法人印鑑証明書のオンライン申請方法を解説
法人印鑑証明書はオンラインで自宅やオフィスなど、どこでも申請が可能です。
一方で申請するにあたり、準備することもいくつかあるので、今回は法人印鑑証明書のオンライン申請について解説します。

この記事を監修した専門家

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
法人印鑑証明書のオンライン申請のメリット・デメリット
はじめに、法人印鑑証明書のオンライン申請のメリットやデメリットについて解説します。
メリット
メリット:手数料が安くなる
オンライン申請では、窓口での申請よりも発行手数料が安く設定されていることが多く、コストを抑えたい法人にとっては大きなメリットとなります。
たとえば、法務局窓口で申請する場合は通常600円かかるのに対し、オンライン申請では480円など割安に設定されているケースがあります。
このように、申請方法をオンラインに切り替えることで、取得コストの削減が期待できます。
メリット:どこにいても申請が可能
オンライン申請の大きな利点は、インターネット環境があれば場所を問わず申請できる点です。
これにより、法務局の営業時間に合わせて移動する必要がなく、事務所や自宅などからでも申請を行うことが可能になります。
とくに支店や地方拠点からの申請が必要な法人にとっては、時間的・地理的な制約を軽減できる非常に実用的な手段です。
参考:法務局
デメリット
デメリット:事前に準備が必要
オンラインで申請を行うには、事前にいくつかの準備が必要です。
たとえば、法人として「登記ねっと」への利用者登録を行い、申請者情報や法人情報の登録を済ませる必要があります。
また、電子証明書や専用ソフトウェア(申請用総合ソフト)のインストールと設定も必要な場合があり、これらの準備を怠ると申請が進められません。
デメリット:オンラインで証明書を受け取れない
オンライン申請では、印鑑証明書そのものを電子データで受け取ることはできません。
申請後、証明書は紙の形式で発行され、指定した法務局窓口での受け取り、または郵送での受け取りとなります。
急ぎで証明書が必要な場合は、オンライン申請後に郵送日数がかかることがあるため、日程に余裕を持って申請することが求められます。
電子申請といっても完全にオンライン完結ではない点に注意が必要です。

法人印鑑証明書のオンライン申請に必要なもの
オンライン申請に必要なもの
- 登記ねっとの利用者登録情報
- 印鑑カード番号
- 電子証明書
- 申請用総合ソフト
- ネット環境・パソコン
- 電子納付に対応した支払い手段(手数料)
法人印鑑証明書をオンラインで申請するには、事前にいくつかの書類や環境を整えておく必要があります。
まず必要になるのは「登記ねっと」への利用者登録です。
この登録により、法人としてオンライン申請を行うためのアカウントを取得できます。
登録の際には、法人名、所在地、代表者情報、メールアドレスなどを正確に入力する必要があります。
併せて、印鑑カード番号も準備しておきましょう。
印鑑カード自体は申請に必要ありませんが、オンライン申請では印鑑カード番号が本人確認のために必要となります。
次に、「電子証明書」が必要です。
これは法人の実在性や申請内容の正当性を証明するためのもので、代表者個人のマイナンバーカードによる電子証明書や、商業登記に対応した法人向けの電子証明書を使用します。
電子証明書がないと、申請内容に署名ができず、送信自体が行えません。
加えて、「申請用総合ソフト」のインストールも必要です。
これは登記ねっとで提供されている無料ソフトウェアで、申請書類の作成や電子署名の付与、送信作業などを行うために用いられます。
インストールにはWindows環境が推奨されており、必要な動作環境も公式サイトで確認しておくことが求められます。
また、「インターネット環境」と「対応するパソコン端末」も必須です。
安定したネットワーク接続と、推奨されているブラウザやOSでなければ、一部の操作が正常に行えない場合があります。
さらに、申請後に手数料を支払うために、電子納付に対応した支払い手段(ペイジー、ネットバンキング、ATM)を準備しておく必要があります。
