前に確認し、過去に延滞や債務整理がないかをチェックしておくことが重要です。

事業計画の内容

3つ目は事業計画の内容です。融資審査のときに、事業計画の内容が具体的かつ現実的であるかを入念にチェックを行います。

事業計画がしっかりとされている書類は、融資審査での信頼が高まるので、具体的なデータや実績に基づいた計画書を作成しましょう。

個人事業主向けの最適な融資の選び方

個人事業主の方が、融資を最適に選ぶ方法として、事業規模と事業の段階に着目するのが重要です。

開業間もない時期は日本政策金融公庫のような低金利の公的融資が適しています。一方、事業の成長が著しい場合はスピードが求められるので、ノンバンク融資が適しています。

また金利と返済条件の考慮も重要です長期的な返済を考えている場合は低金利の融資、短期間での資金調達が必要となった場合は事業用クレジットカードのキャッシングなどを利用するのがおすすめです。

このように事業の規模や段階、金利や返済条件など、さまざまな選び方があるので、ご自身で検討する、もしくは専門家に相談することが良いでしょう。

個人事業主が融資を受けた後の事業計画

では、個人事業主が融資を受けた後の事業計画はどのようにすれば良いのでしょうか。

まず融資を受けた後は、まずあらかじめ決めた使い道をしっかりと守ることです。無駄使いを避けたうえで、必要なタイミングでの支出を計画的に行いましょう。

融資を使うことで、どのくらいの利益が生まれるのか、費用対効果はどのくらいなのかを検討しましょう。

またどのように返済していくかも考えておく必要があります。金利を経費で落とした場合、税金と合わせていくら支払うのかなど、先を見越した返済計画が重要です。

個人事業主が融資を受けるときのよくある質問

個人事業主が融資を受ける際によく出る質問をまとめました。

  • 融資を受けるための最低条件は?
  • 融資の審査に落ちた場合の対処法は?

融資を受けるための最低条件は?

1つ目は融資を受けるための最低条件についてです。個人事業主が融資を受ける最低条件は、下記の2つです。

  1. 開業届を出していること
  2. 確定申告をしていること

この2つは融資を受ける際の最低条件ですが、この条件を満たしていなくても、融資は受けられる場合もあります。

しかし審査において相当不利になってしまうので、この2つの条件は最低でも満たしておいた方が良いでしょう。

融資の審査に落ちた場合の対処法は?

2つ目は融資の審査に落ちた場合の対処法についてです。審査に落ちてしまった場合、なぜ落ちてしまったのかを把握することから始めましょう。

考えられる原因として、信用情報に問題があるか、書類の内容に問題があるかが挙げられます。

信用情報の改善と書類の訂正を行ったら、再度融資の審査にチャレンジしましょう。

また、別の選択肢として補助金や助成金を活用することもできるので、検討してみるのもおすすめです。

融資の審査に落ちないための方法を下記のコラムで解説しているので、そちらもご覧ください。
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【まとめ】個人事業主向けの融資を理解して資金調達のリスクを抑えよう!

今回は個人事業主が受けられる融資を解説しました。個人事業主が融資を利用するにあたりリスクもあるので、リスクを踏まえた選択をしましょう。

また事業の規模や段階によって適切な融資が変わってくるので、ご自身の事業計画をもとに融資を選ぶことが大切です。

今回の記事を参考に、ご自身の事業にあった融資を見つけてみてください。

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