沖縄のものづくり補助金で生産性向上!

沖縄県内の製造業やサービス業を対象に、新技術や設備導入を支援するものづくり補助金が利用できます。生産性向上や効率化を目的に、計画的に申請・活用できるでしょう。
菱谷 里沙子

更新日:

ものづくり補助金 沖縄

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

このコラムのポイント

  • 沖縄県の中小製造業向け補助金で生産性向上
  • 2025年は補助上限最大3,000万円・採択率30〜50%前後
  • 設備導入・システム開発・新技術研究にものづくり補助金を活用可能

ものづくり生産性向上支援事業補助金って何?


出典:【補助金】ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の第21回公募を開始します
ものづくり補助金は、中小企業の生産性を向上させ、経済活動の活性化を目的とした国の支援制度です。

この補助金は特に、製造業やサービス業を中心に、設備やシステムの導入に使われることが多いです。

しかし近年では、飲食業を含むさまざまな業種でも、利用されてきています。

飲食店もこの補助金を活用して、機械設備や新しいシステムを導入することが可能です。

沖縄県では、県内のものづくりをしている企業がより良い製品を作れるようにするための補助金を出しています。

補助金をもらえば、新しい技術を開発したり、より効率よく商品を作れるようになるでしょう。

誰がものづくり生産性向上支援事業補助金を受け取れる?


出典:特定技能外国人材制度
沖縄県の中で、製造業を行っている企業や団体が対象です。

たとえば、家具やおもちゃ、食品を作っている会社などが申請できます。

ものづくり生産性向上支援事業補助金はどんなことに使える?

ものづくり補助金は、

  • 新しい技術を開発
  • より効率的に作業をするための機械を導入する

ときなどに使えます。

具体的には、次のようなことが補助対象となるでしょう。

  • 研究開発の費用
  • 新しい機械や設備を買う
  • 作業を効率化するためのシステム導入

FAQ ものづくり生産性向上支援事業補助金に関するよくある質問


出典:ものづくりのアイデアがカタチになる

Q1 沖縄県以外の企業も申請できますか?

→できません。この補助金は、沖縄県内で製造業を営む企業・団体が対象です。
Q2:補助金を使ってITシステムだけを導入することは可能ですか?
→可能です。

ただし、生産性向上に明確に寄与するITシステム(工程管理・品質管理など)でなければなりません。

Q3 同じ年度内で複数のプロジェクトを申請できますか?

→できません。原則1事業者につき1申請です。

Q4 採択後に機械の価格が変わった場合、どうなりますか?

変更申請が必要です。

無断で予算を変更すると、補助対象外になる恐れがあります。

Q5 補助金は前払いされますか?

→前払いはありません。基本的に後払い(精算払い)で、事業完了後報告書提出を経て支給されます。

Q6 設備の中古購入は対象になりますか?

→原則対象外です。新品導入が求められるケースがほとんどです。

Q7 補助金を使った設備はすぐに売却できますか?

→できません。

補助対象物は、一定期間(通常5年)手放せないという規定があります。

ものづくり生産性向上支援事業補助金はどのように申請すればいい?

補助金をもらうには、まず申請書を提出しなければなりません。

申請書には、

  • どのように補助金を使いたいか
  • どんな成果を期待しているのか

を書きます。

その後、沖縄県の知事が申請内容を確認し、問題がなければ補助金の交付が決まります。

ものづくり生産性向上支援事業補助金の申請に通ったらどうするの?

申請が通った企業は、計画通りに補助金を使って事業を進めてください。

もし事業内容を大きく変更するようなら、事前に申請して許可をもらってからにしましょう。

ものづくり生産性向上支援事業補助金申請の途中で問題が起こったら?

もし予定通りに事業が進められなくなった場合は、すぐに沖縄県に報告し、指示を受けてください。

トラブルの例には次のようなものがあります。

  • 予算が足りなくなった
  • 設備が予定通りに届かなかった

申請事業が終わったらどうするの?

無事事業が完了したら、報告書を提出してください。

この報告書には、下記の情報を含めましょう。

  • どんな成果があったか
  • どのように補助金を使ったか

これらを詳しく書いてください。

ものづくり生産性向上支援事業補助金の最終決定について

沖縄県は報告書を確認し、補助金の最終的な金額を決めます。

もし、すでに支給された金額が決定額より多かった場合は、余分な分を返さなければなりません。

ものづくり生産性向上支援事業補助金は取り消されることもある?