現金払いやクレジットカードは使えないため、電子納付が可能な口座やカード情報を事前に確認しておくとスムーズです。
法人印鑑証明書のオンライン申請手順
法人印鑑証明書をオンラインで申請について詳しく解説します。
- 利用者登録を行う
- 電子証明書を準備する
- 申請用総合ソフトをインストールする
- 証明書の内容を入力する
- 電子署名を付与して申請データを送信
- 手数料を電子納付する
- 証明書の受け取り
1.利用者登録を行う
まず最初に「登記ねっと」にアクセスし、法人として利用者登録を行います。
法人名、所在地、代表者の情報、担当者の連絡先(メールアドレスなど)を入力し、利用者IDを取得します。
この利用者登録が完了していないと、オンライン申請は行えません。
2.電子証明書を準備する
次に、法人の代表者の電子証明書を準備します。
これは、マイナンバーカードの署名用電子証明書や、商業登記に対応した民間の電子証明書(登記識別情報)などが利用可能です。
電子証明書は、オンライン申請における「本人確認」に該当するため、必須の準備項目です。
3.申請用総合ソフトをインストールする
登記ねっとから「申請用総合ソフト」をダウンロードし、パソコンにインストールします。
このソフトウェアを使って、申請書類の作成や電子署名の付与、データの送信を行います。
インストールの際には、Windows対応の環境が必要となるため、OSやブラウザのバージョンにも注意が必要です。
4.証明書の内容を入力する
申請用総合ソフトを起動し、「印鑑証明書交付申請」のメニューから申請画面を開きます。
法人名や会社法人等番号、証明書の通数、取得対象の印鑑証明書の種別などを入力します。
このとき、印鑑カード番号を忘れずに準備しておき、入力しましょう。
また、受け取り方法として「窓口受け取り」または「郵送受け取り」のどちらかを選択します。
5.電子署名を付与して申請データを送信
入力内容を確認した後、登録した電子証明書を用いて電子署名を行い、申請データを登記ねっとに送信します。
申請が完了すると、受付番号と納付番号が通知されます。
6.手数料を電子納付する
申請後に通知された納付番号をもとに、手数料を電子納付します。
利用できる支払い方法は、Pay-easy(ペイジー)対応のインターネットバンキング、ATMなどです。
法人印鑑証明書の手数料は法務局受け取りの場合420円で、郵送受け取りの場合は450円かかります。
納付が完了しないと証明書の発行は行われないため、すみやかに手続きを行ってください。
7.証明書の受け取り
最後に、申請時に選択した方法で証明書を受け取ります。
法務局窓口での受け取りを選択した場合は、準備完了の通知が届いた後に直接窓口で受け取ります。
郵送を希望した場合は、申請者住所宛に自動的に発送されます。郵送の場合、返信用封筒などの準備は不要です。
参考:法務局
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法人印鑑証明書の情報をオンラインで確認するには?

法人印鑑証明書に記載されている情報をオンラインで確認することは基本的にできません。
理由として、印鑑証明書は「証明書そのもの」に公的な効力があり、情報を画面上で閲覧するだけでは、その内容が正式なものであると認められないからです。
そのため、法人の印鑑情報を確認したい場合は、正式に証明書を取得する必要があります。
登記されている法人の基本情報(商号、所在地、役員の氏名など)は、法務局が提供している「登記情報提供サービス」で閲覧することが可能です。
ただし、このサービスでも印鑑登録情報は提供されておらず、印鑑証明書の内容には含まれていません。
印鑑の届出状況や印影の確認など、印鑑証明書特有の情報を得るには、必ず印鑑証明書を発行しなければなりません。
印鑑証明書が必要な理由として、契約書への押印が正当なものであるかを証明する法的な裏付けとするためです。
このように、印鑑証明書に関する情報はオンライン上での確認に対応していません。
証明書の効力を得るためには、登記ねっとなどを通じて正式な申請を行い、交付を受けるようにしましょう。
法人印鑑証明書のオンライン申請は代理取得できる?
