【最大120万円に】”新”キャリアアップ助成金「正社員化コース」を解説!

2023年11月より、キャリアアップ助成金の「正社員化コース」が拡充!今回は、変更点やポイントをわかりやすくご紹介します。
中本 明日香

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更新日:

キャリアアップ助成金正社員化コース 変更点

キャリアアップ助成金「正社員化コース」とは?

キャリアアップ助成金」は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための制度です。
この助成金は、正社員化や処遇の改善を実施した事業主に対して支給されます。

今回ご紹介する「正社員化コース」では、有期雇用労働者などの非正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換した場合に、事業主に助成金が支給されます。

今回の拡充により、1人目の転換には、労働者1人当たり最大120万円の助成が受けられます。

このコースを活用することで、企業は非正規雇用労働者を正社員として採用し、より安定的で将来性のある雇用形態への変換を進めることができます。

つまり、「キャリアアップ助成金」は企業が非正規雇用労働者に対して正社員としての機会を提供し、その結果としてキャリアアップや処遇改善が進むような取り組みを行った場合に、助成金が支給される仕組みです。
キャリアアップ助成金の公式ページはこちらから
キャリアアップ助成金「正社員化コース」のパンフレット

キャリアアップ助成金「正社員化コース」の変更点は?

今回拡充された内容は、2023年11月29日以降に正社員に転換した場合に適用されます!

主な変更点(拡充・新設)は以下のとおりです。

拡充
助成金(1人当たり)の見直し
対象となる有期雇用労働者の要件緩和
多様な正社員制度規定に関する加算措置


新設
正社員転換制度の規定に関する加算措置


拡充(1)助成金(1人当たり)の見直し

支給対象期間を現行の「6か月」から「12か月」に拡充。
この期間の拡充に伴い、それまでの「6か月あたりの助成額」が見直されました。

企業規模拡充前拡充後
中小企業57万円80万円
大企業42.75万円60万円


中小企業の場合、

  • 拡充前は1期(6か月)で57万円の助成→拡充後は1期あたり40万円の助成が2期(12か月)、合計80万円に増加


大企業も場合、

  • 拡充前は1期あたり42.75万円→拡充後は1期あたり60万円に増加


これにより、中小企業・大企業ともに、より長い期間にわたり、より多くの助成金が支給されることになります。

拡充(2)対象となる有期雇用労働者の要件緩和

対象となる有期雇用労働者の雇用期間が「6か月以上3年以内」から「6か月以上」に緩和。
つまり、対象となる雇用期間が3年以内である必要がなくなり、6か月以上であれば制度の対象になるということです。

対象となる有期雇用労働者 の雇用期間拡充前拡充後
6か月以上3年以内6か月以上

拡充(3)多様な正社員制度規定に関する加算措置

「勤務地限定・職務限定・短時間正社員」制度において、その規定を新たに追加し、雇用形態がこれに転換した場合、助成金に対する加算額が増額されます。

具体的な数字で見てみましょう。

  • 1事業所当たりの加算額が現行で9.5万円(大企業は7.125万円)→拡充後は40万円に増加(大企業は30万円)


「勤務地限定・職務限定・短時 間正社員」制度を新たに規定し、 当該雇用区分に転換等した場合拡充前拡充後
9.5万円(大企業は7.125万円)40万円(大企業は30万円)



1人目の転換時については、(1)助成金の拡充に加えて、この加算額の拡充が適用され、合計で120万円(大企業は90万円)の助成金が支給されます。

新設:正社員転換制度の規定に関する加算措置

事業主が正社員転換制度に取り組み、これを新たに導入した場合、助成金に対する加算措置が設けられます。

具体的な数字で説明しますと、1事業所当たりの加算額は20万円であり、大企業の場合は15万円が加算されます。
なお、この加算は1事業所につき1回のみのものです。

また、1人目の転換時については、(1)助成金の拡充に加え、新たな加算措置も適用され、合計で100万円(大企業は75万円)の助成金が支給されます。

キャリアアップ助成金「正社員化コース」の条件は?

