法人電子証明書の更新をするには?
法人電子証明書の更新は、電子証明書の有効期限が切れる前に更新する必要があります。
今回は、法人電子証明書の更新方法や、更新できる場所について解説します。

この記事を監修した専門家

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
法人電子証明書の更新が必要な理由

法人電子証明書の更新が必要となる最も大きな理由は、セキュリティ確保のためです。
証明書には有効期限があり、有効期間は発行日から1ヶ月〜27ヶ月(3ヶ月刻みで選択可能)と定められています。
期限が切れた証明書は、正規のものとして認識されず、電子申請ができなくなります。
また、電子証明書は法人の登記情報に基づいて発行されているため、法人の存在や代表者の資格を保証する役割も果たしています。
このように、法人電子証明書の更新は単なる形式的な手続きではなく、情報セキュリティと法的正当性を維持する上で不可欠な行為です。
継続的な電子申請や契約業務を行う法人にとっては、更新を計画的に実施することが求められます。
法人電子証明書を更新しないとどうなる?
法人電子証明書を更新せずに有効期限が切れてしまうと、各種オンライン手続きにおいて法人としての本人確認が行えなくなり、業務に深刻な支障が生じます。
法人電子証明書を更新しないと起こる影響
- 電子申請ができない
- 本人確認ができず業務が滞るおそれがある
- 有効期限が切れると新規発行をする必要がある
まず大きな影響として挙げられるのが、電子申請ができなくなるという点です。
電子証明書が失効すると、電子署名が無効となり、申請書類に正当性が認められません。
その結果、法務局や税務署から申請が却下されたり、再提出を求められることになります。
また、有効な電子証明書がなければ、電子契約サービスや行政とのやり取りでの本人確認ができず、業務そのものが滞るおそれもあります。
特に、定期的な申請や納税が必要な法人にとっては、申請期限に間に合わなくなるリスクもあるため、注意が必要です。
さらに、電子証明書の更新は期限が切れる前にしかできないため、有効期限を過ぎると新規発行手続きが必要となります。
そのため、書類の再提出や登記情報の再確認など、より煩雑な対応を求められることになるのです。
法人電子証明書を更新できる場所
更新手続きは、法人が証明書を取得した機関ごとに異なりますが、主に次の3つの場所で対応が可能です。
- 法務局
- 公的認証サービス(商業登記に基づく電子認証制度)
- 電子認証登記所での代理対応(一部専門家を通じた更新)
法務局
もっとも一般的なのが、法務局での更新です。
法人の登記情報に基づいて発行されている証明書であり、登記所を通じて直接申請や受け取りが行われます。
証明書の発行元として確実な更新が行えるため、初回取得と同じく利用する法人が多く、登記上の変更があった場合にも対応可能です。
更新方法としては、あらかじめ「申請用総合ソフト」を使用してオンラインで申請したうえで、証明書の受け取りは指定した法務局窓口で行う形式となります。
法人代表者やその代理人が本人確認書類を持参して受領する必要があります。
参考:法務局
公的認証サービス(商業登記に基づく電子認証制度)
法人電子証明書は、法務省の認証制度の一環として提供されている「商業登記に基づく電子認証制度」によって発行されており、この制度を管理するサイトからも更新手続きが行えます。
具体的には、登記ねっとを利用し、申請データを作成して送信します。
この方法では、インターネット上で申請準備が完結するため、利便性が高く、全国どこからでも手続きを進めることができます。
ただし、受け取りについては窓口対応となるため、更新の際も訪問が必要です。
参考:法務省