次のような場合は、補助金が取り消されることがあります。

  • の申請をした
  • ずさんな運営をした
  • 補助金を目的外のことに使った

もし補助金が取り消された場合、すでに受け取ったお金を返還する必要があるので、気を付けましょう。

まとめ

ものづくり生産性向上支援事業補助金は、沖縄県のものづくり企業を支援するための制度です。

正しく申請し、計画通りに事業を進め、報告をしっかり行ってください。

沖縄県内の製造業支援策や関連事業


出典:ものづくり補助金 Information
沖縄県では、県内製造業の生産性向上や県内受注拡大を目指し、さまざまな支援事業を展開しています。

その中のひとつに、ものづくり県内受注・生産性向上支援事業があります。

県内の製造業者を対象として、

  • ハンズオン支援
  • 生産技術開発プロジェクトへの補助
  • 沖縄県工業技術センターとの共同研究

などを実施しています。 ​
参考:ものづくり県内受注・生産性向上支援事業

事業の目的

この事業は、県内製造業における域内経済循環の拡大や、収益力強化を図ることが目的です。

具体的には、

  • 製造現場の改善
  • 省力化に関する人材育成
  • 県内企業間のマッチング支援
  • 生産性向上に向けた技術開発
  • 受注につなげるための専門家派遣による課題解決

を実施しています。​

支援内容

支援内容には下記があります。

生産技術開発プロジェクトへの補助

審査会で採択された事業者に対し、プロジェクトへの補助金を提供します。

補助率)

  1. 初年度→8/10以内
  2. 2年目→7/10以内

​ハンズオン支援

事務局による継続的なサポートを通じて、事業者の技術開発や、生産性向上をサポートするものです。

共同研究

沖縄県工業技術センターとの共同開発を必須としています。

技術的なサポートを受けながらプロジェクトを進めることが可能です。​

過去の採択事例


これまでに多くの企業が本事業の支援を受けており、以下のようなプロジェクトが採択されています。​

令和2年度

  • 廃棄ガラスアップサイクル開発(株式会社グラスアート藍)​
  • 鋼板(ステンレス)表面仕上げの自動化による生産性向上(株式会社アコール)​
  • 試圧材の製鋼原料化の生産性向上を実現するための切断装置の開発(拓南製鐵株式会社)​

令和3年度

  • 生産性向上に向けた織機の改良(株式会社あざみ屋)​
  • 外観不良軽減のための新たな釉薬の開発(有限会社育陶園)​
  • アルミ形材押出し直後における冷却装置の開発(金秀アルミ工業株式会社)​
  • ドラムドライヤーによるエキス末の製造技術開発(オキナワパウダーフーズ株式会社)​

令和4年度

  • サンドブラスト作業の省力化技術の開発(平安座総合開発株式会社)​
  • 再生PP材を活用した埋設管路防護板の生産性向上技術開発(沖水化成株式会社)​
  • 安全で効率の良いポジショナーセット装置の開発(タイガーグローバル株式会社)​
  • 多品種少量ロットでも生産効率を維持・向上できる蒸留酒の生産技術(やんばる酒造株式会社)​

令和5年度

  • 生産数を増やすための新たな素地成型技法の開発(有限会社育陶園)​
  • プロトン凍結機槽内の風速最適化及び測定技術開発(プロトン機器製造株式会社)​
  • xRコンテンツの開発による生産性向上(一般社団法人ものづくりネットワーク沖縄)​
  • バイオリアクターを用いての中規模細胞培養技術の開発(株式会社アブクルクスバイオファクトリー)​

参考:ものづくり振興課

内閣府 沖縄総合事務局の取り組みとは何?

内閣府沖縄総合事務局でも、沖縄の労働生産性向上を目指し、以下のような施策を展開しています。 ​

  • 設備導入支援
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業

中小企業・小規模事業者などが取り組む、

  • IT
  • 自動化設備
  • ロボット導入支援による生産効率化

を図るための設備投資を支援。​

中小企業へのロボットなどの導入も支援しています。


出典:ロボットシステムパッケージ

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金18次締切の申請状況および採択結果


出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の公募について
令和6年1月31日から令和6年3月27日までの期間に実施された、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金18次締切の募集について、全国採択審査委員会による厳正な審査の結果が公表されました。

申請、採択状況

今回の18次締切における申請および採択状況は、以下の通りです。

枠の種類 申請件数 採択件数
統計(全体)5,777件2,070件
省力化(オーダーメイド)枠599件204件
製品・サービス高付加価値化枠5,015件1,827件
グローバル枠163件39件


回次 締切日 申請件数 採択件数
第1次令和2年4月28日2,287件1,429件
第2次5,721件3,267件
第3次令和2年9月25日6,923件2,637件
第4次令和3年2月18日10,041件3,132件
第5次令和3年3月31日5,139件2,291件
第6次令和3年6月29日4,875件2,326件
第7次令和3年9月27日5,414件2,729件
第8次令和4年1月12日4,584件2,753件
第9次令和4年3月25日3,552件2,223件
第10次令和4年7月15日4,224件2,584件
第11次令和4年10月20日4,668件2,786件
第12次令和4年12月16日3,200件1,885件
第13次令和5年2月20日3,261件1,903件
第14次令和5年6月23日4,865件2,470件
第15次令和5年9月29日5,694件2,861件
第16次令和6年1月19日5,608件2,738件
第17次令和6年5月20日629件185件
第18次令和6年6月25日5,777件2,070件