キャリアアップ助成金の「正社員化コース」の対象となる条件として以下のことがあげられます。

(1)有期雇用労働者または無期雇用労働者を正社員化する場合、次のすべてに該当する事業主が対象です。

  1. 就業規則または労働協約等により、有期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する制度を設けていること。
  2. 上記制度に基づき、有期雇用労働者を正社員化した実績があること。
  3. 正社員化後6か月以上にわたり、正社員化した労働者を継続して雇用し、かつ正社員化後6か月分の賃金を支給したこと。
  4. 多様な正社員への転換の場合、正社員化した日において、対象労働者以外に正規雇用労働者(多様な正社員を除く)を雇用していたこと。
  5. 支給申請日時点で当該制度を継続して運用していること。
  6. 正社員化後6か月間の賃金を、正社員化前6か月間の賃金より3%以上増額させていること。
  7. 当該正社員化日の前日から1年以内に、雇用保険被保険者を解雇した事業主以外の者であること。
  8. 当該正社員化日の前日から1年以内に、離職理由が離職区分1Aまたは3Aに該当する特定受給資格離職者が6%以上いる事業主以外の者であること。
  9. 他の雇用形態に転換する制度があれば、対象者の同意に基づく制度として運用している事業主であること。
  10. 正社員化後も当該労働者を雇用保険被保険者として適用させている事業主であること。
  11. 正社員化後も社会保険の適用要件を満たす事業所の事業主に雇用されている場合、社会保険の被保険者として適用させていること。社会保険の適用要件を満たさない事業所の事業主が正社員化させた場合は、社会保険の適用要件を満たす労働条件で雇用していること。
  12. 母子家庭の母等または父子家庭の父に係る加算を受ける場合、正社員化日において該当者を転換した事業主であること。
  13. 勤務地限定正社員、職務限定正社員、または短時間正社員制度に係る加算を受ける場合、キャリアアップ計画書に基づいて該当雇用区分に転換した事業主であること。


(2)派遣労働者を正規雇用労働者として直接雇用する場合、次のすべてに該当する事業主が対象です。

  1. 派遣労働者を正規雇用労働者として直接雇用する制度を就業規則または労働協約その他これに準ずるものに規定している事業主であること。
  2. 派遣先の事業所その他派遣就業場所ごとの同一の組織単位において6か月以上の期間継続して同一の派遣労働者を受け入れていた事業主であること。
  3. 上記制度の規定に基づき、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者を正規雇用労働者として直接雇用したものであること。
  4. 上記制度により直接雇用された労働者を直接雇用後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して直接雇用後6か月分の賃金を支給した事業主であること。
  5. 多様な正社員として直接雇用する場合にあっては、上記制度の規定に基づき直接雇用した日において、対象労働者以外に正規雇用労働者(多様な正社員を除く。)を雇用していた事業主であること。
  6. 支給申請日において当該制度を継続して運用している事業主であること。
  7. 直接雇用後の6か月の賃金を、直接雇用前の6か月間の賃金より3%以上増額させている事業主であること。
  8. 当該直接雇用日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該直接雇用を行った適用事業所において、雇用保険被保険者を解雇等事業主の都合により離職させた事業主以外の者であること。
  9. 当該直接雇用日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該直接雇用を行った適用事業所において、特定受給資格離職者として雇用保険法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、当該事業所における当該直接雇用を行った日における雇用保険被保険者数で除した割合が6%を超えている事業主以外の者であること。
  10. 上記制度を含め、雇用する労働者を他の雇用形態に転換する制度がある場合にあっては、その対象となる労働者本人の同意に基づく制度として運用している事業主であること。
  11. 正規雇用労働者として直接雇用した日以降の期間について、当該労働者を雇用保険被保険者として適用させている事業主であること。
  12. 正規雇用労働者として直接雇用した日以降の期間について、当該労働者が社会保険の適用要件を満たす事業所の事業主に雇用されている場合、社会保険の被保険者として適用させている、または社会保険の適用要件を満たさない事業所の事業主(任意適用事業所の事業主、個人事業主)が正規雇用労働者として直接雇用した場合、社会保険の適用要件を満たす労働条件で雇用している事業主であること。
  13. 母子家庭の母等または父子家庭の父の直接雇用に係る支給額の適用を受ける場合にあっては、当該直接雇用日において母子家庭の母等または父子家庭の父の派遣労働者を直接雇用した事業主であること。

条件等の詳細は、キャリアアップ助成金公式サイトで「正社員化コースのパンフレット」等が公開されていますので、ご確認ください。

申請方法・流れ


キャリアアップ助成金申請の流れ
出典:キャリアアップ助成金の公式ページ

キャリアアップ助成金を活用する際は、まず、各コースの実施日の前日までに「キャリアアップ計画」を作成し、提出する必要があります。

この計画は、労働組合等の意見を聴いて作成します。

計画届や支給申請には、指定された様式を使用し、必要な情報を記入します。
(この様式は申請様式ダウンロードページよりダウンロードすることができます。)

なお、制度の見直しや変更があるたびに、支給申請様式も改定されており、各コースの取組を行った日によって支給金額や様式が変化するため、申請の際には該当する様式をダウンロードしてください。


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