電子認証登記所での代理対応(一部専門家を通じた更新)
一部の司法書士や電子認証に対応する専門家が、電子証明書の更新手続きを代理でサポートするサービスを提供している場合があります。
これは、初めての更新で不安がある場合や、登記の変更と併せて更新したい場合に有効です。
このような代理申請では、書類の確認や提出を専門家が代行することで、ミスのない手続きが可能となります。
対応可否は地域や専門家によって異なるため、事前に確認が必要です。
法人電子証明書の更新に必要なもの
法人電子証明書の更新を行うには、正しい手順だけでなく、必要な書類や機器を事前に揃えておくことが重要です。
以下に、更新時に必要なものを解説します。
- ICカードリーダー
- 更新申請書(必要に応じて)
- 手数料(電子証明書発行料)
- 電子証明書のPIN(暗証番号)
- 申請用総合ソフト(法務省提供)
- 法人代表者の本人確認書類(窓口受取時)
- 現在の法人電子証明書(有効期間内のもの)
ICカードリーダー
法人電子証明書はICカードに記録されているため、更新申請時にはICカードを読み取るためのICカードリーダーが必要です。
これはパソコンに接続して使用し、申請用総合ソフトを通じて署名情報を読み取る際に使用されます。
対応機器は、商業登記認証局のウェブサイトに掲載されている動作確認済みの製品を選ぶのが確実です。
更新申請書(必要に応じて)
オンラインで手続きする場合は申請用総合ソフト上で書類を作成しますが、一部のケースでは書面による申請書の提出が求められることもあります。
必要となる様式は法務局や認証局のウェブサイトで確認可能です。
手数料(電子証明書発行料)
更新には、電子証明書の発行手数料が必要です。
通常、500円〜8,300円の範囲で設定されており、支払いは電子納付や銀行振込、または窓口での納付など、申請方法に応じて異なります。
具体的な金額や支払い方法は、申請画面や発行機関の案内に従って確認してください。
電子証明書のPIN(暗証番号)
電子証明書には、利用者本人のみが知るPINコード(暗証番号)が設定されています。
更新時には、このPINが必要となり、入力できないと手続きが進められません。
万一PINを忘れた場合には、証明書の再発行が必要となるため、事前に確認しておくことが重要です。
申請用総合ソフト(法務省提供)
更新手続きは、「登記・供託オンライン申請システム」で提供されている申請用総合ソフトを利用して行います。このソフトを事前にインストールし、申請書類の作成や電子署名の付与、オンライン送信を行います。
最新版が必要なため、更新時には必ず公式サイトでバージョンを確認してください。
法人代表者の本人確認書類(窓口受取時)
電子証明書の受け取りは、基本的に法務局の窓口で行います。
その際に必要となるのが、法人代表者本人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)です。
代理人による受領を行う場合は、委任状や代理人の本人確認書類も求められます。
現在の法人電子証明書(有効期間内のもの)
更新の前提として、現在使用中の法人電子証明書がまだ有効であることが必要です。
証明書が失効してしまっている場合は、「新規取得」の扱いとなり、更新とは異なる手続きが必要になります。
電子証明書の有効期限は、申請用ソフトなどで確認できます。
法人電子証明書を更新する方法
法人電子証明書の更新は、有効期限が切れる前に適切な方法で行う必要があります。
証明書の取得先に応じて手続きの流れが異なるため、更新方法を更新場所ごとに解説します。
商業登記認証局(法務局)で更新する方法
商業登記に基づく電子証明書の更新は、主に法務局を通じて行います。これはもっとも一般的な方法です。

