2024年必見!「省エネ補助金」とは?2つの補助金の選び方や対象設備など徹底解説!

エネルギー政策の転換に伴い、補助金制度も変革の時を迎えています。 今回のコラムでは、「省エネ補助金」のうち「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金と省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の異なる補助金区分についてくわしく解説し、それぞれの特徴や対象となる事業について解説します!
中本 明日香

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省エネ補助金とは?

2024年「省エネ補助金」とは


省エネ補助金は、事業者の省エネ設備・機器の更新費用等の一部を支援する省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金省エネルギー投資促進支援事業費補助金2つの補助金の総称です。

それぞれ以下の目的ごとに活用できます。

  • 工場・事業場全体や電化・脱炭素目的の燃転を伴う設備更新で省エネをご検討の方省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金
  • 汎用的な設備更新で省エネをご検討の方→省エネルギー投資促進支援事業費補助金


省エネ補助金事業は、一般社団法人環境共創イニシアチブ(以下「SII」という。)が代表幹事として大日本印刷株式会社との「共同事業体」として執行する補助金事業です。
▼公式サイト▼
「省エネ補助金」公式サイト

「省エネ補助金」のうち2つの補助金の選び方は?

省エネ補助金には、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金省エネルギー投資促進支援事業費補助金の2種類の補助金が設けられており、それぞれ1つの補助金の中でも申請する設備によって工場・事業場型、電化・脱炭素燃転型、エネルギー需要最適化型といった事業区分に分けられています。
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金

  • (Ⅰ) 工場・事業場型
  • (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
  • (Ⅳ)エネルギー需要最適化型

省エネルギー投資促進支援事業費補助金

  • (Ⅲ)設備単位型
  • (Ⅳ)エネルギー需要最適化型


活用したい省エネ取り組みや導入したい設備によって、申請者がいずれかを選びます

参考に、それぞれ以下のような取り組みが適しています。

💡先進的な省エネ設備への入れ替えや、工場に合わせた特注品で省エネを図る場合
設備更新に複数年度かかる場合も申請でき、年度の切れ目なく工事ができます。

■省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(Ⅰ) 工場・事業場型
工場や事業場において、既存の設備からエネルギー消費効率の高い設備(ⓐ先進設備・システム・ⓑオーダーメイド型設備)への更新等を行う場合に、補助金が活用できます。


💡化石燃料から電気への転換や、より低炭素な燃料への転換等で省エネを図る場合

■省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
省エネ性能が高く、脱炭素を目的とした燃料転換を伴う設備更新を行う場合に、補助金が活用できます。


💡制御機能付きLED照明や空調など設備単位の更新で省エネを図る場合
複数の設備を組み合わせた申請や、設備更新に複数年度かかる場合の申請も可能です。

■省エネルギー投資促進支援事業費補助金(Ⅲ)設備単位型
下記のような設備を、省エネ性の高い設備に更新する場合に補助金が活用できます。

ユーティリティ設備

  • 高効率空調
  • 産業ヒートポンプ
  • 業務用給湯器
  • 高性能ボイラ
  • 高効率コージェネレーション
  • 低炭素工業炉
  • 変圧器
  • 冷凍製造設備
  • 産業用モータ
  • 制御機能付きLED照明器具

生産設備

  • 工作機械
  • プラスチック加工機械
  • プレス機械
  • 印刷機械
  • ダイカストマシン


※「ユーティリティ設備」は、プラントを稼働させるために必要な電気や水、燃料などを供給する設備のこと。

💡エネルギーマネジメントシステムを活用して省エネを図る場合
どちらの補助金にもある(Ⅳ)エネルギー需要最適化型が対象ですが、+2つの補助金の他の型と組み合わせても活用できます。
エネマネ機器を用いて、より効果的に省エネ化を図る場合に補助金を活用できます。
■申請方法
単独申請の場合と組み合わせて申請する以下3つのパターンがあります。単独申請の場合は省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金で申請します。
  • 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(Ⅳ)エネルギー需要最適化型単独申請
  • 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(Ⅳ)エネルギー需要最適化型省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金Ⅰ,Ⅱ
  • 省エネルギー投資促進支援事業費補助金(Ⅳ.エネルギー需要最適化型)+省エネルギー投資促進支援事業費補助金