オンライン申請で代理取得はできるのか?
法人印鑑証明書のオンライン申請は代理取得が可能です。
しかし、無条件で第三者が自由に申請できるわけではなく、一定の手続きや権限委任が必要になります。
まず、オンライン申請を行うためには「登記ねっと」への利用者登録が必要です。
この利用者登録は法人名義で行うもので、申請者として登録される人物には代表者と同等の申請権限が求められます。
たとえば、社内の総務担当者や法務部の職員が申請を代行する場合でも、法人としての利用者登録の中で適切にその担当者が登録されている必要があります。
また、電子証明書による電子署名が求められるため、申請には法人代表者の電子証明書または、正当に委任された者の電子証明書が必要になります。
この証明書がなければ、オンライン申請は完了しません。
代表者本人が直接行わない場合には、委任状などによって正式に代理権を与えられていることが必要です。
なお、司法書士や行政書士などの専門家に依頼する場合は、彼らが代理人として申請を行うことも可能です。
ただし、この場合も法人の意思に基づく委任が必要であり、正式な手続きを踏まなければなりません。
このように、法人印鑑証明書のオンライン申請における代理取得は、適切な登録・委任・証明書の準備が整っていれば可能です。
しかし、必要な要件を満たさない状態で第三者が申請を試みることはできないため、事前に体制を整えておくことが重要です。
適切な方法で代理申請を行えば、代表者本人が手続きに関わらずとも、効率的に証明書を取得することができます。
法人印鑑証明書のオンライン取得に関するよくある質問
最後に、法人印鑑証明書のオンライン取得に関するよくある質問についてまとめました。
Q.オンライン申請の受付時間は?
A.受付時間は、祝日・年末年始を除く月曜日〜金曜日の8時30分〜21時までとなっています。
Q.印鑑カードを紛失してしまった場合の対処法は?
A.印鑑カードを紛失してしまった場合は、下記の手順で手続きをしてください。
- 法務局に「印鑑カード廃止届書」と「印鑑カード交付申請書」を提出
- 会社の実印(法人代表印)も必要
- 手続きをする方の身分証明書(運転免許証など)も用意
手続きは本店所在地と同じ都道府県内で印鑑カード交付業務を行っている法務局で行うことができます。
Q.電子証明書の申請手続きは?
A.電子証明書の申請手続きは、下記のように行います。
1.専用ソフトウェアの準備
法務省が提供する「商業登記電子認証ソフト」をパソコンにダウンロード・インストールします。
2.申請ファイルの作成
専用ソフトを使い、「鍵ペアファイル」と「証明書発行申請ファイル」を作成します。
必要事項(法人名、本店所在地、代表者氏名、有効期間など)を入力します。
3.申請の提出
作成した「証明書発行申請ファイル」を、会社・法人の本店所在地を管轄する登記所(法務局)に提出します。
オンライン申請(登記・供託オンライン申請システム利用)または書面申請(窓口・郵送)を選べます。
4.登記所での審査・通知
申請後、登記所で内容審査が行われます。
オンライン申請の場合は、シリアル番号が「登記・供託オンライン申請システム」のお知らせで通知されます。
5.電子証明書の取得(ダウンロード)
通知されたシリアル番号を使い、専用ソフトで電子証明書ファイルをダウンロードします。
6.手数料の納付
証明書の有効期間に応じた手数料を納付します(例:1か月500円、3か月1,100円など)
まとめ
今回は、法人印鑑証明書のオンライン申請について解説しました。
オンライン申請は自宅や職場などからどこでも申請ができる反面、事前準備や申請手順がやや複雑なのでしっかりと確認しながら行いましょう。
また、法人印鑑証明書のオンライン申請は一定の手続きをすれば代理取得も可能なので、柔軟に取得できる点も魅力です。
今回のコラムを参考に、オンライン申請の手順について把握しておき、今後の手続きに役立ててください。
参考:法務局(よくある質問)