参考:ものづくり補助金のご案内

交渉決定状況の推移

締切回交付決定件数交付決定金額(円)主な実施時期(記事より)
第1次1,383件11,285,396,733-
第2次3,105件25,745,238,864-
第3次2,515件20,159,554,634-
第4次3,011件25,597,714,231令和3年2月
第5次2,232件18,426,087,343-
第6次2,214件18,408,077,506令和3年6月
第7次2,629件21,388,547,883-
第8次2,603件20,788,186,185-
第9次2,069件16,668,007,998-
第10次2,412件20,484,548,418-
第11次2,610件21,844,925,843-
第12次1,759件14,392,013,482令和4年12月
第13次1,747件14,315,109,543令和5年2月
第14次2,268件19,490,048,539-
第15次2,634件22,871,417,197-
第16次2,550件22,438,227,732-
第17次178件3,780,868,140-
第18次1,932件19,564,088,084-

ビジネスモデル構築型の採択状況

ビジネスモデル構築型の採択状況についても触れておきます。

令和4年9月9日から令和4年11月11日までの期間に、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金ビジネスモデル構築型の、第4次公募が実施されました。

全国で43件の申請があり、審査の結果、12件が採択。

30社以上の中小企業のビジネスモデル構築や事業計画策定を支援し、持続的な事業成長を目指すプログラムを構築することが目的です。

今後もさらなる詳細や採択者一覧についての情報が更新されるでしょう。

補助金の交付申請手続きについては、動画での説明が用意されています。詳細については、公式webサイトから確認しましょう。
参考:ものづくり支援

2025年ものづくり補助金の変更点


ものづくり補助金は人気が高く、例年の採択率は30%~50%前後と低めに推移しています。

そのため、申請時には完成度の高い事業計画書の提出が求められるでしょう。

審査は書類のみで行われ、記載内容の不備があると不採択となる可能性が高いため、注意してください。

2025年ものづくり補助金の公募開始時期と変更点

2025年のものづくり補助金は、令和7年2月14日から公募が開始されました。

第19次募集の締め切りは令和7年4月25日(金曜日)17時です。

採択されるには、計画書作成に十分な時間を確保しましょう。

高度な計画書の作成には1ヶ月以上、できれば2ヶ月程度の準備期間が望ましいです。

2025年ものづくり補助金の変更点

2025年のものづくり補助金では、従来あった下記の複数の枠が整理されました。

  • GX枠
  • DX枠
  • グローバル枠
  • サプライチェーン強靭化枠
  • 製品サービス高付加価値化枠

現在、製品サービス高付加価値化枠とグローバル枠の2つは統一されています。

これにより、よりシンプルな制度設計となりました。

補助上限額と補助率の変更

2025年ものづくり補助金の補助金額や補助率は、以下のように変更されました。

  • グローバル枠…3,000万円
  • 製品・サービス高付加価値化枠…750万円~2,500万円
  • 補助率…中小企業は1/2、小規模事業者および再生事業者は2/3

従業員数による補助金上限の区分化

従業員数によって補助金の上限が異なります。

特にグローバル枠では、最大3,000万円まで補助金を受け取ることが可能です。

  • 5人以下…750万円(850万円)
  • 6〜20人…1,000万円(1,250万円)
  • 21〜50人…1,500万円(2,000万円)
  • 51人以上…2,500万円(3,500万円)

賃上げ要件の変更

これまでの1.5%の賃上げ要件が、2%以上に引き上げられました。

具体的には、

  • または給与支給総額の年平均成長率が+2%以上
  • 一人人あたりの給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県の直近5年間の平均成長率以上

最低でも2%の給与支給総額アップが求められ、3%以上上げるとさらに有利です。

一般事業主行動計画の公表義務化

従業員21名以上の企業に対して、女性活躍子育て支援方針を定め、厚生労働省両立支援の広場に公表することが義務付けられました。

収益納付制度の廃止

これまでの制度では、補助事業で得た収益に対する納付義務がありましたが、2025年からはこの制度が廃止に。

2024年までの採択率と採択結果

2024年までのものづくり補助金の採択率は、30%~62%の間で推移しています。

特に最近の傾向として、採択率が低下傾向にあることが指摘されています。

以下に、過去の採択率を簡単にまとめます。

  • 17次締切(2024年)採択率 約30%
  • 18次締切(2024年)採択率 約35%
  • 19次締切(2025年予定)採択率 未発表

過去の採択結果を分析すると、申請時期や補助金の種類によって採択率が変動することがわかるでしょう。

補助金申請のタイミングも大事です。

おわりに

ものづくり補助金は、沖縄県内の製造業が、

  • 技術開発
  • 生産性向上

を実現するための大きなチャンスです。

要件や手続きを理解し、事業に合った計画を立てることで、大きな効果が期待できるでしょう。

自社の成長につながる補助金活用を、今こそ前向きに検討してみてください。

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人物

監修者からのワンポイントアドバイス

沖縄県では、県内製造業の生産性向上や県内受注拡大を目指し、さまざまな支援事業を展開しています。その中のひとつにものづくり県内受注・生産性向上支援事業があり、沖縄県の事業者の方が申請を行うことができます。県独自の施策ですので検討されると良いでしょう。