1.申請用総合ソフトを準備
法務省が提供する「申請用総合ソフト」をダウンロードし、インストールします。
2.現在の証明書をICカードリーダーで読み込む
有効期間中の証明書をICカードリーダーでパソコンに読み込みます。
3.更新申請書を作成する
申請用総合ソフトを使って「電子証明書更新申請書」を作成し、必要事項を入力します。
4.電子署名を付与して申請データを送信
PINコード(暗証番号)を入力し、作成したデータに電子署名を付けてオンラインで送信します。
5.法務局窓口で証明書を受け取る
申請後に届く案内に従い、指定した法務局窓口に法人代表者が出向き、本人確認書類を提示して証明書を受け取ります。
代理人の場合は委任状と代理人の本人確認書類が必要です。
登記ねっとで更新する方法
オンライン環境で更新手続きを行う場合、登記ねっとを活用します。

1.利用者登録の確認
登記ねっとに利用者登録が済んでいない場合は、新規登録を行います。
2.申請用総合ソフトを使用して申請データ作成
商業登記認証局と同様に、申請用総合ソフトで更新申請データを作成します。
3.電子署名を付与し、オンラインで申請
ICカードを読み込ませて、電子署名を付与し、申請データをオンラインで送信します。
4.受領方法の選択と証明書の受け取り
受け取りは法務局の窓口になります。事前に選択した受取窓口で、本人確認を経て証明書を受領します。
※なお、証明書はオンラインでは交付されず、必ず対面での受領が必要です。
専門家(司法書士など)に依頼して更新する方法
専門家に依頼する場合は、申請準備から提出、受領まで一括で対応してもらえます。
1.専門家と契約・依頼内容の確認
司法書士や行政書士と契約を結び、電子証明書の更新手続きを依頼します。
2.必要書類を提出
印鑑証明書や本人確認書類、委任状などを専門家に提出します。
3.専門家が申請用ソフトで申請
専門家が電子証明書の読み取り、申請書作成、電子署名、申請送信までを代行します。
4.証明書の受領と返却
受け取りも専門家が代行し、更新された電子証明書とICカードが依頼者に返却されます。
法人電子証明書に関する相談ができる場所
ここでは、法人電子証明書に関する相談を受け付けている主な場所について解説します。
- 法務局
- 登記ねっとのヘルプデスク
- 司法書士・行政書士などの専門家
- 認証局(民間の電子認証サービス提供事業者)
- 電子認証センター(商業登記に基づく電子認証制度)
法務局
最も基本的な相談先は、証明書の発行元である法務局です。
法人の本店所在地を管轄する法務局では、電子証明書の取得・更新・再発行に関する手続きの内容や必要書類について案内しています。
各法務局には登記部門があり、法人登記に関する相談も兼ねて対応してくれるため、登記事項と電子証明書の関係性に関して説明を受けられます。
登記ねっとのヘルプデスク
電子証明書のオンライン申請を行う際には、「登記ねっと」のヘルプデスクを利用することで、操作方法や申請中のエラー対応に関する技術的な相談が可能です。
この窓口では、申請用総合ソフトの使い方、ICカードの読み取りエラー、申請送信の不備などについてサポートしてくれます。
司法書士・行政書士などの専門家
手続きの代行を依頼している場合や、更新や再発行の要否を判断できない場合には、登記・申請実務に精通した専門家に相談するのが効果的です。
法人登記や電子証明書の扱いに関して、実務に基づいた具体的なアドバイスを得られます。
また、複数の証明書や登記変更と同時に処理が必要な場合など、煩雑な状況にも対応してもらえる点がメリットです。
認証局(民間の電子認証サービス提供事業者)
電子契約サービスなどと連携した法人電子証明書を利用している場合は、該当する認証局(例:セコムトラストシステムズ、GMOグローバルサインなど)にも問い合わせが可能です。
これらの事業者では、サービスごとの証明書の仕様やサポート体制を提供しており、法人固有の導入状況に応じたアドバイスを受けることができます。
平日限定で電話・メールによる問い合わせに対応しています。
電子認証センター(商業登記に基づく電子認証制度)
電子証明書の管理を行う電子認証センター(法務省・法務局の関連機関)は、法人電子証明書全般に関する制度的な問い合わせを受け付けています。
たとえば、有効期限の確認、PINの再設定、証明書失効の手続き方法など、運用上の疑問に対応してもらえます。
制度全体の仕組みや法律的な背景を含めて知りたい場合には、この機関への問い合わせが適しています。
まとめ
今回は、法人電子証明書の更新を法務局で行う方法について解説しました。
電子証明書には有効期限があるので、期限切れになる前に更新しておくようにしてください。
有効期限がいつなのかを更新したタイミングや新規で取得した際に、スケジュールやメモ帳などに記載しておくと便利です。
今回のコラムを参考に、現在利用している電子証明書の有効期限を確認することから始めてみてください。