それぞれの補助金を具体的に説明します。


省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金

先進的な省エネ設備や、工場・事業場に合わせた特注品、電化や脱炭素目的の燃転を伴う設備等の更新費用の一部を支援する補助金です。
3つの事業区分(Ⅰ) 工場・事業場型(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型、(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型があり、各事業区分で補助対象となる設備が異なります。
また、導入する補助対象設備により、申請できる事業区分が決まります

補助対象事業者

申請者は以下の条件を全て満たす必要があります。

  1. 事業活動を営む者
    • 国内で事業を営む法人や個人事業主であること。
    • 年間のエネルギー使用量が原油換算1,500kl以上の事業者(特定事業者等)は、省エネ法に基づき中長期計画書及び定期報告書を提出していること。
    • 大企業の場合は、以下の条件を満たす必要がある
      • 省エネ法の事業者クラス分け評価制度において『Sクラス』に該当すること。
      • または、省エネ法の事業者クラス分け評価制度において『Aクラス』に該当すること。この場合は、特定第4表事業者の過去5年度間のエネルギーの使用に係る原単位及び電気需要平準化評価原単位の変化状況を提出すること。
      • または、中長期計画書の「ベンチマーク指標の見込み」に記載された2030年度(目標年度)の見込みがベンチマーク目標値を達成すること。この場合は、経済産業局へ提出した中長期計画書の写しを提出すること。
  2. 経営基盤を有する者
    • 事業の継続性が認められること。
    • 導入する補助対象設備の所有者が直近の年度決算において債務超過の場合は対象外とする。

▼くわしくは以下の公式サイトおよび公募要領をご覧ください。

公式サイト
公募要領

3つの事業区分

上で説明した通り、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金には以下3つの事業区分があります。

  • (Ⅰ) 工場・事業場型
  • (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
  • (Ⅳ)エネルギー需要最適化型


(Ⅰ) 工場・事業場型とは

先進設備や、工場や事業場全体で、機器設計が伴う設備または事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造する設備等の導入が支援されます。

補助対象設備

  1. 先進設備・システムの導入

資源エネルギー庁の「先進的な省エネ技術等に係る技術評価委員会」において認定された先進設備・システムへの更新を支援します。
例えば、省エネ率や非化石割合の増加率、省エネ量や非化石使用量、エネルギー消費原単位の改善率などが要件として求められます。
先進設備・システム導入の一覧はこちら!

  1. オーダーメイド型設備の導入

機械設計が伴う設備や事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造される設備の導入を支援します。
複数の対象設備を組み合わせて申請する場合もあります。
同様に、省エネ率や非化石割合の増加率、省エネ量や非化石使用量、エネルギー消費原単位の改善率が要件として求められます。

省エネルギー効果の要件

省エネ補助金を申請する際には、特定の要件を満たす必要があります。
これらの要件は、導入する設備が省エネルギー効果を持ち、かつ持続可能なエネルギーの使用を促進することを保証するために設定されています。

<先進設備・システム要件>

  • 省エネルギー率+非化石割合増加率が30%以上であること
  • 省エネルギー量+非化石使用量が1,000kl以上であること
  • エネルギー消費原単位改善率が15%以上であること

<オーダーメイド型設備要件>

  • 省エネルギー率+非化石割合増加率が10%以上であること
  • 省エネルギー量+非化石使用量が700kl以上であること
  • エネルギー消費原単位改善率が7%以上であること

また、エネルギー消費原単位改善率での申請については、設備更新後において生産量が増加し、かつエネルギー使用量が増加する事業に限られます。
これらの要件を満たすことで、補助金の申請が可能となります。

■その他の要件

  • 投資回収年数が5年以上であること。
  • 「エネルギー使用量が1,500kl以上の工場・事業場」と「中小企業者に該当しない会社法上の会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、有限会社)※みなし大企業を含む」は、省エネ法に
  • 基づき作成した中長期計画等に記載されている事業であること。
  • 経費当たり計画省エネルギー量が補助対象経費1千万円当たり1kl以上の事業であること。
  • 導入した補助対象設備の1年間のエネルギー使用量と省エネルギー効果を報告できること。
  • トップランナー制度対象機器を導入する場合はトップランナー基準を満たす機器であること。

■補助対象経費

設計費・設備費・工事費

(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型とは

化石燃料から電気への転換や、より低炭素な燃料への転換など、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備等の導入を支援されます。

補助対象設備

指定された設備のうち、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備が対象です。
化石燃料から電気への転換や、より低炭素な燃料への転換を伴う設備の更新や導入を行う事業が支援されます。

指定設備

電化・脱炭素目的の燃料転換を伴うこと。
(ヒートポンプで対応できる低温域は電化のみ)
対象設備は、SIIが予め定めたエネルギー消費効率などの基準を満たし、補助対象設備として登録および公表した以下の指定設備が対象です。
指定設備

  1. 産業ヒートポンプ
  2. 業務用ヒートポンプ給湯器
  3. 低炭素工業炉
  4. 高効率コージェネレーション
  5. 高性能ボイラ

※上記に該当しない「その他SIIが認めた高性能な設備」のうち、 電化・脱炭素燃転に資するとして指定した設備も対象となります。

補助対象経費

設備費(電化の場合は付帯設備も対象)

(Ⅳ)エネルギー需要最適化型とは

SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、 SIIに登録されたEMSを用いて、より効果的に省エネルギー化およびエネルギー需要最適化を図る事業です。

補助対象設備

EMS機器の導入

省エネルギー効果の要件

申請単位において、「EMSの制御効果」と 省エネルギー診断等による運用改善効果」により、 原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を達成する事業

その他の要件

(Ⅰ) 工場・事業場型と同じ

補助対象経費

設計費・設備費・工事費

補助額・補助率


(Ⅰ)工場・事業場型

補助金区分補助額(上限額)補助額(下限額)補助率(中小企業者等)補助率(大企業・その他)
工場・事業場型15億円/年度(20億円/年度)100万円/年度2/3以内1/2以内

(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型

補助金区分補助額(上限額)補助額(下限額)補助率(中小企業者等)補助率(大企業・その他)
電化・脱炭素燃転型15億円/年度(20億円/年度)100万円/年度2/3以内1/2以内

(Ⅳ)エネルギー需要最適化型

補助金区分補助額(上限額)補助額(下限額)補助率(中小企業者等)補助率(大企業・その他)
エネルギー需要最適化型1億円/事業全体100万円/事業全体2/3以内1/2以内


スケジュール

■1次公募
公募期間:2024年3月27日(水)~2024年4月22日(月)終了
交付決定:2024年6月上旬(予定)
■2次公募
公募期間:2024年5月下旬~6月下旬(予定)
交付決定:2024年8月下旬(予定)


省エネルギー投資促進支援事業費補助金

さまざまな業種で横断的に使われる汎用的な15設備の更新に対応する補助金です。
2つの事業区分(Ⅲ)設備単位型(Ⅳ)エネルギー需要最適化型があり、各事業区分で補助対象となる設備が異なります。
また、導入する補助対象設備により、申請できる事業区分が決まります

補助対象事業者


申請者は以下の条件を全て満たす必要があります。

  1. 事業活動を営む者であること。
    • 国内で事業を営む法人や個人事業主であること。
  2. 年間のエネルギー使用量が原油換算1,500kl以上の事業者(特定事業者等)は、省エネ法に基づき中長期計画書及び定期報告書を提出していること。
    • 申請時には「省エネ法定期報告書の特定第1表」の写しを提出することが必要です。
  3. 大企業の場合は、以下の条件を満たす必要があります。
    • 「Sクラス」に該当すること。
      • 公募締切時点で、資源エネルギー庁のホームページで「令和4年定期報告書分」の中で「Sクラス」として公表されていること。
    • または、「Aクラス」に該当すること。
      • 申請時に、令和4年度定期報告書の「特定第4表事業者の過去5年度間のエネルギーの使用に係る原単位及び電気需要平準化評価原単位の変化状況」を提出することが必要です。
    • または、中長期計画書の「ベンチマーク指標の見込み」に記載された2030年度の見込みが、ベンチマーク目標値を達成すること。
      • この場合、経済産業局へ提出した中長期計画書の写しを提出する必要があります。
  4. 経営基盤を有する者であること。
    • 事業の継続性が認められ、導入する補助対象設備の所有者が直近の年度決算において債務超過でないことが求められます。

▼くわしくは以下の公式サイトおよび公募要領をご覧ください。

公式サイト
公募要領

2つの事業区分

省エネルギー投資促進支援事業費補助金には、以下2つの事業区分があります。

  • (Ⅲ)設備単位型
  • (Ⅳ)エネルギー需要最適化型


(Ⅲ)設備単位型とは

SIIが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、登録および公表した設備の導入を支援します。

補助対象設備

指定設備:SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、SIIが補助対象設備として登録および公表したもの
▼指定設備
ユーティリティ設備

  • ①高効率空調
  • ②産業ヒートポンプ
  • ③業務用給湯器
  • ④高性能ボイラ
  • ⑤高効率コージェネレーション
  • ⑥低炭素工業炉
  • ⑦変圧器
  • ⑧冷凍冷蔵設備
  • ⑨産業用モータ
  • ⑩制御機能付きLED照明器具

生産設備

  • ⑪工作機械
  • ⑫プラスチック加工機械
  • ⑬プレス機械
  • ⑭印刷機械
  • ⑮ダイカストマシン


事業要件

SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、SIIが補助対象設備として登録および公表した指定設備へ更新する事業

省エネルギー 効果の要件

SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たす設備を導入すること

補助対象経費

(Ⅳ)エネルギー需要最適化型とは

SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、 SIIに登録されたEMSを用いて、より効果的に省エネルギー化およびエネルギー需要最適化を図る事業です。

補助対象設備

EMS機器:SIIが補助対象設備として公表したエネルギーマネジメントシステム

事業要件

(Ⅲ)に加えて、SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」 を契約し、SIIに登録されたEMSを用いて、 より効果的に省エネルギー化を図る事業

省エネルギー 効果の要件

申請単位で、「EMSの制御効果と省エネルギー診断等による運用改善効果」により、 原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を達成する事業

補助対象経費

設計費、設備費、工事費

その他の要件

  1. 投資回収年数が5年以上であること。
  2. エネルギー使用量が1,500kl以上の工場・事業場および中小企業者に該当しない会社法上の会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、有限会社)※みなし大企業を含むは、省エネ法に基づき作成した中長期計画等に記載されている(c)指定設備または(d)EMS機器を導入する事業であること。
  3. 経費当たり計画省エネルギー量が補助対象経費1千万円当たり1kl以上の事業であること。

補助額・補助率

(Ⅲ)設備単位型

補助金区分補助額(上限額)補助額(下限額)補助率(中小企業者等)補助率(大企業・その他)
設備単位型1億円/事業全体30万円/事業全体1/3以内-

(Ⅳ)エネルギー需要最適化型

補助金区分補助額(上限額)補助額(下限額)補助率(中小企業者等)補助率(大企業・その他)
エネルギー需要最適化型1億円/事業全体100万円/事業全体1/2以内1/3以内


スケジュール

■1次公募
公募期間:2024年3月27日(水)~2024年4月22日(月)終了
交付決定:2024年6月上旬(予定)
■2次公募
公募期間:2024年5月下旬~6月下旬(予定)
交付決定:2024年8月下旬(予定)


まとめ

省エネ補助金は、事業者の省エネ設備・機器の更新費用を支援する重要な支援制度です。
工場全体や設備単位の更新、エネルギー需要最適化など、様々な取り組みが対象です。
これにより、企業の持続可能な発展と地球環境の保護が両立されます。
省エネ補助金の活用は、エネルギー効率の向上だけでなく、競争力の強化や地域社会への貢献にもつながりますので、ぜひご活用ください。

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